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野鳥撮影のためにドットサイト照準器 OLYMPUS EE-1を導入してしばらく使ってみた

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今年から始めた野鳥撮影のお助けアイテムとして使っているカメラ用のドットサイト照準器 OLYMPUS EE-1を紹介します。

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野鳥撮影にドットサイト照準器を使ってみることにした

1月から近所を散歩する際に野鳥の写真を撮るようになったのですが、カワセミを始めとるす小さな野鳥や動物の動体(動きモノ)撮影をする際に、カメラのファインダーを見ているだけではかなり難しいことを感じたので、ドットサイト照準器を試してみることにしました。

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止まっている鳥ならいいのですが……

超望遠レンズを使ったことがある人はお分かりになるかと思いますが、600mm相当(35mm換算)のファインダー像はかなり狭く対角画角でも4度程度しかありません。
肉眼で見ている風景の中のかなり狭い箇所を切り取った範囲となり、小さな野鳥を一発でファインダー内に捉えるにもある程度の慣れが必要ですし、さらにそんな狭いファインダーの中に動く生き物を捉え続けるのは、それなりの技術が必要となります。

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飛んでいる小鳥を撮るのはとても難しい

ドットサイト照準器ってどんな道具?

それを補助してくれるのがドットサイト照準器。名前の通り「ドットを見て合わせる照準器」で、肉眼と同じ倍率の素通しのスクリーンにLED表示のドット(レティクル、ターゲットマーク)を揃えることで、遠くの小さな被写体でも効率的にファインダー内に捉えることが可能となります。

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その他アクセサリー | アクセサリー | オリンパス:カメラ、オーディオ、双眼鏡

……と書いただけではなかなか理解できない方もいるかもしれませんが、要はカメラのファインダーで被写体を追うのでなく、視野の広い肉眼で被写体にLEDのドットを合わせることで、カメラとレンズの向きも被写体に合わせる補助アイテムです(これでも分かりにくい?)。

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via: https://fotopus.com/tori/magazine/03/

カメラで使うにはいくつかの方法がありますが、ドットサイトで被写体にカメラの向きを併せて、構図の確認はファインダーで行うのが第1段階。さらにドットサイトのターゲットを片目で覗きながら、同時にもう片目でカメラのファインダーを確認する「両眼視」という方法でよりドットサイトを効率的に使うことができます。
ちなみに「両眼視」はドットサイトを使う場合のみのテクニックでなく、左目で周囲を含めた広い視野を確認しながらファインダーで構図を作る、比較的オーソドックスな撮影技術のひとつです(ポートレート撮影などにも使われるようです。私は効き目が左目なので殆どやりませんけが……)。

カメラ用のドットサイトは有名なものだとオリンパスブランド(OMデジタルソリューションズ)とニコン(DF-M1)から発売されていて、私が買ったのは当然(?)オリンパスのEE-1というモデル。OMDS公式にもEE-1を使った野鳥撮影についての記事があるので、興味があれば合わせてどうぞ。
野鳥撮影に革命をもたらす!手持ちで撮れる600mmレンズフィールドレポート Vol.3-1|鳥の写真投稿|ズイコーフレンドクラブ|OMデジタルソリューションズ

OLYMPUS EE-1を買ってみた

ということでOLYMPUSのドットサイト照準器 EE-1です。

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スクリーンはスライドレバーで開閉できるようになっていて、開くと自動的に電源オン(閉じるとオフ)。オリンパス(OMDS)の製品らしく使用時の状態でも防滴仕様になっています。

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レティクルは赤いLEDで表示され、明るさはダイヤルで5段階に調整可能。また、スクリーンの中のレティクルの位置は上下、左右にダイヤルで動かして調整することができます。

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レティクルのLEDを表示させるためにボタン電池(CR2032:付属)が必要になります。2月頭から使い始めて、だいたい週1ペースの使用で未だに電池切れはしていないので、電池持ちはそれなりに良さそうです(CR2032ならコンビニでも買えますが、予備を1つ携行しておくと安心かも)。

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ここをプッシュしながらスライドすれば電池カバーが開きます

カメラへで使う際ですがアクセサリシューに取り付けられるので、まずはこの形で一度試してみると良いでしょう。野鳥を撮影している人の中には、このスタイルでドットサイトを使っている人もそれなりにいるようです(実際に見た中ではほぼ三脚使用でした)。

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ただしカメラのファインダーとドットサイドのスクリーンの位置関係が上下になるので、両方を同時に確認することは難しくなります。三脚などでカメラを安定させた状態にして、ファインダーやライブビュー画面とドットサイトを交互(あるいは同時)に素早く切り替えて見られる環境が作れれば、このスタイルもありだと思います。

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私も最初は一脚を使ってホットシュー装着したドットサイトとライブビュー(バリアングルを横に開いた状態)を見比べながら、撮影を行っていました。

ドットサイトブラケット(E-6673)装着で両眼視に挑戦

しかし一脚を使った撮影は移動の多い私のスタイルには合わないことが分かり、手持ち撮影でドットサイトを効果的に使うために、両眼視に挑戦することにしました。

エツミからEE-1専用のドットサイトブラケット(E-6673)が出ているので、これを使えばOLYMPUS OM-DクラスのミラーレスカメラではEE-1とファインダーの両眼視が可能となります(初代のE-M1時代に発売されているので、E-M1シリーズとの相性はバッチリ。ただし、カメラのサイズが異なるE-M1XなどはE-6673のみではEE-1とファインダーの高さが合いません)。

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E-6673の取り付けはカメラの三脚用ネジを使うので、E-6673の他に三脚や一脚を併用したい場合には別のプレートを追加するなどの工夫が必要になりますが、私の場合はEE-1+E-6673をE-M1 Mark II/IIIに取り付ければ完成です。他メーカーのミラーレスカメラでも使えると思いますが、実際に確認した訳ではないので分かりません。

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ちなみに両眼視といってもすぐ目の前の光景を撮る訳ではないので、数十メートル先を見ている肉眼と拡大された600mm画角の絵を同時に見て理解するのはほぼ不可能です。特に私の場合は効き目が左目(普段、ファインダーを覗くのが左目。多くの人とは逆)なので、ドットサイトのスクリーンに長時間意識を引っ張られてしまうと、ファインダー側の右目への切り替えがスムーズに行かないこともあります。

この辺りは効き目や経験によって個人差も大きいと思いますが、とにかく実地を重ねるしかないことだと感じています(すぐに左右の目の意識が切り替わらないときは一瞬片目をつぶるなども効果的)。

ドットサイトの視差合わせは慣れれば現場で調整可能

ドットサイトを使う際にはカメラ(ファインダー)とドットサイト側に光軸のズレ、視差(パララックス)が発生するので調整してあげる必要があります。最初は三脚を使って出かける前にかなり厳密に合わせていたのですが、被写体との距離が変われば視差も変化しますし、あまり厳密な調整は意味がないと感じています。

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三脚を使って(決まった距離での)止り木から飛び込むカワセミを撮るようなスタイルならば、厳密に調整をした方が良いと思いますが、自分のスタイルだと被写体との距離も一定ではないので、必要に応じて現場で微調整を行います。

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だいたいはスタート前に10〜15mぐらい(?)の距離を目安に、被写体を想定した石や木を使って合わせて、後はすぐに逃げない鳥を被写体に捉えた際に微調整したり、軽い視差なら被写体とレティクルを無理に重ねずにズレた状態でセンターだと脳内調整します。
むしろ20m以上離れている小鳥を見る場合、ドットサイト側の肉眼のスクリーンで小さな鳥にLEDのレティクルを重ねてしまうと鳥の姿が見えなくなってしまうので、むしろわざとズラしておいた方が見やすいこともあります。

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肉眼だとこれぐらいの距離があるので……

被写体を一発でファインダー内に

ドットサイト導入による一番大きな効果は、長望遠の狭いファインダーに一発で被写体を捉えることができること。
望遠レンズや双眼鏡の狭い視野に目標物をすぐに捉えることは、慣れや経験で精度を徐々に精度が高めて行くのですが(例えば月をすぐに望遠レンズの画角に入れられるか?など)、ドットサイトでは肉眼の視野で照準を合わせるのでこの作業がとても楽になります。

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大きな被写体はとても撮りやすくなります

林や藪の中の小鳥、川の流れの中の石、青空の中を飛んでいる飛行機のような背景に惑わされやすい被写体、さらにそんな中で動いている被写体をスムーズにファインダー内に捉えやすくなるのはドットサイトの大きな効果のひとつでしょう。

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そして、ファインダーの中だけを見ていたらすぐに見失ってしまうような動く被写体を追いかける際にもドットサイトは効果を発揮します。

ドットサイトで急に動体撮影できる訳でもない?

ただしドットサイトはあくまで補助的なアイテムであって、あくまで個人の技術に依る要素が大きいのも事実。私の場合にしても、EE-1を使ったからといって、いきなり飛んでいる野鳥がバリバリ撮れるようになった訳でもありません。

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鴨サイズをこの距離感で撮るのは楽になりますが……

使ってなかったときよりも間違いなく反応は良くなりましたが、鳥の動きを両眼視で確認できたからといって、狭い超望遠のファインダー内に鳥を入れ続けて、かつピントを合わせてシャッターを切るのはあくまでカメラを操作する人間の技術(とカメラの性能)。

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カワセミサイズだとすぐファインダーから外してしまいます

私が使っているE-M1 Mark II/IIIの動体撮影性能(AFや連射周り)は現行のカメラの中でもそこそこの水準だと思われますが、それでもAF云々の前にファインダー内に被写体を捉えてないことにはお話になりません。ドットサイト側の視野は鳥が飛ぶ所を追えていたとしても、自分の体がそれに追従してしっかりカメラをコントロールできてなければ、結局は反応できていると言えないのです。

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ということで肝心の撮影結果ですが、飛んでる小鳥の追従は正直まだまだ全然なレベル。
鴨やサギといった大きな鳥ならそれなりに歩留まりが良いものの、素早い小鳥レベルとなると何度も機会があったとして、実際にファインダー内に捉えてかつピントまで来ているものとなるとかなり低い確率となってしまいます。ズーム域や構図を考えてる余裕なんてありません。

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この構図はトリミングで作ってます

それでもドットサイトがなければ初動から反応できないことが大半なので、使うことで初めてスタートラインに立てたような感じでしょうか。

それでも間違いなく撮れなかった写真が撮れるようになっている

ということでEE-1を使うようになって撮った写真の一部がこんな感じ。全てがドットサイトの恩恵という訳でもありませんし(カメラのAFや連写にもかなり助けられてる)、ドットサイトがないと撮れない写真という訳でもないかもしれません。

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それでも飛んでいる鳥を積極的に追って撮ろうと思うこと自体、以前の自分には殆どなかった訳で、ドットサイトを使うようになったことで、今まで挑戦してこなかった撮影が楽しめるようになったことは事実です。

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