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シャンボチェの丘にホテルテルエベレストビュー、シェルパの里クムジュン村を巡る高度順応日【エベレスト街道トレッキング③】

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エベレスト街道最大の街ナムチェバザールで過ごす2日目(3月29日)。エベレスト街道の先へは進まず、高度順応日としてナムチェで2泊します。日中は高度に体を慣らすため、600m程標高を上げてエベレストを望むことができる「シャンボチェの丘」、さらに「ホテルエベレストビュー」、シェルパ民族の里として知られる村「クムジュン」を巡るハイキングに出掛けました。


ナムチェの街外れからもエベレストは見える

日の出前、朝食前のまだうす暗い時間にロッジを出て朝のナムチェバザールへと散歩に出掛けます。写真はロッジのテラスからの光景。コンデ峰が綺麗に見えていて、この日もいいお天気になりそうです。

実はこの日出掛けるシャンボチェの丘まで登らなくても、ナムチェの東の外れにある「国立公園博物館(National Park Headquarter Museum)」まで15分程歩くと、その付近の丘からエベレストやアマダブラムを眺めることができるそう。

ナムチェの街の中心を通る坂道を登っていきます。見えて来たのは標高6608mの「タムセルク」。

犬たちは朝から元気…… というか彼らは基本夜に行動して、餌を漁っているそう(ネパール人談)。

夜明け前の静かなナムチェの街を一望。


国立公園博物館のゲートを潜ってしばらく進むと……

いきなり視界が開けてクーンブ山群の名峰が飛び込んできます。中央左からが「エベレスト」に「ローツェ」、右手の凄い形をした先峰が「アマダブラム」。ロッジからちょっと歩いた所にこんな絶景ポイントがあったなんて…… 前日のうちに来ても良かったのでは?

兄弟のようなエベレストとローツェ。ローツェの名は「南峰(ロー:南、ツェ:峰)」の意味でエベレストの南峰にあたる8516m(世界4位)の高峰。

鞍部が所謂「サウスコル」ですが、ここからだと「ヌプツェ」(7861m)に隠れています。このヌプツェの名前には「西峰」の意味があって、やはりエベレストの西峰であることを差します。

既に日の出時刻(6時頃)は過ぎていて、エベレスト山頂の東側から太陽が当たっているのが見えます。

シェルパ族の街であるナムチェにおいて、恐らくヒーロー的な大偉人のテンジン・ノルゲイ像。

既に日が当たり始めた南側のコンデ山群。

この谷をルクラから登ってきたのでした。

このナムチェまでルクラから2日、実はこれだけの短い日程でもエベレストビューは楽しめます。エベレスト街道全体から見たらまだ1/3程度ですが、このナムチェやシャンボチェの丘までをゴールとするトレッキングツアーも結構あるそうです。

絶景度としてはそれなりのものなので、あまり長い休みを取れない人はこのナムチェまでのトレッキングを計画してみるのもアリかもしれませんね。カトマンズで1日、ルクラから2日、ナムチェで2日過ごし、1日でルクラまで戻り、翌日カトマンズへ、予備日とカトマンズ観光で2日、日本とネパールの往復が1日ずつとして合計11日。

天候不良やルクラ便の欠航を考えるともう数日の予備日は作っておきたいですが、エベレストを自分の足と目で見る最短日数だとこんな感じかもしれません(他に、ヘリや飛行機を使った遊覧飛行という手もある)。

「母の首飾り」という意味を持つアマダブラム。クーンブ山群ではエベレスト等よりも手前にあり、エベレスト街道の道中、かなり近くまで行くことができます。

さらに手前のタムセルク。見事な双耳峰です。

うーん、格好良すぎるでしょう。

この国立公園博物館周辺、これだけ眺めがいいのにこの朝は欧米トレッカーの一団がいたのみでかなり静かです。手前のお姉さんはフジフイルムのXT-2を使っていて、記念写真を頼まれたのですが「日本のカメラだから任せろ」と謎の見得を切っておきました(殆どフジは使ったことないくせに)。

丘の上のヘリポートから。左手の黒い丘が恐らくこの後に登るシャンボチェの丘。中央付近の斜面にあるのが、エベレスト街道の本線です(テンボチェ方面)。

だいぶ日が差してきました。エベレスト側から日が昇るのはもう少し先になりそうですし、お腹も空いてきたので一旦ロッジに戻ります。

国立公園博物館。結局行けませんでしたが、シェルパ族の文化についての展示などがあるようです。

ロッジに戻って朝食。この日はパンケーキにしました。

血中酸素濃度を測るバルスオキシメーター。富士山位の標高のナムチェで93%、平地では出ない数値ですがまあ順調と言っていいでしょう。

あくまで私の場合の目安ですが3000mを過ぎてから500m上がる毎に5%ずつ位下がり始め、呼吸に注意するとその場で5〜10%位数値が回復していました(平常時はきっと下がった状態?)。

高度順応ハイキングでシャンボチェの丘へ

ハイキングの準備をして再び出発。朝と同じようにナムチェの裏手に広がる斜面を登って行きます。

地元の学校?に通う子供たち。お揃いの帽子の仲良し三人組み、可愛いですね。

ナムチェの街の出口(?)付近にもトレッカー向けの店は充実しています。


右手方面がエベレストベースキャンプのルート、正面の斜面がシャンボチェの丘やクムジュン村方面です。

つづら折りの道でグングンと標高を上げて行きます。歩いているのは同様に高度順応で停滞&ハイクをしているトレッカーたち。ガイドは基本手ぶらが多いです。

朝にエベレストを眺めた国立公園博物館の周辺が見えました。

ナムチェの街はこのような日当たりの良い南向きの斜面に、段々畑状に建物が並んでいます。


生活道路でもあるので石階段など道は整備されています。丘の向こうにはシェルパ族の里であるクムジュンがあり、ナムチェとは仕事や通学?などで頻繁に行き来しているようです。

ナムチェもシェルパの里とされていますが、元々シェルパ族が多く住むクムジュン村があり、1970年代に日本人実業家によりシャンボチェの丘にホテルエベレストビューが建てられ(専用の空港も作られる)、エベレスト登山の高まりに合わせてエベレストベースキャンプへのトレッキングが観光資源として注目されるようになった結果、市(バザール)が開かれていたナムチェが観光拠点として栄えて行った…… という流れになるのかな?(やはり国立公園博物館に行っておくべきだったか……)

坂をひとしきり登り切ると、ホテルエベレストビューに泊まる客のチャーター機などが利用するシャンボチェ空港があります。滑走路は未舗装ですがルクラの滑走路よりは長そう?

いよいよ3000m後半ということもありヤクたちが登場。ゾッキョとは明らかにフォルムが異なるいかり肩が特徴。

「エベレストシェルパリゾート」、結構人気のロッジのようです。

もちろんレストランのみの利用も可能です。

エベレストシェルパリゾートを回り込むとさらに展望が開けます。まず見えて来たのがアマダブラム。

そしてエベレスト&ローツエが真正面に!

シャンボチェの丘の上から。まあ、この辺ならどこからでも絶景を望めます。

エベレスト&ローツェ、まだまだ遠いですがズームすればかなり大きく見えます。手前のヌプツェ側面の地層?も格好いいですね。

タムセルクいい。

アタックザックで荷物少なめの私。温かそうですがフリースは着ています。

この絶景トラバースを歩いてホテルエベレストビューへと向かいます。



「ホテルエベレストビュー」の絶景テラスでお茶

この石段を登るとホテルエベレストビューです。1970年台に日本人の実業家によって建てられたホテルで、エベレスト街道に点在する多くのロッジとは異なる所謂リゾートホテルのスタイル。直接の予約はできず、宿泊するにはホテルを所有するヒマラヤ観光開発(日本の企業)のツアーに参加するなどしかないようです。

ただし宿泊客でなくても中にには入れますし、トレッカー向けのビューポイント(カフェ)が用意されています。

確かにこれは「エベレストビュー」なホテル。

天気が良いので絶景テラスでお茶を飲んで行くことにしましょう。

エベレストビューリフレクション。

ホテルエベレストビューのメニュー、ナムチェの相場よりちょい高めですが、お茶や軽食程度ならば安心して利用できます。所々$表記になっているので注意。


珈琲とサンドイッチを注文。キャベツサラダが日本でよく見るやつ!


テラス席からもエベレストがよく見えています。この先、どこまで近づくことでできるのでしょう。


独特の形もあってアマダブラムの迫力がすごい。


シェルパの里クムジュン村へ

ホテルエベレストビューから20〜30分程丘を下っていくと、シェルパ族が住むクムジュン村があるので、こちらに向かうことにします。

見えてきました。グリーンの屋根が並ぶかなり大きな村です。

ストゥーパの先に世界の高峰…… ネパールだ。


ゾッキョの箱座り。

かなり広い村です。全て緑の屋根で統一されているのは、何か制限や決まりがあるのでしょうかね。唯一見える赤い屋根はこの村のゴンパ(寺院)です。

アマダブラムを望む村(エベレストは見えなくなってます)。

この後、あちこちのロッジで見かけることになる黄色いステッカーは……

野口健氏でした。ちなみに我々の旅と入れ違いで(我々が戻ってきた際のナムチェですれ違ってる位)野口氏もエベレスト街道(ゴーキョ方面)に入っていたようです。
野口氏のツイートによるとこの春は雪や雨が多く、モンスーンが早く訪れてしまったような気候なのだとか(確かに我々も天候悪化で予定を早めに切り上げました)。

ナムチェまで行かなくてもATMがあります。

アマダブラムが見えるレストランに入って……

シェルパシチューを頼んだところ、キッコーマンの醤油が一緒に出てきました。

“すいとん”ではなくご飯が入ってるバージョン。

仔牛、あるいは仔ゾッキョ、かわいい。


クムジュンのゴンパ(寺院)にやってきました。


ここにはイエティ(ネパール奥地の雪男的UMA)の頭部があると言われていて……



これ、

です。

です。

やはりこの日も午後になると空は雲に覆われてきました。標高3800mの村ですからね、雲も低い。

クムジュン入口にある巨大なストゥーパの脇を抜け……

エドモンド・ヒラリーが開校したというクムジュンスクール。エベレスト街道沿いで働いてるネパール人たちの英語の上手さを見ると、教育の重要さがよく分かります。

外国の登山隊、トレッカーを相手にするシェルパやガイドはネパールの中でも、かなり所得水準の高い職業らしく、外国語を話せることは大きな武器になるのでしょう。

それではクムジュン村とお別れです。

シャンボチェの丘をナムチェの裏側から登って行きます。

このストゥーパの向こうがナムチェ。

すっかり曇ってしまいました。サクサクっと下りてしまいましょう。



ロッジの充電事情や夕飯、ATMキャッシングなど

ナムチェに戻ってからの写真がしばらくありませんが、この間ロッジでシャワーを浴びたり洗濯をしていました。グリーンタラーホテルには有料(Rs480)の個室シャワーがあって、まあ湯量がチョロチョロだったり、シャワーヘッドが壊れていたりと色々問題はあるものの、ガス湯沸かしによる温かいシャワーを浴びることができます。合わせて確実に短時間で乾くベースレイヤーやインナーソックスなども洗濯しておきます。

さらに有料だと思っていたスマートフォンやバッテリーの充電ですが、なんとタダで行えます(特にモバイルバッテリーの充電無料は、かなり珍しいと思います)。これとホットシャワー、さらにレストランも美味しいということで帰りのナムチェ泊もこのロッジを利用することになりました。

レストランの2箇所にこんな感じの充電スポットがあって自由に利用することができます。このタイプのユニバーサルタップ、日本から持って行った電源プラグが変換なしでそのまま差せるので非常に便利です(変換アダプターを使うと重量バランスが悪くなったりするんですよね……)。

タイのホテルなどにもありましたが、日本のホテルなどでも普及すれば訪日旅行客の利便性が上がりそうですよね(色々と規制があって難しいのかもしれませんけども)。

この日の夕飯は私はチョウメン(チーズ、卵入り)で妻はダルバート。

ちなみに全てのロッジがそうではないですが、夕飯は16時〜17時半位までに食べるメニューと時間を決めて予約をして欲しいという所が結構多いです。

さて、ホテルエベレストビューなどに行ったり前日にナムチェで買い物をしたこともありますが、やはり当初予想していたよりも使うお金が多いようです。
この先は宿泊と食事以外でお金を使うことはなさそうですが、高度が上がるにつれ少しずつ物価が上がることもあり、余計に現金を下ろしておくことにします。

……なんてことに気付くのが随分遅い時間ですが、そこはナムチェバザール。なんと19時を過ぎてもATMと両替所が開いていました! 日本の上高地だってそんなのあり得ない。

カードやドルが使えるロッジもあるとはいえ、ナムチェから先はやはり現地通貨の現金払いがスムーズ。ひとまず帰りのナムチェまでの日数分ぐらいの現金を作っておけば、後々の旅も安心して続けることができるでしょう。

翌日は再びエベレスト街道を歩いて「テンボチェ」という村を目指します。

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写真まとめ
Everest Base Camp Trek - OKP fotolife

エベレスト街道トレッキングレポート


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