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羽村取水堰:伝統的な投渡堰とコンクリートの長大な固定堰、玉川上水や水門設備を見る

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最近、多摩川にある取水堰をよく見ていることもあり、昭和用水堰のさらに上流にある2つの取水堰に行ってきました。これで多摩川にある取水堰は一通り見たことになります。


羽村取水堰と小作取水堰

「羽村取水堰」(羽村堰)は多摩川河口から47.9km付近、東京都羽村市にある玉川上水の取水堰です。つまり江戸の街の上水道の水源ですが、現在は取水された水のうち玉川上水に流されるのは一部で、その大半は山口貯水池(狭山湖)と村山貯水池(多摩湖)に送られてやはり東京都の水源となっています。
羽村取水堰|安定した水源の確保|東京都水道局

「小作取水堰」は羽村取水堰から上流約2kmにある堰で、やはり山口貯水池に導水するための取水施設。

羽村取水堰(左)と小作取水堰(右)

羽村取水堰は多摩川サイクリングロードの上流ゴール地点なので、府中から自転車で行くことも考えたのですが、真夏の炎天下を片道25km、小作取水堰も周ることを考えると全く気乗りしません(笑) 幸い羽村取水堰周辺にはいくつか駐車場もあるので、車に自転車を積んで行ってみることにしました。

青梅街道沿いの観光用駐車場

羽村取水堰の近くには観光用駐車場、羽村市浄水場の裏手には市営無料駐車場があります。河川敷の宮の下運動公園にも無料駐車場がありますが、運動公園利用者が多い週末などは別件での利用は控えた方が良いでしょう。

初めて羽村取水堰を見た

駐車場を出ると道を挟んだ正面に羽村取水堰と左手に玉川上水の取水口が見えました。一見するとダム(ダム湖)のような雰囲気もありますが、一般的には堤高が15m以上ある利水目的の構造物がダムと呼ばれます。

堰の上は多摩川の流れですが、対岸の河川敷の緑の向こうにも羽村堰の固定堰が右岸上流に掛けて長く伸びています。Googleマップの衛星写真を見た際、この右岸側の固定堰がとても面白いと思いました。緑地の見通しがよくなる季節になったらまた行ってみたいかも。多摩川右岸に伸びている丘は「草花丘陵」です。

奥多摩街道から見た取水口。正面のコンクリート施設が多摩川から水を取り入れている「第一水門」。写真の右側と左側で水門の作りが異なりますが、下流側(写真左)が先に作られた水門でれんが造り(1900年)、上流側は花こう岩とコンクリート造で1924年に完成したもの。

取水口にあった標識。

青梅街道を挟んで東京都水道局の羽村取水管理事務所があります。

青梅街道から階段を下りて行くと、堰の左岸へ。第一水門と第二水門の間に掛けられた橋を渡ると羽村用水堰を眺めるのに最適な広場に出ることができます。

多摩川から取水された水が、「第二水門」で水量調節され(余水は小吐水門から多摩川へ)轟々と玉川上水に流れ込んでいます。この500m先にある第三水門で山口貯水池方面と玉川上水の水が分水されます。

玉川上水の先に大きな給水塔が見えています。あれは何でしょう……。

羽村取水堰の主役とも言える「投渡堰(なげわたしぜき)」。玉川上水開削(1654年)からと歴史の古い羽村取水堰ですが、現在のコンクリート造りの取水堰も明治から大正時代に作られたかなり古い施設です。

投渡堰は杉の丸太とそだと呼ばれる束ねた木の枝、むしろ、砂利などで構成されていて、川の増水など必要な際には鉄製の桁(水色の部分?)を吊り上げてゲートそのものを流してしまう仕組み。ゲートオープンが一回限り(新たに組み直すまでは)の原始的な可動堰ですね。東京の上水がこんなクラシカルな方式の堰から取水されているなんて、知識としては知っていましたが実際に見ると新鮮な驚きがあります。

投渡堰は羽村堰が設置された江戸時代から続く伝統的な方式ですが、堰本体がコンクリート造となっても起伏式や巻き上げ式の可動堰でなく、伝統スタイルとハイブリッドで運用されているのは興味深いですね。増水のたびに丸太ごと流したら下流への影響が……なんて思ってしまいますが、増水時の激流で流される木々やゴミの量を考えたらこの程度は大した物量ではないのかも(根ごと抜けた巨木が橋や堰に引っかかっていますし)。

「小吐水門」からは第一水門と第二水門の間の余水を多摩川に戻しています。

投渡堰がトレードマークのような羽村堰ですが、その先に続く長大なコンクリートの固定堰も壮観です。投渡堰と固定堰の間に見える隙間は「筏通場」で、多摩川上流から木材を筏で運搬する際に、堰を通過するために儲けられていた設備。大正時代まで実際に使われていたとのこと。


手前に筏通場、奥にはハーフコーン式の魚道も確認できます。

堰直下の帯工。

この帯工にはアーチ状の落差が3段階に付けられています。これもまた面白いデザイン。

帯工の下にカーブして張り出したコンクリートは減勢工の一種でしょうか。真新しく見えますが現時点のGoogleマップ航空写真には写ってなく、Google Earthで確認すると過去同じ形の構造物がありましたが、2019年の写真では粉々に砕けていて(恐らく令和元年東日本台風の影響)、2023年には同じ形で再建されていました。

写真の中央あたり、粉々になったコンクリートの塊が確認できます(日付は2019年4月になってますが、前後の写真と見比べると実際は10月の台風以降だと思われます)。


Google Earth

広場に展示されていた「牛枠(川倉水制)」も古い減勢工の一種。

新しい減勢工。


投渡堰と三段階の落差工にる高低差がよく分かります。

やっぱり投渡堰をズームしたくなります。


羽村小作間調圧水槽、羽村堰下橋

羽村堰と玉川上水の間はちょっとした広場になっていて、日差しを遮られる東屋やトイレも利用できます。「たまリバー50キロ」の起点がこの羽村取水堰なので、サイクリングの休憩スポットにもなっているようです。

玉川上水開削の指揮を取ったとされる「玉川兄弟の像」。

羽村駅、羽村堰と福生駅を起点して多摩川右岸の草花丘陵を歩くハイキングコースが設定されています。落葉が進んだ見通しの良い季節になったら歩いてみてもいいかもしれませんね。

さて、羽村堰に向かう際の奥多摩街道からも見えて気になっていた巨大な給水塔のような構造物。すぐ横に玉川上水が流れています。

プレートには「羽村小作間調圧水槽」。数百メートル下流にある羽村導水ポンプ場の水を、上流にある小作浄水場に導水するための設備のようです。この後で小作取水堰には行きましたが、小作浄水場は少し離れてることもあり行ってません。

羽村橋入口の信号横にある歩道橋の上から。奥多摩街道から羽村堰取水口横の広場に行く場合、自転車だと手前の羽村橋を渡る必要があります。この先は先程の遊歩道(階段)からでないと広場方面にはには入れません。

羽村橋から多摩川堤防へ。「たまリバー50キロ」大師橋緑地から53.0km地点の表示がありました。府中あたりからだと約半分ですが往復すると50km、多摩サイを走ってるスポーツバイクの皆さんは平均してどの程度の距離を走っているのでしょうね?


小さな水門は「羽村排水区分4分区排水樋管」、施工は「株式会社 縄組」。


カワウ対策についての掲示。実害が出てるのは理解しますが、娯楽(釣り)目的の放流魚を守るために一般向けに「石投げて野鳥を追い払え」と呼びかけるとはなかなか過激な秋川漁協福生支部。「健全な河川生態系の再生」とは一体……。

歩行者自転車専用の「羽村堰下橋」。対岸のあきる野市(羽村市もある)側や草花丘陵ハイクに行く際の近道。


羽村堰下橋から見る羽村堰。


少し高さがあるので魚道もよく見えます。


右岸側には澪筋から切り離された水たまりが見えます。

下流側、正面の大きな橋は羽村大橋。

右岸側には動物が多そうな緑地が広がっています。そのまま右岸は関東山地と繋がった丘陵ですし多摩川河川敷の丘陵も緑地が大きく途切れることなく続いているので、地元の府中や稲城、さらに下流まで様々な動物や野鳥が見られるのも納得。

羽村小作間調圧水槽の向こうは一段高くなっているのが、分かりますがこの段丘崖に沿って玉川上水が流れています。武蔵野台地の最上段を流れるためにはまずこの段丘崖を越える必要がありますが、多摩川下流に向かって徐々に低くなる標高差との兼ね合いを上手く通しています。


羽村取水堰第三水門、羽村導水ポンプ所

羽村橋に戻ってきました。水量のある玉川上水。正面に水門のような施設が見えています。

ここが羽村取水堰の「第三水門」(Googleマップでは「玉川上水第三水門」と表記)。

大きなゴミを取り除き沈砂池のような池を経て……

正面の水門からは地下導水管(羽村線)を経て山口貯水池と村山貯水池に導水されます。

中央の青いバルブが見えている水門の先が玉川上水。そして右側の水門は……

玉川上水と並んでプール、こちらは先ほどの羽村小作間調圧水槽を使って小作浄水場へ導水する「羽村導水ポンプ所」の施設かも。

手前から「小作浄水場」(?)「玉川上水」「羽村線」の三分岐。

第三水門を過ぎると玉川上水の水量は一気に少なくなります。取水直後の府中用水ぐらいの規模ですね!?


羽村大橋から見る多摩川

羽村大橋に上がりました。橋の先はあきる野市、草花丘陵に掛けて登って行く道。

中央に多摩サイの左岸コース。左奥の緑が続いているのが段丘崖で玉川上水が流れています。

多摩川下流。全く馴染みのない区間ですが、ここから橋2つ下流が五日市街道の睦橋だと思えば自転車で来られそうな気もしてきたかも!?

羽村大橋からは羽村堰自体はよく見えませんが、羽村堰下橋と羽村大橋の間にある2つの大きな床止めが見えます。大きな床止めや落差工が連続するのは河川の上流部ではよく見かけますが、多摩川中流だとここと日野用水堰の下流(八高線橋梁と多摩大橋の間)ぐらいのようです。

それぞれの魚道。

澪筋の中に見える赤っぽい粘土質。多摩川ではたまに露出しているのを見ます。

サイクリングロード、もうすぐゴール(そのまま青梅街道を走る人もチラホラ見かけましたが)。

羽村大橋、そういえばこの真下あたりに「羽村大橋高架下臨時駐車場」なる無料駐車場があるみたい。

多摩川と玉川上水の間に細い水路があったんですけど(右は羽村導水ポンプ所)なんですかね。ちょっと気になる。羽用水はもっと上流で暗渠に消えているし、普通に玉川上水からの分水かな……?

羽村導水ポンプ所の横を流れる玉川上水。

奥多摩街道側から見る第三水門。やはり羽村線の水量が圧倒的に多く見えますね。

そして第二水門に戻ってきました。

第二水門の下に佇むアオサギ。

これにて羽村取水堰周りの散策は終了。続いて自転車に乗って小作取水堰に行ったり、2つの取水堰の間を流れる羽用水を見たりしましたが、まずは羽村取水堰編ということで一旦ここで切ります。