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途方に暮れる 犬とよばれる でも生きてゆく

降雪翌日、雪の森を歩いて冬の宝永山(富士山・宝永第一火口)を目指す山行

以前から気になっていた冬の宝永山(富士山の側火山)に行ってきました。結果的に宝永山の山頂は踏めませんでしたが、直前に降ったばかりの雪が積もった樹林帯を歩き、快晴の青空にそびえる冬の富士山を心ゆくまで眺めた充実の一日となりました。

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冬の宝永山に登ってみたい

南岸低気圧の通過に伴い、私の住む東京の多摩エリアでも昼過ぎにかけて雪の降った1月18日(土)、関東近郊の山間部では軒並み降雪・積雪があったそうです。翌日の19日、日曜日は太平洋岸側の天気予報が良かったこともあり(結果的にかなり広いエリアで晴れたみたいです)、以前から気になっていた冬の宝永山に行ってみることにしました。

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宝永山は富士山の中腹に大きな口を開けた側火山。3つの火口のうち最大の宝永第一火口は遠くからもよく見え、美しい円錐形である富士山において、大沢崩れと並ぶ地形的なアクセントとしても知られています。宝永山山頂の標高は2,693m、これまで夏山シーズンには何度か行ったことがありますが(富士山の下山中に立ち寄ったものを含め)積雪期に登ったことはまだありませんでした。

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水ヶ塚公園(水ヶ塚駐車場)

宝永山に至る登山ルートはいくつかありますが、御殿場口や富士宮口五合目に至る道路が冬季閉鎖されるこの時期は、標高1450m付近の水ヶ塚公園(水ヶ塚駐車場)からスタートするのが一般的です。水ヶ塚公園は富士山の夏シーズン中は、富士宮口五合目に至るマイカー規制パーク&ライドの拠点でもあります。

朝の4時頃に東京の自宅を出発、中央道〜富士五湖道路を走り、6時前に水ヶ塚公園に到着しました。
富士五湖道路の富士吉田ICあたりから積雪があり、チェーン規制されていました。道路は除雪されていたものの朝方はかなり凍結路でしたし、須走ICを降りてから水ヶ塚まではうっすら積もった雪道。路面の雪は帰る頃にはほぼ溶けていましたが、この時期水ヶ塚公園まで行くならスタッドレスタイヤ必須です。

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広い水ヶ塚公園の駐車場は一面の雪で駐車場のラインは全く分からない状態……。適当に停めましたが、戻ってきた際に奇跡的にラインに収まっていました(笑) レストハウス(「森の駅 富士山」)は夜間閉鎖されていましたが、夜間も開放されているトイレがあってとてもありがたい。この水ヶ塚公園、ソリ遊びができるゲレンデなどがあるらしく、昼間は家族連れで賑わう場所らしいです。

駐車場すぐ横の腰切塚展望台からは富士山が綺麗に見えるそう。写真クラスタらしき車は、ここから写真を撮ったりするのでしょうか?

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外気温はマイナス7度表示(少し高めに表示されるのでマイナス10度ぐらい?)ですが、八ヶ岳付近の朝に比べるとそこまで寒くない印象。

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すぐに出発しようかと思ったのですが、このまま登山道に入ってしまうと朝焼けの富士山が見られないので(2時間以上は樹林帯の中なので)、日の出を待ってから出かけることにします。

この日の日の出は6時50分頃、朝日でピンクに染まった富士山が見えました。

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裾野の樹林帯まで冠雪した富士山。目指す宝永山は正面の宝永火口右手前に見える丘です。火口内に小さなデブリ(雪崩の跡)が2本見えているのが少々気がかり……。正面の建物はレストラン、土産物店、トイレなどが併設された「森の駅 富士山」(冬季も営業/朝9時〜)。

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冬の富士山といえば常に強風が吹き付けることによるウインドクラストのカリカリ斜面でも知られていますし、そこに前日の新雪が乗っている状態ですから、無理はせず行けるところまでということで。

「富士山須山口登山歩道」雪の樹林帯を歩く

水ヶ塚駐車場前の道を渡って登山道に入ります。こうして見ると宝永山、結構遠いな……。

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雪をかぶった木々が朝日に照らされてとても綺麗。

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「富士山須山口登山歩道」は裾野の須山浅間神社から水ヶ塚公園を経て、富士宮六号目へと至る古道のことだそう。そういえば以前、御殿場ルートで富士山に登った際に水ヶ塚から登ってきたという方と山小屋でお話しましたが、このルートから宝永山を経て御殿場ルートに抜けた訳ですね。

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積雪はスタート時点で数センチ、吹き溜まりで15センチくらいからのスタート。この時点では先行者のトレースが2人分ぐらい付いていました。まだ真っ暗なうちに樹林帯を抜けたあたりにヘッドライトの光が1つ見えていました。

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しばらくは雪の樹林帯、緩い裾野の斜面をゆるゆると歩いて行きます。

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この分ならお天気も良さそうです。

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まずは「須山上り 一合五勺」。ここまでほぼコースタイム通りの50分、この時点で思ったより時間が掛かってかも…… と感じていました。

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徐々に斜面がきつくなってきたところで、少し早いですがアイゼンを装着。チェーンスパイクでも良さげでしたが、積雪量はそれなりにありますし(チェーンはアイスバーンやしっかりとしたトレースのある雪道は強いのですが新雪だと微妙……)、途中で履き替える手間を考えたら最初から12本爪でいいでしょう。

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その後、一部雪の薄い箇所で溶岩を蹴ることもありますが、吹き溜まりでは膝から腿ぐらいの積雪が続く樹林帯。トレースのおかげで楽をさせてもらってますが、先行の方はラッセル大変だったことでしょう。

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太陽が登ってきてからはグングン上がる気温に、木の上の雪がドサドサと降り注ぐのに悩まされます(笑) さらに足元の雪が緩みはじめ、足やストックが重い……。トレースを辿っているだけなのに、徐々にコースタイム通りに歩けなくなってしまいました。

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それでも登山道はこの風景なので気分は最高。

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木から落ちてきた雪が首の隙間に入るのが……(苦笑)

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「須山上り 二号五勺」のポイントで9時20分、やはりコースタイムから少し遅れています。登山計画はスタートを少し遅く設定し、下山時間にも余裕を持たせていましたが、この分だと計画通りの山頂着かそれ以上かかりそう。

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途中で下山の方と2人すれ違いました。1人は恐らく深夜スタート(駐車場かたヘッデンが見えてた人でしょうか)、1人はテント泊装備だったので富士登山の人なのかも?

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その後、ソロの方を1人抜いたらその先は誰もいなかったので、日曜日にしては登山者は少なかったようです。

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残っているのは下山トレース2本と上り1本。

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御殿庭から森林限界へ

「御殿庭」と呼ばれるエリアを通過中。振り返るとなかなかの高度感。既に雲海が広がり初めています。

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意外と長い樹林帯です…… 須山口登山歩道は富士山南側の斜面のせいか、樹林帯がかなり高い標高までああるようです(すぐ近くの御殿場ルートだとスタートしてすぐに森林限界なのに)。

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ようやく正面に富士山が見えてきました。時間は10時半、既にここまで3時間半掛かっています。

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「須山口登山歩道 三合五勺」もうしばらく重い雪の中を進みます。汗がダラダラ流れていますが、森林限界に出る前に風に備えてハードシェルを着ておきましょうか。

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強い日差しで雪はこんな状態。ストックのスノーバスケットに乗った雪すら重く感じます(笑)

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森林限界、宝永第第二火口から宝永第一火口へ

周囲を遮る木々が消えて森林限界に出るとシュカブラの斜面となり、足元に積もった雪も一気に薄くなります。風はバラクラバを軽く上げていれば大丈夫な程度。

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宝永第二火口の横を通過。向こうに見えているのが宝永第一火口。ちなみに第三火口は御殿庭のあたり、御殿場口の方から二子山を抜けてくると第三火口が見えます。

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宝永第一火口の中には下から見えていたデブリの他にも、小さなデブリがチラホラ。実際に歩くルートからは離れているようですが、どんなものでしょうか。

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宝永第二火口〜第一火口と続く火口の縁(ヘリの部分)は馬の背のような尾根上の地形なので、トレースが消えるぐらいには風が吹いています。ただし逆にこれぐらい雪が薄くてクラスト気味の方が、かえって歩きやすかったり……?

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この先はもう出番がないだろうとワカンをデポします。今考えるとたかだか1kg程度の荷物を下ろしたいと思う程度には、疲労を感じていたのかもしれません。

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横に少し樹林帯が伸びている場所になると、とたんに雪が深くなり、トレースもくっきり残っているので風の力(そして樹林の防風力)とは凄いものですね。

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定期的に富士山の上を飛行機が飛んで行くのがよく見えます。

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11時40分、ようやく「宝永第一火口縁」に到着。ここから火口内に斜め下にトラバースしながら降り、宝永山頂までジグザグに登り返すのが夏道。

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既に消えかけているトレースは早い時間に登った先行者の方のものでしょうか(別のトレースは宝永火口でなく山頂方面に付いていました)。

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宝永第一火口縁から宝永山へ…… 行くのを諦める

広角写真で見ると緩やかに見えますが、そこそこの斜度があり、縁部分は雪庇状になっています。

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消えかけたトレースのすぐ隣にやや気になるひび割れが見えますが、恐る恐る進んでみると……

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数歩進んだところで進行方向の斜め後方の表層がズザーっと広範囲に崩れました。あ、ダメだこれ。

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進むのは止めて火口の縁まで引き返します。そのまま下りられたとしても、さらに雪が緩んだ状態で再び下から登ってくることを考えたら、やめておいた方がよさそう。崩れている雪の層は新たな積雪分でそこまで厚くないですが、乗っている足元が滑って流されたらかなり危険な気がします。

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宝永火口内は小さなカールのようなスプーン状の地形ですし、新雪が降ったら危ないかな?と事前に調べてはみたのですが特に情報もないままで、来てはみたものの今回はここまででしょう。もっと雪が少ないか、安定しタイミングで出直した方が良さそうです。

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そうと決まれば、ここまでコースタイムオーバー気味で疲れ気味でしたし、後は下りるだけなのでかなり気が楽になりました(笑) 宝永火口に下りられてもそこから馬の背への登り返し、正直かなりキツいんですよね……。宝永山の山頂はまたの機会に!

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宝永山山頂の様子は、今年の年始に登っているickw(id:kyo_ichikawa)さんのブログ記事にてどうぞ。

雲の上を歩いて下山

後続の方もやってきましたが、やはり宝永山行きは諦めるそう。

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それからはのんびりと写真を撮ったり……

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記念写真を撮ったり……

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いつの間にすっかり広がっている雲海を眺めながらワカンの回収ポイントで休憩。

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行動食のパンを食べる。

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2人上がってきました。下山中にもう2人ほどすれ違ったので、結局この日会ったのはで全部7人かな?

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そろそろ13時ですがまだこの青空。

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下山嫁グラフィー。

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そうそう、下りではアイゼンを外してチェーンスパイクにしました。基本的にツメを効かせるほどの斜面がないのと、場所によって雪が薄く溶岩にツメがあたってしまう場所があるので。

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しかし、チェーンはチェーンで靴の裏が雪だんご祭りなので、このチョイスが正しかったかは微妙です……? なんにせよ、この日の雪はひたすら重かった。

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こんな倒木だらけの場所、上りでは気づかなかった…… と、朝の写真を見返したら、積雪で気づかなかったみたい。本当に半日で随分と雪が溶けたようです。

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そうこうして、14時40分に水ヶ塚まで戻ってきました。想像以上に疲れました。脚がプルプル(弱)。

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駐車場の雪もかなり消えています。

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「森の駅 富士山」の前にいたかわいい柴ワンちゃん。脚乗ってるよ……(笑)

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取り急ぎソフトクリームで軽く下山カロリー摂取。2色の「富士山ソフトクリーム」なるほど。

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さわやか長泉店にて下山さわやかをキメる

さて、せっかく静岡県に来たのですからやはり“さわやか”したい。しかし御殿場インター店は数年前より慢性的な大混雑で、この日もネットで調べると150分の待ち時間だとか…… 店までの移動を含めたら3時間弱! 無理!

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諦めて富士吉田に吉田のうどんを食べに行くのも考えましたが(時間的に店が開いてる?)、一度“さわやか腹”になってしまうとなかなか気持ちの軌道修正が付きません。ということで、あえて家とは逆方面ですが「さわやか長泉店」を目指すことにします。

長泉町は裾野市・三島市・沼津市に挟まれた縦に細長い町で、「さわやか長泉店」は町の三島寄りのエリアにあります。御殿場からは東名高速をひと区間の沼津IC(長泉沼津IC・長泉JCT)が最寄りになります。

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水ヶ塚公園からだと御殿場方面に下りるのでなく、富士サファリパーク方面に南下する感じ。移動に40分、店に付いてからの待ち時間30分ほどで、無事テーブルにつくことができました。

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げんこつハンバーグでライスは大盛り。雪山帰りなので実質ゼロカロリー。幸せでした。

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山行ルートと活動データ/当日のカメラ

宝永火口で引き換えしたこの日の山行でしたが、行動時間は7時間オーバーでした。次回挑戦の際は雪の状態にもよりますが、もっと早い時間のスタートで樹林帯を抜けてから富士山のモルゲンロートを見てみたい気も……(かといって真っ暗な樹林帯3時間もアレですが)。


宝永山(富士山):水ヶ塚公園〜第一火口まで / OKPさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ

カメラはいつものOM-D E-M1 MarkIIに2本の単焦点レンズ(M. 8mm Fisheye PRO/LEICA DG SUMMILUX 25mm)で歩いたこの日。超広角(魚眼)と標準という焦点距離ですが、案外普通に使えるなと。機材総量もコンパクトになりますし、望遠が不要ならばこんな組み合わせもいいかもしれません。

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