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GPS内蔵でiPhoneでも使えるようになった「CASIO PRO TREK Smart WSD-F20」の使用レビュー開始

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先週、4月21日に発売となったカシオの新型アウトドア用スマートウォッチ「PRO TREK Smart WSD-F20」。昨年発表のSmart Outdoor Watch WSD-F10に続く、低消費電力型GPSを内蔵した最新モデルです。市場での実勢価格は49,500円前後と、競合となりそうなカラー地図内蔵GPSウォッチのGARMIN / fēnix 5Xなどと比べても非常に魅力的な価格となっています。

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カシオ初のスマートウォッチだったWSD-F10は「Smart Outdoor Watch」という独自ラインでの展開でしたが、WSD-F20では満を持して同社の人気アウトドアウォッチであるPRO TREK(プロトレック)の名を冠して登場しました。

今回、メーカーさんから製品をお借りしたので、使い心地やフィールドでの使用感など、数回に渡って当ブログにてレポートしていくことにします。私自身、かなり前向きに購入を検討していた製品でもあるので、可能な限りフィールドに持ちだして使い込んでみる予定です。

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iOS(iPhone 7)とのペアリング環境でレビューを行います

ちなみに、初代モデルだったWSD-F10はGPS非搭載だったことと、当初のAndroid Wearの制限もありAndroid OSのスマートフォンとペアリングしないと使用アプリなどに大きな制限がありました。
しかしながら、本機はGPS内蔵かつOSがAndroid Wear 2.0環境となったことで、iOSとのペアリング環境でもAndroidとだいぶ遜色ない機能を使えるようになっているそう(カシオ純正のスマホアプリ「CASIO MOMENT SETTER+」がAndroid版しかないなど、一部に制限はあるようです)。私自身、メインのスマホはiOS(iPhone 7)ということもあり、WSD-F20はiOSとのペアリング環境をメインにレビューを行って行くことにします。

※AndroidとiOSでのペアリング時の機能の違いについて追記しました(2017.5.19)

PRO TREK Smart WSD-F20ってどんな時計?

まず、基本的なスペックについて簡単に触れておきますが、この「PRO TREK Smart WSD-F20」は、Android Wear 2.0を搭載した所謂「スマートウォッチ」です。つまり既存のPRO TREKのような単独で使用するアウトドアウォッチと違って、AndroidやiOSのスマートフォンとペアリング(接続)を行うことが前提。使用するには、Android 4.3以上を搭載したスマートフォン又は、iOS 9以上を搭載したiPhone 5以降が必要となります。

また、磁気センサーや圧力センサーを搭載し(ランニングウォッチで定番の心拍センサーは非搭載)、コンパスや気圧計、高度計を表示することができるアウトドアウォッチとしての機能も兼ね備えています。5気圧防水に米軍の耐久規格「MIL-STD-810G」に準拠したタフネス性能は、これまでG-SHOCKやPRO TREKを作ってきたカシオならではでしょう。

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液晶はカラー液晶とモノクロ液晶を重ねた2層構造になっていて、消費電力を抑えたい場合やスマートウォッチ機能を維持できるバッテリーが切れてしまった場合も、最低限腕時計としての機能を果たすことができます。

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また、みちびき、GLONASSにも対応した低消費電力型のGPSを内蔵し、オフライン状態でもブラウズできるカラー地図が使えるようになったのがWSD-F20のセールスポイント。前モデル、WSD-F10からの変更点などは以前書いた記事も併せてご覧ください。


PRO TREK Smart WSD-F20の外観・付属品・WSD-F10との比較など

早速、箱の中身を見ていくことにしましょう。お借りしたWSD-F20は本体カラーがオレンジのモデル(その他ブラックがラインナップ)。附属品は本体の他、充電用の専用USBケーブル、ACアダプター、クイックスタートガイドと至ってシンプル。詳しい取説はメーカーホームページからDLすることになります。

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http://support.casio.com/wsd/ja/manual/

前モデルであるWSD-F10と並べてみました。ディスプレイのサイズ、解像度ともに変更はなく、本体サイズ、重量もほぼ同じ。ベゼル付近のデザインが大きく変更され、より「カシオらしい(プロトレックらしい?)」面構えになりました。

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Apple Watch Series 2(38mmモデル)や同社のPRO TREKと並べてみると、ひと回り以上大きなサイズですが、各種センサーを詰め込み、情報量の多いカラー地図を表示するためには必要な大きさなのかもしれません。GPS非搭載だったWSD-F10からサイズ、重量が増えていないので、細かな軽量化が行われていると思われます。

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本体右サイドに並んだ3つのボタンレイアウトは変わらず。中央の電源ボタンのサイズがひと回り大きくなりました。左利きで右腕に時計を付ける私にはやや使いにくい位置ですが、こればかりは仕方がないか…(逆さ付けできるApple Watchは革新的でした!)。

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左サイドの充電端子と圧力センサーのレイアウトも同様で、WSD-F10と同様の(AppleのMagSafe風の)マグネットタイプの充電端子&ケーブルとなっています。このケーブルは便利なようで小さなショックでも外れやすいので、形状などもう少し改良して欲しい部分。

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自宅での充電時にはいいですが、車の中やテントの中などで時計が転がっただけで、充電ケーブルが外れてしまうのは非常にストレスです。そこで、充電の際に写真のようににケーブルを通すことで、若干ではありますがケーブルが固定され外れにくくなります。

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附属の充電ケーブルには若干の変更が加えられていて、新旧で完全な互換性はありません。端子の内側に白い絶縁パーツ(?)のようなものが追加されているのも確認できます。

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WSD-F10とF20用の充電ケーブルを逆に使おうとした場合、F10用のケーブルはF20に刺さり充電も行われますが(メーカーが保証しない使い方の可能性はあります)、F20用のケーブルはF10で使うことはできませんでした(写真は端子が刺さらずに浮いている状態)。

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樹脂製のベルト(バンド)の模様が変更され、溝に入った汚れが目立たないようなものに。バックルは樹脂製からシルバーの金属パーツになりました。

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バックプレートには新ブランドである「PRO TREK Smart」の刻印がされています。

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それでは、続いてスマートフォン(iOS)との接続などを見ていきましょう。

WSD-F20とiPhone 7をペアリングしてみる

WSD-F10はAndroid OSのスマートフォンとペアリングして機能をフルに発揮できるスマートウォッチで、iOS(iPhone)とペアリングした場合、大幅に機能が制限されてしまう弱点がありました(Android Wear 2.0以降もGPS周りで大夫機能が制限されてしまいます)。
しかし、WSD-F20はAndroid Wear 2.0と内蔵GPSのお陰もあり、iOSとペアリングした場合においても、ほぼ同等の機能を使うことができるようになっているそうです。

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Android Wearのスマートウォッチを使うためには必ずスマートフォンとペアリングする必要があるので、自分がどちらのスマートフォンOSをメインに使うか決めてから行うようにしましょう。また、ペアリングを解除するとウォッチ側は自動でリセットされてしまうので、スマホの機種変更のタイミングなどは注意しましょう。

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ペアリングにはiPhone側に「Android Wear」アプリをDLの上、手順に沿ってペアリングやGoogleアカウントのコピーなどを行う必要があります。無事ペアリングが完了すると、スマートウォッチとして使い始めることができ、お馴染みの(?)ウォッチフェイスの変更などもiPhone側から行えるようになります。

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スマホとのペアリングが成功したら、最初に確認しておきたいこととして[Playストア]アプリを開き(Wi-Fi接続が必要です)、プリインストールされているマイアプリを全て最新の状態に更新しておきましょう。

その他、本稿では細かく触れませんが、コンパスや気圧計、高度計などを切り替えて使えるツールアプリがWSD-F10同様に搭載されています(GPS内蔵により、日の出日の入り時刻が本体のみで表示可能に)。ツールアプリには加速度センサーを用いた活動量計の機能も備えています。

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地図を見るのは「ロケーションメモリー」にて

スマートウォッチなのでアプリを追加すれば様々な機能をウォッチ側に持たせることができますが、やはりWSD-F20から搭載された省電力型のGPSを使った地図機能は気になるところ。登山用の地図は専用アプリのYAMAPを使うことになりますが、標準搭載の地図アプリとして「ロケーションメモリー」が用意されています。ちなみにAndroid機とペアリングした場合は、別途GoogleMapアプリも使えます。

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といっても、iOSでGoogleMapが見られない訳でなく、スマホ側がオンライン状態ならばこのようにロケーションメモリーでGoogleMapを表示させながら行動軌跡を見ることもできます(保存してGoogleドライブに書き出すことも可能)。これは先日、立川の昭和記念公園でネモフィラを見てきたときのログ。

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表示させる地図は設定画面で「GoogleMap」と「Mapbox」とで切り替えることができ、このMapboxがWSD-F20の売りの1つでもあるオフラインで使える地図。ただしMapboxの地図は事前にダウンロードしておく必要があり(だいたい一度に直径〜50kmエリア程度)、WSD-F20がWi-Fi接続時でないと行えません。スマホとのペアリングはLow EnergyのBluetoothで行ってるため、スマホを経由しての大きなデータの取得ができないようです。

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出先で新たに地図データをダウンロードする場合は(DLできる地図のエリアは一カ所のみ)、Wi-Fiルーターやスマホのテザリングを使用することになりそうですね。Mapboxを使った地図についてはまたあまり試していないため、改めてレビューできればと考えています。

登山地図アプリ「YAMAP」が使えるようになるまで一苦労…

さて、個人的にWSD-F20を使いたい一番の目的が登山用の地図アプリであるYAMAP。WSD-F10ではAndroidスマホとのペアリング時限定、かつ位置情報はスマホ側から取得していたため、常にAndroidスマホを持ち歩く必要がありました。

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それがWSD-F20ではIOSとのペアリングでYAMAPが利用できるだけでなく、例えスマホが手元にない状態でもWSD-F20のみで行動ログを取り、地図を確認することができるようになりました(YAMAPのバージョンアップにより、スマホアプリとウォッチアプリで連携されていた行動データの記録が、完全に切り離されました)。

YAMAP / ヤマップ

YAMAP / ヤマップ

  • YAMAP INC.
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  • 無料
ただし、現状ではWSD-F20に対応したYAMAPの最新アプリが完全でなく、ペアリングや地図の取り込みが上手く行かないケースがかなり報告されているようです(YAMAPの問い合わせ掲示板に、WSD-F20に関する不具合の書き込みが多数見られます)。
お問い合わせ | YAMAP / ヤマップ

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私も自分のiPhone 7にてYAMAPが使えるようになるまで、何度もWSD-F20の再起動を繰り返し、心が折れそうにもなりましたが(笑)最終的になんとかiOS側のYAMAPアプリとの連携から、地図のダウンロードまで行うことができました。

「この手順なら確実」という方法は見つかっていませんが、YAMAPとのペアリング作業で先に進めなくなった場合、ウォッチの再起動よりもAndroid Wearの[設定→アプリ→YAMAP→アプリ情報→データを削除]を試すと、リトライ時に成功する可能性が高いと思われます。これについてはYAMAP側での早急な改善を期待したいところ。

追記:YAMAPで地図ダウンロードを行う場合、WSD-F20側が満充電でも必ず充電ケーブルを電源に繋いで作業しましょう。YAMAP絡みのWi-Fiエラーの大半はこれで解決する場合が多いです。

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一度、ペアリングが上手く行った後は地図のダウンロードなど、嘘のようにスムーズに行えるようになりました(ただしiPhone7側に地図をDLしただけで、勝手にウォッチ側への転送も始まってしまうのはバグでしょうか? 本来は別手順で行う仕様のようですが…)。

ウォッチのYAMAPアプリ単独使用ができるようになったことで、複数の地図データをウォッチに保存して、切り替えて使えるようにもなっています。

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WSD-F10時代からお馴染みのYAMAP画面ですが、WSD-F20のみでログの記録、GPSでの現在位置表示ができるようになったのは大きな進化。GWにこの表示エリアに行く訳ではありませんが、この山域をよく眺めることができる山へと行ってくる予定です。

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それでは第1回目のレビューはここまで。次は実際のフィールドにWSD-F20を持ち出し、登山を行いながら主にYAMAPアプリの使い心地やバッテリーの持ちなどを確認、レビューを行っていくことにします。

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追記:AndroidとiOSペアリング時の違いについて

現在、iPhone 7とのペアリングでテストしているWSD-F20ですが、Android端末とのペアリング時とにおける違いが、いくつか分かってきたので追記しておきます。これはWSD-F20の仕様という訳でなくAndroid Wearの仕様、iOSとのペアリング時にAndroid Wearが受けている制限の差と考えた方が良さそうです。

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Bluetooth接続方式の違い

AndroidスマホとペアリングしていたWSD-F10では、それなりに軽快に見られていたGoogleMapですが、iPhoneとペアリングしたWSD-F20ではとても読み込みが遅いのが気になっていましたが、その原因はこれ。Androidスマホとのペアリング時にはClassic Bluetoothでの接続になりますが、iOSの場合はBluetooth Low Energy(BLE)での接続になるようです。
BLEの通信速度が低いこともあってiPhone側がデータ通信可能であっても、Wi-Fiのない環境では地図などの大きいデータを読み込むには時間がかかります(実用速度とは言えないでしょう)。iPhoneペアリング時はオフラインマップのMapboxやYAMAPを利用するのが良さそうです。

プリインストール及び使用可能なアプリの違い

いくつかのアプリがiPhoneペアリング時には対応していないため、プリインストールの時点でウォッチ側のアプリ一覧に見られないようです。

  • 「マップ」:GoogleMap専用アプリ。ただしiPhoneでは「ロケーションメモリー」でGoogleMapが見られます。以下の4アプリも同様ですが、Google製の一部アプリはiPhoneとペアリング時にはインストールされません。
  • 「スマートフォン検索」
  • 「フィード」
  • 「メッセージ」
  • 「Play Music」

以下のアプリはiPhoneペアリングに時は「カシオのおすすめ」に出てこず、「Playストア」でも見つからないもの。思ったよりもありますね。気象レーダー系のアプリが使えないのは寂しいですし、今後対応予定があるといいのですが…。

  • 「Go雨! 探知機」
  • 「View Ranger」(対応予定)
  • 「MOMENT LINK」
  • 「MyRadar気象レーダー」
  • 「なみある?」

カシオのサイトでも「Android、iOS機能⽐較表」が一覧になっているので(PDFファイル)併せてご確認ください。

「WSD-F10」「WSD-F20」の主要スペック比較

初代のSmart Outdoor Watch WSD-F10と主なスペックを抜き出してみました。

製品名 WSD-F10 WSD-F20 NEW
OS Android Wear 2.0 (現在) Android Wear 2.0
内蔵GPS × ○ (GLONASS/みちびき対応)
ディスプレイ 1.32インチ/2層構造 1.32インチ/2層構造
タッチパネル 静電容量式タッチパネル 静電容量式タッチパネル (防汚コーティング対応)
解像度 320×300pixel 320×300pixel
防水性能等 5気圧防水/MIL-STD-810G 5気圧防水/MIL-STD-810G
センサー 圧力/加速度/ジャイロ/方位 圧力/加速度/ジャイロ/方位
サイズ/重量 61.7×56.4×15.7mm / 約93g 61.7×57.7×15.3mm / 約92g
カラー ブラック/グリーン/レッド/オレンジ ブラック/オレンジ
税別価格 市場価格 ¥38,000程度 ¥51,000

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