OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROのレビュー第2弾。
今回はよく似た焦点距離のズームレンズ、OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROと実写を交えて比較してみましょう。
12-40mm F2.8 PROは2013年11月に発売されたオリンパスの1本目のPROレンズ。開放値F2.8通しの所謂大三元ズームの中心となる標準ズームレンズです。2016年に究極の便利ズーム(?)こと12-100mm F4.0 IS PROレンズが発売されたことで、やや影が薄くなってしまった感はありますが、PROレンズの基準にもなった端正な描写に適度なコンパクトさ(出た当初はm4/3にしては重量級という評価もありましたが)を兼ね備えたズームレンズとして、今でも出番の多いレンズです。
2本のレンズのスペック上の大きな違いは、開放絞り値、そして重量差になります。
モデル | 12-40mm F2.8 PRO | 12-45mm F4.0 PRO |
FF換算焦点距離 | 24-80mm相当 | 24-90mm相当 |
最短撮影距離 | 0.2m | 0.12-0.23m |
最大撮影倍率 | 0.6倍相当 | 0.5倍相当(全域) |
レンズ構成 | 9群14枚 | 9群12枚 |
絞り | F2.8-22 | F4.0-22 |
レンズ内手ぶれ補正 | なし | なし |
フィルターサイズ | 62mm | 58mm |
大きさ | 69.9×84mm | 63.4×70mm |
質量 | 382g | 254g |
発売 | 2013年11月 | 2020年3月 |
パッと見た目のサイズ差は一回りぐらい違うでしょうか。
ズームリングを望遠端まで回すとその差は大きくなりますが、使っている分にはそこまで気になるものでもありません。
焦点距離では望遠側で5mmの差(35mmフィルム換算で10mm差)がありますが、実用上ではそこまで大きな差ではありません。120mm相当の60mmぐらいまで望遠があるとまた違ってくるとは思うのですが……。
最大撮影倍率は12-40mm F2.8 PROの方が望遠側で少し寄れるものの(0.6倍相当)、12-45mm F4.0 PROの方がズーム全域でハーフマクロ(0.5倍相当)を実現しています。
まず、12-40mm F2.8 PROの広角端と望遠端の最短付近で撮ってみます(ピントは中央付近)。見ての通り最大撮影倍で取れる望遠端の方がより大きく寄れています。
続いて12-45mm F4.0 PROの広角端と望遠端。確かに広角端(左)でもグッと寄れて、望遠側とほぼ被写体のサイズが同じになるぐらいまで寄れています。また、上の12-40mm F2.8 PROと比較すると最大撮影倍率が大きい12-40mm F2.8 PROの望遠端の方が若干寄れていることも分かります。
12-45mm F4.0 PROの広角側でのセミマクロは上手く使えれば大きいのですが、実用レベルでは12-40mm F2.8 PROでも充分寄れるんですよね。屋外でフードを付けて撮っているとなかなか12-45mm F4.0 PROの最大倍率まで寄ることも難しかったします。
続いて広角でグッと寄った際の、背景ボケを比較してみます。ピントは中央左下寄りの花ですが、実用シーンだとこれでもかなり寄っています。まずは12-45mm F4.0 PRO。
続いて12-40mm F2.8 PRO。どちらも開放絞りですが、F2.8とF4.0のたった1段ではありますが、背景ボケの差がかなりあることが分かります。
続いて望遠側で比べてみるとやはりF2.8の方が多少ボケは大きいものの、広角端に比べるとそこまで差が気になる訳でもないかも。
絞りによる描写の変化は前回もチェックしましたが、一応同条件で12-40mm F2.8 PROとの比較も行ってみました。12-45mm F4.0 PROはF2.8がないのでF4.0で比較していますが、12-40mm F2.8 PROのF2.8よりも12-45mm F4.0 PROのF4.0の方が周辺減光が目立っているようです。
(以下、撮影したRAWファイルをLightroomに取り込んだのみの書き出し。雲が動いているので露出差が大きかった場合のみ調整)
12-45mm F4.0 PROの場合はF5.6まで若干の周辺減光がありますが、これは前回も確認していた通り。逆に12-40mm F2.8 PROのF2.8からの描写の安定感に驚きます。
望遠側については45mmと40mmの画角差が若干あるものの、描写については甲乙つけがたいと思います。正直どちらのレンズも開放からよく写っていますし、中央部と周辺部の描写の差にしてもF5.6ぐらいでほぼ見分けが付かないのですよね。
ややざっくりとした比較になってしまいましたが、少なくても私の実用レベルについてこの2本のレンズの差は、スペック的な差分を除くとほぼ大差のない性能だと言って良いかも。全域ハーフマクロやマニュアルフォーカスクラッチの有無もありますが、屋内撮影が多く、少しでもボケが欲しいなら12-40mm F2.8 PROしかありませんし(身も蓋もないことを言うと、ボケについては単焦点レンズや大型センサー機を選ぶべきだと思いますが)、屋外中心で少しでも軽くコンパクトで写りの良いレンズを求めるなら12-45mm F4.0 PROは非常に魅力的なレンズでしょう。あえて記事を分ける必要もなかったか……(笑)
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROの主な仕様
交換レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO | 交換レンズ M.ZUIKO PRO | オリンパス:カメラ、オーディオ、双眼鏡
- マウント:マイクロフォーサーズ
- 焦点距離:12-45mm(35mm判換算24-90mm相当)
- レンズ構成:9群12枚(HRレンズ2枚、DSAレンズ1枚、スーパーHRレンズ1枚、非球面レンズ2枚、EDレンズ2枚)
- 開放絞り-最小絞り:F4.0 - F22
- 最短撮影距離:0.12m(Wide) / 0.23m(Tele)
- 最大撮影倍率:0.25倍(35mm判換算 0.5倍)
- フィルター径:Ø58mm
- 絞り羽根:7枚(円形絞り)
- 最大径×全長:Ø63.4 × 70.0mm
- 重量:254g
- フード:LH-61G(付属)
- 希望小売価格:85,000円(税込93,500円)