冬の楽しみといったら野鳥観察。今年に入って使い始めた双眼鏡がとても良かったので紹介します。コンサートや観劇用途にコンパクトで見やすい双眼鏡を探している人にもかなりオススメできるアイテムだと思います。

今週のお題「冬の楽しみ」
タカ探しにコンパクトで広視野な双眼鏡が欲しくなった
今シーズン(昨年末)から多摩川での鳥見の対象にタカ類が加わりました。市街地で見られる野鳥の中では比較的大きなタカ類ですが、多くはカラスより少し大きいか小さいぐらい。そんな大きさの鳥が上空数10メートルから、数100メートル離れた空を飛んでいるので、肉眼では小さな点ぐらいだったりすることもあります。
先に肉眼で発見してから双眼鏡や望遠レンズで確認することもありますし、空を広く双眼鏡で見ていて遠くの空を飛んでいるタカを見つけられることもあります。
例えば次の写真は1120mm相当の超望遠レンズで捉えたノスリですが、川の対岸のさらに下流、恐らく数100メートルは離れているので、肉眼だと小さな影が飛んでいるぐらいしか分かりません。光の加減などで見過ごしてしまうこともありますが、双眼鏡で空を見ているとすぐに分かります。

当初は手持ちの双眼鏡で一番見やすいKOWA YFⅡ30-8(8倍、明るさ14.4、実視界7.5°)を使っていましたが、自転車だと少しでも荷物を軽くしたいので、コンパクトなPENTAX Papilio II 6.5x21(6.5倍、明るさ10.2、実視界7.5°)の出番が増えました。ちなみに同じ実視界7.5°ですが、YFⅡ30-8の方が倍率が高いので見掛視界は広く、実際に広く見えてるように感じられます。
そのうちに「Papilio IIよりもコンパクトで広視野な双眼鏡はないかな?」と思うになってきました。コンパクトな双眼鏡はOLYMPUS(OM SYSTEM)のTrip light 8×21 RC IIを持っていますが、実視界5.1°とあまり広視野ではありませんし、どうしても荷物を減らしたいときのアイテムという感じ。
サイトロン SAFARI 5x21
倍率は低くていいのでコンパクトで広視野な双眼鏡がないかなと探していたところ、良さげな双眼鏡がありました。それが「サイトロン / SAFARI 5x21」。サイトロン(SIGHTRON)はアメリカの光学メーカーですが、ケンコーグループ傘下のサイトロンジャパンがサイトロンのブランドで販売するモデルです。
SAFARI 5x21 | 株式会社サイトロンジャパン - 双眼鏡
対物レンズ有効径21mm、手のひらサイズのコンパクトさながら、倍率を5倍に抑えていることで、実視界10.5°(1000m先視界184m)の広視野に、明るさ17.6(ひとみ径4.2mm)とまさに自分が求めていたスペックの双眼鏡です。重さは実測だと仕様よりも少し軽い212gでした。

価格は8000円前後ですが、Amazon限定モデルのホワイトに年始の数日間クーポンが出ていたのでそれを購入。輸入OEM製品感のある外箱、付属品はソフトケース、接眼レンズカバー、ストラップ、取説など。


ポロプリズム式ですが結構コンパクトなSAFARI 5x21。ネットを見ているとOEM製造元が同じっぽいよく似たスペックの製品がいくつか見つかります(後述)。

アイレリーフは16.5mmあるのでメガネでも安心。接眼目当ては3段ステップで約9mm伸びます。


ストラップは両吊りでバックルで取り外せるタイプのもの。ストラップ紐が細く捻れやすいので少し太いものに交換してもいいですが、本体が軽量なこともあり今のところ特に気になることはありません。

普段使っている2つの双眼鏡とスペックを比較するとこんな感じになりました。一番コンパクトなのに低倍率なこともあって、所有している中で一番明るい双眼鏡になりました。
| モデル | SIGHTRON SAFARI 5x21 | PENTAX Papilio II 6.5x21 | KOWA YFⅡ30-8 |
|---|---|---|---|
| 倍率 | 5x | 6.5x | 8× |
| 対物レンズ有効径 | 21mm | 21mm | 30mm |
| 実視界(見掛視界) | 10.5° (52.5°) | 7.5° (48.75°) | 7.5° (60°) |
| 1000m先視界 | 184m | 131m | 132m |
| ひとみ径 | 4.2mm | 3.2mm | 3.8mm |
| 明るさ | 17.6 | 10.2 | 14.4 |
| アイレリーフ | 16.5mm | 15mm | 16.0mm |
| 最短合焦距離 | 1.5m | 0.5m | 5.0m |
| 質量 | 220g | 290g | 475g |
広い、メガネ越しでも、暗くなっても見やすい双眼鏡
早速多摩川での鳥見に持ち出してみたのですが、これが一発で気に入ってしまいました。
広視野なことは分かっていましたが、なによりも覗きやすい。晴れてる日はUV 対策やメマトイ避けに薄い色のサングラスをしてることが多いのですが、サングラス(メガネ)越しでも見やすいのです。レンズを挟むと接眼目当てに目の周りが直接触れる訳でないので、接眼部の幅調整が裸眼より少し面倒なのですが、ハイアイポイントのお陰なのか幅をシビアに調整しなくてもすぐ視界が安定します。

SAFARI 5x21の1000m先視界は184m。普段使っているKOWA YFⅡ30-8やPENTAX Papilio II 6.5x21は1000m先視界132mなので1000m先で約50m広い。多摩川対岸までの距離が500m弱なので、半分として左右上下が約25m広く見えるというのは結構な違いです。見掛視界にするとSAFARI 5x21(52.5°)よりもYFⅡ30-8(60°)の方が大きいのですが、感覚的に明らかにSAFARI 5x21の方が広さを感じます。
今までの双眼鏡に不満があった訳ではありませんが、コンパクトなのにサングラス越しでも見やすくて、視野も広い。もちろん倍率が低いので一点を拡大して見る力や細かな情報を読み取る力は倍率の高い双眼鏡に劣りますが、5倍というのは広範囲を俯瞰して観察する用途ならば充分な倍率です。
実際に見える広さを写真で再現してみました(コリメート撮影だと手持ちではあまり上手く撮れなかった)。あくまで左右の視野を目測しつつ望遠ズームレンズで再現したものですが、結構いい感じに表現できてると思います(倍率とも関連していませんが、5倍と8倍の比較だと結構近い雰囲気かも?)。
1枚目は多摩川の対岸(400mぐらい?)を実視界7.5°で見た際の視界を再現しています。カメラのレンズだと300mm相当ぐらいの画角。実際は上下ももう少し広く見えています。

そしてこちらがSAFARI 5x21の10.5°を再現。この広さが伝わるでしょうか。カメラレンズだと200mm相当ぐらいの画角。

もう少し近い距離だとこんな雰囲気。こういう藪ドームの周りによく小鳥はとまりがち。一点をじっくり観察するなら高倍率の方がよく見えますが、藪全体を俯瞰していると視野の中での動きにも気づきやすいです。


視野が広いと飛んでる鳥を肉眼で見てから双眼鏡を向けても、ほぼ確実に視野内に捉えることができます。そこから視野の中心に捉えるようなに動かす動作も、倍率が低いので手ブレしにくく確実です。
ひとみ径が4.2mmあるので太陽が陰って光量が落ちても明るく見えます。タカ探しだけでなく、恐らくコンサートや観劇用途にも活躍してくれそう。コンサートは今までは6.5倍のPapilio IIが活躍してくれましたが、SAFARI 5x21の方が軽くて明るいので今後はこちらがメインになりそう。

コンサートや観劇用途の双眼鏡選びですが、「推しの顔面を少しでも大きく見たい」とか、マニアックな機材チェック目的でなければ、自分は低倍率で広視野の方が向いていると感じています。
ちなみに最短合焦距離は約1.5m。パピリオの0.5m程ではないものの、結構近くからピントが合うので、博物館や美術館で使うのにも向いてそうです(ここでもひとみ径の明るさが効いてきそう)。
OEMぽい低倍率双眼鏡たち
最後にちょっと余談。今回、低倍率、広視野の双眼鏡を調べていて、最初に見つけたのがヒノデ(日の出光学)の「5×21-A6」でした。外観はヒンジ部分のデザインが異なるものの、スペックはSAFARI 5x21とよく似ています。同じ製造メーカーによるOEM製品の可能性もありそう?
双眼鏡 ヒノデ 5x21-A6 - 双眼鏡のヒノデ


日の出光学は主に天体望遠鏡を製造販売する光学メーカー、スコープテック社の双眼鏡ブランドで、コンサートや観劇用の双眼鏡について調べていると、同社のコラムがよくサジェストされると思います。
第一回 ヒノデの考えるおすすめの双眼鏡 - 双眼鏡のヒノデ
第十九回 機種による見え方の違い(劇・ミュージカル・歌舞伎編) - 双眼鏡のヒノデ
第二十回 機種による見え方の違い(コンサート編) - 双眼鏡のヒノデ
同社のコラムには双眼鏡のOEM生産についてのコラムもあり、“国内に流通している双眼鏡の90%以上は、OEMメーカーで生産されていると考えてよいでしょう” なんて記述もありますし、他ブランドに兄弟製品があったとしても不思議ではありません。
第六回 OEMと中国生産 - 双眼鏡のヒノデ
他にもレイメイ藤井というブランドの5倍双眼鏡「RXB904」(メーカーサイトでは販売終了)もやはり外観がよく似てる双眼鏡です。
自然学習館 > 双眼鏡 > RXB904 ワイドビュー双眼鏡:レイメイ藤井
RXB904は対物レンズが20mmですが、これはSAFARI 5x21の前モデルであるSAFARI 5x20とほぼ同スペック。ヒノデ(5x20-A4)やケンコー(APPLAUSE-M 5x20)でも同スペックの双眼鏡をかつて販売していたようですし、これらもやはり兄弟モデルかもしれません?



SAFARI 5x20 | 株式会社サイトロンジャパン - 双眼鏡
双眼鏡 ヒノデ 5x20-A4 ホワイト×ダークグレー
APPLAUSE-M(アプローズM)5×20 | ケンコー・トキナー
追記:5x20モデルについて、Xのリプライで教えていただいた記事。「賞月観星」というブランドは初めて知りましたが、ブログ記事をいくつか読んでいると興味深い経歴を持つ技術者の方によるブランドのようです。
OEMだからどうという話ではありませんが、RXB904は現在もAmazonで4000円代で買えたりするのでひとつの選択肢としての情報でした(安いので少し迷いましたが、結局サイトロンにしました)。
あと、Amazonで売ってるOPTICAIなるブランド(?)の5×21双眼鏡。スペックはひとみ径4.2mmは同じ、実視界9.5°、重量165g(!)と多少の違いはあるものの外観はSAFARI 5x21にそっくり。価格は1/16時点で4370円と激安なので、人柱体質の方はいかがでしょう?



