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天元台から雪の西吾妻山へ、3月後半の降雪翌日に新雪ハイクを満喫

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3月19日(日)、3年ぶりに西吾妻山に行ってきました。この前日にかけて南岸低気圧の通過があり、本州の山間部を中心にこの時期にしてはまとまった降雪がありました。そんな翌日の雪山日記。

山形県の白布温泉に行くことになった

この日から一泊、山形県の米沢市・白布(しらぶ)温泉での宿泊を予定していました。天気が良ければ前後に軽く登山も楽しむつもりで、福島県の磐梯山など周辺の山域での登山計画をいくつか立てていました。
当日早朝の移動中に最新の天気予報を見ながら予定を調整。当初予定していた磐梯山から予定変更で2020年2月以来の吾妻連峰 西吾妻山に行くことにしました(当初は2日目に宿泊地から近い西吾妻山のつもりでしたが、翌日は天気の良さそうな蔵王まで足を伸ばしてみることにしました)。

西吾妻山(2035m)は山形県と福島県の県境に連なる広大な吾妻連峰の最高峰。日本百名山の「吾妻山」はこの西吾妻山を指すことが一般的なようです。前回は裏磐梯(福島県)のグランデコスノーリゾートから西大巓を経由する登山でしたが、今回は新潟県米沢市の白布温泉からロープウェイとリフトを乗り継いで、天元台から西吾妻山の山頂を目指します。

東北道の福島JCTから東北中央自動車道に入り米沢八幡原ICで高速を下りて白布温泉を目指します。米沢の市内は前日の降雪を受けて田畑を中心に雪景色となっていました。山間部に入る頃には道路も完全な雪道(というかアイスバーン)となり、3月末とは思えないドライブ(この雪は翌日にはすっかり消えていまいたが)。

白布温泉地区に入ると道路の雪は綺麗に除雪されていて、8時過ぎの到着で天元台ロープウェイより少し手前の無料駐車場に案内されました。それにしても素晴らしいお天気!


天元台ロープウェイで天元台高原へ

駐車場から数分歩いて天元台ロープウェイの「湯本駅」へ。ここからロープウェイに乗って上がる先が「天元台(天元台高原)」、さらにそこから先は「天元台スキー場」のリフトを利用します。

ロープウェイのみなら往復1700円ですが、スキー場のリフト3本も含めると往復4200円となかなかのお値段。JAF会員は10%OFF(会員含め5名まで)になるので、会員証の提示をお忘れなく。

山は完全に雪景色。ロープウェイはやや小さめのゴンドラで、この時期8時から20分間隔での運行でした。

ロープウェイからの景色も完全に雪山です。前日の降雪もあって多少は期待していましたが、東京ではもう桜が咲いてる時期にこれが見られるとは! 俄然テンションが上がり始めます。

「天元台高原駅」に到着。天元台高原の標高は1310m、ここからさらに天元台高原スキー場のリフトを3本乗り継いで、スキー場のゲレンデトップ(1810m)を目指します。

リフトは古めのペアリフト、登山客の乗降のタイミングで速度を落としたりするので、乗車時間はどれもそこそこに長め(寒い時期は防寒しっかり目がおすすめ)。リフト3本の乗り継ぎで30分ほど掛かります。

8時35分過ぎに湯本駅からロープウェイに乗って、ゲレンデトップに到着はしたのは9時20分、1時間弱とは結構掛かりますね。計画の際はこの移動時間をしっかり見ておきましょう。

スキー場トップから中大巓へ

中大巓西斜面の樹林帯からスタート。雪の状況を見て、アイゼンではなくワカンを履いて行くことにします。

西側にはリフトからも見えていた飯豊連峰がよく見えます。

木に積もっているのは前日の雪。残雪期とは思えないフカフカの新雪を踏んで行きます。


トレースの付いてない場所だとワカンでもこの通り。今年は全然雪山に行けてませんでしたが、まさかこの時期にフカフカの新雪を踏む登山ができるなんて!

すぐに樹林帯を抜けて視界が開けます。というか樹林帯だけど雪が深いので木の先端だけ出ている状態。もうひと月ほど前だとこの木々がスノーモンスター(巨大なエビの尻尾化した樹氷)だったのでしょうか。

西側に開けた展望。夏道だとこの辺りに「かもしか展望台」というのがあるみたい?

それにしても完全に雪山でテンション上がりまくり。風もバラクラバ必須な程度にしっかり。

場所によっては強風によってトレースも残らないようなガチガチの雪面だったりもしますが……。

すぐに西吾妻山が見えてきます(山頂はもっと奥)。中央奥は西大巓かな。この辺りで山形県から福島県に入ったようです(この先の天狗岩、西吾妻山山頂、西吾妻小舎などが県境になっています)。

まずは中大巓に寄り道して行きます。夏山シーズンには登山道のないピークですが冬はこの通り。


中大巓の山頂あたりから見る西吾妻山。


新雪たっぷりの雪原を歩いて梵天岩〜西吾妻山

新雪の中を緩やかに下って今度は西吾妻山へ。もう少し手前から直接西吾妻山に向かう人が大半なので、この広い雪原を貸し切り状態で歩けます。

広い凹地の雪原になっていて雪もフカフカなので、気持ちの良いスノーハイクです。この辺りはグリーンシーズンになると木道なども敷かれた、池塘が点在する高山植物の群生地になっているそうです。こんなに自由に歩き回れるのは雪の時期だけですね。

西吾妻山の斜面を登るようになって、徐々に先行トレースと合流。


行く先に面白い雪の造形が見えてきました。


「梵天岩」という岩がある、ちょっとした360度の展望ポイント。

岩の周囲が積雪とエビの尻尾によりオブジェ化しています。

ここまで来ると西吾妻山山頂はもう目と鼻の先。夏道は後で登場する「天狗岩」を回り込むルートのようですが、この時期はまっすぐ山頂を目指すトレースが多い感じ。

全体的になだらかな山容なこともあって、人気の雪山にしては決まったトレースを一列になって歩く感じでなく、思い思いのルート取りをしています(危険な場所はありませんがツリーホールには注意)。

山頂付近は結構高めの木に覆われた樹林帯なんですよね。


時期的にスノーモンスターはほぼ終わっていたと思われますが、前日の雪で少しだけ復活したのかも?


西吾妻山山頂

相変わらずどこだかよく分からない西吾妻山の山頂(2035m)に到着。山頂標識は恐らく雪の下。

恐らく人が集まってる辺りがそうなのでしょう!? 我々は冬の西吾妻山しか知らないのですが、夏山シーズンは樹林帯の中のかなり小さなスペースのようです(月山ももさんの夏山レポートより)。この人の背の高さと変わらない木々も実際は4〜5mぐらいの高さがあるようです。

開けた西吾妻山の山頂部ですが、特に見晴らしが良いのは山頂から少し南寄り。福島側を見下ろす斜面。

当初予定していた磐梯山の山頂付近には雲が掛かってました。西吾妻山にしておいて良かった!?

こちらも少し検討した安達太良山。

西大巓と飯豊連峰。前回はこの斜面が全て巨大なスノーモンスターでした。

でも完全に終わった訳でもなく、なにかけというかなれのはてのスノーモンスター。

木の根元に寄り過ぎるとツリーホールになっていることがあるので気をつけて。

西大巓方面からの登山者は殆ど見られず、このタイミングで朝イチのグランデコからトップで上がってきたというスキーの方と少し言葉を交わしました。我々はかなりゆっくり目のスタートだったというのに、やはり天元台側の方が山頂まで圧倒的に近くてお手軽感がありますね。

こうして引いてみるとまだそれっぽいかな?

西大巓山頂周辺も2月はスノーモンスターが見事でしたが、この時期はこちら側だけでも十分かな?


西吾妻小舎〜吾妻神社、天狗岩

西吾妻小舎へ。

中の様子。2階建てになっていて(積雪期は2階の入口から)広く使いやすそうな避難小屋。

でもせっかく天気が良いので小屋の屋根で風を避けつつ休憩。天気は良いですが気温はこの時間まで氷点下なので、ペットボトルのポカリスエットは1/4ぐらい凍ってしまいました。

帰りは吾妻神社、天狗岩を経由します。それにしても日曜日だというのに全然人の姿がありません。先行者は多少いたと思うのですが、実はロープウェイの始発を狙うよりも少し出遅れるぐらいの方が、人の多いタイミングとズレて静かに歩けたりするのでしょうか(中大巓への寄り道などもありましたし)。

雪に半分埋まった「吾妻神社」のお社。


お社の裏手からシュカブラ越しの絶景。右側は朝日連峰?

西吾妻山と西大巓。本当になだらかな山容です。

そんな吾妻連峰とは対照的に(?)険しい峰々が連なっている飯豊連峰のかっこよさ。そして、この日が登山デビューの「M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO」、超広角ズームで50mm相当まで使えると(ライチョウがいない山は)もうこれ1本で良いと思ってしまう!?

トリミングで100mm相当ぐらい? ここまでズームできたらそれは嬉しいけど、やっぱり自分は広角側の広さを優先したいかな。必要なら12-40mmなり12-100mmを使えばいい訳ですし。

吾妻神社と並んで「天狗岩」。夏道だとここから西吾妻山の山頂まで登山道があるようです。

梵天岩同様に岩に霧氷というかエビの尻尾により巨大な雪のオブジェ化しています。


そこまで激しい起伏がある訳ではないのに、眺めが最高でいつまでも歩いていたい……。

午後になって吾妻連峰にも少し雲が流れてきました。見上げたら彩雲となっていました。

ほんの20秒ほどの間に太陽を隠して抜けていった彩雲を8-25mm F4.0 PROで撮る。西吾妻山と合わせて超広角16mm相当で撮った後に、一気に50mm相当までズーム、最後に26mm相当で彩雲の全体を収めて。カメラを持ち替えずにここのズームレンジを使えるのがやはり山向きというか私向きかもしれない。



西吾妻山山頂付近をぐるりと歩いて堪能したので、そろそろ戻ります。写真中央左手のトレースの向こうを100mちょっと下るともう天元台のゲレンデトップです。グランデコ経由も楽しかったですが、このお手軽さはちょっとクセになってしまいそう(笑)

樹林帯にはまだかなりの新雪が残っていました。

気温は手元の温度計でギリ0度を上回るぐらいまで上がり、樹林帯の雪は少し解け始めています。

戻ってきました。


リフトを乗り継いで白布温泉へ

時期的にもう不要かと思ってましたが、ワカンを持ってきて正解でした。グランデコ側に比べて急斜面もないので、スノーシューにもってこいのルートかも。ちなみにピッケルを使うような場所はない。

下りリフトから正面に朝日連峰。写真では見えてないけど右手には蔵王連峰(撮ろうと思ったらここでOM-1が電池切れになってしまった)。

足元に天元台高原のペンション村が見えてきました。白布温泉から道路が通じていますが、宿泊者は全シーズン通じて湯本駅からロープウェイを利用する必要があるそう。

なんとなくネパールトレッキングのロッジ村を彷彿とさせます。ここに泊まったら星が綺麗だろうなぁ。

かっこいい圧雪車。

朝は真っ白だった天元台ロープウェイ周辺の雪もすっかり解けてしまいました。

ということでこの日の宿は白布温泉の「湯滝の宿 西屋」。月山ももさんのブログを見て妻が気になっていたという温泉旅館。夕飯の米沢牛が楽しみです。そして翌日は朝食後に蔵王に移動します。前回の蔵王は虚無だったので、今回こそ青空の元で蔵王山やお釜を眺めたいものです。

追記:翌日の蔵王山の様子はこちら。

登山ルートとGPSログ



中大巓〜西吾妻山 / OKPさんの吾妻山の活動データ | YAMAP / ヤマップ