最近の府中、国立エリアの段丘崖周辺を巡った記録より。
府中と国立の段丘崖周辺巡り
先日、多摩エリアの富士山ビュースポットをまとめたのですが、手持ちの写真が夕方や夏季のものが多く、日中の白い富士山の写真も欲しいなと、何回かに分けて府中〜国立辺りを徒歩やシェアサイクルで巡りました。
富士山とは関係ない場所にも立ち寄ったり写真を撮っていたので、府中・国立のハケ沿いスポットということでまとめてみました。イメージとしては京王線の東府中駅から南武線の西国立駅までの10kmちょいの区間。
多摩川の左岸に広がる武蔵野台地は古多摩川の流れが作り出した河岸段丘になっていて、最も多摩川に近い沖積低地から数段の段丘崖(ハケ)が東西に伸びています。段丘崖の周辺は湧水も多く、このブログによく登場する野川は国分寺崖線からの湧水を集めて、国分寺崖線の下の立川面を流れている川。
さらにその一段下の段丘崖が立川崖線でこの崖線にも湧水ポイントがいくつもあります。立川崖線は府中市内では府中崖線と呼ばれていますが、国立市に入るとさらに別の段丘崖(青柳崖線)に枝分かれしたりと名前が多いとややこしいので、今回は立川崖線で統一します。
立川崖線の湧水:瀧神社のお滝
瀧神社(たきじんじゃ。「滝神社」)は大國魂神社の末社で、東府中駅の少し南にある立川崖線沿いにあります。「お滝」と呼ばれる立川崖線からの湧水が湧き出しているポイント。
とても小さな流れですがしっかり水が湧き出していました。
この段差が立川崖線の段丘崖。もう少し右を見ると富士山が見えます。
府中市内にある崖線からの湧水はこの他に西府町湧水があります(大國魂神社の水神社には井戸がありますが、深井戸ということなので立川崖線からの湧水よりも深い層ですね)。
このときは富士山チェックをしていたので、崖線の上をそのまま国立方面に進んでしまいました。
この西府町湧水は何度か来たことがありますが、いつも薄暗い時間帯でまともな写真がありません……。
青柳崖線:ママ下湧水、府中用水、矢川おんだし
立川崖線は谷保のあたりで南武線に沿った立川崖線と府中用水に沿った青柳崖線に分かれますが、段丘崖の下を歩いていると立川崖線がそのまま青柳崖線に切り替わる感じ。谷保天満宮の中に湧水(常磐の清水)がありますが今回は特に行ってません。以前、矢川緑地を歩いた際の帰りに立ち寄ってます。
これは国立市青柳あたりの府中用水。多摩川の取水口から比較的すぐの場所。青柳崖線と多摩川の間を流れています。水量が少なく見えるのは冬だからでしょうか。
そして青柳崖線からの湧水「ママ下湧水」。「ママ」は「ハケ」と同じく崖を意味する武蔵野地方の方言。
冬でもかなり豊富な水量で驚きました。
ママ下湧水からの水は青柳崖線に沿って流れて、いずみ大通りの下をくぐったら、矢川おんだしで矢川の流れと合わせて、府中用水(谷保堰で分水した支流)に合流します。
水量たっぷりの左側はママ下湧水からの流れ。
一方、矢川からの水量はかなり少ないようです。
水の少ない矢川
矢川の水が少ないことが気になって、甲州街道のあたりまで行ってみると完全に干上がっていました。青柳崖線からの湧水が豊富だったのに対して、こちらの立川崖線の水は枯れてしまっているのでしょうか……?
ちょっと気になって数日後に立川駅に行った帰りに矢川緑地を見てきました。
西国立駅で下りて矢川緑地へ。
青柳大通り(みのわ通り)の上から眺めると確かに矢川水源の水がない。
矢川弁財天の池はもちろんありますが……。
青柳大通りから矢川緑地側の流れ。やっぱり水がありません。
そのまま矢川緑地。湿地帯に水がありませんね。
刈払いが行われた湿地帯、これは流れの跡でしょうか。
矢川緑地の中を進んで行くと段丘崖沿いの流れに水がありました。いつの間に……。
しかし昨年の秋に来た際に比べると明らかに水量がありません。野川などもこの時期は湧水量が減るので上流域ほど水が少ないことが多く、それ自体は特に不思議ではないのですが……。
水量は少ないものの水が流れている矢川。
数日前は完全に枯れていた甲州街道との交差点もこんな感じで水がありました。たった1週間ほどの差ですが、冬の間は完全に枯れているという訳でなく水量には変動があるようです。
段丘崖にある「くにたち郷土文化館」
さて、先ほどのママ下湧水や矢川おんだしの近く、青柳崖線沿いに「くにたち郷土文化館」があります。以前から気になっていた場所なので、立ち寄ってみました。シェアサイクルのステーションが目の前にあるのですが、満車で返却ができずレンタルしたままでの入館だったで、やや駆け足。また改めてじっくり来ます。
ガラス張りで自然採光多めの明るい館内です。
面白いのは「くにたち郷土文化館」は青柳段丘の段丘崖を跨ぐように建てられていること。入口があるのは上の青柳面で、主な展示室があるのは下の沖積低地にある地下1階。
府中市の郷土の森博物館は広い敷地の中にハケを模した段差が作られていますが、本物の段丘崖に建てられた郷土史博物館はなかなかありません。
常設展示はハケ沿いに発展した国立の歴史がまとめられています。府中市郷土の森博物館の常設展示(現在改装中)にも似てますが規模はかなりコンパクト。
かつては甲州街道の通っていた谷保や矢川周辺が中心地だった谷保村。約100万坪の雑木林を地権者たちから買い取り整備。国立駅の開業、国立音大や一橋大の前進となる学校の移転を経て、学園都市構想を掲げて開発されたのが現在の国立…… 等々の歴史を急ぎ足で見るなど。国立市役所が国立駅周辺ではなく、谷保寄りにあるのはそんな街の成り立ちからなのですね。
今回はちょっと駆け足だったので、またじっくり来たいと思います。
府中、国立エリアの移動ですが今回紹介した範囲ならば徒歩でも移動可能ですが、シェアサイクル「HELLO CYCLING」のステーションが各所にあるので、うまく使えば広範囲を効率的に回ることができます。
こんな感じ。ざっくり右下から左上に進むイメージで紹介しました。