府中市、調布市、三鷹市にまたがる武蔵野の森公園から野川までの「玉石張りの水路」周辺のまとめ。
- 「玉石張りの水路」が気になる
- 武蔵野の森公園、朝日町にららぽーと予定地?
- 全国の石が集められた「ふるさとの丘」
- 「修景池」「浸透の谷」「展望の丘」
- 玉石張りの水路の続きと「掩体壕」
- 野川大沢調節池の横から再び玉石張りの水路
「玉石張りの水路」が気になる
以前から野川沿いを歩いていた際に気になっていた流れ込み。Google Mapでは水路のような水色のラインで表示されていますが、川や用水路にしては水が流れているのを見たことはない。それにしてはコンクリートの堰(越流堤?)に玉石張りになった護岸、なかなか気合の入った水路のように見えます。
野川に合流してくる水路。小さな堰もあって立派だけど水が流れているところを見たことがない。かつて調布飛行場の水はけを目的に作られた用水路(玉石張りの水路)の跡らしい。すぐ隣に野川大沢調節池もあるし、もうこの堰を水が越えることはないのかも… pic.twitter.com/g8aeoD5hkv
— OKP (@iamadog_okp) 2024年1月27日
調べてみると、戦時中に調布飛行場内への水の侵入を防ぐために作られた水路の跡のようです。現在はその一部が「玉石張りの水路」として残されています。この案内は武蔵野の公園内にあったもの。
現在の調布飛行場や武蔵野の森公園が整備される前(1970年代)の航空写真を見ると飛行場の北側に緩やかな敷地境界のカーブが見えますが、この境界線は現在(右写真は2019年撮影)の武蔵野の森公園になっていて、この辺りに「玉石張りの水路」が保存されています。
歩いてみると先程の野川の流れ込みの他、もう少し水路の跡(一部は今も使われてる?)はあるようなので、周辺の気になったスポットと合わせてまとめてみました。
武蔵野の森公園、朝日町にららぽーと予定地?
武蔵野の森公園北門の案内図。敷地の左端に水色のラインと「玉石水路」の文字が確認できます。
ちょっと公園を飛び出して、武蔵野の森公園とスタジアム通りを挟んである府中市朝日町の巨大な空き地。周辺の複数の施設同様に旧日本陸軍から在日米軍の管理となり、日本に返還されていた遊休地のひとつ。以前はセブン&アイ系による開発が予定されていたのですが(アリオができる?など)、いつの間に開発事業者は三井不動産となり、今度は「ららぽーと」ができるという噂がツイッターなどで観測できます。
府中市朝日町の多磨駅前にあるアリオになるはずだった用地は三井不動産が開発事業者になりました。「ららぽーと」でほぼほぼ確定ですね。https://t.co/5btKFYAjb5 pic.twitter.com/Neysp3HPKr
— 公団ウォーカー 照井啓太 (@codanwalker) 2024年3月3日
西武多摩川線の多磨駅入口の交差点から「ららぽーと」予定地!?
近くには東京外国語大学や警察大学校、銭湯「藤の湯」などもあって普段はのんびりとしている場所ですが、ららぽーとができたら周辺の渋滞がちょっと心配。敷地北に隣接する人見街道は西武線の踏切手前で幅員減少になっていて、微妙に車の流れが悪くなっていますがその辺りは解消されるのでしょうか?
閑話休題。武蔵野の森公園に戻って。この窪地を水路のスタート地点に勝手に認定しました。窪地は水を溜める場所でしょう!? 早咲きの桜もそろそろ葉桜になってきました。
玉石張りが見られるのかここからです。
このあたりは戦時の遺構として保存されたもので、現在は排水路としては使われてない感じでしょうか。
グレーチングも見えますし、雨水などは地下の下水管に流れて行きそう。
全国の石が集められた「ふるさとの丘」
水路跡だけを辿るとあっという間に野川に出てしまうので、少し寄り道します。武蔵野の森公園「ふるさとの丘」、少し高くなっている場所はとりあえず登ってみたくなります。
ふるさとの丘。東〜南に広がる調布飛行場がよく見えます。富士山は見えませんでした。なんだか気になるモニュメントが足元に広がっていますがなんでしょう……?
全国の47都道府県から集められた「石」でした。各地域を代表するの石の標本と解説のプレートが並んでいます。石の名前は花崗岩や玄武岩といった一般的な種類もありますが、秋田なら「男鹿石」、栃木なら「大谷石」といった、各地での呼び名で紹介されているものも多いです。
そんな解説がまとめられたパンフレットも用意されていました。1部貰ってきましたが、なかなか面白いものなのでPDFでも配布すればいいのに。
丘の上から見た調布飛行場の滑走路。向こうに見える森は野川の対岸にある大沢緑地から国立天文台に掛けての森。一段高くなっているように見えるのは国分寺崖線(武蔵野台地の段丘崖)があるから。
調布飛行場の敷地の北の端に調整池がありました。現在は大雨が降った際は玉石張りの水路ではなく、こちらに雨水を溜めて排水するのでしょうか。
「修景池」「浸透の谷」「展望の丘」
武蔵野の公園内の池「修景池」。
防災用の井戸がありました。地下25mから組み上げているそう。武蔵野台地といえば井戸と湧水。
池にはヒドリガモ。近くを流れる野川ではあまり見ないカモですが、この池にはたくさん居ました。
調布飛行場の北を回り込みます。先程の調整池が見えています。
池をオーバフローした水はこちらに流れています。
「浸透の谷」というらしい。さて、谷に浸透した水はどこに流れて行くのか……?
こちらは「展望の丘」。
何度か来たことがある、調布飛行場滑走路のビューポイントです。ここも富士山は見えず。
奥に新中央航空のドルニエ228が2機並んでいます。ここで調布飛行場から離発着する飛行機を撮影する人もいますが、今回は散歩が目的なので先に進みます。
玉石張りの水路の続きと「掩体壕」
大沢グラウンド通りの横断歩道を渡りました。右奥に玉石張りの水路の窪みが見えています。
そしてこちらが玉石張りの水路の続き。この水路跡は写真で見えてる正面で消えてしまいます。
さて、この周辺には玉石張りの水路とは別の戦争遺跡があります。戦時に軍用機を空襲から守るために作られた「掩体壕」。調布飛行場の周辺にはいくつかの掩体壕が現存していてこれはそのうちの1つ「大沢1号」。
横から見た掩体壕。尾翼側は低くなっています。
掩体壕が格納していた戦闘機はキ61 三式戦闘機「飛燕」。
すぐ近くにもう1つの掩体壕「大沢2号」もあります。
さらに少し離れますが府中市の白糸台にも「白糸台掩体壕」がありまます。写真は先日紹介した富士山スポットを確認した際に、甲州街道の西武線オーバーパスの上から撮ったものです(2枚目、よく見ると富士山が見えています)。
再び武蔵野の森公園。掩体壕の付近にも防災用の井戸が合計3つ。ちなみに先程の井戸は府中市にありましたが、この辺りは三鷹市になります。
この展望台、絶対富士山が見えると思っていたのですが……
東京外語大の建物が邪魔をして見えませんでした。
でも、大沢1号と公衆トイレの間あたりから見えました。こういう富士山が地味に嬉しい。
野川大沢調節池の横から再び玉石張りの水路
さて、武蔵野の森公園を抜けて航空関連企業ジャムコの横を通って……
「水車通り」の向こうにはJAXA。
「水車」は水車通りを進んだ先の野川沿いにあります。この周辺には「大沢の里水車経営農家・新車」や「大沢の里」といった三鷹市の文化財施設などがあります。また機会があれば紹介します。
JAXAの航空機出入口。
そして先日紹介した「野川大沢調節池」を平時活用している「大沢野川グラウンド」。
野川大沢調節池の向こう側に野川が流れています。
野川大沢調節池の前を通り過ぎると水路らしき空堀が復活。でも玉石張りはなし。ここは降水時の排水路として今も使われている気がします。
土管でつながっていますし、なんとなく水が流れた形跡もあるような……?
ここにもパイプが3本。気になって大沢グラウンド通りを渡ってみると……
三鷹市大沢総合グラウンドに沿って、ここにも玉石張りの水路がありました。ここはかつての調布飛行場の南の端。ここも管が見えているので、水を流せるようになっているのでしょうか。
「調布飛行場門柱」
野川はもうこのすぐ先です。
殆ど使われてない用水路ですが、野川の直前になって立派な橋が3つもありました。
野川に出る前に細長い公園「大沢八幡橋児童遊園」がありました。こういう川沿いの土地はおそらく旧河道では? と思ったらやはりそうでした。川ばかり歩いていると意外とこういう場所に気付かない。
三鷹市 |大沢八幡橋児童遊園(大沢五丁目)
そして野川の流れ込み。この越流堤を越えて水が流れることは今はあるのでしょうか?
いつも歩いてる野川。この辺もカワセミが多いのでよくウロウロしています。
雨の後はよくぬかるんでいますが、水路からというよりは野川の水が溢れているのでしょう。
こうして見ると野川の増水時に水を逃がす調節池の役割もあったのかも? 現在は上流に大きな調節池が複数あるので、その役割は必要ないのかもしれませんが。
ほんの数百メートルの短い「玉石張りの水路」でしたが、武蔵野の森公園や調布飛行場など他にも見どころがありますし、周辺と合わせて楽しく散歩を楽しめるエリアだと思います。
記事中で紹介したスポットをまとめるとこんな感じ。