七工匠 7Artisansブランドの円周魚眼レンズを使ってみました。
今回紹介するレンズは正規代理店であるイングレート・ジャパンから提供していただいたものです。
- 七工匠 7Artisans 4mm F2.8
- マイクロフォーサーズ版も本来の画角で使える?
- グリップや指が容易に映り込む225°の画角
- 円周魚眼レンズはピント合わせが難しい?
- 絞りとピント描写
- ピント位置と絞りによる変化
- 7Artisans 4mm F2.8(+GF10)作例
- 使い所はやや難しいけど普段とは違う視点が楽しい円周魚眼
- 七工匠 7Artisans 4mm F2.8の主な仕様
七工匠 7Artisans 4mm F2.8
「七工匠(しちこうしょう)」は中国・深センのレンズメーカーで「7Artisans」のブランド表記でもおなじみ。低価格帯のマニュアルフォーカスレンズを中心に、マウントアダプターなども手掛けるメーカーです。
日本国内では複数の代理店が取り扱っていますが、今回の「7Artisans 4mm F2.8」は現時点ではイングレート・ジャパン(Pergear)からのみの販売となっているようです。
七工匠から225°超広角の魚眼レンズ「4mm F2.8」が登場!ドローンに使用できるレンズ。|イングレート・ジャパン株式会社のプレスリリース
マニュアルフォーカス、開放絞りF2.8の円周魚眼(全周魚眼)レンズでAPS-Cセンサーを搭載するミレラーレスカメラ用の設計ですが、マイクロフォーサーズ用も用意されていて問題なく使うことができます(詳細は後述)。販売価格は公式ストア価格で21,553円(税込)と中華MFレンズらしいお手頃価格となっています。


私が円周魚眼レンズを手にするのは今回が初めて。今まで使ったことのある対角線魚眼レンズとは違い、がっつりと前玉が飛び出していてその前玉を保護するフード的なものは何もありません。扱いにはそれなりに慎重になる必要がありますが、そこで実売2万円程度の価格が心理的なハードルを下げてくれます!?
レンズフードは金属製の被せ式となります。フード内側にはフェルトが貼られていて、レンズ側に軽いテンションが掛かった状態で装着されますが、やや浅いというかテンションが軽いというか、フード部分を掴んで持ち上げたらそのままフードが外れてしまう程度の緩さ。金属フード自体に重量もあり、着脱の際に前玉に当ててしまう可能性を考えると、樹脂製の軽いフードだった方が扱いやすい気もします。
レンズの重量は実測で196g(マイクロフォーサーズ用)。それなりに軽量ですが、金属外装、ガラスレンズの組み合わせのコンパクトな本体なので、手にするとズッシリした塊感があります。
外観に安っぽさはなく、クリックレスの絞りリング、ピントリングの動きもねっとりしていて、ガリや引っ掛かりはありません。絞りリング側にはピンが付いていて、回しやすくなっていますが、カメラ装着時にピンが下側に来るので、平面に置いた際にピンが触れて動いてしまったりと邪魔に感じることも。
動画用途も意識してるのだと思いますが、やはりスチルだと絞りリングにはクリックが欲しいところ。
E-M1 Mark IIIやGF10に装着した際のイメージ。後述しますがE-M1系やOM-1のようなグリップの大きなボディに装着した場合、撮影時の自分の指やグリップ自体が写り込んでしまうこともあります。




マイクロフォーサーズ版も本来の画角で使える?
APS-Cセンサー用に設計されたレンズですが、APS-C機で撮ったと思われる公式サンプルを見ると円周魚眼のイメージサークルの外側の余白(黒)部分がかなり大きめ。どうやらアスペクト比3:2のAPS-Cセンサーに対して、ひとまわり小さい4:3のフォーサーズセンサーの場合も天地の枠内にイメージサークルが収まるようです。

つまりこのレンズに関しては、マイクロフォーサーズで使うことによる画角のロスはありません。
実際にマイクロフォーサーズ機で使った際の写真はこんな感じになります。天地はギリギリですが円形のイメージサークルはセンサーサイズ内に収まっています。
イメージサークル外周の境目が少し滲んだ描写になっていますが、これは円周魚眼レンズとして正しい描写なのでしょうか。もう少しスッパリ切れた黒枠になるのだと思ってましたが、気になるようなら円形トリミングなりマスクを掛けてしまえば良いでしょう。
ちなみに本記事では撮影した写真をアスペクト比1:1にトリミングして掲載することにします。左右の黒は邪魔ですし、この方がブログでも作例を大きく見て貰うことができるので。Lightroom等で現像時に1:1を選ぶだけですし、撮影時にカメラ側で1:1で撮影してしまうのも良いでしょう。
グリップや指が容易に映り込む225°の画角
画角は180°を越えた225°ということで前玉の正面よりさらに広い画角。グリップのあるタイプのカメラに装着した場合、グリップや握る手が写り込みますし、カメラの底を支えた手も写ってしまったり……。
グリップのないGF10で使っていても油断するとカメラを持つ自分の手、足、体が写ってしまってますし、三脚なども(カメラを水平より上に構えない限り)当たり前に写り込んでしまいます。

チルト液晶で覗き込むようにカメラを構えると、自分の頭や顔が映り込むことも……。通常のレンズの画角のように映り込みをトリミングすることも難しいので(円形にトリミングすることは可能ですが)映り込みには常に注意するか、ある程度は仕方がないと諦めるぐらいの思い切りで使うのが良いでしょう。

円周魚眼レンズはピント合わせが難しい?
今まで使ったことがあるどんな広角レンズ、魚眼レンズに比べても画角が広く、かつイメージサークルの被写体がライブビューやファインダー内で円形の中に小さく見えるので、マニュアルフォーカスでのピント合わせが難しく感じます。
接写なら拡大MFである程度ピントが分かるものの、遠景ともなるとピーキング表示をしてもピントの山が分かりにくいことが多いです。基本的にはピントリングの無限遠の位置(フルに回すとオーバーインフなので∞マークを目安に)を覚えて使うか、接写に関しては拡大MFで対応するのが良さそうです。
絞りとピント描写
あまり描写力やボケ味を求めるレンズではなさそうな気がしますが、接写ならば絞り開放からピント位置はかなりシャープに写っていますし、ボケもまあそこそこにあります。
花の中央を切り出し。手持ち撮影だとやはり普通のレンズよりピント合わせが難しいです。
遠景になるとどうしても被写体サイズが小さくなるのでシャープ云々という感じではないものの、F4.0〜F5.6ぐらいに絞って、無限遠で撮ればまあそれなりの描写という感じ。
画角が広いので太陽が出ていると構図にすぐ入ってしまいますが、F16まで絞ることで足の長い光条を出すこともできます。F16まで絞ると若干描写が甘くなってしまいますが、そこから少しでも絞りを開くと光条の足が消えてしまうのでどちらを取るかは悩ましいところ。
絞り開放で太陽が入るとこんな感じ。
ピント位置と絞りによる変化
接写(最短でなく10cmぐらい)と無限遠パンフォーカス。F2.8からF16まで絞りを変えながら(無段階なのであくまで絞り値はレンズ表記を見ての目安)描写の変化を確認してみました。どちらも周辺光量と被写界深度の変化が確認できますが、ピント位置の描写はそこまで思いの外変化は少ないかも。F2.8はやや甘く(接写だと開放からかなりシャープ)F4〜F8の間は比較的安定していて、F16まで絞ると若干甘くなる。










接写のF5.6からの切り出しですが、やはり三脚を立てて撮ると手持ちよりもかなりピントを追い込めますね。
7Artisans 4mm F2.8(+GF10)作例
ここからの作例は全てパナソニック LUMIX DC-GF10にて撮影しています。
まずはお花畑でごく普通に撮ってみる。コスモス三連続。あまり奇をてらわず普通に使うのも悪くない。
開けた空間で自分の足元を撮ると地平線の青空が自分を囲むように写ります。
反対に空にカメラを向けると中央に空、周辺を囲むように地面が写ります。
大きな木の下でやると面白い効果に。ちょっと360°カメラぽい雰囲気?
銀杏並木もこの通り……。
接写できる魚眼レンズといえば虫。お花畑といえばミツバチ。
そんな花に集まる虫を狙っているカマキリと目が合いました。
寄りすぎるとカメラや自分の影が入ってしまうので加減が難しい……。
無理に寄らずともこれぐらいもアリかな。
ジョロウグモを見るとつい撮りがち。
↑は開放F2.8で↓はF16ですね。
イナゴを撮っていたらレンズに飛び乗られてしまいました。ピントを最短距離に合わせてみましたがさすがに合いませんでした……。なんとなく面白いので載せておきます。
モデルさんに接近されすぎた… pic.twitter.com/Xby9HmYJu3
— OKP (@iamadog_okp) 2022年10月20日
使い所はやや難しいけど普段とは違う視点が楽しい円周魚眼
超広角レンズを越えて広範囲に映る一方で極端過ぎる歪曲だったり、写真としては円形のイメージサークル型に切り取られてしまこともあって、なかなか使い所の難しいレンズではありますが、こうして使ってみるとなかなかに楽しいものですね。他にも自撮りやV-log撮影に使ってみても面白いレンズかもしれません。
円周魚眼はOMDS、パナソニックの純正レンズのラインナップにはありませんし価格的にもお手頃。マイクロフォーサーズの他にも各種APS-Cセンサー機で使えるので、気になった方は試してみてはいかがでしょうか。
七工匠 7Artisans 4mm F2.8の主な仕様
7Artisans 4mm F2.8 ドローンレンズ E/FX/M43/EOS-M マウント用
- マウント:マイクロフォーサーズ(他、Eマウント、Xマウント、Mマウント)
- 焦点距離:4mm
- レンズ構成:8群10枚
- 開放絞り:F2.8
- 最小絞り:F16
- 最短撮影距離:8.5cm
- 絞り羽根:7枚
- 最大径×全長:
- 重量:196g(マイクロフォーサーズ用)
- Pergear公式サイト価格:21,553円(税込み)
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