先月発売されたしたiPhone 13 Proのカメラ性能、かなり素晴らしいようですね。新型iPhoneやPixelが出るたびに、もう一眼レフやミラーレスはいらない、スマホで十分!なんて話題もよく目にしますが(これは10年前のiPhone 4の頃から言われてる気もしますが)、最新世代のiPhoneカメラの進化は相当なものだと感じます。
以前はどうしてもセンサーサイズや光学系での画質差はありましたが、GoogleのPixel 3あたりからスマホ用の極小センサーながらもバースト撮影からのコンポジット処理等を始めとする画像処理の進化が著しく、レンズやセンサーサイズの差すら徐々に埋まる程の画質向上が見られるようになっています。
これを見てしまうとかなりiPhone 13 Proが欲しくなる! レンズ交換不要で超広角から77mmの中望遠までカバー、さらにマクロ撮影や動画機能まで優秀なカメラって、カメラ専用機にも存在しませんしね。
山に行ってiPhone 13 Proだけで写真撮ってきた。
— Go Ando / PREDUCTS / THE GUILD (@goando) 2021年10月3日
身軽なのはやっぱり良い。カメラを構えてる感覚と違うので、なんか没頭してない感じがしてしまうのは慣れのせいなのか。
もうしばらく風景写真をiPhoneで写真を撮るのを突き詰めてみようかなと思う。#ShotOniPhone13Pro pic.twitter.com/NorqSQyjSt
実際、日中の広角パンフォーカス撮影に関しては数世代前のスマートフォンから相当に綺麗な絵で撮れますし、最新の上位モデルでは夜間や星空の撮影も可能となり、将来的にはより長い焦点距離やレンズのボケ表現なども大きなセンサーのカメラと遜色ないレベルの写真が撮れるようになるかもしれません。また、現像やレタッチ不要でそのまま使える写真としてスマートフォンのカメラを好む人が多いことも事実でしょう。
さて、そんな私は最新のiPhoneを手にすることなく、現行モデルではありながら旧型モデルがベースのiPhone SE2を未だに使い続けているのですが、それについては特に深い理由はありません(最新ガジェットへの情熱が低めなのと、困ってないのに買い換えるのも勿体ないな程度)。
登山用のカメラにスマホを使うことに慎重な理由
そして、そんな最新スマホカメラには興味津々ではあるものの、登山の際に使うカメラについてスマートフォンを積極活用するかについては今の所は慎重派です。
画質の良さや現像の自由度のアドバンテージ(なんやかんやでまだまだ専用機の方が間違いなく良い)もあるのですが、その辺は別にして単純に専用カメラ機の方が撮影がスムーズで、かつ安全に、枚数も撮れる。そしてなにより道具として使っていて楽しい(笑)
確かにスマートフォンはカメラとしても優秀な上にコンパクトですが、登山の際には緊急連絡の通信手段(電話)でもあり、GPSや地図も兼ねています。行動中はなるべく機内モードにしてバッテリーは温存しておきたいですし、落下による破損や紛失防止のため、必ずジッパーのある衣類のポケットかバッグ等にしまうようにしています(さらに予備のスマートフォンも携行しています)。
よってスマートフォンを使って撮影する場合、[ジッパー等の開閉→取り出し→ロック解除→カメラ起動→撮影]の動作が発生します。これからの季節、手袋等をしていればさらに手間が掛かります。
それに比べると専用カメラ機は自分の場合はカメラホルスター等ですぐに脱着できるようにしているので[カメラ脱着→電源オン→撮影]と一連の動作がとてもスムーズになっています。しかも2台のカメラとズームレンズにより超広角から望遠まで広い画角に対応しているので、同じことをスマートフォンのカメラで行うとなると、費やす時間に大きな差が生まれます。
冒頭でiPhone 13 Proでの素晴らしい山写真のツイートを貼らせて貰った安藤さん。落下防止を含めたiPhoneを使ってのスムーズな撮影のフロー構築に、当然予備機も携行もされているそうで抜かりない運用。
iPhoneはすぐ出せるようにこんな風に装着。
— Go Ando / PREDUCTS / THE GUILD (@goando) 2021年10月3日
山写真を初めてiPhoneだけでやってみて、正直操作の物足りなさや使い慣れた一眼カメラへの愛着を感じた。
一方でiPhoneのカメラを使い慣れてない課題も感じたし、他のアプリとの組み合わせのワークフローなど、まだまだ突き詰められる余地がありそう。 pic.twitter.com/LaCiUDCtca
また最近は以前に比べて撮影枚数が増えていて、すぐに使わない可能性のある場面、画角も押さえることがあるので(後々別の理由で使えたりするので、目についたものはなんでも撮る癖が付いている)、だいたい1日の登山で数百枚から1000枚以上の写真を撮影します。
同じことをスマートフォンでやってしまうとカメラロールも大変なことになりますし、バッテリー消費も激しそうなので、やはり自分の場合は撮影用カメラは別にしておく方が効率的で安全。休憩時や山頂などで一息付いている際に、スマホ撮影してその場でSNSにアップしたりもしますが、基本的にはその程度です。
そもそも破損や紛失対策もあり、行動中にスマートフォンは極力使わないようにしています。
最新のスマートフォンともなるとサイズも大きくなっていますし、今の自分の装備だと携行方法から見直す必要があるでしょう。ウェアのポケットには大きすぎますし、専用ポーチを使うにしても今はカメラ2台の携行もあるのでその余裕がない。
行き先や用途次第では、携行するカメラを1台に減らして広角や望遠のどちらかをスマートフォンに任せる運用もアリな気もしますが、今はまだその段階ではないのかなと。この先、体力的な理由などで重たいカメラの携行が難しくなるかもしれませんし、スマホカメラの性能向上や撮影モチベーションとのバランスで全ての撮影をスマートフォンに切り替える日が来るのかもしれませんが、今はカメラ趣味人としてもなるべく専用カメラ機を使うモチベーションは持ち続けていたいとも思うのです。
登山で使うカメラについての条件は、画質にせよ重量や防塵防滴だったり、人によって本当に様々ではあります。自分の場合は上で挙げたような総合的なバランスもありますが、それだけでなく『専用のカメラ機を使っていることが楽しい』という、体験的な満足感の部分もかなり大きいのではないかと感じています。
普段使いのカメラはスマートフォンに落ち着きそう?
……と、登山ではまだスマートフォンより専用カメラ機を使いたい理由がある私ですが、普段の街中で使うカメラに関しては、もうスマートフォンでいいなと感じることが多いです。常に持ち歩いている道具ですし、スマートフォンを手に持ったまま行動してることも多いです。人の多い場所で取り出した際にも、スマートフォンの方が周囲に気兼ねなく撮影できます。
今は登山や旅行に出掛けた際の移動中の撮影も専用カメラ機を使ってますが、高速のSAや飲食店、温泉施設などにカメラを携行するのはたまに面倒に感じますし、できることならスマートフォンにしてしまいたい。
最新のiPhoneやPixelに買い替えたら、きっと登山や旅行などの特殊な用途以外は全部スマートフォンで済ませられるようになるかも…… と思うと、それはそれで楽しみでもあります(そう思ってるならさっさと買い換えろって話ですね)。
スマホ依存の高い人は、予備スマホ携行も検討しましょう
最後に、登山の際のスマホカメラ積極使用について。先程も少し書きましたが現在はスマートフォンへの依存度がとても大きくなっています。静止画・動画を記録するカメラとしてだけでなく、登山計画や行動記録、現在位置を確認するGPS&地図アプリ、さらに緊急連絡時の電話としての役割もあります。登山前後の移動の際にも、電子マネーや電子チケットを兼ねていることも多いでしょう。
余談ですがGPSログ記録や、地図上での現在位置の確認は、スマホアプリとは切り離されたスマートウォッチ(でYAMAP)を使ってます。スマホ画面で地図を見るのは休憩時などに限ります。
登山中に専用カメラ機をうっかり破損させても最悪記録メディアは助かりますが、スマートフォンが壊れたら写真が撮れなくなるだけでなく、連絡手段やGPS機能も失うことになり、下山後の公共交通利用に差し支える可能性もあります。恐ろしいのは滑落などの事故の際にスマホを紛失したり、破損させてしまうこと。
登山中にスマホカメラを積極的に使ってる方は、紛失や破損には十分注意して欲しいですし、モバイルバッテリーの携行(これはもう常識だと思いますが)と併せて、できることなら予備スマートフォン(私は常に1代前のスマホと格安SIMの組み合わせ)の携行についても検討してみてはいかがでしょう(特にソロの方は)。