前回、多摩川からの通水が終わった府中用水で湧水が流れる流路を紹介しましたが、その他にも湧水を水源とする(この時期に水が流れている)府中用水に関係する流路は複数あります。ここでは前回の記事で紹介できなかった、矢川とあきすい門以降の府中用水(谷保分水)を取り上げます。

記事中で写真が明るくなったり暗くなったり曇ったりしているのは、数回に分けて撮影しているのと、撮影順ではなく水の流れに沿って紹介しているためです。違和感はご容赦ください。
青柳踏切から立川崖線の際を矢川源流へ
やってきたのは南武線の西国立駅と矢川駅の間にある青柳踏切です。

坂の上から踏切を見下ろしているのが分かると思いますが(写真手前が立川方面)立川崖線の段丘崖に南武線が突っ込むように交差しています。この青柳踏切を通る道沿いに立川市(右)と国立市(左)の市境が走っています。

青柳踏切を渡るとさらに段丘崖の下り坂が続いています。

この道を進むと甲州街道の青柳交差点、さらに直進すると多摩川の万願寺渡船場跡に出ます。前回記事の冒頭の写真(府中用水の解説板)がある通りです。


青柳踏切を渡って右手に進むと線路から離れ、矢川緑地を見下ろす段丘崖上の際を通ります。

突き当たった青柳大通りを渡ると、矢川の源流でもある矢川辨財天を見下ろせます。

矢川辨財天に隣接する湧水が溜まっている場所。冬に入ると湧水が少なくなる時期もありますが、まだそれなりに水量があります。

冬に湧水量が少なくなった矢川(矢川緑地)の様子。
矢川緑地と矢川
前置きが長くなりましたが矢川緑地です。

先程の水源から青柳大通りの下を抜けて、矢川緑地の段丘崖沿いを水が流れています。

そして湿地帯にも豊富な水。

マユタテアカネ。

いつ来ても矢川緑地の湿地や湧水の流れは風情があります。

外来種駆除の罠。

矢川といえばクレソン(外来種)。緑地内は動植物の採取禁止ですが、矢川緑地を出た後もクレソンの自生は見られ、駆除か食用かは分かりませんが刈り取られた跡なども見られます。


素敵な水辺なのでつい写真が多くなってしまいますが、5分もあれば一周できてしまう小さな緑地です。

矢川緑地は立川市ですが、南に隣接している青柳北緑地は国立市。


矢川緑地を出た矢川の流れ。


東京の住宅地を流れているとは思えない美しい川です。


甲州街道を越え、住宅地の中を流れて矢川おんだしで府中用水に流れ込みます。

矢川が流れ込む矢川おんだし
滝乃川学園の敷地を抜けて青柳段丘から流れてきた矢川の流れ。

こちらはママ下湧水(青柳崖線からの湧水)からの流れ。

青柳崖線と立川崖線からの湧水が並行して流れ込む矢川おんだし。

矢川おんだしは前回の記事でも紹介してますが、天気の良い日に写真が撮れたのでもう一度。


矢川おんだしの横に広がる生産緑地の稲穂。

上の写真の中央付近側から振り返るようにいずみ大通り方面。

この先は府中用水の谷保分水です。

あきすい門。前回はここで右側のあきすい堀を辿りましたが、今回は真っ直ぐ谷保分水を辿ります。

谷保分水を行く
段丘崖と住宅地の間を流れます。

しばらく自転車が入れない住宅の裏を流れる水路。正面の段丘崖の上に「くにたち郷土文化館」があります。実はこの辺りの段丘崖からも湧水が湧いていますが次回の記事で紹介します。

段丘崖からは少し離れてヤクルト中央研究所方面へ。

ヤクルト中央研究所の正門前を通り抜けて一旦暗渠になります。


ヤクルト中央研究所から少し離れた場所で開渠に。

多摩川を水源にする通水が終わっているので農繁期に比べるとやはり水位が低いですね。

住宅地と生産緑地の間を流れて行きます。左奥の青柳崖線からは少し離れているのが分かると思います。

谷保給水所(給水所)の横を流れています。

振り返ると正面に段丘崖の小山「城山」(じょうやま)が見えています。城山公園の中を流れている湧水の流路は次回の記事で紹介しますが、右に見える生産緑地の中を並行して流れています。

出井の橋。

出井の橋の上から。左側の分岐にも分水されてますが、こちら側もまた次回の記事で。

周囲の田畑への分岐もありますが、水量はまだまだしっかり。

既に通水は止まってるようですが、住宅街の中に新しいコンクリート水路があったので記録。

生産緑地の横を流れてきた谷保分水。

このまま国立府中ICのランプウェイの中に流れているように見えますが……

直進ではなく暗渠になって左手方向に流れます。

暗渠で何度も曲がりながら日野バイパスを渡る
ランプウェイのカーブに沿うように暗渠が流れています。

日野バイパスに出ました。

左に曲がった暗渠は……

すぐにまた左折して、建物の間を開渠になって流れ、再び暗渠へ……


再び暗渠となってこんな所に出てきました。

どこかというと、日野バイパス沿いのBMWショールムの裏手あたり。

農繁期はかなり主要と思われる太い用水路ですが、上流側は既に水が枯れています。この水路を遡ると城山公園や谷保天満宮からの湧水に繋がるのですが、この時期は下の川方面に流しているようです。


それにしても良い雰囲気の生産緑地ですね。ざっくり説明すると日野バイパスと谷保天満宮の間らへん。

田園風景の中、モズが元気に泣いています。

BMWの横で暗渠に。暗渠の入口が2つに別れているのが確認できます。

左に直角に曲がって野猿街道の歩道沿いに。


NHKドキュメント72時間にも登場していた南京亭 に向かって……

水の少ない用水路にも結構小魚の姿があります。谷保分水は多くの場所で小魚の姿がありましたが、冬には干上がってしまうのか、冬の間も命をつなぐことができるのか……?

南京亭の裏手に入る頃には殆ど水はなくなりました。

正面の田んぼに流していた水路のようです。

国立インター入口交差点のすぐ横にこんな景色があります。

再びBMW横の暗渠入口。日野バイパスの対岸にハローサイクリング自転車が並んでいるのが見えます。

日野バイパスから野猿街道沿いへ
ハローサイクリングの横に暗渠から水が流れ出しています。

青果市場(東京多摩青果)の敷地の中をかすめるように流れて……

青果市場の中からでてきた水路。

野猿街道に沿ってカーブして。

野猿街道の歩道と青果市場の間を流れます。

そして青果市場の門の手前で暗渠に。

東京多摩青果の門。このすぐ先には前回紹介した雨水第一幹線緑道(府中用水)と大山橋があるので、そこに合流しそうですが……

野猿街道を渡った道の向かいに流れています。府中用水、接近したけど合流しないパターンが結構あります。

住宅地と生産緑地の間を流れて……

最近まで生産緑地だったようですが、宅地化されてしまうのか整地される中を仮設の水路で流れて……


下の川(市川)に流れ込んでいます。下の川沿いの雨水第二幹線緑道をもう少し下ると(前回の記事で紹介している)西府町湧水や日新町で雨水第一幹線緑道の府中用水と合流します。

この時期、湧水からの水が流れてるのはこの他には下の川になるのですが、長くなったので一旦記事を分けます。下の川を流れている水の源流は谷保天満宮の周辺にあるいくつかの湧水。さらに城山公園周辺の湧水も混ざっているかと思いましたが、どうやら途中で一旦途切れている(途中の生産緑地で水を使い切ってる?)ようにも見えました。
今回紹介したコースと流路はこんな感じ。メインの通水が止まってる時期でもこれだけ複数の流れがあるので、農繁期の水路を追いかけたら迷子になってしまいそうです。

