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記録写真に最適なパンケーキズーム、パナソニック LUMIX G VARIO 12-32mmの特性を改めて確認してみた

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以前、ネパールに行く際、メインのレンズにトラブルがあった際のバックアップとして準備したコンパクトなズームレンズ、パナソニック「LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.」。

その後、LUMIX GM1やGF10を使うようになって、出番が増えました。「小さいのによく写る!」と関心することもあれば、「あれ?」と感じることもあるので、改て性能や特徴を確認しておくことにしました。

Panasonic LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.

2013年に登場したマイクロフォーサーズフォーマットの、パンケーキ型沈胴ズームレンズ。LUMIX DMC-GM1のキットレンズとして登場し、単品でも同時に販売されるようになりました。
LUMIX G VARIO 12-32mm | Gシリーズ 交換レンズ | 商品一覧 | LUMIX(ルミックス) ミラーレス一眼カメラ・デジタルカメラ | Panasonic

35mm判換算で24-64mm相当と望遠側はやや控えめなズーム倍率(約2.6倍)ながら、広角24mm相当からのスタートは、マイクロフォーサーズの安価なキットズームでは唯一。オリンパス(OM SYSTEM)からも、同タイプのパンケーキズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ」が発売されていますが、焦点距離、ズーム動作、レンズ内手ぶれ補正の有無などかなり性格の異なるレンズとなっています。

特筆したいのは70gという軽量さとコンパクトさ。沈胴の繰り出し操作は少々面倒ですが、GM/GF系ボディと組み合わせた際のシステムのコンパクトさは、これぞマイクロフォーサーズ規格ならでは。

鏡筒は金属製。単品販売のものはマウントが金属製ですが、キットレンズはコストカットでプラマウントになっているようです。市場の中古品は両方入り乱れてるので、購入時はやや注意。自分はあまり気にせずに買ってしまいましたが、プラマウントのものです。

……と基本的な仕様は今更感もあるのでこの辺で。新品でも2万円台の半ば、中古なら1万円台の半ばからとかなりお手頃な価格帯のレンズになります。

自分の場合はGM1やGF10に装着してコンパクトなズームレンズのシステムとして使っていますが、単独で使うこともあれば、望遠のシステムを持って散歩する際のサブ機としても重宝しています。

GM1/GF10にはLUMIXの14mm F2.5や20mm F1.7の単焦点レンズを使うこともありますが、ある程度写真を撮ることを目的にしている場合は単焦点レンズ、スマートフォン的に記録用として使う場合は12-32mmを選ぶことが多いです。厳密に使い分けている訳ではありませんけども。

ワイド端は歪みが目立つ

このレンズを使っていて気になったのはワイド端の12mm側での歪み。周辺部に直線の少ない風景を撮っているとあまり気にならないのですが、看板や建物などをワイド端で撮ってしまうとタル型の歪みが目立ちます。

LUMIX DC-GF10 + G VARIO 12-32mm:12mm

14mmまでズームすると歪みはかなり解消されるので、看板などをメモとして撮る際はズームリングを少し動かす癖をつけておくといいかも。もちろん後ろに下がれる余裕があるなら標準画角までズームして。

LUMIX DC-GF10 + G VARIO 12-32mm:14mm
LUMIX DC-GF10 + G VARIO 12-32mm:32mm

ところでマイクロフォーサーズはレンズプロファイルは埋め込みなのでJPEGで取っても歪みは同様ですが、OM-1のRAWだとLightroomでプロファイル補正を外すことができるので、実際に外してみるとかなり強烈です。「24mm相当から使えるけど、周辺部は結構歪むぞ」と頭に入れて使うのが良いでしょう。

レンズプロファイル補正ON/OFF

絞りでの描写の変化、PROレンズとの描写の違いなど

同じ12mmスタートのM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROと描写を比較してみました(ボディはE-M1 Mark III)。やはり12mmでは12-32mmの歪みが目立つことが分かります。あと12-32mmの方が少し広いですね。

12-32mm:12mm F3.5/12-40mm F2.8 PRO:12mm F2.8
12-32mm:12mm F4.0/12-40mm F2.8 PRO:12mm F4.0
12-32mm:12mm F5.6/12-40mm F2.8 PRO:12mm F5.6

描写は中央部は開放から12-40mm比でも検討していますが、周辺部に行くとやはり12-40mm比だと甘いことが分かります。そしてこれは絞ってもあまり解消されないようです。開放ではやや目立つ周辺減光は絞ることで解消されるので、屋外で使う際は最初からF5.6通しとして使うことも多いです。

これだけのサイズ差があれば描写に差があっても納得!?

32mm側。12-40mmほどではないものの、中央部、周辺部と安定した描写です。62mm相当は中望遠感を出すにはやや足りないのでもう少しテレ端が長いと嬉しいのですが、その場合はOM SYSTEMの14-42mmという選択肢もあるので、広角側と望遠側のどちらを取るかでしょうか。

12-32mm:32mm F5.6/12-40mm F2.8 PRO:32mm F5.6
12-32mm:32mm F8.0/12-40mm F2.8 PRO:32mm F8.0

おまけで14mm。やはり歪みはかなり解消されます。参考までに単焦点レンズのLUMIX G 14mm/F2.5 II ASPHと比較すると周辺部は差が見られますが、12-32mmはかなり検討している印象。14mmでも問題のないシーンならば、一呼吸おいて少しズームリングを動かすと比較的良い結果が得られそう。

12-32mm:14mm F3.7/14mm F2.5 II ASPH:14mm F4.0

遠景も撮ったので一応。こちらはボディはGF10。周辺減光が分かりやすいのはこちらかも。描写の傾向は先程と同じで、開放から絞ってもそこまで大きく変化しない(けどF16からは如実に落ちています)。

GF10+G VARIO 12-32mm:12mm F3.5
GF10+G VARIO 12-32mm:12mm F4.0/12mm F5.6
GF10+G VARIO 12-32mm:12mm F8.0/12mm F11
GF10+G VARIO 12-32mm:12mm F16/12mm 22

続いてテレ端。ズーム倍率は低いですが、それもあってか描写は安定しています。単焦点でなくあえてズームレンズを選ぶのは、散歩の記録などではこの画角の幅がやはり便利なので。

GF10+G VARIO 12-32mm:32mm F5.6/32mm F8.0
GF10+G VARIO 12-32mm:32mm F11/32mm F16
GF10+G VARIO 12-32mm:32mm F22

レンズ手ぶれ補正、意外と効いてる?

こんなにコンパクトなレンズですが、なんとレンズ手ぶれ補正が入っています。パナソニックにはボディ手ぶれ補正のついてない機種がそこそこあるので、レンズ側に手ぶれ補正があると助かります。当初、あまり効いてる気がしないな… なんて思っていましたが、切ってみると思いの他に効いていたことが分かります。

GF10+G VARIO 12-32mm:12mm F3.5 SS1/8

ワイド端とテレ端、それぞれ手ぶれ警告が出るシャッター速度(手ぶれ補正がON状態で)まで落として、手ぶれ補正ON/OFFで10枚ずつ撮影してみましたが、手ぶれ補正ONならば8割の成功率が補正をOFFにすると9割以上手ぶれしてしまうぐらい。ワイド、テレそれぞれに効きますが、テレ端はOFFだと全滅でした。

手ぶれ補正ON/OFFでの各20カットを比較

GM/GFのようなコンパクトなカメラは軽いからと雑に構えて撮ってしまうと思いの外ブレがちなので、手ぶれ補正はとても助かりますし、もちろん過信せず丁寧に撮ることが大事。同じパンケーキ型ズームでも、OMの14-42mmをボディ補正なしのパナボディで使うのは結構大変そうな気がします。

実写編

実際にこのレンズを使っての作例。ボディはGM1かGF10なので、OM-1等で使ったらもう少し良い結果になるかもしれませんが、あくまで軽量ボディと組み合わせてこそ真価を発揮するレンズだと思うので。

ワイド端。直線がなければ歪みは特に気になりません。

LUMIX DC-GF10 + G VARIO 12-32mm:12mm F8.0
LUMIX DMC-GM1 + G VARIO 12-32mm:12mm F5.6

絞りはF5.6にしておけばズームでF値が変化しませんし、マイクロフォーサーズのF5.6(フルサイズのF11相当)はワイド側の遠景ならパンフォーカスなので何かと扱いやすい。

LUMIX DMC-GM1 + G VARIO 12-32mm:12mm F5.6
LUMIX DMC-GM1 + G VARIO 12-32mm:12mm F5.6

上の写真から中央と周辺部(左下あたり)の切り出し。

18mm、ズームリングでは丁度テレ端とワイド端の中間あたり。

LUMIX DMC-GM1 + G VARIO 12-32mm:18mm F5.6

同様に等倍切り出し。

ワイド端32mm、ちょっとした散歩の記録ならこのレンズ1本あればかなりバリエーションのある写真を残すことができます。

LUMIX DMC-GM1 + G VARIO 12-32mm:12mm F5.6

32mm(64mm相当)は中望遠というにはやや物足りないものの、少し長い標準域なのでいきなりぐっとワイド端まで回してもイメージ通りの構図になっていることが多いかも。

LUMIX DC-GF10 + G VARIO 12-32mm:32mm F8.0
LUMIX DC-GF10 + G VARIO 12-32mm:32mm F5.6

ボケが期待できるレンズではありませんが、32mm側ならばまあそれなりに……。

LUMIX DC-GF10 + G VARIO 12-32mm:32mm F5.6
LUMIX DC-GF10 + G VARIO 12-32mm:32mm F5.6


32mm側で寄ってみました。極めてシャープということはありませんが、記録用ならば十分。

LUMIX DC-GF10 + G VARIO 12-32mm:32mm F5.6

明るいレンズではないので屋内はあまり得意ではないものの、手ぶれ補正もありますし上手く使えばスマートフォンより良好な結果を得られます。飲食店でのテーブルフォトなら15〜25mm辺りに少しズームすると使いやすい画角になると思います。

LUMIX DC-GF10 + G VARIO 12-32mm:16mm F4.0
LUMIX DC-GF10 + G VARIO 12-32mm:24mm F5.0
LUMIX DC-GF10 + G VARIO 12-32mm:24mm F5.0

単焦点のようなキレのある描写や被写界深度が浅く雰囲気のある写真が撮れる訳ではありませんが、記録用途においてはコンパクトなボディと組み合わせることでとても使い勝手の良いシステムになります。

LUMIX DMC-GM1 + G VARIO 12-32mm:32mm F5.6

バックアップ用途として手にしたレンズでが、本来の相棒である!?コンパクトなパナソニック製ボディと組み合わせることで、ようやく本領を発揮してくれた気がします。現在、このレンズがキットになったボディはG100Dぐらいしかありませんが、そろそろGFの後継機などいかがでしょうか、パナソニックさん。


LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. の主な仕様

LUMIX G VARIO 12-32mm | Gシリーズ 交換レンズ | 商品一覧 | LUMIX(ルミックス) ミラーレス一眼カメラ・デジタルカメラ | Panasonic

  • 品番:H-FS12032
  • マウント:マイクロフォーサーズ
  • 焦点距離:12mm〜32mm(35mm判換算24mm〜64mm相当)
  • レンズ構成:7群8枚(非球面レンズ3枚、EDレンズ1枚)
  • 開放絞り: F3.5(12mm)~F5.6(32mm)
  • 最小絞り:F22
  • 最短撮影距離:0.9m
  • 最大撮影倍率:0.13倍(35mm判換算:0.26倍)
  • フィルター径:Ø37mm
  • 絞り羽根:7枚(円形虹彩絞り)
  • 最大径×全長:Ø約55.5mm×約24mm
  • 重量:約70g
  • 希望小売価格:46,200円(税込)