OM-D E-M1 Mark IIIと抱き合わせで買った(オリンパスオンラインショップでセット販売されていた)レンズ「OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」、しばらく使ってみたのでインプレッションをまとめておきます(12-40mm F2.8 PROとの比較は別の記事にする予定)。
- OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROの主な仕様
- 12mmスタートの3本のPROズームレンズ
- 絞り開放からほぼピークの描写
- OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROの作例
- こんな記事もあります
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
オリンパスがOMデジタルソリューションズ移行前に発売したPROレンズでは、最も最後に発売されたのがこの「OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」です(2020年3月27日発売)。OM-D E-M5 Mark IIIと組み合わせたレンズキットでも発売されているレンズとなります。
マイクロフォーサーズフォーマットに対応し、35mm換算で24mmから90mmまで4倍弱の倍率を持ちながら、254gという軽量&コンパクトな標準ズーム。
当初、このレンズがロードマップで予告された際は、2013年11月に発売された最初のPROレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」の2型が出るのでは?という噂もあったものの、発表されたのはF4通しで望遠端を45mm(90mm相当)まで伸ばしたこのレンズでした。
PROレンズではありますが、軽量化のためかマニュアルフォーカスクラッチは搭載せず、Fnボタンすら搭載しないズームリングのみのシンプルなデザイン。付属フードも他のPROレンズのような着脱ボタンがあるタイプではない、バヨネット式のものが付属しています(小さなレンズということもあり、レンズ交換時にフードを掴んで回してしまうことがあるので、ロックが掛かる方式にして欲しかった)。
さらにズーム全域でハーフマクロとなる最大倍率0.5倍相当を実現しています。
12-40mm F2.8 PRO比で100g以上軽量化されているので、手に持った感覚は明らかに小さく軽い。E-M1 Mark IIIに装着しても他のPROレンズより軽量なシステムとなりますし、軽量コンパクトボディであるE-M5 Mark IIIとの相性は最高だと思われます。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROの主な仕様
交換レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO | 交換レンズ M.ZUIKO PRO | オリンパス:カメラ、オーディオ、双眼鏡
- マウント:マイクロフォーサーズ
- 焦点距離:12-45mm(35mm判換算24-90mm相当)
- レンズ構成:9群12枚(HRレンズ2枚、DSAレンズ1枚、スーパーHRレンズ1枚、非球面レンズ2枚、EDレンズ2枚)
- 開放絞り-最小絞り:F4.0 - F22
- 最短撮影距離:0.12m(Wide) / 0.23m(Tele)
- 最大撮影倍率:0.25倍(35mm判換算 0.5倍)
- フィルター径:Ø58mm
- 絞り羽根:7枚(円形絞り)
- 最大径×全長:Ø63.4 × 70.0mm
- 重量:254g
- フード:LH-61G(付属)
- 希望小売価格:85,000円(税込93,500円)
12mmスタートの3本のPROズームレンズ
さて、オリンパスのPROレンズにはこの「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」の他に、「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」という広角側が12mmからスタートするズームレンズが3本あります。
F2.8通しかF4通しか、望遠側の焦点距離、MFクラッチの有無、重量・サイズなどに違いがありますが、気になるスペックを比較してみるとこんな感じ。
モデル | 12-40mm F2.8 PRO | 12-45mm F4.0 PRO | 12-100mm F4.0 IS PRO |
---|---|---|---|
FF換算焦点距離 | 24-80mm相当 | 24-90mm相当 | 24-200mm相当 |
最短撮影距離 | 0.2m | 0.12-0.23m | 0.15-0.45m |
最大撮影倍率 | 0.6倍相当 | 0.5倍相当(全域) | 0.6-0.42倍相当 |
レンズ構成 | 9群14枚 | 9群12枚 | 11群17枚 |
絞り | F2.8-22 | F4.0-22 | F4.0-22 |
レンズ内手ぶれ補正 | なし | なし | あり |
フィルターサイズ | 62mm | 58mm | 72mm |
大きさ | 69.9×84mm | 63.4×70mm | 77.5x116.5mm |
質量 | 382g | 254g | 561g |
発売 | 2013年11月 | 2020年3月 | 2016年11月 |
手元に全てのレンズが揃っていることですし、それぞれのレンズを実際に使ってみての比較を(12-45mm F4.0 PROと比べての)をざっくりとまとめました。焦点距離の近い12-45mm F4.0 PROと12-40mm F2.8 PROの比較については、撮り比べた作例も交えて別記事でもう少しちゃんとやる予定です。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROと比べた場合
- F2.8通しの明るさは魅力、室内やテーブルフォトにも強い。
- 広角端でのボケ量は明らかに大きい。
- 望遠端の5mm差は大して気にならない。望遠端開放のボケ量もそこまで変わらない?
- 100g強の重量差はE-M1系のボディと組み合わせた場合は、そこまで気にならない。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROと比べた場合
- 24−200mm相当の高倍率ズームながら全域で安定した描写力は唯一無二
- 5軸シンクロ手ぶれ補正
- m4/3用レンズにしては大きなサイズ
- 倍以上の重量
- 倍以上の価格
- 望遠側が必要になるのならサイズ、重量差に目をつぶっっても使う価値のあるレンズ
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROを選ぶ理由
- 圧倒的な軽さとPROレンズの描写を両立したバランスの良さ
- F2.8と100mm以上の焦点距離が不要なら最適解
- ズーム全域でのハーフマクロ
- 旅行や登山のお供に最適
- E-M5系の小型ボディとの相性の良さ
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROの微妙なところ
- F4通しであること
- MFクラッチやFnボタンが非搭載
- ロックされないバヨネット式のレンズフード
まあ、わざわざ書き出す程でもなく、スペックを見れば想像できるようなことばかりでしょうか?
これまでのPROレンズに劣ることとのない描写力とコンパクトさを両立してますが、軽さ以外での特筆点もこれといってないとも言えます。既に12-40mm F2.8 PROや12-100mm F4.0 IS PROを使っている場合は、あえて12-45mmを買い足す理由が見つからないのも事実でしょうか。
逆に1本目の標準ズームとして選ぶならば、充分に他の2本と張り合えるレンズ。12-40mm F2.8 PROとの比較ではF2.8が必要かどうかがポイントになりますし、12-100mm F4.0 IS PROとの比較では200mm相当までの望遠が必要かどうか。そうでなければ、12-45mm F4.0 PROを選ぶだけの魅力はあると思います。
絞り開放からほぼピークの描写
マイクロフォーサーズレンズの場合、F5.6付近で描写力がピークになるレンズが多い印象ですが、12-45mmにしても同様です。開放F4.0からほぼピークの描写が出ているようでうが、周辺部まで見ればやはりF5.6あたりがピークでしょうか。
(撮影したRAWファイルをLightroomに取り込んだのみの書き出し。雲が動いているので露出差が大きかった場合のみ調整)
周辺減光はF4.0では若干見られるものの、F5.6では落ち着いてF8.0あたりでほぼ解消します。12-40mm F2.8 PROと比べると同じ絞りでの若干周辺減光がやや目立つ(1段差ぐらいあるかも?)印象もあります。
望遠端ではさらに絞りによる差は見えにくくなり、開放からほぼピークと言えそうな描写になります。
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PROの作例
ということでこの数ヶ月の間、この12-45mm F4.0 PROで撮った作例など(RAWデータで撮影し、普段通りの現像を行っています)。ブログで使った写真もありますが、とにかく使いやすいレンズだという印象です。
広角端から望遠端(12mmから45mm)までズームさせた画角の変化はこんな感じ。旅行や登山のお供にするなら、動物や鳥を狙う以外はほとんどの用途に対応してくれることでしょう。
ダムの下に見えた藤にズーム。こういうシーンではやはりもう少しズームが欲しいかも。
オリンパスのPROレンズらしいキリッとした描写で、このような風景スナップならF5.6のままスマホ感覚(?)で使えます。
E-M1 Mark IIIのライブNDを使えば晴天下でも、NDフィルターを使わずに長秒撮影が可能(レンズは関係ないか……)。
防塵防滴のPROレンズなので水しぶきを浴びるシーンや雨の日も安心です。
望遠端ならそこそこ背景もボケます。
ハーフマクロまで寄れる。
さらにズーム全域でのハーフマクロ撮影が可能なので、広角マクロ的な使い方も……。
やはり飯撮りにズームレンズは楽ですね。
ただし屋内ではやはりすぐに感度が上がってしまいます。ISO3200ですが軽いノイズリダクションで充分使えますね。
逆光耐性は悪くない感じ。F22まで絞れば光条もそこそこに綺麗かな。
一般的な標準域のズームレンズなのでなかなか特筆しづらい所もありますが、やはり軽量&コンパクトさとPROレンズ画質の両立が一番のアピールポイントでしょうか。F4.0通しなことを除けば弱点らしい弱点はありませんし、PROレンズにしてはそこそこに手の出しやすい価格なので、キットズーム等からのグレードアップにも最適かもしれません。
そんな私は、恐らく近いうちにこのレンズは手放すことになりそうです。
標準レンズばかり3本も持っていても仕方ないですし、使ってみて手放せなくなるなり、入れ替えたくなったらそれはそれでアリかとも思っていましたが、やはりどうしてもこのレンズでないとダメという状況は自分の場合はありませんでした。