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散歩に登山から普段着まで、機能性インナーについての私感

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毎年、夏が近づいてくると機能製インナーの話題をネットで目にする機会が増えます。

「エアリズムは汗ビショビショになる」とか「やっぱりモンベルのジオライン」「ミレーのアミアミが最強」等々。個人の経験に基づく声としてどれも間違ってないと思いますが、比較対象としてそれとこれを比べるのもなぁ…… と感じることも。自分もそこまで詳しい訳ではないですが登山やハイキングから普段着までいくつかの機能製インナーを使っているので、それぞれの違いとか使い分けについてちょっと書いてみました。

ベースレイヤーとドライ系インナー

文字通り肌着、下着としてのインナー、アンダーウェアですが、アウトドアウェアにおけるレイヤリング(機能的な重ね着)では、これに相当するのは「ベースレイヤー」と呼ばれます。肌の上に直接着て汗を素早く吸い上げて蒸発させる役割で、メリノウールなどの天然素材も使われますが、速乾性を重視した場合はナイロンやポリエステルの化繊素材が中心になります。有名なモンベルのジオラインもこのベースレイヤーの一種。

これら従来型の機能製レイヤーであるベースレイヤーに対して、度々名前が上がるミレーのアミアミこと「ドライナミックメッシュ」やファイントラックの「ドライレイヤー」は、仕組みは微妙に異なりますが狙いや効果はほぼ同じ。ベースレイヤーの下に着用し毛細管現象により汗を素早く吸い上げて、ベースレイヤー側に効果的に受け渡します(それにより肌から水分を切り離し汗冷えを防ぐ)。


DRYNAMIC MESH ドライナミック メッシュ | MILLET

この手の“下着の下着”ジャンルは、ファイントラック製品の「ドライレイヤー」という言葉が一般名称のように使われることもありますが、ファイントラック社にとって主力製品の商標ということもあり、自社製品以外では使われたくないみたい(記憶違いなら申し訳ないですが、ミレーも以前は広告等で「ドライレイヤー」という表記を使っていたような?)。

㈱finetrack ドライレイヤー®・ファインポリゴン® | 日本弁理士会 関西会
「ドライレイヤー®」についてはこの分野の代名詞になりつつあり、機能性は明らかに劣るものの見た目はよく似た製品に同じような名称を付けて販売しているメーカーがありました。そのときは弁理士さんと相談して警告書を送り、商標上の観点から名称の使用をやめていただきました。特許関係でも当社とそっくりの製品を販売していたメーカーがあり、その時も警告書を出したうえで話し合いを行い、すべて破棄していただいたことがあります。

最近はメディアなどでもドライレイヤーではなく「ドライ系アンダーウェア」「メッシュインナー」「ドライインナー」等の表記を見るようになりました。自分もつい「ドライレイヤー」を一般名称として使いがちですが、この記事では「ドライ系インナー」で統一するようにします。

改めて確認するとドライ系インナーは、速乾性のあるベースレイヤーと組み合わせて、汗冷えを防ぐことがメーカーの想定した使い方です。
ただし普通のシャツやブラウス(化繊でも綿でも)の下に肌着として着用した場合でも、ドライ系インナーの特性上、肌に密着したドライレイヤーは殆ど保水しないまま上のシャツがベースレイヤーの役割を果たすので(素材によっては効率的でないにしても一定の効果はある)、濡れたシャツで肌がベタつく感覚もなく、快適なインナーだと感じる人が多いのだと思われます。

少々面倒な話から入ってしまいましたが、機能性インナーにおける「ドライ系インナー」というジャンルについての確認でした。ドライ系インナーの機能、効果的な使い方は、メーカー公式の製品解説の他、この辺りの記事も参考になると思います。

以下、自分が使ったことのあるドライ系インナーやその他の機能製インナーについて紹介します。

ファイントラック / ドライレイヤー

ファイントラックのドライレイヤー。現在はCOOL、BASIC、WARMの3種類のラインナップがあり、夏の汗対策で最も涼しく着用できるのは一番薄いCOOLとのこと。
自分が使っているのは旧商品のスキンメッシュ(現BASIC)とウインタースポーツ用のアクティブスキン(現WARM)。シャツの他にパンツ(ショーツ)も両モデルを使っています。COOL(旧パワーメッシュ?)は使ったことはありませんが、機能的にスキンメッシュでも十分と感じているのと、スキンメッシュでもかなり生地が薄く着脱の際には少々気を使うレベルなので、さらに薄いインナーとなると耐久性とかちょっと不安かも。

最初はその薄さ、軽さに驚くと思いますが(日常的に使う衣類でここまで薄い生地はほぼない)が、細かな孔が無数に空いた耐久撥水を持たせた生地で、肌に密着した側から抜けた水が撥水性により生地にとどまることなく、上のベースレイヤー側への吸収を促す仕組み。


L1:ドライレイヤー® | 国産アウトドアブランドのファイントラック

特性を活かすためには肌にピッタリ密着するサイズを選ぶことが重要で、その上に速乾シャツなどを重ねることで、ベースレイヤが肌にくっつく感覚(ベタベタ)や、濡れたベースレイヤーで肌が冷える(汗冷え)を防ぎます。ベースレイヤー側の乾燥が間に合わずびしょ濡れ状態のシャツを着ているのに、素肌に密着したドライレイヤーを挟むことで不快感や汗冷えが抑えられるのは、最初はなかなか面白く感じるかも。

長年登山用として使っていましたが、最近は夏場の街歩きや写真撮影の際にも相当汗をかくことがあるので、普段着のドライシャツの下に着用することもあります。エアコンでの汗冷え対策にもなるので、暑い屋外での活動で電車移動の両方がある場合などにも。
耐久撥水は洗濯を繰り返すうちに落ちてきますが、生地の薄さもあり濡れたシャツ感が出にくい(濡れてはいる)ので体感的に大きな変化はありません。

さらに生地の特性と抗菌防臭加工により臭いにくいとのこと。確かに夏場でも2〜3日続けて着た程度ではそこまで気になるレベルにはなりません(ネパールで1週間近く洗濯できなかった際は流石に…… でしたが)。

ミレー / ドライナミックメッシュ

ずっとドライレイヤーだったので人気のミレーのアミアミも試してみるかと追加したもの。激薄のスキンメッシュに比べるとメッシュ部分はそこそこ厚みがあり、濡れたらそれなりに吸水するのかと思っていたら、これが不思議と撥水するというか水を含まない。これは疎水性の高いポリプロピレンを主な素材として使っている効果のようです。
薄い1枚布のスキンメッシュと違い、大きなアミアミの穴を通して重ね着したベースレイヤーの肌触りを感じる(気がする)ので、スキンメッシュとはベースレイヤーの着心地が少し異なります。

着用時は汗をかいてもじんわり暖かく感じられ、汗冷えのしにくさはスキンメッシュよりも上かも。夏用としてノースリーブを買いましたが、汗冷えが大敵の秋に使ったり、冬山用に長袖を使ってもいいかもと感じます。
メッシュの厚みとかチラ見えした際のことを考えると、日常用途ならスキンメッシュの方が無難な気も。アミアミの見た目故に風が抜けて涼しそうなイメージを持つ人もいるかと思いますが、個人的には涼しさよりも汗冷えしにくさがキモのインナーだと感じます。

スキンメッシュに比べると臭いやすい(厚み故、繊維の隙間に菌を残しやすい?)という声もあるようですが、数日間連続で着用した経験がないのでそこは不明です。

また、現在はドライナミックの新シリーズ「ドライナミックスルー」がラインナップに追加されています。ベースレイヤーに汗を運ぶ仕組みは同じですが、素材はポリエステルとポリウレタン、片面メッシュ構造、シルエットをゆったりさせ、ライトなアクティビティや日常用途を意識したインナーだそう。


DRYNAMIC THROUGH ドライナミック スルー | MILLET

ドライナミックメッシュとスルーの違いについては、山と溪谷オンラインやYAMAPの記事も参考になりそう。

ちなみにアミアミのドライ系インナーは見た目がよく似ている類似品も多いのですが、安価な類似品に同等の性能があるかは不明です。素材は似ているようですし、安いので一度試してみようかな……。
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ミズノ / カルエアー(ドライエアフロー)

スポーツブランドのミズノも昔から様々な機能製素材を手掛けるメーカー(吸汗発熱素材などかなり早い時期から作っていたような?)。「カルエアー」はミズノの独自素材「ドライエアフロー」(汗の膜ができにくい、高通気性の素材らしい)を使った、軽量、高通気性、汗冷え抑制効果をアピールしたインナーウェア。
公式サイトではスポーツウェアではなく「日常用インナー」のジャンルになっています。


DRY AEROFLOW - ドライエアロフロー
【汗冷え抑制】 高通気性アンダーウエア「カルエアー」- MIZUNO

見た目がちょっとファイントラックのスキンメッシュ風でもあり「これはもしやミズノ版ドライレイヤーでは!?」と期待して(あと価格が手頃だったこともあり)試しに買ってみました。

色はホワイトのようにに見えますがややグレーがかった「ベイパーシルバー」です。
細かな穴が空いた軽くて薄い生地、手触りなど確かにスキンメッシュに似てますが、大きく違うのは撥水性がないこと。水をかけたら速攻染み込んで普通に濡れる。つまりドライ系ではない薄手の速乾インナーです。

生地の見た目はよく似ているけど撥水性はない

サイズ展開もMサイズからで、ぴったりサイズで肌と一体化するドライ系インナーの着用感とは異なりますが、意外とこのカルエアーが最近のお気に入りだったりします。着心地も軽く(物理的にもサイズ感にしても)汗を吸ってもベトつくこともなく、生地の薄さ故保水がすぐ飽和するのか重ねたシャツ等にすぐに汗が移動してくれるようです。

使っているのは撮影や街歩き用途で、登山やスポーツのような激汗をかく使い方はしていませんが、そこそこ汗をかいたときでもインナーの濡れ感が気になることもなく(上のシャツの方がしっとり濡れている)、汗冷えを感じることも今のところはありません。この辺りは一旦保水してしまうと、濡れ感が残りやすいエアリズム等よりも快適性は高いと思います。

ドライ系インナーはその特性上タイトな着心地になっていますが、常に身体を動かしているアウトドアやスポーツならまだしも、日常の活動でタイトな肌着をまとっていることが必ずしも快適とは限りません。普段着として使うなら機能性と着心地のバランスが良い、この手のインナーの方が自分は好きかもしれません。

追記:一部のサイズ、カラーがプライムデーセールの対象になっています。

ドライ系インナー(とカルエアー)の素材比較

生地の織り方や加工の違いがあるので単純に素材だけで比較できる訳ではありませんが、ドライレイヤー、ドライナミック、カルエアーの素材をまとめておきます(全てTシャツタイプで比較)。スキンメッシュとカルエアーの素材感が近いと感じたのにはポリエステル100%の共通点があるのですね。

メーカー 製品 素材 撥水 抗菌・消臭
Finetrack ドライレイヤークール ナイロン88%、ポリウレタン12%
Finetrack ドライレイヤーベーシック ポリエステル100%
MILLET ドライナミックメッシュ ポリプロピレン66%、ナイロン28%、ポリウレタン6%
MILLET ドライナミックスルー ポリエステル90%、ポリウレタン10%
ミズノ カルエアー ポリエステル100%

おまけで安価なアミアミインナー2モデル(おたふく手袋とトップバリュ)のスペックも調べてみましたが、ポリプロピレンをメインに使っているのは見た目だけでなくドライナミックメッシュを意識していそう。トップバリュのドライメッシュはナイロンとポリウレタンの割合までよく似ていますね。

おたふく手袋 3Dファーストレイヤー ポリプロピレン65%、ポリエステル28%、ポリウレタン15%
トップバリュ ドライメッシュス ポリプロピレン65%、ナイロン25%、ポリウレタン10%

3D FIRST LAYER – BODY TOUGHNESS(ボディタフネス)公式
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ベースレイヤーはユニクロのドライEXTシャツがコスパ抜群

ドライ系インナーとセットで使うベースレイヤーですが、登山用途だと気温によってメリノウール素材なども使われますが基本的には化繊の速乾シャツならなんでもOK。数年前から登山を含め夏場に汗を書く行動をする際は、ほぼユニクロ ドライEXの半袖Tシャツ(長袖はアウトドアブランドのベースレイヤーを使ってますが、長袖のドライEXシャツが出たら化繊ベースレイヤーはそれで十分)。

アウトドアブランドの製品なら比較的安価なモンベルでも3000円ぐらいから、ブランドによっては5000円以上することもある速乾シャツもユニクロなら2000円程度で買えます。
UNIQLO公式 | メンズのTシャツ・カットソー (ドライEX)

日常の撮影などTシャツ1枚だけで行動する際は「ドライEXクルーネックTシャツ」でこちらはアウトドアブランドの速乾シャツと似たような厚み(少し薄いぐらい)。

ユニクロ以外の山シャツを処分してしまい、お土産に買ったシャツしか手元にない

さらに汗をかく行動や登山の際はより薄手の「ドライEXTシャツ」(↑2枚上の右列)をドライ系レイヤーと組み合わせて使っています。このドライEXTシャツ、とにかく薄くて軽いですが、さすがに1枚で電車やバスに乗ると冷房で肌寒いですし、薄すぎて乳首浮きしやすいのでベースレイヤーは必須。
ユニクロ公式 | ドライEXTシャツ/ライト

無地のTシャツだと素っ気なさ過ぎるような際は、ドライEXのポロシャツなども。見た目はポロシャツですが素材はドライEXシャツとほぼ同じで、気持ち柔らかめ(写真左下は「エアリズムカノコポロシャツ」で半分ぐらい綿が入ってるもの)。自分はやはりドライ系インナーを合わせて着用しています。

そういえばドライ系インナーを着ていると、汗濡れがインナー全体に広がるせいなのか、ベースレイヤー側の汗じみが一箇所に集中しにくいように感じています。

* *

ちなみにユニクロの夏用肌着といえば「エアリズム」。ネットではあまり評判のよろしくない(?)エアリズムですが、メッシュタイプをタイトめで着ればそこまでダメということもないと思ってますが、もっと快適なインナーが他にありますし、最近はほぼ使っていません(むしろ化繊100%ではないエアリズムコットンを普段着に愛用)。

あと「ユニクロはエアリズムでなくドライEXを選べ」的な声もよく見掛けますが、冷感インナーのエアリズムとドライEX(下着ではないのでゆったりした着心地です)は用途からして別物ですね。自分に必要なのがインナー(下着)なのかベースレイヤー的な速乾シャツなのかは理解した上で、機能性素材を選んだ方が良いと思います。

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この他、自分が使ったことがあるのはモンベルの「ジオライン」。これまでL.W.、M.W.、EXP.を使ってきましたがL.W.のみ、早々にドライレイヤーを着るようになって、処分してしまったので着心地含めて殆ど記憶にありません。現在はさらに薄手の「ジオライン クールメッシュ」があるようですが、製品紹介を見る限りドライ系という訳でもないみたいですね。


https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1107752