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柏原新道から爺ヶ岳へ:日帰りで後立山連峰稜線を歩いた初秋の山旅

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9月16日の敬老の日、北アルプスの爺ヶ岳に登ってきました。敬老の日に爺ヶ岳!(後で気付いた)

北アルプス爺ヶ岳を柏原新道から日帰り登山

爺ヶ岳は北アルプスの後立山連峰南部にあり、山頂部は北峰、中峰(中央峰)、南峰の三峰からなる山です。最高地点は中峰の標高2,670m。北には鹿島槍ヶ岳、南西方面には鳴沢岳、赤沢岳、スバリ岳などを挟んで針ノ木岳へと連なる、後立山連峰の稜線上にあります。

アクセスは立山黒部アルペンルート長野側の玄関口としてもお馴染みの扇沢を起点にした柏原新道が最もメジャールートで、日本百名山でもある鹿島槍ヶ岳とセットで登られることが多い山だと思われます。

我が家も以前から冷池山荘にテント泊しての鹿島槍ヶ岳と合わせて登ることを考えていましたが、9月最初の三連休は最終日のみ山に行けそうということで、今年まだ歩いてない北アルプスで日帰りで登れそうな山を探していた所、この爺ヶ岳を思いつきました。

山行ルートと活動データ

柏原新道から爺ヶ岳(中峰)の標準コースタイムは登り5時間、下り3.5時間(山と高原地図より)、登山ルートはよく整備されていて危険な箇所もなく歩きやすいので(一部崩落の多い谷のトラバースあり)、普段から山を歩き慣れている人ならいいペースで歩けると思います。
(標準コースタイムに不安のある人は、種池山荘での宿泊なども検討するのがオススメ)


爺ヶ岳(柏原新道) / OKPさんの爺ヶ岳(長野県)爺ヶ岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ

我が家の山行記録を見ると休憩時間を含む活動時間は朝の4:15〜13:05の、8時間50分でした。借りに同じペースのまま鹿島槍ヶ岳まで足を伸ばした場合、行動時間は優に12時間を越えてしまいそうですし、夜中から歩き始めない限り明るい時間に戻ってくるのは難しそうです。やはり鹿島槍ヶ岳にはテントを持って行くのが良さそうですね。

日の出前に柏原新道入口をスタート

さて、この日は9月14日から始まった三連休の最終日。連休前日頃から扇沢付近の無料駐車場が軒並み埋まっている情報をTwitterで見て少々心配していましたが、朝4時前に現地に到着すると登山口の道向かいにある駐車スペースに空きがありました。
柏原新道の入口付近にはいくつかの無料駐車場がありますが、それらが埋まっている場合は徒歩15分ほど離れた扇沢の無料駐車場、或いは扇沢駅の有料駐車場に停めることになります。

トイレは扇沢駅にしかないため、途中のコンビニ等で済ませておくといいでしょう。水は柏原新道から稜線に出た所にある種池山荘で買うことができます。最近は山で湯沸かし調理はしないこともあり、日帰りで650mlのOTFボトルに500mlの水を2本を飲料用として携行(合計1.65L)して500mlを1本余らす感じでしたが、今回は下山時には3本目のボトルが飲みかけでした。

荷物の少ない夏山日帰りはBUDDY 22がすっかり相棒

スタートは4時15分、日の出まではまだ1時間以上あるのでヘッドライト装着でスタートします。

いきなり崖崩れの注意書きが……

なるほど、確かにこれは「サッ」と通りましょう。

スタートからしばらくはモミジ坂と呼ばれる急登ですが、それほどの傾斜もなく足下はこのような感じでと、暗くてもよく整備された登山道であることが分かります。

大町方面の街の明かりでしょうか?

「八ツ見ベンチ」。柏原新道入口の各所でこのように名前の付けられた黄色いプレートを見ることができます。柏原新道を整備している種池山荘が設置しているだと思われます?

足場がちょっと悪くなるポイントなどはいちいち注意書きがあって親切。初心者が(ロープウェイ等を使わず)自分の足で北アルプスの稜線に出るのに、最も歩きやすい登山道のひとつではないでしょうか。

扇沢の駅が見えました。秋から初冬にかけて、立山にまた行きたいですねえ。

1時間ほどでケルンに到着。


稜線に種池山荘が見えています。まずはあそこまで。

雪渓の残る山が正面にドーンと見えます。PeakFinderでは名前が出ませんでしたが、岩小屋沢岳でしょうか。まだ日の出直前ということで、ややモノトーン気味ですがお天気はちょっと微妙な感じ?

「駅見岬」。もちろん駅とは扇沢駅のこと。

ちょっとオニギリ休憩。スタート前に車で食べているのは夜食で、これが朝食になるのかな?


青空が見え始めた柏原新道を種池山荘へ

稜線の上に少し青空が見えてきました。このまま我々が行くまで持ってくれるといいですね(登山天気の予報では午前中の9時頃にだけ晴れマークが出ていました)。

ケルンを過ぎてしばらくは爺ヶ岳の南尾根西側に作られた緩めの傾斜を登っていきます。

夏山の景色に少しずつ秋らしさが覗くようになってきました。

後方の視界が開けるとそこには立派な針ノ木岳の姿が。日本三大雪渓のひとつ、針ノ木大雪渓は…… 殆ど消えかけているように見えますが……?

「水平道」「包優岬」「石ベンチ」。それぞれのネーミングの由来などを想像して話題にしつつ(見たままのもありますが)進みます。こんな登山道は初めてかも。「アザミ沢」は確かにアザミだらけ。

涸れ沢を回り込む位置関係で正面に針ノ木岳を望むことなども……。

いい感じのお天気になってきました。

全体的に歩きやすい柏原新道ですが、一箇所だけガレ場(沢)のトラバースがあります。すれ違いのタイミングにだけ気を付けて、素早く通り過ぎれば特に問題ありません。

そういえばこの日は我々と同じ方向の登り登山者は殆どいなく、逆に下りてくる登山者とは朝から何度もすれ違いました。前日から泊まりで来ている登山者の他、連休最終日ということで五竜岳や唐松、白馬方面からの長期縦走ルートを歩いてきた人も多そうです。

「富士見坂」ってことは、やはり天気がいいと富士山が見えるのでしょうね(この日は見えず)。

「鉄砲坂」。さしずめ最後の急登かな。


軽い急登を登ると森林限界となり、種池山荘が見えてきました。そして青空が持ってくれた!


種池山荘でひと息、後立山連峰の稜線を歩く

7時25分、種池山荘着。トイレを借りたり、爺ヶ岳のバッジを買ったりして小休止。種池山荘は見ての通り、二階建ての立派な山小屋です。

ここまで来ると一気に登山者の姿が増えます。相変わらず登ってくる登山者は少なくて、これから下りる人ばかりでしょうか?

針ノ木岳方面から縦走してきたのかな?……と思いましたが、この先に種池山荘のテント場があるようです。北アルプス稜線のテント場としては、かなりアクセスのいい場所ではないでしょうか(夏の合戦尾根を歩いたことがないので簡単に比較できませんが、CT的にもこちらの方がお手軽かも)。

うーん、針ノ木岳カッコいいなぁ。この山にも登りたい!

それではいざ爺ヶ岳へ(鹿島槍方面へ)。

すぐに稜線の正面に見えてきたのが爺ヶ岳の南峰です。綺麗な円錐の山容ですね。ちょっと不穏なうろこ雲ですが天気はまだ持ってくれてます。

稜線はやはり秋の気配。

そして振り返ると種池山荘のオレンジ色の屋根の向こうに、立山〜剱岳と続く立山連峰の稜線!

鹿島槍ヶ岳の双耳峰もよく見えています。右手前に伸びた稜線上に見えるのが冷池山荘ですね。

この角度からの剱岳カッコいいですねー! 今年も登りに行けなかったなぁ……。

ちなみにこの日は35mm単焦点を付けたα7 IIを持ってきていて、ズームと広角はTG-5に任せています。画質差はいかんともしがたいですけど仕方ない。結局は殆どの写真を35mmで押し通してしまいましたが、意外となんとかなるかな?

TG-5の広角。Pixel 3の方が絶対綺麗だ……
爺ヶ岳南峰、そしてその奥に見えているのが最高地点のある中央峰。

鹿島槍にうっすら雲がかかり始めましたが、手前のカエデらしき黄色い黄葉が美しい。

もうすぐ紅葉シーズンですね。

駐車場から3時間半でこの景色、柏原新道かなりお特なのでは!?

遠くに槍ヶ岳や奥穂高岳も見えています。


爺ヶ岳山頂付近はライチョウ天国だった!?

爺ヶ岳南峰は巻くこともできますが、今回は爺ヶ岳が目的なのでもちろん山頂に登ります。

あれ、登山道の真ん中にライチョウさんがいる…… なんて無防備な子なのだろう(笑)

オス&メスの2羽、時期的につがいという訳ではなさそうですが(?)仲よさそうに2羽でウロウロしています。山と高原地図によると爺ヶ岳山頂の周辺はライチョウが多いみたい。

オスくん。

メスちゃんに案内されるように爺ヶ岳南峰山頂へ。稜線にはガスがかかり始めていますが、だからライチョウたちが出てきたのかな?

あっという間に真っ白。残念ながら山頂からの絶景には間に合いませんでしたが、まあライチョウたちも来てくれたことだし仕方ないですえね。この後、また別のオスライチョウが現れました。

ということでまずは爺ヶ岳南峰(2,660m)に登頂。

続いて中峰へ。

中峰も巻くことができますが、ここがこの日の目的地。

やったー、爺ヶ岳中峰に登頂したよ!(虚無)

こんな写真を撮ってたらポロッとカメラを落として、斜面を10m以上転げ落ちていった話はTwitterで散々したのでもういいですね(バラバラになったかと思ったら、ほぼ無傷だった…… 謎)。

午前中の9時に食べるのは昼食か、2度目の朝食か!? セブンイレブンの「とんかつサンド」、カラシが効いていてなかなか美味い(552kcal)、これはまたリピートしたい。炭水化物、タンパク質を兼ね備えたカツサンドはなかなかいい山飯な気がします。

写真は1切れ食べた後の半分です

北峰ピークは登山道が通ってないようですが、せっかく来たのでピークの下あたりまで行ってみよう…… と歩いていったら、またまたライチョウさんがいました。今度はオスが2羽とメス1羽、爺ヶ岳の山頂付近だけでもう6羽目です(やはりE-M1 MarkIIと12-100mmを持ってくるべきだったか!?)

横目に通り過ぎていく登山者もいますが、私はライチョウ大好きなので何度見ても飽きませんし、ずっと見ていたい(笑) 他にも見えないハイマツの影から鳴き声が聞こえてきたりと、本当に多いんですねえ。

北峰の北側に回り込んでパチリ。少し前から霧雨も降っていますし、ここで引き返すことにしましょう。

濡れた草花を撮ったりライチョウの鳴き声に耳を澄ませつつ、真っ白な稜線を戻ります。

再び種池山荘、柏原新道をひたすら下りる

種池山荘はピザが名物みたい? 美味しそうでしたが、食べたばかりでお腹も減っていないので下山します。暑かったらピザ&ビールを決めて、のんびり酔い覚ましってのもいいのですけども。

まあ、こんなお天気なので…… 11時に(稜線からの)下山開始。

登りで見落としていたらしい「黄金岬」。

13時、種池山荘から2時間で登山口まで下りてこられました。

朝方は気付きませんでしたが、川の向こうに大きな駐車場があったんですね。

登山口周辺の駐車場事情が詳しく載っている看板。

スタートからの行動時間はWSD-F30のYAMAP計測で8時間45分でした。山頂での天気が良ければ写真を撮ったりでもう少し長くいたと思いますが、これぐらいの行動時間で北アルプスの日帰り登山が楽しめて良かったです(この後、温泉や帰りの運転などもありますし)。


北アルプスの入門ルートというと、合戦尾根からの燕岳やリフトが使える八方尾根からの唐松岳がお馴染みですが、この笠原新道からの爺ヶ岳もなかなかにナイスなルートだと感じたこの日の山行。

もちろん本当に初心者の人や山を歩き慣れていないとコースタイムはもっと余裕を見た方がいいですし、公共交通を利用するとスタート時間も遅くなってしまうので、無理して日帰りをするよりも種池山荘泊まりでゆっくりと歩くのも良いと思います。
柏原新道の詳細情報は種池山荘(冷池山荘・新越山荘)のホームページなども参考にしてください。

温泉、吉田のうどん

下山後の温泉は、種池山荘で割引券(大人700円→500円/5名まで)を貰った「湯けむり屋敷 薬師の湯」へ。扇沢からは最も近く、連休最終日に長期の縦走を終えた登山客が人間に戻るために集まる日帰り温泉ということで、下駄箱周辺や脱衣所はそれはもう大変なことになっていましたが、まあこちらもそんな登山者の1人ですしね(でも、知らずに来た一般客はさすがに驚いたと思う)。

観光地の日帰り温泉ということもあって、お風呂も洗い場も広く、水に近いぬる湯(30度ぐらい?)の浴槽はとても気持ち良かったです。

夕飯はちょっと運転を頑張って、中央道の初狩パーキングまで移動してしまいました。だって大好きな吉田のうどんを食べたかったので。


大月から八王子まではお約束の中央道渋滞に捕まりますが、連休最後にしてはそこまで悲惨なことににはならず、自宅に辿り着くことができました。

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