6月17日、北海道・知床半島のウトロで運航しているクルーズ船に乗りました。

- シャチの他に知床のヒグマが見たかった
- ウトロでゴジラ岩観光のクルーズ船(ルシャコース)に乗る
- ルシャコース出航、すぐにケイマフリに出会う
- フレペの滝、湯の華の滝、迫力のある海食崖を見る
- イタドリの草むらにヒグマ
- 柱状節理、様々な海食崖
- 硫黄山、カムイワッカの滝、ヨウシペツの滝
- ルシャ湾にヒグマはいるか?
- イシイルカとカマイルカが次々に現れる
- 最後の最後にヒグマの親子を見られた
シャチの他に知床のヒグマが見たかった
6/16〜20に行ってきた北海道の道東旅行。主な目的は2つあってひとつは前回記事にした羅臼のホエールウォッチングでシャチを見ること。そしてもうひとつが野生のヒグマを見ることでした。これまで動物園を含め本物のヒグマを見たことがなく、以前から知床半島のクルーズ船で野生のヒグマを見たいと思っていました。
知床半島で海の上から安全にヒグマを観察できるクルーズ船は、羅臼側の車で行ける最北東突端地である相泊(相泊漁港)を拠点にした小型船のクルーズと、ウトロを拠点にしたクルーズ船の2種類があります。小型船の方がより岸際に近づけることもあって、ヒグマを観察できる距離も近くなるのですが、今回は羅臼のホエールウォッチングもあるので、ウトロ側のクルーズ船と合わせて知床半島の両側で船に乗る計画を立てました。

ウトロのクルーズ船は日程の最初だったので、そこで外したら相泊クルーズを現地手配するのもアリと、予備日(6/18)を作っていましたが、結果的に最初のクルーズで目的のヒグマを見られたこと、予備日は羅臼周辺の天候がかなり悪くなってしまったこともあり、相泊には車で行っただけで(相泊温泉や漁港周辺を散歩のみ)、その後は標津町や野付半島方面を目指す日となりました(標津サーモン科学館も行けた!)。
ウトロでゴジラ岩観光のクルーズ船(ルシャコース)に乗る
ということで6/17の昼過ぎ、知床半島の西の玄関口であるウトロ地区にやってきました。「ウトロ」という地名は、知床峠を挟んだ「羅臼」と対になって語られることが多いですが(「ウトロ側と羅臼側」のように)、知床半島を東西に分けた東側が羅臼町なのに対して、西側は斜里町となりウトロは斜里町内の地名になります。
この日の午前中は到着日からの泊地である斜里(知床斜里駅の周辺)からの移動、周辺の観光や知床五湖に行ったり、キタキツネを見たり、ウトロ漁港の食堂で海鮮を食べて過ごしました(また別の記事でまとめます)。
羅臼のホエールウォッチングでもお世話になったゴジラ岩観光は羅臼側でもクルーズ船を運航しています(「ゴジラ岩」はウトロ漁港近くにある奇岩の名前)。

ゴジラ岩観光がウトロで運航するクルーズ船には3つのコースがあって、知床半島の先端である知床岬まで行くコース、途中のルシャ湾までのコース、さらに春と秋に運航する硫黄山コースがあります。我々が参加したのはルシャコースの午後便(14時半出船)、ウトロ側の海は午前中は逆光になると思い午後便を選びました。前回記事にも書きましたが、翌日の羅臼でのホエールウォッチング(午前便)とのセットプランで予約しました。

比較的ヒグマとの遭遇率が高いとされているルシャコースですが、今年は6月に入ってやや遭遇率が落ちているようです。当日は午前便でヒグマが見られたようなので、期待をしつつ事務所で受付、支払いを済ませます。乗船者全員に海難事故対策の発信機「よびもり(yobimori)」が渡されます。双眼鏡レンタルもありますが、我が家はそれぞれ持参した双眼鏡を使いました。


ゴジラ岩観光の事務所で渡された番号札の順に整列した後、スタッフの案内でウトロ漁港内に停泊しているクルーズ船に向かいます。こちらが乗船する「カムイワッカ88」、羅臼側のクルーズ船(カムイワッカ/カムイワッカ55)よりもひと回り大きなクルーズ船です。

2階デッキ右舷側のベンチシートを確保しました。知床半島のクルーズ船は、日によってどこに向かうかは船任せの羅臼クルーズ船と違い、基本的には同じ往復のコースを走り、乗客は席に付いた状態で、進行方向右手の景色を見ることになります。左舷側には錘を積んで船のバランスを取っているようです。

港内に停泊していた知床観光船の大型船「おーろら」。冬の間は網走で「網走流氷観光砕氷船おーろら」として運航されている船が、4〜10月シーズンはウトロを拠点に知床観光クルーズを行っているようです。おーろらにはかつて網走の流氷観光で乗ったことがありますが、知床でも働いていたのは知りませんでした。

ルシャコース出航、すぐにケイマフリに出会う
港を出てすぐにケイマフリがいるとのアナウンス。船内のスピーカーから聞こえる観光アナウンスは船長が操船しながら行っているのだと思いますが、これがなかなかの名調子で楽しませてくれます。

赤い足が特徴の海鳥(ウミスズメ科)で、現在は絶滅危惧II類に指定されているそう。港を出てすぐの海にプカプカと浮かんでいました。船が近くを通っても逃げる訳でもなく、ゆっくり泳いでいます。

国道334号の幌別橋が見えました。ここは橋の手前に駐車場があり(ホロベツ川にヒグマが出る時期は閉鎖されるそう)、橋の上からは川沿いを歩くキタキツネなどが見られました。

「プユニ岬」、この岬にも国道334号沿いに駐車場とウトロ港が一望できる展望スペースがあります。

崖にはオオセグロカモメのコロニーがあるそう。白く見えるのは鳥の糞。

フレペの滝、湯の華の滝、迫力のある海食崖を見る
岬を回り込むと「フレペの滝(乙女の涙)」がある入江。このような断崖絶壁に沿った小さな入江をいくつも通りながらルシャ湾を目指します。

フレペの滝。滝の上に川はなく、地下水が断崖の岩の割れ目から直接流れている滝です。

崖の上にはフレペの滝展望台。知床自然センターから歩いて行けます(最終日に行きました)。小さく写っている鳥はアマツバメ、知床五湖の周辺にたくさん飛んでいます。

柱状節理的な岩肌が見られる断崖が続きます。

「湯の華の滝(男の涙)」。

オーバーハングした岩の隙間から流れる滝。フレペの滝同様に上に川でなく岩から湧き出る滝。

お目当てはヒグマでしたが知床半島の景観、海食崖を海から眺めるのもかなり面白い。

ここにもケイマフリ。この赤い足が見られると幸運が訪れるそう。

かわいいですね(ヒグマが見られますように)。

「象の鼻」と呼ばれる岩。目もあって確かに像っぽい。

こちらは「象の足」。

「クンネポール(黒い洞窟)」。

イタドリの草むらにヒグマ
岩尾別川(イワウベツ川)の河口には少し広い浜があります。

浜にある建物はサケマスふ化場の「岩尾別ふ化場」。

ここで「少し遠いですが、向かって右の斜面、イタドリの草むらにヒグマがいます」とアナウンス。

説明のある方向を双眼鏡で探すと……イタドリの中を移動する黒い影。

ヒグマでした。超望遠1120mm相当の画角から大きくトリミングしてこの見え方なので、肉眼では判別不可能な距離ですが、双眼鏡越しならばしっかり見えます。

というかよくこのヒグマをスタッフの方が見つけられたなと。これ以上はヒグマが全身を見せてくれることはなく、クルーズは先に続きます。

早速ヒグマを見られたことは喜ばしですが、できればもう少し見やすいヒグマ(肉眼でも分かるぐらいの)に会えるといいのですが……。
柱状節理、様々な海食崖
定置網のブイを避けて少し沖に出ます。

飛んでるケイマフリ(尻)。

見応えのある柱状節理が続きます。


「こけし岩」。

頭の部分は乗っている状態だそう。

波による侵食で生まれた、面白い形の海食崖が続きます。




知床には「ヒメウ」と「ウミウ」がいるそう。小さいのがヒメウだそうですが、どっちだろう?

崖の上にお花畑。

知床半島の先端、知床岬方面まで見えてきました。曇り気味だった空に青空が広がってきました。


船内の2階デッキはこんな感じ。みんな右舷側を見ています。

硫黄山、カムイワッカの滝、ヨウシペツの滝
定置網を避けて沖に出ると知床連山がよく見えます。写真の真ん中あたりの尖った山頂の山が「硫黄山」(弟子屈町にある同じ名前の硫黄山:アトサヌプリとの区別で「知床硫黄山」とも)。

硫黄山は現在も活動を続ける活火山で、中腹には巨大な爆裂火口や……

1936年に硫黄を大噴出した新噴火口がなどが見えています。

知床連山からは多くの川や滝が海に流れ込んでいます。




見えてきたのは「カムイワッカの滝」。滝壺から海への流れ込みの岩が変色しているのは流れている水に火山の硫黄成分が含まれるため。このカムイワッカ川の上流には「カムイワッカ湯の滝」という温泉滝があります。

カムイワッカの滝に近づいて行きます。

カムイワッカの滝の隣にも細い滝があります。


硫黄山、カムイワッカの滝、間の滝(カムイワッカ湯の滝とは別?)が縦に並ぶ構図が船長のオススメ。

岬の断崖の上がお花畑になっています。

この縞模様の断崖は節理でなく地層でしょうか。

そして「ヨウシペツの滝」。

まあまあな崖にエゾジカがいました。

ヒグマはシカの天敵なのでシカが群れてる近くにはヒグマはいないらしい……。

ヒメウやウミウ、オオセグロカモメ……



ルシャ湾にヒグマはいるか?
そして知床半島で最も広大な浜、「ルシャ湾」に出ました。

ここは知床半島でも有数のヒグマのメッカとのこと。さて、ヒグマはいるのか?

ルシャ湾にも硫黄成分が流れ込んでいる川があります。

正面の谷に橋が見えます。通常は入れない知床大橋の更に先にある「知床第二大橋」。


双眼鏡でルシャ湾を凝視しますが、シカはいるけどクマはいない。

突然、船の近くにイシイルカが出現。ヒグマ探しは中断してドルフィンウォッチングに移行します。小型船なのでイルカが出るとすぐに沖に船を走らせてイルカを見せてくれます。

ルシャ湾には番屋や古い橋なども見えています。昔は漁期の間はこの番屋に寝泊まりする漁師もいたようですが、現在は船の性能が上がったのでウトロ漁港が拠点になっているそう。定置網のブイが見えるので漁は行われているようです。

これでヒグマがいたら最高のシチュエーションですが、なかなか甘くない。

結局、ルシャ湾でヒグマは見られないまま、ここでクルーズ船は引き返しのコースに入ります。

イシイルカとカマイルカが次々に現れる
そして再びイシイルカが表れたので沖でのドルフィンウォッチング。



4〜5頭ほどのイシイルカが泳いでいます。

イルカが泳ぐ様子は静止画よりも動画の方が分かりやすいかも。
イシイルカ、カマイルカ、イシイルカ🐬 pic.twitter.com/T8UQgWqRHx
— OKP (@iamadog_okp) 2026年6月25日
戻りながら沖からの知床半島と知床連山。


またまたイルカが表れました。先程のイシイルカとは背びれの形が違います。

こちらはカマイルカ。鎌のような背びれが特徴のイルカ。ウトロ側のクルーズ船でイルカが見られるとは思わなかったので、2種類のイルカが見られたのは結構嬉しかった。

船長オススメのフォトスポット。

硫黄山と複数の河口、カムイワッカの滝が並びます。

またまたイシイルカ。イシイルカは以前羅臼のクルーズ船で見たことがありましたが、今回は羅臼では表れず、このウトロ側のクルーズで何度も見ることができました。


そして知床連山。この構図で山が見えるのは知床五湖がある沖あたりでしょう。

ウトロ方面へ。

そして船の後方、知床岬方面。遠くに船が1艘見えます。

大型船のおーろらと同じ知床観光船が所有する小型船「おーろら3」でした。

やはり冬期は網走の流氷観光船として運航され、夏季にはウトロを拠点にルシャ湾コースのクルーズに使用されているようです。ゴジラ岩観光よりも出航時刻が15分遅いのでルート上でかち合うことはありませんでしたし、また事業者同士の自主ルールで観光船の単独運航が回避される安全対策にもなっているのだと思われます。
最後の最後にヒグマの親子を見られた
そしてウトロに戻る途中で、先程のヒグマが山から下りてきたという情報。時間ギリギリではありますが、最後にヒグマを見せてくれるそうです。帰路なので陸地は左舷側になりますが、やはり右から回り込んで右舷側で見せてくれるとのこと(積んでいる錘の関係だそう)。
場所は先ほどと同じ岩尾別川河口。ゆっくり浜に近づいて行くと確かに2頭(親子)のヒグマがいます。

双眼鏡で見ればハッキリ、肉眼でも動いている2つの黒い影が見えるぐらいまで近づいてきました。

ヒグマ、肉眼だとこれぐらいの距離感でした(スマホ2倍ズーム) pic.twitter.com/QHxUeMaf4O
— OKP (@iamadog_okp) 2026年6月25日
子グマは元気。

母グマはどっしと座り込んでます。

この母グマ、先程森の中にいたのと同じ個体だそうです(子グマも恐らく近くにいたけど見えてなかった)。メスとはいえ、成獣のヒグマはとても大きな体をしています。

自分が持っていたカメラとレンズではこれが限界でしたが、これ以上岸に接近するとなると、ウトロ側のクルーズ船では難しそう。相泊の小型船クルーズだとより近くで見られるのかもしれません。

流石にトリミングしすぎですが、これぐらいの構図だと迫力出てきますね。

この日、4度目のイシイルカに見送られて港に戻ります。終わってみれば、目的だったヒグマの他にカマイルカ、イシイルカ、他にもケイマフリなど景色以外の動物も充実したクルーズになりました。翌日に羅臼のシャチを控えていましたが、幸先の良い道東旅行のスタートとなりました。

ゴジラ岩観光さんとカムイワッカ88、お世話になりました。

そしてこれがゴジラ岩。

どう見るとゴジラなのか。体と尻尾?と思いましたが、恐らく↑の角度で見る細い岩がゴジラ。

アンケートに答えると貰える知床トコさんの缶バッジ。

この日は羅臼に宿泊だったので、国道334号から知床峠を越えたのですが、途中のプユニ岬展望台から見た羅臼港。港を囲むゴジラ岩、オロンコ岩、三角岩などの奇岩が複数あります。

この角度も細長い側がゴジラっぽく見えるかも……。

最後になりますが、今回乗船した知床半島ウトロ側で運航されている観光船について、2022年4月に発生した知床遊覧船沈没事故を覚えている方も多いことでしょう。我々が今回のクルーズに乗船した6月17日、この事故を起こした運航会社(知床遊覧船)の社長に対して釧路地裁で禁錮5年の判決が言い渡されました(被告は無罪を主張して即日控訴)。この日の夜のニュースで見た他、翌日の地元朝刊の一面でもこの判決について大きく報じられていました。

事故を起こした運行会社と、我々が利用したクルーズ船は同業他社ではありますが、同じ地区で観光船業を営む事業者としてこの事故の衝撃、影響は大きかったようです(事故後、廃業に至った観光船もあります)。出航に先駆けて乗客全員にSOS発信端末の “よびもり”を配布していたのも、事故を受けての安全対策のひとつです。
知床の安全対策|知床斜里町観光協会

今回、実際に乗ってみて、手付かずの自然が残された知床半島を海から見ることができるクルーズ船は、非常に魅力的な体験だと改めて強く感じました。今後もこの素晴らしい自然を間近に体験できるアクティビティが継続的に、そして安全に運航されることを願っています。




