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昭島で多摩川の牛群地形を見て、日野用水の掛樋を目指す多摩歩き

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昭島市にある多摩川の牛群地形を見に行きました。

そこから多摩川を渡り、日野市にある掛樋(水路の立体交差)を見に行った散歩の記録です

多摩で行われるロードレスを何処で見よう?

この週末(7/13)、東京の多摩地区で自転車ロードレースの大会「THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025」が開催されます。東京オリンピックのロードレース同様に調布市の武蔵野の森公園からスタート、多摩川を渡って多摩丘陵の中を抜け、再び多摩川を渡り多摩川上流を目指してゴールは青梅駅前というコース。
THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025 | 2025年7月13日(日)開催

府中市内は恐らくパレードラン、稲城市、多摩市あたりもまだ集団がバラけることはなさそうですし、青梅まで行ってしまうと地元観戦の気分にもならない。日野市から多摩大橋の周辺でどこかいい観戦スポットはないかな……とロケハンがてら、気になっていた昭島の牛群地形を見に行くことにしました。

くじらタウン昭島市、東中神駅から多摩川へ

JR青梅線の東中神駅にやってきました。

府中より少し低いが十分暑い駅前。真夏日、猛暑日の続く今週ですがスッキリした青空は見えず、白っぽい空の毎日。薄曇りというには日差しが強いですし、これは空気中の湿度が高いせいなのか。

駅前にはくじらロードの看板とクジラのモニュメント。足元のマンホール蓋にもクジラ。

かつて昭島市内の多摩川河川敷で200万年前のクジラの化石が発掘され、アキシマクジラと命名されたこともあり、クジラは昭島市のシンボルとなっているそう。市民まつりの名前も「昭島市民くじら祭」。
アキシマクジラ|昭島市

スタート早々ですが既にお昼時間ということで駅前のこちらのラーメン屋「○決 (まるひろ)」へ。

中華そばが今どき600円という嬉しい価格。中ラーメンに卵を付けても800円。

昔ながらの醤油ラーメンですがコクのあるスープで美味しいラーメンでした。スープが熱々なのが嬉しい。次回はチャーシューかワンタンのトッピングにしょう。

「昭和公園」。JRの線路を挟んだ国営昭和記念公園の半分ぐらいは昭島市ですが、こちらは昭島市立の昭和公園。円形の広場に、D51機関車など。

立派な蔵のあるお宅。

奥多摩街道を超えると段丘崖を下ります。これは立川崖線でいいのかな?

段丘崖を下りてすぐの水路。「中沢堀」と呼ばれる段丘崖からの湧水を集めた水路のようです。

新奥多摩街道を超える歩道橋の下あたりに……

「昭和用水」が流れています。

昭和用水のスタートは先日見た同じ昭島市内の昭和用水堰。


用水路の近くには水田がある。

多摩川の左岸堤防に出ました。奥に見えているのが多摩大橋。

自販機ポイント。多摩サイを走る自転車の人も利用していましたが、携行していた水筒の最初の入れ替えはここで行いました(牛群地形を見た後で)。

多摩大橋の手前で多摩サイが天端から一段低く下りてるあたり……

河原に出られる場所が数か所あります。


近代の開発から生まれ、徐々に消えゆく「牛群地形」

河原に出ると何か見えてきました……

これが「牛群地形」! 川の流れに沿って縦長に削られた地面がボコボコとした造形が一面に広がっています。水が流れている澪筋の左岸、右岸の両岸にあります。

上流側から下流側へ。


Xに投稿した動画。全体の雰囲気はこれで分かると思います。

この牛群地形、明治から昭和初期に掛けて多摩川の砂利が盛んに採掘されたことで露出した平山砂層が川の流れで削られて生まれた地形だそう。自然の力が生んだ造形ですが、近代の人の手による開発があって、さらに自然の力が加わったことで誕生した人と自然の共同作業が生んだ光景。1970年代に凹凸はピークを迎え、1980年代以降になると再び川の侵食により規模を縮小させているそう。

かつてはここよりも上流、JR八高線の多摩川橋梁あたりでも見られたそうですが、2015年頃の河川改修により完全に撤去されてしまい、現在は小規模な牛群地形がこの場所に残されているのだそう。この牛群地形も台風など多摩川が増水を繰り返すことで徐々に姿を消しつつある、誕生からごく短い期間のみ見ることができる期間限定の地形。

Google Earthで2012年12月の八高線橋梁あたりを見ると確かに広範囲に牛群地形が確認できます。
https://earth.google.com/web/@35.69423483,139.36825382,79.07732147a,1155.72698008d,35y,0h,0t,0r/data=ChYqEAgBEgoyMDEyLTEyLTEyGAFCAggBOgMKATBCAggASg0I____________ARAA?hl=ja&authuser=0

また先日、多摩川横断水道橋の周辺でみた不思議な地形も恐らく同様で、2012年まで遡ると現在よりハッキリした牛群地形だったことが分かります。
https://earth.google.com/web/@35.70275351,139.33817021,90.38976356a,934.87069523d,35y,0h,0t,0r/data=ChYqEAgBEgoyMDEyLTEyLTEyGAFCAggBOgMKATBCAggASg0I____________ARAA?hl=ja&authuser=0

岩というか細かな砂が固まったような地質。

水が流れているところを見ると粘土状になっています。

靴底で擦ってみると剥がれるぐらいの柔らかさ。確かにこれは普通の岩よりも短時間で侵食が進みそう。

牛群の名前の通り牛の背中が並んだような形状ですが、古い写真と比べるとやはり侵食が進んで滑らかになっているようです。10年以上前から多摩川のほとりに住んでいますが、もう少し早くこの存在を知りたかった。

川の中に残されている島状の岩には穴が空いています。

水の中にも侵食による不思議な地形が見られます。

小さなな穴が至るところに空いていてタイドプールのようになっています。

対岸には下から侵食された川岸。

まだ牛群がなんとか形を保っいるうちに見られて良かったです。ここも定期的に訪れてその姿を記録しておきたい場所、多摩大橋からすぐ下流にあります。

牛群の上を歩いて下流側へ。

ここから先、左岸には消波ブロックが入って牛群は消えますが、対岸はもう少し下まで残っています。

六脚ブロックの奥に見える箱状の構造物は一体?


牛群地形周辺で見た生き物

対岸下流側に残る牛群地形とアオサギ。


牛群の水たまりではシオカラトンボが交尾をしていました。

シオカラトンボかと思いましたがコフキトンボ?

こんなとこにもスモール(コクチバス)の幼魚の群れ。かなり上流まで生息してるとは聞いていましたが、普通にいますね。


野水堀排水樋管〜昭和用水路多摩川放水路水門

さて、先程の箱状のコンクリート。反対側に回り込みましたが謎。これも消波ブロックの一種でしょうか?

同じものが数か所設置されていました。上に六脚タイプのブロックが置かれている場所も。

水門がありました。

「野水堀排水樋管」。野水堀は昭島市内の日枝神社(上川原町)下を源流とする水路。現在は大半が暗渠化されているそうですが、昭和用水とはどこかで交差しているのでしょうか?
詳細|空間でたどる|あきしま 水と記憶の物語

下流方面は広大な緑が広がっています。

ズームするとJR中央線が見えました。右岸の先は日野駅ですね。

低水護岸の上からも牛群地形が見えます。

「築地の渡し跡」、大山街道(大山道)はブラタモリでも特集された現在の青山通りが有名ですが、府中や八王子から大山に至る大山道もあったそうです。そんな八王子経由の大山道の多摩川の渡し場の跡。

このあたりの澪筋は左岸寄りを流れていますが、右岸からかなり大きな流れが合流しています。右岸に大きな水門が見えますが何でしょう。この後で見に行ってみようと思います。

河口から43.4kmポスト。

ここにも小さな流れ込み。

「昭和用水路多摩川放水路水門(紅林水門)」。

堤防の外には水路を分岐する立派なゲート設備がありました。

昭和用水の上流側と下流側。昭和用水内の水量が増えた際などに、余水を多摩川に戻す水門でしょうか。平常時と思われるこの日もそこそこの水量が多摩川に流れていました。

取水されてから段丘崖の近くを流れていた昭和用水が、多摩川堤防のすぐ外を流れていたことに驚きましたが、ここから先ほどの新奥多摩街道の歩道橋に向かって多摩川を離れて流れて行きます。

多摩大橋を渡って八王子市へ

そして「多摩大橋」へ。

特徴的なアーチが掛けられているのは上流側の橋で、下流側の橋は1966年に開通した古い橋だそう。

2007年に完成した上流側の橋。

「7径間連続鋼箱桁補剛アーチ橋」(わからん)。土木学会の賞も受賞しているそう。
多摩大橋 | 実績紹介:道路 | 戸田建設

ということで週末、この橋をロードレースの選手たちが日野市側から走ってきます。

上流橋の方が下流橋よりも高くなっているので、牛群地形が見えました。

上流側。左岸からの流れ込みは右奥に見える「多摩川上流幹線樋門」からの水。堤防の先に多摩川上流水再生センターがあります。左奥のグラウンドは昭島市の「多摩川緑地 くじら運動公園」。

奥に見えている八高線の多摩川橋梁に掛けて魚道のある床止め、落差工が連続しています。八高線の先には日野用水堰があります。線路の先にあるエントツは昭島市清掃センター。

このあたりの河川敷も緑が深い。上流の多摩川トライアングル同様に多くの動物が暮らしていることでしょう。


多摩川大橋を渡ると八王子市に入ります。

多摩川右岸には八王子水再生センター。敷地はかなり広大で日野用水堰のすぐ下から続いているようです。

下流橋側に移動しました。橋の中央部、かなり高さが違うのが分かるでしょうか。



右岸堤防沿いにある「粟ノ須みどりの広場」も八王子水再生センターの敷地を開放したものだとか。


八王子水再生センター排水樋管

先程対岸から見えた大きな水門にやってきました。右岸側に八王子水再生センターがあるということは、その処理水を多摩川に流す放流口でしょう。

八王子水再生センターの排水樋管と八王子市の1号幹線排水樋管とのこと。

左側のゲートから勢いよく水が流れていますが、こちら側が八王子水再生センターの排水で、右側が雨水のゲートでしょうか。

多摩川方面。

橋のようなものが見えますが、さらにパイプを半分に切ったようなものが……。Googleマップで見ると水路が交差してるように見えます。立体交差は気になりますよね?


排水樋管からの流れの上を横切る水路。何のための水路かよく分かりませんでしたが、Google Earthで遡ってみると2016年頃に河川改修が入っていて(上流の牛群地形が消えた工事)、その際に作られた排水路?のように見えます。時期によっては水が流れて(溜まって)いるようにも見えますが、現在はここまでハッキリした水路ではないようです。


https://earth.google.com/web/@35.69195639,139.37637705,78.10668595a,1621.83972117d,35y,0h,0t,0r/data=ChYqEAgBEgoyMDE2LTAzLTMxGAFCAggBOgMKATBCAggASg0I____________ARAA?hl=ja&authuser=0

謎の立体交差の下を潜って多摩川の澪筋へ流れて行く排水樋管からの水。下水の処理水には見えない緑溢れる光景ですが、実際は少しだけ臭います。

右岸側の河口から43kmポスト。

右岸堤防を外れると素掘りの水路の上を越えます。これは少し上流で日野用水から分岐した流れで、この先で谷地川に流れ込んでいるようです。オーバーフローを戻しているのかな?

ほぼ読めない看板。谷地川浄化施設。

谷地川に出ました。釣りキチ三平世代なのでつい谷地坊主の「やち」と読んでしまいがちですが「やじがわ」だそうです。このすぐ先で多摩川に合流しています。

谷地川はほぼ八王子市内を流れている川で、多摩川に合流する直前で日野市になります。東京都南多摩西部建設事務所から多摩川を管理する京浜河川事務所に切り替わる河川管理境界の看板がありました。


谷地川と日野用水の立体交差、掛樋

谷地川の新旭橋に出ました。今回、牛群地形ともう1つ見たかったランドマークがここにあります。

それがこの「掛樋」。谷地川の上を日野用水の水がコンクリート製の樋を流れ、川と用水路が立体交差しています。写真は新旭橋の上流側、左から右上に向かって水が流れています。

新旭橋のたもとから掛樋を流れる水を覗き見ることができます。用水路の掛樋というともっと規模の小さなものを想像していましたが、この掛樋はかなりの規模で驚きました。流れている水量もそれなりのもの。

こちらが掛樋にかけて流れる日野用水。左が谷地川。谷地川の右岸を日野用水が並行して流れていますが、写真右奥の街路樹の辺りで道路に沿って右にカーブしているようです。

掛樋に行く手前で一部の水を谷地川に流しています。

日野用水から谷地川に流している水を対岸から。

谷地川の落差工。

掛樋の南側にはすぐ多摩丘陵が立ち上がっているので水路の立体交差を俯瞰で見ることができます。淵上日野線(都道169号)を走るトラックと比べると掛樋の大きさが想像できると思います。ちなみにこの新旭橋もロードレースのコースです。このアングルでの観戦も悪くないかも!?

ところで谷地川の川底、牛群地形の地質に少し似てるような気がするのは気のせいか。というか三面護岸でなく二面張りなんですかね。



日野用水上堰と日野用水下堰を少し歩く

谷地川を越えた日野用水沿いを歩いてみましょう。この流れは「日野用水上堰」と呼ばれているようです。

水草がビッシリの用水路。この藻?は府中用水でもよく見る気がする。


栄町5丁目のY字路で用水路も二又に分岐します。

付近には「東光寺大橋の碑」「東光寺の火の見櫓の看板」など。

分岐した淵上日野線沿いを流れる日野用水上堰。

東光寺がありました。


東光寺の横を入っていくとまた別の用水路がありました。こちらは「日野用水下堰」と呼ばれている水路のよう。

谷地川方面から流れてきているようですが、写真の橋の下で東光寺の方から流れてきたと思われる水も勢いよく合流しています。

日野用水上堰と下堰はかつては異なる取水口だったようですが、現在は日野用水堰(平堰)で取水した水が分水して流されているみたい。別の水路という理由ではなく、分岐したり合流しながら周辺の田畑を潤す用水網になっているようです。このあたりは水路沿いに親水路が作られています。

多摩川にも多かったですがハグロトンボがたくさんいました。

『「水都・日野」 水辺のある風景日野50選』。3本の多摩川の支流の間を用水路が網の目のように張り巡らされた日野市、50選コンプを狙ってみるのも面白いかも!?
「水都・日野」 水辺のある風景日野50選|日野市公式ホームページ

ここでも水路が合流。やはり日野用水上堰側からの水でしょうか。

本当にどこを歩いても用水路に遭遇する街ですね。府中用水や大丸用水、二ヶ領用水以上かも?

再び日野用水上堰に沿って歩いていると中央線の高架が見えてきました。

日野駅の下を流れて行く用水路、随分と古そうなレンガの橋脚だと思ったらやはり明治の時代に作られた古いものだそう。

看板や古い日野駅の写真を見ることができました。日野駅から豊田側は日野台地に入るので沖積低地からの段差を埋めるためなのか昔から高架になった駅だったのですね。

今年の2月に日野駅の東側で見た日野用水と繋がりました。展示も見ておいて良かった!

日野用水はまだまだ続きますが強い日差しを浴び続けたので、この日はここで切り上げました。

東中神駅から日野駅。牛群地形と掛樋と関連のない構造物を繋いでみましたが、他にも見どころもあって楽しめました。肝心のロードレースの観戦場所は結局決まったようなまだ決まってないような。