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快晴の残雪蔵王山:熊野岳〜刈田岳を歩いて結氷した御釜を望む

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山形県の白布温泉に泊まって西吾妻山の新雪ハイクを満喫した翌日、少し北上して蔵王山に行きました。


晴れた日に雪の蔵王山を歩きたい

前回蔵王にを訪れたのは2020年2月のこと。このときは生憎のお天気で、せっかくの霧氷・アイスモンスターのシーズンだというのに肝心の蔵王山は虚無(真っ白)でした。このときは翌日に福島の裏磐梯に移動して西吾妻山に登ったのですが、今回は逆順で西吾妻山の翌日に蔵王へと行くことになりました。

吾妻山同様に日本百名山に数えられる蔵王山ですが、こちらも吾妻山(吾妻連峰)と同じく「蔵王山」という名前の山がある訳ではありません。山形県と宮城県にまたがる「蔵王連峰」と呼ばれる山域の最高峰である熊野岳(1840m)や、刈田嶺神社のある刈田岳(1758m)などの山の総称となります。

白布温泉の西屋に泊まり(宿のレポートはまた改めて)朝食をたっぷり食べてから、東北中央自動車道で蔵王温泉に移動します。この蔵王温泉など山形県山形市には「蔵王」の付く地名が複数あって今回歩いたのも主に山形県側ですが、有名な火山湖の御釜(お釜)などは宮城県刈田郡の蔵王町にあります。

前回と同じく「蔵王ロープウェイ 蔵王山麓駅」からのスタート。駐車場は満車で向かいの横倉第三駐車場に車を停めましたが、シーズン終盤の平日ということもあってか駐車料金は無料になっていました。

準備をして蔵王山麓駅へ。チケットはカードやQR決済にも対応した自販機で購入できます。

2本のロープウェイを乗り継いで11時40分に標高1661mの「地蔵山頂駅」に到着。ロープウェイの待ち時間なども含めるとチケットの購入から50分掛かっていますが、樹氷観光シーズンだとさらに時間が掛かります(詳しくは2020年の記事でも書いてますが、1本目のロープウェイ待ちが長い)。

米沢からの移動もあって12時近いスタートですが、コースタイム的には熊野岳経由、刈田岳を往復しても、ロープウェイの最終には余裕を持って戻って来られるはず。遅くなるようなら途中で引き返せばいいでしょう。

地蔵山頂駅からスタート

まずは目の前の地蔵山を登ります。前回はこの木々がスノーモンスターでしたが、ほとんどホワイトアウト状態。今回はよく晴れていますが、見ての通り樹氷は完全に終了しています。

前日の西吾妻山の山頂付近はまだ木々にかなりの雪や氷がまとわりついていましたが、単純に緯度や標高だけでなく様々な条件が異なるのでしょうね。

前日からよく見えていた朝日連峰と、雪が多いのは月山ですね。

雪質はアイゼンのよく効くアイスバーンで、新雪がたっぷり積もっていた西吾妻山とは大きく異なります。森林限界(スタートしてすぐに抜けます)が低く風の影響を受けやすいことも影響しているのでしょう。

まずは地蔵山。

こうして見ると穏やかなお天気に見えますが、天気は良いもののバラクラバとフードを被ってないと歩けないぐらいの強風が吹き付けています。前日の新雪ハイクに続いてこの2日間、今シーズン完全にご無沙汰だった冬山感を3月末になってようやく味わうことができました。

伝わりにくいですが、風に煽られてストックが浮き上がるぐらい。

地蔵山を超えると蔵王山の最高峰、熊野岳が見えてきます。熊野岳は全体的に緩やかで山頂手前だけ少し登りがキツくなってます。

熊野岳の西側斜面。夏山シーズンは登山道が蔵王王翦や樹氷高原駅まで通じているようです。

雪に埋まったお地蔵さん?


蔵王最高峰 熊野岳へ

シュカブラとエビの尻尾の斜面になっている熊野岳の山頂直下。登りらしい登りは地蔵山とここぐらい。

直登すると疲れるので適当なとこをジグザグと登って行きます。それにしても周りに人がいない。


風が強く当たる斜面なので、シュカブラやエビの尻尾的雪の造形が色々と楽しめます。


爆風だけど景色が良いので許す。


↑ずっと見えている岩と氷が庇状に伸びた場所が徐々に近づいて、気がつくと見下ろすように……。

熊野岳山頂(1841m)に付きました。

山頂にある蔵王神社のお社。

何かから発生した巨大な氷のオブジェ。


貸し切りの馬の背を歩いて刈田岳へ

先に進みます。刈田岳へ向かって馬の背へ。熊野岳山頂では休憩している先行者の方を何人か見かけましたが、ここから先は登山者が他に1人もいない貸し切りの世界。まあ我々のスタートが遅かったのが大きいですが。


御釜(五色沼)が見えた。写真では何度も見たことがありましたが、これは迫力がありますね。

向こうは太平洋(仙台湾)でしょうか。蔵王から海までは結構離れてると思ったけど見えるんですね。

御釜を回り込むように刈田岳に向かいます。真ん中あたりに見える建物の少し先が刈田岳の山頂です。この熊野岳と刈田岳の間の緩やかな暗部、そして御釜の縁部分が「馬の背」です。

こっちの方が高低差が伝わるかな。緩やかな下り道ですね。

再び御釜がよく見えるポイント。夏は緑色の水を湛える美しい火山湖ですが、この時期はまだ結氷しています。

刈田岳の山頂レストハウスは冬季閉鎖中。5月以降は蔵王エコーライン経由で車で上がってくることができるそう。ちなみにこの辺りが山形県と宮城県の県境で、写真に写っている側は宮城県側になります。

刈田岳山頂へ。

もうすっかり午後の太陽ですが14時前なので15時半頃には戻れるでしょう(リフト最終は16時45分)。

刈田嶺神社もまだ半分ぐらい雪の中。

記念写真。奥は熊野岳方面、あちらの方が100m弱高いので戻りは緩やかな登り返しです。


御釜の展望ポイントはやはりこの刈田岳あたりになるのでしょうか。

グリーンシーズンにまた来たいものです。

このレストハウスの向こうが駐車場なのだとか。この時期はちょっと想像が付きませんね。

馬の背は強風が常に吹き付けているので、ガチガチに凍っていてアイゼンで乗ってもこの通り。

帰りはちょっと退屈かな……?


熊野岳避難小屋〜地蔵山頂駅

熊野岳山頂でなく熊野岳避難小屋方面に登り返し。ちなみに山頂との標高差は殆どないので、巻道って訳でもないかも。行きと帰りで好きな方を通れば良いでしょう。

熊野岳避難小屋。平行四辺形の面白い形をしてる……?

これは間違いないく手前側に傾いてる?

と思って奥に回り込んだらこんどは逆向きに傾いた平行四辺形???

いやいや、正面から見ると台形???

……と、なかなか錯覚しやすい形状ですが、実際は側面(短辺)が台形になっているのでした。正面から見るとほぼ長方形のようですが(上の写真は広角のパースもある)、少し角度を付けて見てしまうと、平行四辺形だったり台形に見えてしまう面白い形のようです。

ちなみに逆側は完全こんな感じ。全体像がハッキリするのはもう少し雪解けが進んでからになるようです。

なんだろうこれは? 石の鳥居か何かがあるのかと思いましたが、夏山シーズンの写真を見てもこれっぽいものが見当たらずよく分かりませんでした。

左側が熊野岳山頂方面。右側が山頂を回り込む下山道。ゆるく下るか山頂から急登を下るかの違いですね。

御釜方面はここで見納め。

平日の15時過ぎ、こんなに良いお天気なのに私達以外誰もいない蔵王山。

月山に葉山? そして右寄りの奥にうっすら見えてるのは鳥海山でしょうか。

さらに北を見ると東北の雪山がいっぱい(雑)。やはりAndroidでもPeakFinderを書い直しておくかな。

地蔵山の登り返しがちょっとだけありました。

地蔵山の山頂を巻くこともできるようですが、たいした登り返しでもなく巻いたほうが時間が掛かりそうな気がしたので、まっすぐに戻ります。

意外と高低差よりも水平移動が中心の蔵王山。地蔵山の山頂に観光客の姿が見えます。

地蔵山頂駅に戻ってきました。樹氷シーズンも終わり平日なことも合わせて閑散とした蔵王山でしたが、前日の西吾妻山に引き続きお天気にも恵まれた楽しい雪山歩きでした。

相変わらずがっつり登山をするモチベーションは低いままですが、やっぱり雪山は美しくて楽しい。しばらくはこんな感じでゆる山を中心にのんびりやって行きたいと思っています。

この2日間使っていたのはOM-1とM.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO。沈胴機構周りの不安はややあるものの、画角的にはやはり便利。7-14mm F2.8 PROではどうしても足りなく感じることがあった標準画角をカバーしてくれるので、あえてサブカメラを持つ動機がほぼなくなりました。

中望遠〜望遠が完全に不要になった訳ではないものの、鳥、動物など敢えて2台目や交換レンズを用意するほどの目的がない限り、カメラ1台で十分と割り切れることで気持ちも装備も余裕が生まれます。

蔵王温泉、蔵王ジンギスカン、米沢ラーメン

下山後の温泉は前回同様に蔵王温泉の「すのこの湯 かわらや」へ。湯船の底に敷き詰められた“すのこ”の下から滾滾と温泉が湧き出しているお風呂。あまり広くない施設ですが平日なので空いてましたし、2日間たっぷり遊んだ体に熱いお湯が気持ちいい。駐車場脇の排水溝にも湯の花だらけとお湯の豊富な蔵王温泉です。

お風呂後の食事は蔵王名物らしい(知らなかった)ジンギスカン。こちらの「かしぇる」はジンギスカンと手打ちそばが看板の店。そばは入店タイミングで完売してましたが、肉を食べに来たので問題ない。

ジンギスカンはモモと肩ロースのミックス、ノンアル、ライスと味噌汁を注文。

久々ジンギスカン。さっぱりしてクセのないラムで美味しかった。

あと、個人的にはご飯とみそ汁が良かった。前日の米沢もでしたが、やはり米どころなのでご飯が美味しくて、みそ汁(なめこ汁)の味噌がかなり麹の効いた主張強めな味で美味しかった!

さて、夕飯はしっかり食べたのですが、せっかくの東北滞在中に何気にラーメン激戦区らしい山形エリアのラーメンも食べておきたいかも? 以前行った坂田や鶴岡のラーメンも美味しかったですし、なにやら前日泊まった米沢には「米沢ラーメン」なるご当地ラーメンがあるらしい。
ということで下道で蔵王から米沢まで移動しつつ道の駅で休憩したりして、腹がこなれた0時近くになって米沢の繁華街にある「飯麺 富心」へ。ラーメンだけでなく居酒屋メニューもある店で、平日の遅い時間だというのに、翌日が祝日ということもあってかかなり賑わっていました。

油で蓋をされた熱々の醤油スープにちぢれ細麺、妻はシンプルな米沢ラーメンで私はワンタン麺(+味玉)を注文。やっぱり山形のラーメンは美味しいですね。

この後は東北中央自動車道の通行止めなどもあって福島JCTの手前まで下道で移動、のんびり東北道を戻りつつ那須高原SAで仮眠のつもりが朝まで寝てしまったりで、21日(祝)の午前中に自宅にたどり着きました。

ここの所、登山もロングドライブもかなりモチベーションが落ちてましたが、今回は土曜から月曜までの4連休(妻が月曜に有給取得)の真ん中に旅のメインである白布温泉の宿泊を予約して、その前後に天気が良ければするぐらいのつもりで軽めの登山をしてきました。後ろにも余裕のあるスケジュールだったので運転疲れもなく楽しい2日半を過ごせました。