「秩父夜祭」、数年越しでようやく見にいくことができました。
京都の祇園祭、岐阜の高山祭と並んで日本三大曳山祭に数えられる「秩父夜祭」に行ってきました。私はどの祭りも行ったことがなかったのですが、秩父には妻の実家があるので、結婚した当初から毎年誘って貰っていたのです。
秩父夜祭りは秩父神社の例祭で、毎年12月3日が大祭となります(前日に宵宮)。祭りのメインイベントが夜の19時から21時頃にかけてということもあって、泊まりがけでもないと行けないスケジュール。例年この時期は仕事が忙しくなることもあり、なかなか行くことができなかったのです。
http://www.chichibuji.gr.jp/?page_id=6
現在は私が無職、奥さんはアメリカ出張帰りで代休が溜まっていたので、木金と連休を取ってもらい、私の母親と犬も連れて秩父の義実家にお邪魔してきました。うちは実家の親同士気が合うようで、色々とやりやすくて助かります。
2016年の秩父夜祭は12月2日(金)が宵宮、3日(土)が大祭というスケジュール。週末にあたっていることもあり、今年も大勢の観光客で賑わいそうです。
また、この12月1日(木)には秩父夜祭を含む、全国の「山・鉾・屋台」33行事がユネスコ無形文化遺産へ登録されたことで、今後は国内のみならず海外からも注目されるお祭りとなるでしょう。
秩父鉄道からは「祝 秩父夜祭『ユネスコ無形文化遺産登録』記念乗車券」が、12月2日(金)から4日(日)の3日間限定で発売されるそうです。発売は熊谷、秩父、御花畑の各駅窓口、価格は860円、数量限定の販売とのことです。
http://www.chichibu-railway.co.jp/blog/news/161201-2/
秩父市の人口が3倍に膨らむ一大ページェント
秩父に入ったのは3日の昼過ぎ。思ったよりも幹線道路の混雑はありませんでしたが、既に市内の中心地は交通規制が行われ、秩父神社周辺は道路が封鎖されていました。
秩父神社に来るのは夏の川瀬祭り以来になります。川瀬祭りは子供が主役のお祭りでしたが、夜祭りは大人たちが中心となり、川瀬祭りよりも遙かに大きな山車を曳き回します。
秩父神社のお参りの列も、まるで初詣のような行列。
境内やその周辺もこの人だかり。毎年、祭りの最終日である12月3日には人口6万人の秩父市に、20万人前後の見物客が見物に訪れるのだとか。市内の人口密度が1年で最も跳ね上がる秩父夜祭のクライマックス、まさに市を上げての一大ページェントなのです。
祭りとは直接関係ないですけど、今や秩父といったらアニメとのコラボは外せませんね。今年公開された劇場版アニメ「心が叫びたがってるんだ。」、私は見逃してしまったのですが、どうだったのでしょう?
メインイベントの「屋台曳行」そして「花火大会」
秩父夜祭で曳き回しが行われる山車(屋台、笠鉾)は全部で6台。夏の川瀬祭りのときよりもふたまわりは巨大な山車が、100人を越す大勢の曳き手によって市中を曳き回されます。
明るいうちから市内の中心部で山車が曳かれているのを見ることができますが、メインイベントは19時頃に秩父神社から御旅所へかけての屋台巡行。同じタイミングで春の芝桜でも有名な羊山公園から盛大な花火が次々に上がり、冬の夜祭りを更に盛り上げます。
屋台巡行のメインストリートである地方庁舎前に現れた「宮地屋台」。ここは女性の曳き手が最も多い屋体。定期的に曳き手の女性たちがWALL OF DEATHのごとく入り乱れて走り回る賑やかなパフォーマンスが見られます。
19時半頃よりスタートする花火大会もかなりの盛大さ。2時間という長時間に渡る、大玉の連続と大量のスターマインは夏の花火大会でもなかなかお目にかかれません。
花火は羊山公園という高台(春に「芝桜の丘」ができる場所)で打ち上げられることもあり、祭りの中心に居なくとも、市内の至る所から眺めることができます。荒川を挟んだ秩父ミューズパークなどからも楽しめるようです。気合いの入った人は武甲山に登って写真を撮ったりするのだとか(やってみたい!)。
こちらは「上町屋台」。最も大きく張り出した屋根を持つ豪華絢爛な屋台です。
道路の中心には曳き手、歩道側には見物客と、大勢の人出ですが、警察、警備の方々の的確な誘導もあり、危険を感じるようなことは一切ありませんでした。
せっかくなので、山車と花火を一緒に収めたいな…なんて思うのですが、さすがにこの人出ではなかなかいい角度を見付けることも難しい。当然、三脚を立てるような場所なんてありませんし、危険なので止めた方がいいです。
まあ、写真はそこそこにして、肉眼で直接祭りの熱気と花火を楽しむ方がいいかもしれませんね。
クライマックスは団子坂の屋台曳き上げ
屋台巡行のクライマックスは屋台の目的地である御旅所の手前にある団子坂。方向転換すら大仕事となる重量級の山車を、かけ声とともに坂の上まで一気に曳き上げるのです。
団子坂を登ってきたのは先ほどの宮地屋台。祭りのクライマックスということもあって、撮影者の数も半端ない(笑) いえ、私もその中の1人なのですけどね。
屋台が完全に曳き上げられるとまたしても大きな連続花火。左手奥は有料の桟敷席です。他にもあちこちに観覧スペースが設けられ、全国各地からこのお祭りの観覧ツアー客がやってきておりました。
いやー、想像していたよりも遙かに盛大なお祭りです。冬の花火というのもなかなかありませんし、親たちと別行動で奥さんと2人山車を追いかけてみたりと、楽しい祭り見物でした。
義実家の2階から花火見物
21時を過ぎ一通りの屋台曳行が終わったこともあり、義実家まで歩いて戻ります。(留守番させてた我が家の犬が鳴り続ける花火の音にすっかり意気消沈してて、申し訳ないことをしました。お詫びに翌日たっぷり散歩させてあげることに…)
その間も花火は上がっているのですが、義実家2階のベランダからも最後の花火を楽しむことができました。
角度的に手前に電信柱が入ってしまいまいましたが、最後ということもありかなり気合いの入ったスターマインでフィナーレ…
…かと思ったら最後の最後に凄いのが上がりました。本当のフィナーレを飾る「黄金の滝」。直前までの花火と2本の電柱の大きさと比較して頂いても分かると思いますが、直線距離で2km以上離れていてこれですからね。
祭りの翌日、ミューズパークから秩父市街を望む
さて、すっかり祭りも終わった翌日の夕方、秩父ミューズパークの展望台から見た秩父市街地です。秩父盆地を取り囲む山々から、手前を流れる荒川にかけての河岸段丘がよく分かる展望です。
花火を上げていた羊山公園は写真中央付近の中位段丘(羊山丘陵)。中央やや左手の丘陵の切れ目が飯能方面へ抜ける国道299号が通っている場所です。
石灰岩を削り取られ続けどんどん小さくなっていいきながらも、秩父のシンボルであり続ける武甲山が夕暮れの空にもの悲しく浮かびます。元々は中腹の段の延長線で山があったようです。
川瀬祭りの神輿洗いが行われるのはこの秩父公園橋(秩父ハープ橋)の下。荒川を挟んで河岸段丘の異なる面を繫いだ橋だと、先日のタモリ倶楽部(11/27放送「荒川大模型173」)でも解説されていましたね。
ちなみに、現在私が住んでいる府中市にも「くらやみ祭り」という夜祭りがあり、この祭りを執り行う大國魂神社は秩父神社などの親分格?に当たります。くらやみ祭りには秩父神社の神輿も四宮として登場するのですが、今年は「川瀬祭り」「秩父夜祭」と見たこともあり、来年からはまたちょっと違う気持ちでこの四宮を応援することになりそうです。