オリンパスOM-Dやソニーα7/9シリーズをお使いの方に、面白いアイデアグッズをご紹介します。
いつの間に消えているカメラのアイカップ……
撮影をしていたらいつの間にカメラのアイカップ(アイピースカップ)が外れてなくなっていた…… なんて経験はないでしょうか? カメラバッグの出し入れのときか? はたまた首からぶら下げてるうちに服などに引っかかったのか? アイカップを失った愛機に気づくとなんとも切ない……。
実は私が現在メインで使っているオリンパスのE-M1系はアイカップが外れにくい構造になっているため、まだ紛失したことはないのですが、同じOM-DでもE-M5系などは初代、MarkIIとアイカップ外れやすく(最新のMarkIIIはどうだろう?)中にはアイカップを外したまま使っている人もいるぐらい。
同様にSONYのα7系でも「アイカップなくしやすい問題」があったようで、そんな悩みを解決するために、プロダクトデザイナーのMiyachi氏が設計、3Dプリンターで生み出したのが今回紹介する「Stand by Finder」なるホットシューカバー。
ホットシューカバーを差し替えるだけで成立するアイカップ紛失防止シューを作りました!
— ミヤザキマサキ@PCT2022 (@miyachi0730) 2020年8月31日
こだわりは…
・なるべくカメラのデザインを崩さないデザイン
・工業用グレードの高温多湿な自然環境でも使える素材
・なるべくバリのでないプリント方法
これで2度と無くさない! pic.twitter.com/OORjFuhQyY
カメラのホットシュー(アクセサリーシュー)カバーをメーカー純正品と差し替えることで、アイカップを上から押さえ付ける構造になっていて、アイカップが外れることを防ぐアイデア製品。
Miyachi氏が自信のTwitterに投稿したところ同様の悩みを持っていたユーザーからの反響が大きく、そのまま個人製作のプロダクトとして販売されることとなりました。
写真家の横田裕市氏も大絶賛で、自信のnoteで紹介されています。
私のTwitterタイムラインでもちょっとした話題になっていたのですが、そんなMiyachi氏より「E-M1 MarkIIのシューカバーも作ってみたので試してみませんか?」とお声掛けいただきました。
実はアイカップよりホットシューカバーをなくしやすいE-M1 MarkII
これは面白そうと二つ返事で引き受けることにしましたが、前述の通りE-M1系のアイカップはツメが引っかかる設計になっていて、そこまで簡単には外れません(紛失する可能性はゼロではないですが)。
むしろいつの間に消えていることが多いのはホットシューカバーの方で、私も予備を多めに在庫しているほど。というかあまりになくすので、パーマセルテープで固定してました(笑)
そんな事情をMiyachi氏に伝えて、アイカップの紛失防止だけでなく、外れにくいE-M1 MarkII用のホットシューカバーができないかと相談してみました。
最近オフカメラストロボ撮影用のコマンダー(トランスミッター)を使うようになったので、ホットシューがテープ固定されてると毎回付け外しが面倒だったこともありますし……。
Stand by Finder(アイカップ紛失防止ASカバー)
それから数度のやり取りと試作品のテストを行って完成したのがこのホットシューカバー。指で押したら簡単に抜けてしう純正のホットシューカバーとは違い、独自のバネの抵抗でかなりしっかりホットシューに固定されています。もちろんアイカップが抜けないようになっている独自設計。
OLYMPUS E-M1mk2 E-M1mk3用 アイカップ紛失防止カバー | Miyachi...
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アイカップ紛失防止ASカバー | MIYAGEN Trail Engineering
現在販売されている最終形に行き着くまでに、私が試したサンプルだけでも7種類! 試作バージョンはなんとVer.9までナンバリングされていました。
シューカバーが外れにくい抵抗を作るためにどうするかは私も少し意見を出させて貰いつつ、最終的にはMiyachi氏がバネの形状を再設計し、純正カバーとも違うバネを持ったカバーを開発。装着時の外れにくさについても、抵抗を微妙に変えた複数のサンプルからベストと思われるものを選びました。
このバネ周りの開発経緯はMiyachi氏のnoteの追記部分にもあるので、よかったら合わせてご覧くださいませ。小さなアクセサリひとつにも、作り手の拘りが詰め込まれていることを感じられると思います。
ちなみに純正のシューカバーはバネ(ツメ)の強度が弱く、いつの間にバネが折れてそれも外れやすい原因にもなっています。Stand by Finderは構造的にもバネ部分が頑丈になっていると思われますし、装着時の抵抗も強めなので交換するとかなりの安心感があります。
もちろん本来の狙いであるアイカップの紛失防止効果もありますし、E-M1系の純正アイカップ(EP-12)だけでなく、交換用の大型アイカップ(EP-13)を付けていても使えることを確認済みです。
E-M1 MarkIIのホットシューとアイピースの位置関係もあり、純正カバーよりやや大きなサイズになってますが、アイピース周りの段差を埋めるデザインになっていて、見た目の一体感もあります。
ちなみにホットシューカバーが外れやすいからと外したままで使っていると、コの字状の金属にストラップや衣類を引っ掛けやすかったり、登山で岩などに当てると変形してホットシュー自体の破損に繋がるので(経験アリ)カバーの装着は必須だと思っています(特にアウトドアで使うならば)。
Stand by Finderの購入は以下のMiyachi氏の個人販売サイト「Miyachi Online shop」(新ブランドMIYAGEN Trail Engineeringを立ち上げられ、現在はそちらで販売中)にて。現在ソニーα7III〜α9系用、オリンパスはE-M1 MarkII/MarkIII用の他、E-M5 MarkII/MarkIII対応品が購入可能。E-M1 MarkII用に考案されたバネ形状は、早速全てのカバーにフィードバックされたらしく、先行した発売されていた旧タイプ(ソニー用)は在庫限りで少しお買い得になっています。
Miyachi氏が趣味のレベルではないプロダクトデザイナーであることは、以前お会いした際に伺ってましたが、技術のある方がアイデアをすぐ形にでき、周囲のレビューを取り入れながら改良を加え、販売レベルの製品を家庭で作ることができる3Dプリンターというのは改めて革新的なツールなのだと感じられた一件でした。レビューのみではありましたが、テストに参加させて貰い光栄でした。