年に2回、春と秋の2日間だけ一般公開される国分寺・日立製作所中央研究所の庭園。2025年春の公開日が4月6日(土)ということで、以前から見たいと思っていた野川の源流を見に行ってきました。
- 野川の源流は通常公開されてない日立中央研究所の敷地内
- JR国分寺駅から日立中央研究所の正門へ
- 武蔵野台地の国分寺崖線(段丘崖)の谷戸「さんや谷」
- 国分寺崖線から湧き出す湧水へ
- 大池外周を歩いて野川が流れ出す水門へ
- さんや谷から流れる小川沿いを歩く
- 改めて大池
- 芝生エリアでお花見、出店でランチ
- 恋ヶ窪東遺跡〜姿見の池
野川の源流は通常公開されてない日立中央研究所の敷地内
先週もお花見散歩で歩いた武蔵野台地を流れる野川。その源流は普段は立ち入ることができない日立の研究所施設の敷地内にあり、以前から一度見に行きたいとは思っていました。今回、Xのタイムラインで「日立中央研究所 春の庭園公開」についての情報RPを見掛けたこともありようやく行くことができました。
「日立製作所中央研究所」は東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目にある、日立製作所の研究開発拠点です。国分寺崖線の上に位置し、広大な敷地の約半分が緑地(森と池)として武蔵野の自然が保全されています。
日立製作所 中央研究所は1942年に設立
日立製作所の創業者で初代社長の小平浪平の「良い立木は切らずよけて建てよ」の意思を受け継いでおり、武蔵野の大自然が今も残る
敷地面積:約220,000㎡ 東京ドーム約5つ分
敷地の約半分を森林などの自然部分が占め、約120種、27,000本の木々がある
(「株式会社日立製作所中央研究所 庭園公開 2025 SPRING」チラシより)所内で配布されていた「創生の森」パンフレット
この研究所の庭園が一般に公開されるのは春と秋の年2回ですが、日立のホームページに掲載されることもなく(?)、国分寺市の市報に案内が載る程度みたい(今回は市報3月1日号に掲載がありました)。
以前は知る人ぞ知るひっそりとした公開なのかと思っていましたが、近隣住民の間ではかなり認知されいてるイベントのようで、事前に調べた際は野川水源の湧水を見るのに30分並んだ!などのレポートも見掛けました。
JR国分寺駅から日立中央研究所の正門へ
庭園の公開時間は10時から15時まで(入場は14時半まで)。国分寺駅から日立中央研究所の敷地東側にある正門へ向かうと、ハイキングっぽい格好の人の姿がチラホラ。
10時前に正門前に到着すると行列ができていました。正面の信号が丁字路になっていて左側が正門なので、思ったより混雑している訳でもないかな……と思ったら。
既に正門の奥まで長い行列が続いていました(笑) こんなに人気のイベントだったとは!
ペット連れ、自転車での来場は禁止(結構自転車で来てる人も多かったけど)。
10時になると列がゆっくり進みます。
22haの広大な敷地内には車道もあります。標識は20km/h制限。
警備員の方も自転車で移動する広さ。
武蔵野台地の国分寺崖線(段丘崖)の谷戸「さんや谷」
正門から入場してすぐに「辺仁橋(へんじんばし)」を渡ります。面白い名前だと思いましたが「日立返仁会」なる日立のOB会の名前があり、かつての表記は「変人会」だったのだとか。
日立返仁会とは:日立返仁会
いきなり橋を掛けるほどの深い谷があって驚きますが、「さんや谷」という深い谷が、野川に沿った国分寺崖線から北に向きを変えて武蔵野段丘に深く入り込んでいます。
もうひとつ、この付近の地名にもなっている「恋ケ窪谷」は北西に向かって伸びる窪地。この2つの谷の出口が合わさっているのが、この日立中央研究所の大池(後ほど登場する池)周辺の窪地となります。
橋の上から見下ろすだけでこの敷地の自然の豊かさがよく分かります。
国分寺駅〜恋ヶ窪周辺の入り組んだ国分寺崖線。国分寺駅の西、Y字に伸びる2つの谷が恋ヶ窪谷とさんや谷です。さんや谷を辺仁橋で越えて、この後は池の周辺の窪地を歩き回ります。


辺仁橋を渡って社屋が見えてきたあたりで(建物は撮影禁止)、スタッフの方の手で当日用のチラシが配布されていました。裏面には出店の一覧などもあり、やはり思っていたより大きなイベントみたい。


トイレはこの右側の建物内と仮設トイレも多めに設置されていました。スタッフも恐らく日立社員の方と思われる人の他に、制服姿の警備員、同じくALSOKの手配と思われるイベントスタッフの方など。
数台のキッチンカーの他に広場の白いテントは全て出店になります。
国分寺崖線から湧き出す湧水へ
湧水ポイントが混み合うというのは事前に調べてあったので、真っ先に向かうことにします。湧水は敷地内のハケ沿い(国分寺崖線沿い)に10箇所ほどあるそうですが、見学できるようになっているのは一箇所。段丘崖を緩やかに下って窪地の中へ下りる道を進み、池の外周を歩いて向かいます。
「湧水IN」「湧水OUT」が設定された一方通行の順路が設定されていました。写真の右手側の方が森が深くなっていますが、遊歩道の右側に国分寺崖線の段丘崖(ハケ)があります。
開園直後ということで湧水待ちはこの程度。すぐに見ることができました。
ハケ下を湧き出した水が流れているようです。
ここが湧水の見学ポイント。
段丘崖の際から水が染み出しているのが確認できます。この湧水を始め、周辺にある「姿見の池」「真姿の池湧水群」「殿ヶ谷庭園」「新次郎池」……などの水を集めて野川が誕生します。
湧水の周辺は湿地帯になっているので一部木道も整備されていました。
日立の社章っぽい植え込み!?
湧水OUTから出る頃には既にこの行列。やはりみなさん身近な野川の最初は気になるのですね。
湧水からの水はしばらく段丘崖の下に沿って流れ、遊歩道の下をくぐって園内の「大池」に注いでいます。ここからは大池の外周を反時計回りに歩くことにします。
動画。湧水ポイントとしばらく流れてから大池に注ぎ込むところです。
日立中央研究所内、国分寺崖線からの湧水。大池に集まり流れ出した水は野川の源流に… pic.twitter.com/Ckcr3Q2SFB
— OKP (@iamadog_okp) 2025年4月8日
大池外周を歩いて野川が流れ出す水門へ
大池には2羽のコブハクチョウがいます。パンフレットにも乗っていますし、園内で飼育されているのかも。
ここにも段丘崖から大池に向けての水路がありました。雨水の排水も兼ねているとは思いますが、ハケ沿いには10箇所ほどの湧水があるそうなので湧水の多い季節などは、ここも水が流れるのかもしれません。
横長の瓢箪型をしている大池の西の端。現在は春ですが秋の紅葉も素晴らしそうな気配。
なにかの管理小屋なのか、外には計測器のようなものも……。
見たことある気がする構図。数年前はシティタワー国分寺ザツインはこの構図内に存在しなかったのですね。
庭園内はソメイヨシノもありますが、窪地や段丘崖の周辺はヤマザクラやオオシマザクラが中心。
こちらはカンザン。他にも様々な植物、樹木が見られますが紹介しているとキリがないので割愛します。
大池の南岸には水門があり、この水門からの流れ出しが「野川の源流」とされています。
大池はまだ野川ではないし、湧水は水源のひとつではあるけど、野川の始まりはここからということですね。
水門から出た水は小さな流れを経て研究所の敷地外へ。以前この外側に来た際には、かなり盛大に水が流れている音がしましたがこの日はそれはなかったので季節によって湧水量(池の水量)は変化するのでしょう。
さんや谷から流れる小川沿いを歩く
水門のすぐ隣にも流れがあって、先ほどのさんや谷の方から湧水の小川が流れているようです。
大池外周はちょっとしたトレッキングコースのようで、東京の住宅地にある企業の敷地とは思えません。東京での仕事中にこんな森を自由に散策できるなんて羨ましいですね(そんな時間があるかは知らない)。
強風か雷でダメージを負ったと思われるヤマザクラも花を付けています。
先ほどの水門の隣にあった小川がずっと流れています。
いい森ですね。
間違いなく紅葉スポットだと思う。
園内の東の端、立派な欅の木と敷地外のマンション。
封鎖されてますが、ここを進むと正門の辺仁橋の手前。この左手側がさんや谷。
恐らくこの道がさんや谷の中へ続いてそう。奥に見えるのは小川の上流かも。
改めて大池
大池の外周、北側に出ました。
桜も自然の山の中にある桜っぽさがありますよね。
巨大なアカマツの木。
段丘崖の上のソメイヨシノ。この上が芝生の広場で出店エリアなどがあります。
大池は横に細長い瓢箪形をしていてくびれ部分の北側は窪地の広場になっています。
池から少し離れた場所に小さな池。これも湧水を溜めたものか?
瓢箪の東側。
大池の水面を覆うように大きなヤマザクラ。
そういえばこの手の人口池にはお馴染みのミシシッピアカミミガメがいないな…… やはりその辺はしっかり管理しているのか、と思ったらいましたね(笑)
瓢箪のくびれ部分は橋が掛かっていて、渡ると先ほどの水門のあたりに出ます。写真は渡った南側から。
日立の樹(ではない)。
大池の解説。
池にはカイツブリとマガモ。あとはカルガモと先ほどのコブハクチョウ。


大池の水質計測モニタリング。
湧水ポイントに戻ってきました。30分待ち。
頭上にエナガ。
芝生エリアと大池外周のの段丘崖は2箇所の通路があって、ここを歩けば一通り公開エリアは歩いたことになります。
このあたりは針葉樹が多めの森。
段丘崖の緩やかな坂道を上ります。
芝生エリアでお花見、出店でランチ
芝生エリアの西には桜ゾーンがありました。
なんだろう?
見事なソメイヨシノの巨木。
オオシマザクラも並んでいます。
森の中は原生林を残しているせいか桜はそこまでありませんでしたが、こちらは完全にお花見ゾーン。
この芝広場の外周を回って(左奥から右奥へ)歩いてきました。
芝広場のメインエリアは凄い人でした。完全にお祭りですね。
お隣の国分寺市で毎年こんなイベントが行われてるなんて知りませんでした。確かにこれ以上人が増えて欲しい理由もないでしょうし、大々的に告知をしないのは理解できました。
イベントといえば消防署の展示コーナー。
お昼はここで食べて行くことにします。八王子ラーメン850円。


普通に美味しかったです。
国立の地野菜販売や出店コーナーを覗いて回ります。東村山名物黒焼きそば、知らなかった。


日立中央研究所内の社食を運営している店のカレー。これにすれば良かったかも……とちょっと後悔(笑) 次回来たら食べます。
もう半周ほど、大池の周りを歩いて帰ることにしました。
研究所の棟の前にある噴水。
これもやっぱり日立の社章の形だったりするのかな?
時間は13時過ぎですがまだまだこれから入場する人が続々やってきていました。
秋の庭園公開の案内も出ていましたが、11月中旬とのこと。10月に入ったら国分寺市の市報をチェックするようにします。
恋ヶ窪東遺跡〜姿見の池
ハケの周辺には遺跡あり、ということで旧石器・縄文時代の遺跡「恋ヶ窪東遺跡」がありました。
遺跡の解説にさきほどのさんや谷も乗っていました。本当に複雑な地形をしていますね。
野川の流れが現在の姿見の池あたりまで伸びています。
そのまま日立中央研究所内の外周を回り込んで西国分寺方面へ。右手が日立中央研究所の敷地で左手がJR中央線と西武国分寺線の線路。線路の向こうに見えた武蔵国分寺公園の桜もいい感じでした。
この向こうに先ほどの大池の水門からの流れ。遊歩道と線路の下をくぐって野川が始まっています。
こちらも野川の水源のひとつで東京の名湧水57選に数えられている「姿見の池」に出たら大勢のカメラマンの姿。池に集まるカメラマンとえいえば……
カワセミですね。
この日は念の為のM.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 IIしか持ってなかったので記念写真だけ。
姿見の池の水面には散り始めた桜の花びら。今週の野川は花筏が楽しめそう。
西国分寺駅に到着。