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街中でも見られる神秘的なセミの羽化:夜のセミ撮りまとめ

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今年もセミの羽化を見守る季節となりました。

毎年同じような写真を張ってばかりなので、今回はそんなセミの羽化の観察や撮影のノウハウについてまとめてみました。ガガッと書いてしまったので後々追記や修正を入れて行きます。

セミの羽化、街中でも見ることができる美しい自然の営み

セミ取りならぬセミ撮り。日中に外で元気に泣いているセミ(蝉)でなく、夕方から深夜に掛けて土の中から出てきたセミの幼虫が羽化するまでを観察したり写真に撮っています。特別な目的があって続けてる訳でもないけど、夏が来ると楽しみにしている恒例行事です。

こんにちはこんにちは!!

毎年このセミの羽化ショーを見ているせいか、セミへの苦手意識も自然となくなってきましたし、マンション内の共用部でセミ爆弾に遭遇しても生きていれ普通に逃してあげられるようになりました。

さっきまで地面を歩いたり木を登っていたオケラみたいな丸っこい幼虫の背中が割れて、中から青白い成虫のセミが体をくねらせながら出てきて、徐々に羽根を伸ばしていく様子はとても神秘的。わざわざ山や森に行かずとも、街中の公園や街路樹など普段生活している住宅地の小さな緑地で見ることができる自然の営みです。

茶色い体のアブラゼミすら、羽化の直後は青白い体と半透明の羽の美しい姿をしています。

せっかくカメラや写真が趣味なので、できればいい感じの写真で残したいと毎年のように撮影してるセミの羽化。特別な技術が必要な撮影ではありませんが、私自身のやり方とか使っている機材をまとめてみました。

特別な機材は必要ないけど自分はミラーレス一眼

街灯のある公園や街路樹と真っ暗な雑木林では全く環境が異なりますが、今回は気軽に楽しめる住宅地周辺の公園や街路樹、植え込みなどを想定しています。普通に歩ける程度には街灯の明かりがあるけど、足元や木の周りはそれなりに暗かったり、ライトなしで小さな虫を撮るのが難しいぐらいの環境。

カメラは使い慣れたものならなんでもOK。ISO3200以上の高感度を使うこともあるので、できればセンサーの大きいレンズ交換式カメラや、明るいレンズがあるとよりラクになりますが、別にスマートフォンやコンデジでも撮ることはできます(後ほどコンデジやスマホで撮った写真も紹介します)。

被写体は3〜5cm前後の昆虫なので、レンズの焦点距離は広角レンズで特殊な効果を狙うとかでなければ、35mm判換算で70mmから200mmぐらいの中望遠、望遠域の出番が多くなります。当然ですが最大撮影倍率の大きく、開放絞りの明るいレンズの方が撮影はラクになります。

私の場合は三脚やライティング用のスタンドは一切使わないので、片手でカメラが扱える軽量な単焦点レンズに行き着きました。

OM SYSTEM OM-1+LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.

現在の私のセミカメラ。マイクロフォーサーズのカメラは手ブレ補正が強力なものが多く、機材全体がコンパクトなので自然の中での動植物の撮影にはピッタリですが、単に持っている機材を使っているだけです。
レンズはオリンパスのPROズームレンズを中心にマクロレンズを使ったりもしてきましたが、今はパナソニックのLUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.Sが一番のお気に入りです。

街頭の光が届かない場所で撮ることも多く、その場合LEDライトで照らしながらの撮影になります。片手はLEDライトを持っているので、ズームレンズの焦点距離を変えるのもひと手間ですし、片手操作のみで撮影することを考えると軽くてコンパクトなレンズの方が圧倒的に使いやすいです。

LUMIX G 42.5mm/F1.7は35mm判換算で85mm相当、所謂ポートレートに向いた中望遠レンズですが、このレンズの強みのひとつがかなり被写体に寄れること。
最短撮影距離は0.31mで、最大撮影倍率は0.4倍相当になります。さらに開放絞りはF1.7と明るいので、光量の少ない場所で小さな被写体を撮るには最適なレンズです。

オリンパスのPROズームレンズだと12-40mm F2.8 PROが0.6倍相当、 40-150mm F2.8 PROが0.42倍相当ととどちらもハーフマクロに近い倍率がありますが、それらのレンズと同じぐらいの撮影倍率のこのレンズ、防塵防滴ではありませんがハイキングの際なども花や虫を撮るのにピッタリなレンズでしょう。
ちなみにマクロレンズのM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroも十分軽量コンパクトですが、やはり1.5段分の明るさの差は実際に使ってみるとかなり大きいです。

光量が足りなければLEDライトを当てて撮影

街灯のすぐ近くならば少しカメラのISO感度を上げれば撮れることもありますが、足元の植え込みなどは光量が足りないことが大概です。そこで活躍するのがヘッドライトやLEDライト。もちろんスマートフォンのLEDライトも使えますが、光量調節できるLEDライトの方が経験上使いやすいです。


光量はあまりガッツリ当ててしまうとわざとらしくなるので、多少の高感度で手ブレせずにシャッターが切れる程度を自分は選ぶようにしています。手持ちのライトだと最大光量を使わないことが多いです。

セミの幼虫や羽化の最中にライトを当てることの是非は色々な声があるようですが、個人的な経験では、短時間LEDライトを当てた程度で羽化が止まったり、明かりを避けるような行動を取ることはありません。
(一方、後述しますが地面に出てくる直前の幼虫はかなり光を気にしています)

羽化してるセミや幼虫の探し方、注意したいこと

セミの羽化を見るには、セミの幼虫がいる場所を探す必要があります。セミは幼虫として土の中で過ごす期間が5年を超えることもある昆虫です。土の地面がある公園や街路樹、緑道の植え込みなどが主な探索エリア。

セミの鳴き声が多く聞こえたり、姿を見ることができる周辺。実際に地面に幼虫が出てきた穴が空いていたり、抜け殻が多く残っている場所を明るいうちに見つけておくと良いでしょう。

ちなみにLEDライトは撮影時だけでなく、セミを探す際にも活躍します。
羽化したてのセミは羽が乾くまでは白や緑っぽい色をしているので、暗がりにライトを当てればすぐに見つかります。慣れれば地面や木を歩いている幼虫もすぐに見つけられるようになります。

個人的に気をつけているのは、ライトを民家や歩行者に向けないようにすること。
ただでさえ住宅街周辺での夜間にカメラを持っての行動は不審がられる可能性もあるので、ライトを照らすのはあくまで足元や植え込みの暗がりだけ。木の上の方を照らす際は、不用意な光跡にも注意しています。

2023年のセミ:アブラゼミ、ミンミンゼミ、ニイニイゼミ

前置きはこの辺にして、先週から今週に掛けて撮ったセミ写真を紹介します。
まずはOM-1にM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROに装着して。PRO望遠ズームをテレコンを付けずに使うのは久々ですが、やっぱり身近な虫を撮るにはとても使いやすい焦点距離です。


街頭の光がそれなりにあえればLEDライトを使わないで撮ることも…。光が透けた青白い羽がきれい。

相変わらずアブラゼミは羽化しまくり。剪定された生け垣は見通しが良いので、たくさん見つかります……。

美しいミンミンゼミの羽化。うちの近所はなかなか見つからないんですよね。

少ししおれたアジサイの葉にぶら下がって羽化をしていました。向こうにはアブラゼミ。

すいません、ちょっと通りますよ・・・・

ということで1枚前からLUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.にレンズが変わりました。ズームが使えるのは便利ですが、やっぱり片手撮影では40-150mm F2.8 PROは重かった……。

先程のミンミンゼミをレンズを変えてもう一度撮りに行きました。透明な羽もですが緑色の体色が美しい。

そして今度は羽化したばかりのニイニイゼミ。日中に見るニイニイゼミよりも緑が目立ちます。

抜け殻はやはりドロドロ。これがニイニイゼミの抜け殻(幼虫)の特徴です。

30分後、かなり羽が乾いてきました。

反っていた羽もまとまってきました。真っ暗な笹ヤブの中でしたが見つけられて良かった!

これは別の日に見たミンミンゼミ。どうやら幼虫の段階でかなり色が違うようです。もう明らかに緑色。

せっかくキレイな色なのでコンクリ壁でなく植物で羽化してくれればいいのに…… なんて。ミンミンゼミの羽化がもっとたくさん見られるといいのですが、今年見られたのはまだこの2匹のみです。


幼虫が地上に出てくる瞬間が見たい!

セミの羽化は毎年見てますが、実はまだ見たことがないのが幼虫が地面の中から出てくる瞬間。
アブラゼミで幼虫の期間は6年と言われてるようですが、羽化をするために地面に出てくるのはほんの一瞬のこと。運良く地面から出てくる瞬間に巡り会えないものかと思っているのですが、いつも会えるのは既に地上を歩いている幼虫ばかり。

今年は少し気合を入れて日没の30分前ぐらいから、セミが出てきそうなエリアの地面を双眼鏡で見ながら徹底的に探し歩くことにしました。マクロ双眼鏡のPENTAX Papilio IIがあれば足元を超拡大しての観察が可能。周囲の光量が落ちてきたらライトを地面に当てながら、必死に地面を双眼鏡で覗く怪しいおっさん……。

不審者と思われないように注意して……

相変わらず地面を歩く幼虫、出てきたばかりなのか体に土をまとった幼虫は見つかるけど、その瞬間はなかなか見つかりません。初日は見つけられずの2日目、地面に開いた穴の中に幼虫らしい姿を発見!

しばらく待っていると、穴の中からゴソゴソと手を伸ばして幼虫が出てきました。しかし既に周囲は暗くなっていたこともあり、ライトを当てたところその幼虫は再び穴の奥へ潜ってしまいました……。

地上を歩いているところならライトを当ててもほぼ無反応なセミの幼虫ですが、どうやら地上に出るその瞬間だけはかなり光に敏感になってるようです。初めて地上に無防備に姿を晒す瞬間なので慎重になるのも分かりますし、本能的に羽化のタイミングを光量(太陽光)の変化で判断しているのかもしれません。

その後はカメラをISO25600の高感度に設定して、EVFでモニターしながら(肉眼では暗くて見えない)、真っ暗な中で足がゴソゴソ出てきて完全に顔まで見えたので、光量を下げたライトをそっと照らしたらスッ…… と隠れてしまう失敗。もぐらたたきかな……?

ライトを使うことは諦めて真っ暗な中待ち続け、ようやく撮ることに成功しました。かわいいかも!?

きょとんとした顔がなんとも言えない。セミの目って幼虫も成虫も黒くてツヤツヤなので、遠くの小さな光でも拾って、必ずアイキャッチが入るんですよね。



ここまで出てしまうと、もうライトを当てても気にせず(?)どんどん地面を歩いて行きます。

さて、どうやら幼虫が地上に出てくる際は、自分の力で地上までのトンネルを掘ってくるパターンだけでなく、既に空いてる穴を利用する幼虫もいるみたい。上の幼虫は恐らくそのタイプ。

こちらは恐らく自分で掘り上げた、まだ柔らかい土から顔だけ覗かせてじっと暗くなるのを待っているタイプ。暗くなると土の中からズボズボと出てくるイメージだったのですが、もしかしたら夕方ぐらいの薄暗い時間のうちにギリギリまで掘り進めて、周囲が暗くなるのを待っているのかも?

こちらは人が開けた穴を使うタイプですが、既にしっかりしたトンネルが完成しているので入り口からは少し距離を取って暗くなるのを待っています。自分がかなり強力にライトを当ててしまったせいか、そもそも街灯の届く場所だったこともあり、かなり遅い時間まで出てくることはありませんでした。

これはかなり惜しいパターンで、お尻の下に穴があります。あと30秒早く見つけたかった。でもきっと穴から出る前にライトを当ててたら。そこから30分以上は待たされたのだろうな……。

ということで先程の地面ギリギリの幼虫に目星を付けて待つことにしますが、その場所が街灯に煌々と照らされた場所のせいか2時間近く待ち続けても、たまに足を動かす程度で全く出てくる気配がない……。

一旦家に戻って夕飯の準備などをしつつ、さすがにもう出ているだろうと思って見に行くとまだ出てない。これはやはり街灯の明かりを気にしてるのかもと、まともに待ち続けたら深夜や明け方になりかねないので(?)、試しに携帯座布団を立てて街灯の光を遮ってみました。

なんとこれが効果があったのかは分かりませんが、5分ほどで出てくるじゃないですか……。よし、ここまで出たらもう影はいらんだろうと座布団を取り払ったら…… 再び穴の中へ(笑)


うーん、やってしまった。やはり明るさは諦めて高感度で撮るしかないなと、カメラの感度上限をISO25600に上げて待ちます。座布団の日陰の境目が穴のすぐ左にあります。

今度こそ撮ることができました。やっぱり穴から出てくる幼虫はかわいい。




都合4日間の幼虫が地面に出てくる瞬間探しはここまで。まさか見つけてから4時間も待つことになるとは思いませんでした(笑) また、たまにやってもいいですが、見つけてからの待ち時間が忍耐なので、ライトを使わずに探せる時間帯からフライングして出てくる気の早い幼虫を見つけたいものです。

成虫もいいぞ

基本的には夜の羽化ばかり見ていますが、たまに成虫のセミも撮っていたりします。羽化のために木を登っていくアブラゼミの余裕の向こうにミンミンゼミ。

ライトのせいなのか、複眼もボディも鮮やかな緑できれいですね。

昼でも保護色ですが夜はさらに目立たないニイニイゼミ。

このニイニイゼミが最近は結構好きで日中でもつい探してしまいます。けやきの樹皮そっくりな保護色になっているのですが、意外とすぐ見つくけられる不思議。


ニイニイゼミってもっと茶色っぽい色をしてるセミのイメージがありましたが、うちの近所にいるのはグレーから少し黄緑掛かった色が入っている個体が多い気がします。


ちょっと粉吹いてる感ありますよね。


スマホやコンデジで撮る

さて、ここからはコンパクトデジカメのTG-6を使っています。防水やマクロといった特殊用途に強いコンデジですが、通常撮影に関しては今どきのスマートフォンの方がよっぽど綺麗に写ります。
といいつつ、そんなコンデジでもLEDライトを使えばこの通り問題なく撮れます。

遠景よりも接写やマクロ撮影の際に力を発揮するレンズ構成なのでしょうか……?

最も明るいレンズの広角端を使うよりは、明るさはLEDライトやTG-6内蔵のLEDライトに助けて貰いつつ少しだけズームした方が撮りやすいかも。これなんて結構悪くないんじゃないかな。

ちなみにこれはスマトーフォン(Pixel 6a)と内臓のLEDライトを使って撮ったもの。記録写真としてなら十分ですが、やっぱりちょっと味気ないとこがあるかも。



TG-6の顕微鏡モードで撮る

最後はマクロ。といってもOM-1にマクロレンズではなく、コンデジTG-6の顕微鏡モードを使ってセミの体に触れないギリギリまで寄ってみました。マクロレンズで手ブレや被写界深度の浅さを気にしながら撮るよりも、よっぽどお手軽に良い結果が得られます。

TG-6にはオプションのLEDライトガイド(LG-1)を装着しています。セミの目(複眼)にリングライト。YouTuberの自撮りか。単眼(複眼の間にある3つの赤い丸)もキレイ。


寄りすぎですが、ここまで寄れます。

羽の付け根もここまで寄ってピントが合います。

こちらは先程のミンミンゼミ。

緑色の体に黄金のキラキラ、ナウシカ的複眼、やはりミンミンゼミは良い。



……このような感じで日々のセミ撮りを楽しんでいる私。カメラを持っていない日も、夕方以降に緑地や緑道を歩く際はセミ探しは欠かせません。子供の頃の「セミ取り」といえば物理的なゲットが目的でしたが、カメラでの「虫撮り」は写真に収めたら満足できるので、虫にもやさしい趣味かもしれません!?

今は昆虫採集をしたいとは思わないですが、自然の中の虫の姿は機会があれば撮ってみたいです。カブトムシやクワガタは雑木林がある場所に行けば見られるはずですが、家の近所で見られる手軽さを思えば、これからもセミたちは身近に楽しめる観察、撮影の対象になって貰うことになりそうです。