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東京の大規模停電を経験してポータブル電源 EcoFlow RIVER を買ってみた

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2022年3月16日の夜に発生した福島県沖地震の影響により、翌17日の未明にかけて東京を含む首都圏で210万軒の大規模な停電が発生しました。我が家も実際に数時間の停電となってしまったのですが、その体験もあり防災用品としてポータブル電源の購入を検討、数日後に「EcoFlow RIVER」を購入しました。


一時的な停電なら特に現状で問題なかったけど……

防災用品としてのポータブル電源の準備についてはこれまでも何度か検討しましたが、家から避難するほどの状況でなければそこまで緊急時に大きな電力が必須となることもないだろうというのが今までの判断でした。
情報収集はスマートフォンやラジオが使えれば大丈夫ですし、それなら家中にいくつもあるモバイルバッテリーで十分。真冬を暖房なしで乗り切れる防寒用品だっていくらでもあります。


さらに大容量のモバイルバッテリーもあるので、パソコン程度ならば使えますし(停電の場合はルーターや集合住宅の通信設備も落ちてしまいますし、PC経由のネット環境を復活させるより素直にスマホを使うべきと感じました)、仮に停電が長期化した場合でも車やソーラーチャージャーでの充電といった手段もあります。

車には常に8割以上のガソリンは入れておくことにしていますし(長距離走った後は家に戻る前に給油することにしてます)、カセットガス、水、インスタント食料の備蓄もあるので、電気がないと立ち行かないい…… という状況はなさそうと考えていたのですが、先日の停電で気づいたのが冷蔵庫の存在。

停電していると冷蔵庫を開けられない?

停電中は当然のように冷蔵庫の電気も落ちてしまいますが、扉さえ閉めておけば数時間は冷気は持つそうです。今回も2〜3時間程度の停電だったので、中身はなんの問題もありませんでしたが(氷も溶けていませんでした)、停電がいつ回復するか分からない中では、冷蔵庫の扉を開けることも躊躇します。

停電中に冷蔵庫の扉を開けると冷気が逃げてしまう

冷蔵庫を何時間も稼働させる電力は必要なくても、扉を開ける際だけでも冷蔵庫に電源を供給できたらかなり安心感があります。仮に停電が長期化する場合でも冷蔵庫の中身を整理したり、中身の一部をクーラボックスに移動させたり…… そんな作業の最中だけでも冷蔵庫を稼働させられる電源があると良いかも。

試しに手持ちのAC対応の大容量モバイルバッテリーにも繋いでみたのですが、出力不足だったようで冷蔵庫を動かすことはできませんでした。

容量は少なくても良いので定格出力の大きなモデル

そのような経験もありポータブル電源の購入を検討したのですが、キャンプや車中泊といった用途で使う訳ではないので(キャンプで電源が必要だと感じたこともないですし)、それほど容量の大きなものは必要ありません。本体サイズも部屋の隅に置いて邪魔にならない、なるべくコンパクトなものが望ましいです。
しかし容量の少ないモデルは定格電力が200W〜300Wと低めに押さえられているので、使える電化製品も限られてしまいます。まあ冷蔵庫を一時的に稼働させる程度ならば200Wあれば大丈夫なはずですけども。

30000mAhのモバイルバッテリーやカメラとのサイズ比較

いくつか小容量(200Wh〜400Whクラス)のポータブル電源をチェックしていた中で気になったのが、EcoFlow(エコフロー)の「RIVER」というモデルでした。容量は288Whと少ないですがAC定格出力が600W、さらに「X-Boost」なるモードにより最大1200Wの機器にまで対応するようです。それが本当なら消費電力の大きなドライヤーや電気ケトル、なんなら電子レンジまで動かせてしまいそう!?

実際は1200Wの出力がある訳ではなく、機器側を600Wに落として動作させるモードのようで、その分パワーが落ちてしまったり(ドライヤーの風量が下がる、ケトルを沸かす時間が掛かる、等)動作しない機器もあるそうですが、ギミックとしてもなんだか面白げ。
比較的セールをよく行うメーカーのようで、丁度Amazonのセールで安くなっていたので購入しました。

EcoFlow RIVER:容量の追加ができるポータブル電源

ということでEcoFlowのRIVERです。EcoFlowはDJI出身の技術者たちによって創業された中国深センに拠点を置くポータブル電源メーカー。日本支社もあり国内での販売、サポート体制も比較的整っているようです。

「RIVER」はEcoFlowの中でもコンパクトなポータブル電源のシリーズで、今回購入したのは容量288Whのモデル。現在主流のポータブル電源の中ではかなり小容量のモデルとなり、この容量をモバイルバッテリーでお馴染みのアンペア時に換算すると80,000mAh程です。

このRIVERの面白いところは後から専用のエクストラバッテリーを追加することで、容量を倍の576Whに増量できること。カメラのバッテリーグリップ的な発想で面白いですね。また、最初からエクストラバッテリーを装着したのと同じモデル「RIVER Max」も存在します。

2022年10月追記:専用容量拡張バッテリーを買い足したので、容量576WhのRIVER Max相当になりました。

重量は5kg、容量の割には少し重めですが、普段から使うものではないので大きすぎず重すぎなければOK。エクストラバッテリーを追加しても重量増は2.5kgほどのようです。

5kgなら女性でも片手で普通に持ち運べますね

入出力、LEDライト、Wi-Fi機能など

出力端子はフロントパネルに最大100WのUSB-C、最大28WのUSB-A、各最大12WのUSB-Aが2個並んでいます。LEDライトは強弱の点灯の他、SOS点滅信号にもなります。

さらにシガーソケットにDC5521(ACアダプターで取るような同軸タイプのDC電源)が2個、右サイドにそしてAC出力(コンセント)が3系統とUSBと合わせてかなりの充実ぶり。

RIVER本体を充電するための入力は3ピンの電源端子の他、専用ケーブルでシガーソケットや別売ソーラーチャージャーからの充電も可能(端子は共用)。外出先や災害時に車での充電ができます。ちなみに仕様を見る限り、モバイルバッテリーのようにUSB-C端子からの充電には対応してないようです。

付属のケーブル類と各入力端子

EcoFlow製品は本体にWi-Fi機能が搭載されていて、スマートフォンと直接接続、或いはWi-Fiネットワークに接続して、スマートフォンのEcoFlow専用アプリから詳細設定を行ったり、ネット経由のファームアップができるようになっています。

スマホアプリからはRIVER本体の状態を確認する他、ビープ音、ファンの設定、50/60Hzの切り替え、600Wを越えるAC出力に対応させるX-Boostモードの設定を行うことができます。

EcoFlowアプリでRIVERの各種設定が可能

本体の充電がとても速い!

EcoFlow RIVER本体を充電する場合、ACケーブル経由だとゼロ状態から1時間で80%、フル充電まで1.6時間の高速充電となっています。

実際、完全に空になった状態(次項の冷蔵庫テスト後)から充電してみましたが、30分弱の時点で32%、少し目を離してしまい1時間46分が経った時点では既に充電は終わってました。

自然放電の速度はまだ時間が経ってないので分かりませんが、3週間ほどの放置では一切変化なし。

X-Boostは本当に600W以上の消費電力機器を動かせるか?

さて、定格出力600WのEcoFlow RIVERですがX-Boostを使うことでどこまで高出力の家電を動かすことができるのでしょう。まずは1250Wの電気ケトルですが、1Lの水を沸かしてみたところ普段よりも時間は掛かるものの最後まで落ちることなく沸騰させることができました。EcoFlow RIVER側の出力は、パネルの表示を見る限りほぼ600W付近で固定となっていました。

ちなみに、X-BoostをオフにするとしばらくするとRIVER側が落ちてしまう(AC出力を止めてしまう)のでX-Boostの効果は間違いなくあるようです。

1200Wのドライヤーを使った場合(スイッチは最大位置)も同様でやはりほぼ600W付近の表示。ドライヤーの勢いは通常に比べると控えめなものの、しっかり温風が出て十分に使えるものでした。やはり電力は大きく消費するようで、ケトルの沸騰とドライヤーのテストで既に残量が80%になっています。

ポータブル電源でドライヤーや電気ケトルを使うことはないと思いますが(湯沸かしならカセットガスもありますし)、頑張れば冷凍食品のレンジ加熱などもできるでしょうし、非常時の選択肢が増やしておくことは防災対策として悪くないでしょう。

家庭用冷蔵庫はどのくらい動かせる?

そして課題の家庭用冷蔵庫。我が家の冷蔵庫は355Lの4ドアタイプ(2010年購入の三洋電機製)、電熱器の定格消費電力130Wのモデルです。先日の停電の際、AC100Wのモバイルバッテリーでは電源すら入りませんでしたが、EcoFlow RIVERを繋ぐとしっかり電源が入りました。

実際の使用を想定してたまに冷蔵庫や冷凍庫の扉を数10秒間開けたりしながら確認します。冷蔵庫は常に一定の電力を消費している訳ではありませんが、恐らく電熱器が作動している際にはEcoFlow RIVER側では120Wで出力している表示となっていました。

2時間経過の時点で残り30%だったので、あと30分ぐらいは行けるかな?と思ってましたが2時間と24分が経過した時点で確認したところ残量ゼロになっていました。

停電時に冷蔵庫を繋ぎっぱなしにするのは現実的ではないものの、扉を開けた後に一時的に電源を供給するような使い方なら問題なさそうです。
仮に停電が長期に渡る場合は、どれだけ容量があったところで先が見えませんし(倍の容量があったところでせいぜい5時間弱)、今回想定した目的はRIVERで十分に果たしてくれそうです。

普段は使わないのでひとまず90%残量で保管

ということで基本的な性能を確認したEcoFlow RIVER。何か特別使う予定もありませんし(車中泊もモバイルバッテリーがあれば十分ですし)、できることならば使わずに済むに越したことはありません。

テレビ台の下にひっそり……

ちなみにポータブル電源を長期保管する場合は、フル充電でなく60〜80%の状態にしておくのが良いみたい。せっかくの高速充電なのに満タンで保管してはダメなのね。ひとまず電気ケトルでお湯を沸かして90%に減らしておきました(もう少し減らした方が良いみたいだけど、いざ非常時のことを考えるとなぁ……)。
ポータブル電源に寿命はある?長く使用するコツも – EcoFlow Japan


EcoFlow RIVERシリーズ

EcoFlow RIVERシリーズ、頻繁にAmazonでセールを行っているので通常価格で買うのは少々勿体ない!? 購入検討するならばAmazonの場合はKeepaで価格変動をチェックするのがオススメ。直接値引きされていたりクーポン値引きなど条件は色々ですが、20〜25%の値引きは定期的にあるようです。

最後に現行のEcoFlow RIVERシリーズについてまとめておきます。
EcoFlowのRIVERシリーズで最もコンパクトなのが「RIVER mini」。容量210W(58,333mAh)、定格出力300Wでこれでも十分かと思いましたが、せっかくなら1200W動かせるRIVERの方が面白いかなと。

そして今回買った「RIVER」と拡張バッテリー。

RIVERと同じデザインで25%ほど容量が多いRIVER Plus。こちらも拡張バッテリーがあります。

最初から合体済みモデルは型番に「Max」が付いています。

増量はできないけど最初から720Whの大容量モデル「RIVER Pro」。

追記:2022年10月、リン酸鉄リチウムイオン電池を採用したEcoFlow RIVERの新モデル「RIVER 2」が発売となりました。旧RIVERシリーズとはしばらく併売になるようですが、拡張バッテリーの廃止、X-Boostによる上限出力が低下してるなどの仕様変更があるようです。充電スピードの高速化、長寿命化は嬉しいですが、旧シリーズの定格600W、最大1200Wは大きな魅力だったので少々残念ですね。