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秋の尾瀬・燧ヶ岳:2つの高層湿原を歩いて東北最高峰から尾瀬沼に下りる山歩き【前編】

10月4日の日曜日、福島県の燧ヶ岳と尾瀬沼を歩いて、湿原の草紅葉を楽しんできました。

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秋の燧ヶ岳と尾瀬沼を歩く

燧ヶ岳(ひうちがたけ)は福島県の南部(南会津郡)にある日本百名山で、至仏山と並ぶ尾瀬を代表する山。山頂部には5つのピークがあり最高峰の「柴安嵓(しばやすぐら)」は標高2356mでどうやら東北の最高峰だそう。燧ヶ岳の麓に当たる尾瀬沼の上に群馬県と福島県の県境があるのでギリギリの東北ではありますが、東北最高峰が尾瀬だったとは少々意外でした(登った山の標高もあまり覚えてない)。

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10月に入り北アルプスと共に東北方面の紅葉が最盛期となり、Twitterのタイムラインにも見事な紅葉の写真が流れてくるようになりました。八幡平や栗駒山の紅葉は一度見てみたいですが、やはり日帰りで行くには遠すぎる……。

この日曜は天気予報も微妙で処に行っても1日曇天のようなので、あまり遠出をしても……。でも景色の良いところ行きたい……。そうだ、尾瀬なら天気が悪くても湿原の草紅葉を楽しめるのでは!?みたいな。上高地と並ぶ人気の山岳景勝地である尾瀬。実は未だ我が家は尾瀬未経験だったので、丁度いい機会かもしれません。

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一口に尾瀬といっても有名な尾瀬ヶ原や至仏山(日本百名山/2,228m)がある群馬県側から、福島県との県境上にある尾瀬沼、燧ヶ岳(福島県)までかなりの広範囲を差します(新潟県にもまたがります)。徒歩での長い山越えを除くとアクセスがほぼ釜トンネルに限られる上高地と違って、尾瀬に入る経路も復数ありますが今回は駐車場から直接徒歩で入山できる福島県側の御池(御池駐車場)を選びました。

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尾瀬ヶ原と尾瀬沼は結構離れている……

御池から2つの高層湿原を歩いて燧ヶ岳に登り、尾瀬沼へと下りるコース。帰りは沼山峠からシャトルバスで御池に戻ります(尾瀬には上高地同様にマイカー規制&シャトルバスを利用する入山口が、鳩山峠と沼山峠の2箇所あります)。

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ということで行き先は決まったもののこの御池までがそこそこ遠い。高速道路は東北道の西那須野塩原ICまでですが(那須の2つ手前)、そこから下道を100km少しで約2時間……。感覚としては高速を下りてからの方が長いぐらいですが、全般に道幅は広く走りやすい道路。道中には道の駅が4箇所ぐらいあるので、トイレは事欠きませんが、夜中に開いてるコンビニは塩原温泉より先にはなかったと思います。

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ちなみに御池の少し手間にある檜枝岐温泉は会津駒ヶ岳の登山口でもあり、そちらも気になったものの今回は燧ヶ岳気分でした。檜枝岐温泉もいい感じでしたし、また下道運転頑張って来なくては……。

御池駐車場から初尾瀬登山スタート

日曜日の日付が変わってから東京の自宅を出発して、御池駐車場に到着したのは朝5時過ぎ。そのまま朝食を食べて準備します。
御池は沼山峠行きのシャトルバス乗り場なので、400台が止められる駐車場があります(1日1000円)。紅葉シーズンではありますが、朝の時点で車は2〜3割程度といったところ。

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公衆トイレや土産物店にもなっている「山の家 御池」、日帰り入浴可能な御池ロッジ(2020年は営業自粛)もあり、水芭蕉やワタスゲのハイシーズンにはそれなりに賑わうのかもしれませんが、この日はかなり閑散とした雰囲気でした(戻ってきたときも)。ちなみに御池から燧ヶ岳をピストン山行する場合、途中にトイレはありませんのでしっかり済ませておきましょう。

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6時前に出発。駐車場の奥に登山口があります。

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黄葉が始まっている森の中の木道を歩き始めます。

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すぐに分岐があって直進すると燧ヶ岳の北を回り込んで、いくつかの湿原を抜けて尾瀬ヶ原へ抜けるコース。燧ヶ岳へ登る場合は左手へ進みます。

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分岐を直進するとすぐ「御池田代」という湿原がありますが、この「田代」という名前が付く地名が尾瀬にはたくさんあります。「水田・田地」を意味する「田代」が転じて「湿原」の意味で使われていると思うのですが(御池田代=御池湿原みたいな感じ?)、「田代」があったら湿原だと思って良いでしょう。ただし、同じ尾瀬国立公園エリアに「田代山湿原」という高層湿原もあるので(尾瀬からは離れています)ちょっとややこしい!?

燧ヶ岳方面の登山道、それなりに人が通るので整備されていますが、尾瀬メインエリアのハイキングコースと比べると木道などは結構老朽化している所が多いです。

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また木道のない部分ではぬかるみも多く(上下に湿原があるので、間の斜面もぬかるみがち)、多少の泥汚れは覚悟しましょう。我々はハイカットの登山口でしたが、トレランシューズやゲイター着用の人も見ました。

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すぐに急登が始まります。地図を見れば分かりますが、燧ヶ岳までは「急登→湿原→急登→湿原→急登」の繰り返し。山の北東斜面をほぼ直登のみの分かりやすいルートです。

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派手さはありませんがいい感じの紅葉を見ながらの急登。

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あれ? 尾瀬ってこんなだっけ…… みたいな初尾瀬が続きます(笑)

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広沢田代と熊沢田代、2つの高層湿原

と思ったら突然視界が開けて高層湿原に出ました。最初の湿原「広沢田代」です。これは尾瀬だ。

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一面の草紅葉ですが、よく見るとグリーンとのグラデーションが残っています。正面に見えるのが燧ヶ岳ですが、まだ山頂は見えず、平べったい山の上は次の湿原だと思います。

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高層湿原といえば池塘ですね。そこまで数は多くありませんが、広沢田代にも池塘が見られます。池塘の向こうは下り斜面。階段のテラスのような台地から水が流れずに溜まった状態というのも不思議ですが、泥炭の堆積による高層湿原ならではの光景なのでしょうね。

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比較的短い広沢田代を過ぎて、再び急登が待つ森の中へ……。

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2つの湿原の間に5合目。

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振り返ると先ほどの広沢田代が見えています。中央付近に小さく御池駐車場も見えています。

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特徴的な山は日光白根山かな。関東圏より北、東では最高峰になる2578mは尾瀬からも目立ってよく見えています。

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2度めの急登を超えると再び広い湿原、遂に燧ヶ岳の山頂まで見えてきました。

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広沢田代よりも広い熊沢田代が目の前に広がっています。そして燧ヶ岳。よい!

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日曜日ですし登山者の姿はそこそこあるものの、たまに追い越しが発生するくらいで、開けた所で比較的人が多いという状況でこれ。密とは無縁のソーシャルディスタンス。

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大きな2つの池塘に挟まれた木道にベンチがあります。

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ベンチから見た池塘。向こうに見えているのは日光連山ですかね。

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中腹の紅葉もいい感じ。

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振り返ると湿原(熊沢田代)一面の草紅葉。

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ところどころに見える赤はナナカマドですね。

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7合目。

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相変わらずのストレートな急登が続きます。

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熊沢田代と右奥に視線を動かしていくと広沢田代、御池駐車場と見えています。

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8合目。

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木道というか土が流れるのをかろうじて止めている状態な赤土のトラバース。

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広沢田代。

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登山道は分かりやすいですが一部直進で間違えそうな箇所があるので、暗い時間帯は注意しましょう(特に下山時)。

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ほぼ山頂付近。駐車場を挟んで右手の奥の山が会津駒ヶ岳でしょうか?

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燧ヶ岳の2つのピーク、俎嵓&柴安嵓

燧ヶ岳のピークのひとつ「俎嵓(マナイタグラ)」の山頂です。というか俎(マナイタ)は読めんかった…… まあ嵓(グラ)もですけどね。

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三角点があるので、ここが最高地点かと思っていたら、こちらは2346mで2番目のピークのようです。ここで安心して折り返したら、山頂踏んでないことになってしまうのか……。

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文字が認識不能な山頂標識。高曇りの天気ですが尾瀬沼や日光連山までよく見えています。

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あちらが最高地点のある「柴安嵓(シバヤスグラ)」。こうして見ると双耳峰のようでもありますが、ピークは5つ。登山道が付いているのは残りもう1つすです。

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尾瀬沼の手前に見えている(木々の生えてない小さな広場)のがその「ミノブチ岳」。後ほど通ります。右側見える膨らみが、その他の2つのピーク「赤ナグレ岳」と「御池岳」でしょう。たぶん。

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ミノブチ岳。

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尾瀬ヶ原も半分見えています。その向こうには尾瀬のもう1つの日本百名山「至仏山」。あちらも立派な山ですね。

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それでは柴安嵓へ。

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柴安嵓まで片道20分ぐらい。

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俎嵓と柴安嵓の鞍部から柴安嵓を見上げます。

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俎嵓を振り返って(と何度も書いていても、どっちがどっちだか分からなくなってしまう……)。

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火山の山らしい光景も。

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そういえば柴安嵓の山頂に出たら結構風が強くてソフトシェルを着ています。

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柴安嵓には燧ヶ岳の立派な山頂標識がありました。

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柴安嵓からは尾瀬ヶ原と至仏山の全容が見渡せます。尾瀬ヶ原、広いなぁ……。

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もう少しお天気が良いと嬉しいですが、こればかりは仕方ない。なんやかんやで遠くの山も結構見えていますし。

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柴安嵓からは尾瀬ヶ原に下りる登山道があります。テント泊で至仏山と縦走するのも楽しそうです。

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この眺めを楽しみながらザックを下ろして休憩。昼食も軽く持ってきていますが、まだ9時台ですし尾瀬沼に下りて食堂など利用できるなら、そこで食べようかなと行動食とつまむ程度にしておきます。

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そろそろ俎嵓へ戻ります。

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長栄新道を使って尾瀬沼へ下山

尾瀬沼に下りるルートは2本あって、写真正面に見えるミノブチ岳の山頂を経由する「長英新道」と、尾瀬沼の右手のワンド(沼尻)に真っ直ぐ下りる「ナデッ窪」という急登ルート。ナデッ窪は下り向きではないそうなので、素直に長栄新道を使います。

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多分このなだらかな斜面が「長英新道」。ミノブチ岳を過ぎたら明らかに退屈そうですが、下りはそれぐらいでいいのです!?

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ミノブチ岳まで下りてきまて振り返り。右側の先が2つに割れているのが俎嵓と柴安嵓。左手は御池岳? 赤ナグレ岳?

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この辺をナデッ窪が通ってるのかな?

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尾瀬沼の左手側の湿原(浅湖湿原・大江湿原)方面に向かって下りて行きます。

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一部で紅葉なども見られつつ……。

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基本的には普通の樹林帯を黙々と下りて行きます。

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かなり池の標高に近づいてきましたが、長栄新道の半分も来ていません。

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長栄新道1合目を過ぎてから、さらに傾斜が緩くなり少しずつ標高を下げて行くことに……。登りだとこれはこれで厳しいかも。

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秋の色を楽しみつつのんびり行きましょう。

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ゆるゆると下り坂を2時間歩いて、ようやく尾瀬沼のほとりに出ました。長英新道分岐を道なりに先に進むと、尾瀬沼周辺では最大の湿原(尾瀬全体では尾瀬ヶ原に次ぐ大きさ)である「大江湿原」。尾瀬沼沿いを西側に少し折り返すと「浅海(あざみ)湿原)。まずは浅海湿原を見て行くことにします。

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燧ヶ岳からの長英新道を下り切った時点で登山要素はほぼ終わったので(以後は尾瀬らしい木道ハイキングです)、今回はここまで。思ったより写真も文字数も多くなってしまったので、尾瀬沼と湿原歩きについては後編にて。日帰りなのに長くてごめん。初めての尾瀬だからつい……。

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登山ルートと山行ログ

メジャー観光地なので山と高原地図のコースタイム表示はやや甘めに設定されていますが、景色が良いので写真を撮っていると結局時間が掛かってしまいがち? 登山系SNSのレポートなどを見てもファミリー登山からトレランまでかなり人によって差があるので参考にする場合は注意した方がいいかも。

参考資料(尾瀬の地図)

ヤマケイオンライン 尾瀬ナビのトレッキングマップ。1/25000地形図が元になっていてルート区間も細かく区切られています。
尾瀬ナビ - 尾瀬のハイキングコースを紹介 Yamakei Online / 山と溪谷社

尾瀬保護財団の尾瀬ハイキングガイド。こちらの地図も等高線入りでアップダウンがある部分は分かりやすくなっています。
資料ダウンロード – 尾瀬保護財団

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