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2016年、GW登山は北アルプスの女王、燕岳で残雪のテント泊

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ここ2年ほどゴールデンウィークは上高地から北アルプスの涸沢カールで過ごしてきた我が家。今年は何処に行こうか?という話になったとき、奥さんが「燕岳はどうか?」と提案してくれました。


私は昨年のGWにはらですぎ氏(id:haradesugi)が登っていた蝶ヶ岳が気になっていたのだけど、よくよく見たら氏はその直前に燕岳にも登っていたようです。
GW直前 残雪期の燕岳にテント泊してきた 1日目 - はらですぎ
穂高連峰・槍ヶ岳の大パノラマ!ゴールデンウィークの蝶ヶ岳にテント泊してきたよ - はらですぎ
これまで我が家が登ってきた山の大半は、ほぼはらですぎ氏がその少し前に登っているという法則。今回の燕岳においてもしっかりその法則が適応されていました。

北アルプス入門的な山ながらGW期間はまだ雪の中

燕岳は北アルプスエリアの中でも比較的アプローチが容易で、燕山荘(えんざんそう)という山小屋のホスピタリティの高さも有名。「北アルプスの女王」とも称される美しい山容を目当てに、夏山シーズンともなると毎週末混雑する人気の山らしく、挑戦するならばこの時期がいいだろうと。
北アルプス表銀座 燕岳(つばくろだけ)の山小屋 燕山荘グループ

とはいえ、この時期の北アルプスはまだ冬山が続いています。我々も2700mを越える標高でのテント泊は初めての経験ということもあり、日程は天気予報や現地の情報(燕山荘のブログや登山者のTwitterなど)を頼りにかなり慎重に決めました。特に今年のGW前半は低気圧の接近に伴い、北アルプス一体は積雪や暴風雨に襲われていたこともあり、出発前日まで天気予報との睨み合いでした。
結局、当初の予定通りGW中の平日である2日(月)からの1泊が天候もベストと判断し、決行しました。

夜のうちに車で中房温泉へ

前日の日曜夜、大河ドラマ「真田丸」を見終えてから出発。途中、中央道談合坂で夕食を取り、長野へと向かいます。安曇野ICで長野道を降り、登山のエントリー口である中房温泉までの長野県道327号。これがなかなかのワインディングの狭隘道路。夜中ということもあって、なかなかスリリングなドライブです。この時間帯は対向車が居ないのが唯一の救いか…(バスとのすれ違いとか泣く)。
ちなみにこの県道327号線、なんと起点は槍ヶ岳なのだとか。ということは今回歩く合戦尾根から槍ヶ岳への通称「表銀座」が県道の続きなのですね、面白い!
長野県道327号槍ヶ岳矢村線 - Wikipedia

中房温泉に到着したのは深夜1時過ぎ。第一無料駐車場は既に5割位埋まっていたでしょうか…? 朝5時に目を覚ますと既に満杯になっていました。前日までの天候もあり、奥の方は結構泥濘んでいたので、深夜の切り返しは大変だったでしょうね。

駐車場から登山口の入口までは舗装道を10分ほど。登山客が日帰り入浴できる「湯原の湯」があります。登山ポストもここにありますが、最近は長野県警へ直接ネットから登山届けを提出するようにしています。

ここから燕山荘までの「合戦尾根」は北アルプス三大急登にも数えられる登りとのことですが、よく整備されて歩きやすい登山道です。等高線も詰まっていて確かに急登ですが、短時間でグングンと標高が上がるので帰りのことを考えるとアリかなと(下山時にダラダラと標高を下げてくのは結構辛いです)。
1時間/30分起き位に第一、第二、第三ベンチと小休止ポイントも充実しています。。

2000mを越えると徐々に雪山へ

第三ベンチを過ぎると残雪が増えてくるので、各自思い思いの場所でアイゼンを装着します。今年は雪が少なかったそうで、かなり上までアイゼンなしでも登れますが、4月末の低気圧ではかなりの降雪もあったらしく、油断は禁物です。

ここまではコースタイムより短い位のペースで上がってこれましたが、やはり雪道となると一気にペースが落ちます。滑らないようアイゼンの歯を慎重に雪に食い込ませて登っていきます。ザックの荷物はカメラ含めて17kg強。先日買ったばかりのトラベル三脚や交換レンズを含めたら20kgを越してしまいそうだったので、今回は諦めてしまいました(笑)

アイゼンは10本爪の軽アイゼンを使用しましたが、12本の人も居れば、チェーンスパイクの人もいるといった感じ。ピッケルが必要になるようなコースではありませんが、雪の状況は毎回違うので最新の情報を入れた上で適切な装備で望むのがよいでしょう。

夏場はスイカでお馴染みという合戦小屋。ここも、燕山荘グループの経営だそうです。実はあまりスイカは好きじゃない私ですが、暑い季節にここを登ってきたら絶対に食べてしまうだろうなあ…(笑)

標高2500mを過ぎてもうすぐ森林限界。大夫雪深くなってきました。無言でひたすらザクザク進みます。雪の上を歩くだけでこれだけ疲れるのですから、雪をかき分けながら(ラッセル)進むなんて想像付きませんね。やはり私には雪山は無理でしょう(笑)

お天気は結構良かったのですが、山梨方面は残念ながら雲が厚く八ヶ岳や富士山は見えません。足下に広がるのは安曇野の市街地でしょうか。

森林限界を超えて合戦沢ノ頭に出ました。稜線の向こうに槍ヶ岳の穂先も見えます。

開けた尾根筋の向こうには燕山荘。そして燕岳も見えました。でも、視界の開けた尾根での「見えてからの実際の距離」って思ってたよりあるのですよね(笑)

あと一歩… なのですけど。これがなかなかしんどいのです。

尾根からは槍ヶ岳から穂高連峰にかけての峰々もよく見えてきました。このGW中にも多くの方が事故に遭われた、厳しい雪山です。我々はこの季節は遠くから眺めるのみ。それは今後も変わらないでしょう。


中房温泉から5時間、燕山荘に到着

スタートから約5時間。コースタイムを1時間程オーバーして燕山荘に到着しました。標高2712m、収容人数は600人を越える日本屈指の巨大な山小屋です。

燕山荘で受付を済ませ小屋の北側のテント場にテントを設営します。有り難いことに、GW前半の登山客によって整地済みのテント場を選び放題です。風よけの高い壁まで作られていて、見晴らしも良い最高の別荘地を手に入れることができました。


稜線上のテント場なのでかなり強い風が吹き付けてきますが、ご覧の通りの雪の壁が、既に用意されています(笑) 自分たちで作るとなったら大変だったろうなぁ…。そして、壁の向こうには北アルプス裏銀座の峰々。


ホスピタリティ溢れる山小屋「燕山荘」で昼食

我が家はテント泊の際はなるべく山にお金を落とすべく、山小屋の軽食を利用することにしています。…というのは半分嘘で、食材を担いでくるのや自炊が面倒だからです(笑)

燕山荘の正面玄関はこのような感じ。宿泊客はもちろん、テント泊者もトイレ利用できるよう広い玄関が用意されています。玄関では常に従業員の方が明るく向かい入れてくれ、まるで旅館やホテルのよう。しかも宿泊のチェックインはタブレットに予約の電話番号を打ち込むというハイテクシステム… すごい。

燕山荘のランチ営業(14時まで)では軽食を食べることができます。私はカツカレー、奥さんはビーフシチューセットを頂きました。どちらも2700mの山の上とは思えない位本格的で、山登り、テント設営で疲れた体に染み渡ります。

カツはサクサク。ソースが付いてくるのもいいですね(カツカレーのソースは掛けない派ですがが、この日は味の濃いものが食べたかったので有り難かった!)


燕岳に向けて出発!

お腹もふくれたところで、燕岳の山頂まで行ってきます。高度差にして50m少し。だいたい30分程度の道のりです。ルートの大半が稜線の西寄りということもあって、雪はかなり飛ばされています。アイゼンなしでも行けますが、ここは付けておいた方が安心でしょう。

有名な「イルカ岩」。特徴的な形の岩ですしテント場からも近いので、星空と絡めた星景写真の題材にもよくされるそうです。私は夜は寒くて全然そんなこと思いつきませんでした(笑)

頂上付近の砂岩と岩、そして雪が織りなす光景。これまでに登ったどんな山とも違う、不思議な空間です。

燕岳山頂に到着。山頂から北西方面、正面辺りに見えるのが針木岳、剱岳、立山といった峰々だと思います。

槍ヶ岳から穂高連峰にかけての稜線。まだまだ厳しい冬の山にしか見えません。

そして燕山荘から、大天井岳を抜けて槍ヶ岳への表銀座。今年の夏には挑戦できるでしょうか。

燕岳の山頂はこんな広さ。あまり広くない山頂には次々に登山者がやってきて記念撮影をしています。シーズン中は相当混み合うのでしょうね。結構風が強いのでしばらくいたら、体が冷えてきました… ということで、ひとしきり絶景を楽しんだところで、燕山荘に戻ることにします。

行きは気付かなかった「メガネ岩」。

メガネの穴を覗いてみたら大天井岳に前穂高岳が見えました。

中央の山。遠目で見たとき、シロクマが上半身を覗かせてるように見えたのですが… ズームしてしまうとあまり分からないかな。サムネイルだとどうでしょう?

見える。私にはシロクマが見える…。

日暮れまで燕山荘でダラダラ過ごす贅沢タイム

さて、目的の燕岳山頂にも無事行けたことですし、生ビールを飲みつつのんびり北アルプスの午後を満喫しましょう。14時を過ぎると暖かい軽食は食べられなくなってしまうので、売店で買ったチップスターをおつまみに。

北アルプスに乾杯! この時間帯は風も落ち着き、気温も上がってとても過ごしやすい午後となりました。ビールが旨い!

この時間、槍ヶ岳方面の表銀座コースを行く人の姿も見られます。お気を付けて!

残念ながら雷鳥の姿は見ることができませんでしたが、イワヒバリたちは盛んに鳴いたり餌をついばんで元気に動き回っておりました。

持って来たKindleで読書したり、スマホを充電したり…。そうそう、燕岳へはパーゴワークスのカメラバッグに水とカメラだけ詰めて行ってきました。手ぶらでも行ける距離ですが、多少アップダウンもありますし水があると安心です。

少し寒くなってきたのでテントに戻って昼寝をしたり読書しながらのんびり。テントの中からこの景色ですからね。もう最高です。


そして夕暮れ。西の空に日が沈むタイミングで一筋の飛行機雲が走ります。


この分ならば明日も晴れてくれそうです。GW前半は吹雪が吹き荒れてたという北アルプスですが、いいタイミングで登ることができました。

マジックアワーはそこまで派手に染まりませんでしたが、ほんのりとピンクに染まった空も美しいですね。



夜景と星空は少しだけ…

日が沈むとやはり2700m、一気に冷え込こんできます。稜線に吹き付ける風も強くなり、風に吹かれながらお湯を沸かしカップヌードルの簡単な夕飯を済ませます。

ふと気付くと足下には安曇野の街の夜景が広がっていました。ミニ三脚のPIXI EVOを持ってきていたので、ベンチからパシャリ。


そして日が落ちてしばらくすると外には星空。

満天の星ではあったのですが… あまりの寒さにテントから出たくなくて(笑)、テント前室から腕を伸ばしてカメラとミニ三脚だけ出して適当にパシャリ。

それでもこれだけ写ってしまうのですから、もっとちゃんと撮るべきだったと後になって後悔してます…。

寒いといってもPRO-TREKの表示で3℃位。氷点下まで下がったというGW前半に比べたらまだマシな方だったのですが、一度体が寝る体勢に入ってしまっただけに、テントや寝袋から這い出る気が全く起きませんでした。まだまだ修行が足りません。

追記:続きを書きました。翌日の下山行程になります。

今週のお題「ゴールデンウィーク2016」