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稲城・南山のエアーズロックができるまで、南山東部土地区画整理事業の記録(2012-2023年)

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前回の記事の続きというかもう少し稲城南山の開発について書いてみました。


手元に残っている稲城南山東部地区の変遷をまとめてみる

現在、東京都稲城市の南山東部地区で行われている「多摩都市計画事業稲城南山東部土地区画整理事業」(スカイテラス南山)について。普段から稲城市には頻繁に足を運ぶ府中市民なので、この南山地区開発の様子もこの10年ほどの間それとなく眺めてきました。

ただし、そこまで熱心にチェックしていた訳ではなかったので、ある日気づいたら稲城駅を越えた道のどん詰まりの森だった先に新しい道が通ってその先にヤオコー(稲城南山店)ができていたり、そんなヤオコーでの買い物を終えてふと見たらエアーズロック(ウルル)のような残丘が日没後の空に浮かび上がっていたり……。

今にして思えばもっと写真を撮って記録を残しておけば良かったと後悔もあるのですが、ひとまず現時点で手元に残っている(探すことができた)南山東部地区の変遷をまとめておくことにしました。探せばもう少し写真が出てくるかもしまませんし、もっと丁寧に記録してる方も多いとは思いますが、あくまで私なりの記録ということで(つい先日、DPZにもスカイテラス南山を取り上げた記事が掲載されています)。

ちなみに、南山東部を始め多摩地区の都市開発についてはこちらのブログ「俺の居場所」の情報が大変充実しています。稲城に限らずカバーしてるエリアも広域で、多摩地区の開発、土木工事等で何か気になってググると、たいていこちらのブログに行き着きます。
南山エリアやランド坂の変遷も詳しくレポートされているので、興味がありましたらこちらのブログ記事を参照していただくのが良いかと思います。
南山東部土地区画整理事業 | 俺の居場所-まち記録サイト
多摩3・4・12号読売ランド線 | 俺の居場所-まち記録サイト

ところで何度も「南山」と書いてますが、南山という名前の山や住所がある訳でなく、稲城市の百村、東長沼、矢野口あたりの多摩丘陵が昔から南山と呼ばれているようです。


引用:https://www.city.inagi.tokyo.jp/shisei/machi_zukuri/juushoseiri/juushoseiri.files/shiryou2.pdf

スカイテラス南山の開発事業がスタートして以降、新たにできた学校、施設、マンションなどには「南山」が付くものが多くなっています(「稲城市立南山小学校」「ヤオコー稲城南山店」「プラウドシティ南山」等)。

「多摩都市計画事業稲城南山東部土地区画整理事業」とは

稲城市の百村、東長沼、矢野口にまたがる山林だった南山と呼ばれる地区。その大半は個人の私有地で、かつては里山として、高度経済成長期には山砂採取場として利用されましたが、建設ラッシュ後は山砂採取場跡のガケ地が危険な状態で残されていました。有効利用の難しい土地の相続税問題、無秩序な開発(スプロール化)への懸念などを背景にして、地権者が主体となって組織された「南山東部土地区画整理組合」の元に進められている土地区画整理事業、街づくりが「多摩都市計画事業稲城南山東部土地区画整理事業(スカイテラス南山)」になります。(以下の資料等の要約)
稲城南山東部地区のまちづくり 稲城市役所 都市環境整備部区画整理課(PDF)

稲城南山東部地区
スカイテラス南山 – 関東平野を見渡す丘の街づくり
スカイテラス南山 - Wikipedia
「TOKYO GIANTS TOWN」構想について ―国内初、球場と水族館が一体化したスポーツとエンターテインメントの融合― | 読売ジャイアンツ(巨人軍)公式サイト

  • 事業名称
    • 多摩都市計画事業 稲城南山東部土地区画整理事業
  • 事業目的
    • 本地区は、地区中央北寄りに安全な状態にするための勧告を受けている標高差約60m前後の危険な崖地や、崖地の東側に急峻な斜面地がある。また、地区東側の都道124号線は稲城市と神奈川県川崎市を連絡する主要な道路であるが、急カーブや急勾配のある事故多発路線である。
    • 本事業ではこのため、これらの危険箇所及び都市軸となる幹線道路の整備改善を行い、地区周辺市街地との連続性を確保し住民生活の安全性の向上を図るとともに、緑豊かな市街地の創出を目的とする。

多摩都市計画事業 稲城南山東部土地区画整理事業 | 東京都都市整備局

2012年頃〜

自分が府中市に住み始めたのが2010年。居住エリアでの生活が落ち着くと、徐々に周辺の多摩エリアにも足を運ぶようになり、稲城には友人が住んでいたこともあり、向陽台や稲城駅周辺のスーパー、飲食店、ケーキ屋などを利用するようになります。そんな中で比較的早い時期からお気に入りになったのが、当時は稲城駅を越えた道路の行き止まりの横にあったケーキ店「Cake Factory Whip(ケーキファクトリーホイップ)」。

当時の周辺の様子を写真に撮ってなかったのが残念ですが、道の行き止まりに広い駐車場があり、そこから先は完全に森でした。国土地理院サイトで空中写真を確認したところ、もう少し前の2009年の写真がありましたが、添付写真左上の稲城駅前から斜めに走る道が、中央付近で行き止まりになっているのが分かります。


出典:国土地理院/https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

既に写真右下の丘陵では開発が始まってますが、当時はそこまでお隣の市の出来事に関心もありませんでしたし、まさかそこまで大規模な開発が行われているとも思っていませんでした。

2016年8月

その後も、ホイップは定期的に利用していましたが、ある時期突然ホイップの先の行き止まりだった駐車場の先に新しい道路ができていました。その先に車を進めてみると、真新しい道路やマンション(プラウドシティ南山)、ドラッグストア(セイムス)そしてスーパーのヤオコーが誕生していました。

実際にはヤオコー稲城南山店のオープンは2016年3月19日、プラウドシティ南山の入居も同時期。
さらに、ヤオコーからその先に「稲城市立南山小学校」が1年前の2015年4月に開校していますが、1年目の児童数は18人だったそうです。

ヤオコー/東京都稲城市に出店 | 流通ニュース
特集 南山区画整理事業地における「永続的に価値を生み出す街づくり」|サステナビリティ|野村不動産グループ
市立南山小学校内覧会に参加しました:かけはし〜山岸太一いなぎまちづくりリポート〜:SSブログ

稲城市内のヤオコーはフレスポ若葉台店は以前から利用していて、稲城南山店ももう少し前から行ってるはずですが、写真を残しているのは8月25日が最初。

ヤオコーの駐車場から北側を見た写真。左側に見切れているえのが、恐らく南山最初の分譲マンションであるプラウドシティ南山。正面は野村不動産の建売住宅「プラウドシーズン稲城南山」の予定地。まだ土地の造成中で稲城市街地やその先までよく見えています。

ヤオコーの駐車場か東側。これが現在はウルル南山になっている残丘の以前の姿。既にかなり丘陵が削られていますが、左側1/3ぐらいの森になっている部分は現在はすっかり消えてしまいました。

そんな森を東に進むと「ありがた山」があります。現在は小山として残されているありがた山ですが、元々はピークというよりは丘陵の崖の際で、西側まで広く伸びた地形だったようです。

2016年9月

同じ年の9月3日。「ブーランジェリーメゾンユキ 南山スカイテラス店」と「稲城南山 農産物直売所ほのか」の駐車場からヤオコー方面。まだ周囲に住宅はなく、ヤオコーのみが丘の中腹にあるのが分かります。

テラスからの北側。本当にこの頃はマンションとできたての商業施設しかありませんでした。

9月5日。ホイップ前。この写真だと分かりにくいですが、ホイップ前は道路が拡張されたことでこの時期ちょっとしたシケインのような状態になってます。これによりホイップの建物は移動を余儀なくされるのですが、新たな建物をすぐ隣(左手側の囲いの中)で建築中という話を店の方から聞いていました。建て替え費用は全て開発業者側が負担してくれたそう。

やはりこちらのブログに詳しい情報がありました。2015年4月、ホイップの先が開通した直後だと思われます。ホイップの建物の角が道路を半分塞いでいるのが分かります。プラウドシティ南山は建設中、ヤオコーの建設もまだ始まっていないようです。

「ブーランジェリー メゾンユキ」と「農産物直売所ほのか」。メゾンユキは新百合ヶ丘駅にある人気のパン屋の支店でオープンは2016年の6月ごろのようです。以前はよく買っていましたが、ヤオコーが府中にできたことで最近はちょっとご無沙汰……。

農産物直売所のテラス、この頃は周囲に建物がなく稲城市街がよく見えました。味スタなども見えています。

テラスから北東方面。ヤオコー向かいのプラウドシーズン稲城南山もまだ造成中。正面には都心のビル群やスカイツリーも見えています。

ちょっと分かりにくいですが、メゾンユキと農産物直売所の間から南側。正面の丘の上もプラウドシーズン稲城南山の造成予定地です。



2016年10月、12月

隠れていたホイップの新たな建物(左側)が出現しました。全く同じ建物を建てて貰ってると聞いてましたが、本当に同じ建物が2つ並んでいて笑いました。

こちらが新たなホイップ店舗。少し奥に引っ込んだことで手前の道路が拡張されます。

移転作業はこの年の11月に行われたようです。

12月24日。おそらくクリスマスケーキを受け取りに行った際のホイップ新店舗。既に旧店舗は取り壊されて、正面の道路も拡張され開通していました。

これ以降も南山地区にはかなり頻繁に通っていたはずですが(日常的にヤオコーとドラッグセイムス 稲城南山店を利用していました)、日常の買物なので写真を撮ってないか、まだ見つけられていません。

* *

この間の大きな変化がとてもよく分かる、2009年と2019年の南山東部地区の空中写真。



出典:国土地理院/https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

2021年5月

5月15日、多摩川に野鳥観察に行った際に多摩川の左岸(多摩川親水公園あたり)から何気なく撮っていた南山。左側に日本山妙法寺 多摩道場のストゥーパ(多摩仏舎利塔)、南山ウルル、プラウドシーズン稲城南山(ヤオコーの向かい)も見えています。さぞ北向きの見晴らしが良いことでしょう。

5月23日、ほぼ同じような場所から多摩仏舎利塔を撮ったもの。



2021年7月

ヤオコーの前に新しい住宅地、プラウドシーズン稲城南山が完成しています(↑の多摩川から見えるオレンジ色の屋根)。すでに入居も始まっているようで、ベランダには洗濯物も見られます。徒歩1分でヤオコーの住環境、たいへん羨ましい……。ちなみに稲城駅までは車だと一瞬ですが、徒歩だと15分程度だそうです。

ヤオコーの屋上駐車場スロープから。

ヤオコーから西側。右奥にセイムスやプラウドシティ南山。正面奥の百村エリアの森は今も健在です。そして正面の大きな調整池には既に水が溜まっています。広大な多摩丘陵の多摩川寄りの東端。近くには三沢川も流れていますしそれなりに湧水、地下水が多いのでしょうか?

そしてヤオコーの駐車場から東側。2016年にはあった左側の山が削られて平らになっています。右側の残丘の周囲に木が残されていますが、形だけならこの頃の方がウルルかも?


この日はもう少し写真を撮っていました。上の写真にも写っていますが、南山小学校方面に見える緑の小山。ここは「奥畑谷戸公園」として整備されるようです。下の写真に写っている建物は「奥畑谷戸公園事務所」。

この小山、よく見ると真ん中に階段があります。登ったらさぞ展望が良いことでしょう。下手に手を入れることはせず、奥畑谷戸公園として開放された際も、この形のまま残るといいのですけども……。

このときの目当てはこれ。「日本山妙法寺 多摩道場」のストゥーパ(多摩仏舎利塔)を見にきたのでした。本来の入り口はよみうりランド坂側ですが、こちらにもすぐ横まで道ができていたので気になっていたのです。
左手の建物は「稲城市立学校給食共同調理場第一調理場」、給食センターですね。

同じ日の少し後ですが日本山妙法寺の敷地から南山小学校を見た写真。トラブル防止もあり児童、生徒のいる時間帯には学校などになるべくカメラを向けないようにしていますが、平日だったはずですが全く人の姿がありません。小学校の奥にヤオコーとの間にある残丘が見えます。

稲城市、府中市共同の市営霊園「公営 稲城・府中メモリアルパーク」。完成は2015年の9月で、南山小学校とほぼ同時期です。現在は霊園と日本山妙法寺の間の道は行き止まりになっていますが、最終的にはよみうりランド側に抜ける道が作られるようです。

南山小学校の前から東方面。よみうりランドのコースターや釈迦如来殿が見えています。正面の森もこの後完全に削られて、「稲城よみうりランド坂トンネル」が建設、「東京ジャイアンツタウン」の予定地でもあります。

その後、一気によみうりランド側に移動して、今はなきよみうりランド坂のヘアピンカーブから少し登った場所から見下ろすランド坂。やはり工事エリアに大きな池ができていて、ありがた山に湧水の井戸があるのも納得というか、地下水処理が重要な土地なのかもしれません。

移動してもう少し左側を写したもの。左奥に見える2つの丘のうち右側の木が生えてコンクリートの法面がある場所がありがた山。左側の残丘はこの後削られます。そして左側の大地の上に作られているのが、新たなランド坂トンネルから続くループ道路です。

少々分かりづらいですが、旧ランド坂のヘアピン部分。現在は左側の三角コーン側から新たな道路が繋がって正面の坂は埋め立てられてしまいました。

8月20日。よみうりランドのロープウェイ スカイシャトルから。南山とは殆ど関係ありませんが、左中央付近に妙覚寺とありがた山へ通じる道路が写っています。もう少し左手側を撮っておくべきだった……。


2023年1月

1月2日。前年9月に開通した「稲城よみうりランド坂トンネル」を歩いて日本山妙法寺へ初詣に行った際の写真。ランド坂トンネルが開通したのは知ってましたが、随分と来るのが遅くなりました。

トンネル出口から上がって行くと丁字路で右に行くと小田急線の「読売ランド前」ってまあそうではあるけど、普通に「よみうりランド」でいいのでは?とも。隠されてる左側は恐らく「稲城駅」になるのでしょう。

ここが開通するとヤオコーの手前に抜けられます。南山地区の東西が高台で接続すると便利になりますね。

左手にありがた山。今でこそ小山ですが、本来はこの写真を撮っている一帯も全て地面の下でずっと丘陵だったはずです。

開発の残丘になったことで却って「山」感が生まれてしまったありがた山。

左奥にヤオコー横の残丘と正面のマンションがプラウドシティ南山。

日本山妙法寺の敷地から南山小学校の向こうの残丘。1年半からそこまで大きな変化がないかも?

1年半の間に大きく姿を変えたといえばここか。スマホでパノラマ写真を撮っていましたが、旧ランド坂のあった谷が半分近く埋められています。これは凄い……というかちょっと恐いぐらい。

似たような角度で切り出してみると、たった1年半の間に何が起こったかよく分かるかも……。


最終的にはこの谷は完全に埋められて、ありがた山の側から真っ直ぐ写真を撮っている側に向けての道が作られます。日本山妙法寺へ行く細道(かつてのヘアピンカーブ頂点にある)はどうつながるのでしょう。

現在のランド坂トンネルからのループ道路はこのような感じですが、ここでGoogle Mapの衛星写真を貼っておくと、そのうち勝手に更新されてしまうのか……。


2023年10月

10月18日、遂に誕生した南山ウルル。左側に見えていた丘は完全に削られて、さらに大地の上にこんもりとあった緩やかな土も削られて平な台形に、ミニウルルの丘が完成したのでした。

ものすごい巨大な丘に見えるけど、実際は三階建の小学校校舎と同じか少し高いぐらいでしょうか? 今度、ヤオコーに行った際にもう少し近くから確認しておきます。

2023年12月

そして先週末の12月10日。ありがた山から。元々はこの視点の高さから奥のウルルに掛けてずっと丘陵が繋がっていたと思うと、よくぞこれだけ削ったなど驚きますね。

これだけの丘を削れはあれだけの谷(ランド坂)も埋めてしまえるか……。

ここがつながるのもまだ先にようにも見えますし、いざ作業が始まったらあっという間かもしれません。

「TOKYO GIANTS TOWN」、野球にはあまり興味がありませんが、水族館(2026年度オープン予定/球場は一足先に2025年3月のオープン予定)が完成したら来てみたいですね。


2023年12月(追記)

追記:12月13日、色々写真の撮り忘れがあると感じたので行ってきました。
旧ランド坂の谷はほぼ埋まっておて、ありがた山からよみうりランド方面に真っ直ぐ伸びる道を作る作業も始まっているようです。




また、後で別記事にすると思いますが、日本山妙法寺 多摩道場へのアクセスが変わっていました。以前は旧ランド坂のヘアピン部分(トンネル開通後は付け替えられた道路の合流点)から入る道でしたが現在は塞がれていて、稲城駅側に回って、稲城市立南山小学校の横を進むと、よみうりゴルフ倶楽部との間の細い道からアクセスできるようになっていました。ヤオコー側からストゥーパを見にいけるのは嬉しいですね。



……以上、可能な範囲で振り返ってみましたが、やはり記録が少ないというか、もっと細かく記録をしておくべきだったと思ってしまいますが、10年前は今ほど南山にも多摩丘陵にも関心がなかったので今となっては仕方ない。せめてこれからは、もう少し丁寧に変わりゆく多摩丘陵の今の姿を残しておきたいと思います。