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長池見附橋、朝ドラ『虎に翼』にも登場した美しいアーチ橋が架かる多摩丘陵の谷

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八王子市の長池公園にトンボを探しに行ったのですが(今回はそこそこ見られました。公園散歩の様子はまた別記事にて)、公園の東端部にある谷にレトロな鉄骨のアーチ橋「長池見附橋」がありました。

最近この橋をどこかで見たなと思いましたが、NHKの朝ドラ『虎に翼』の初回に登場していた橋でした。CGでニコライ堂を描いてるので、御茶ノ水辺りの神田川に掛かる橋に見立てているのでしょうか。


あのシーンはこの長池見附橋がロケ地だったんですね。実は長池公園に来たのはこの日が初めてで、全く気付いてませんでした。それにしてもなんで多摩丘陵にこんな橋が……? どうやらこの橋はもともと都内四谷の皇居外堀(現在はJRの四ツ谷駅)に架けられていた旧四谷見附橋なのだとか。

近くのショッピングモール「ぐりーんうぉーく多摩」で昼食をした際に「見附ヶ丘」というバス停を見掛けて、城趾もないのに不思議な地名だと思っていましたが、その後橋を渡りながらネームプレートを写真に撮っていたら、通りかかったおばあさんが「この橋は元々四谷見附橋だったんですよ」と教えてくれました。

橋の袂に行ってみると、長池見附橋の名前を記した石碑の裏に移設の経緯について解説がありました。

四谷見附橋を長池公園に移築したから「見附」の名前を残して「長池見附橋」、なるほど。ちなみに「長池」は公園内にある古い池の名前で、地名にはなっていません(住所は八王子市別所)。


長池見附橋は、都内に架かっていた四谷見附橋を移設再建した橋梁です
四谷見附橋は、1913年(大正2年)9月に竣工し、文明開花時の面影が偲ばれる橋梁として多くの人々に親しまれてきました
長池見附橋本体のうち、高欄や橋燈等の装飾品は、創建当時の姿を復元し、橋台部も当時と同じ花崗岩と煉瓦によって仕上げ、橋梁全体をネオ・バロック調の景観として再現しています
この貴重な文化遺産が、これからも末永く市民の生活に潤いと豊かさをもたらし、多くの人々に親しまれて行くことを願い、ここに再建しました
平成5年11月

長池見附橋が移築されたのは1993年、長池公園の開園は2000年だそうです。

長池見附橋が移築される前の長池周辺の航空写真を見てみると(89〜90年の間、左下あるのが長池、中央の大きな池は築池)、もともとそこまで大きな谷があったようには見えませんが、数10メートル程度の高低差はなかなか航空写真には写りませんし、わざわざ橋を移築するぐらなので、元の地形はそれなりに生かされてるのでしょう。2枚目は長池見附橋や長池公園が完成後の2008年。

出典:国土地理院(https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

あまり関係ないけどニュータウン開発が激しい多摩丘陵周辺の過去の航空写真を見始めると、あっという間に時間が溶けます。70年代から80年代に掛けての丘陵の開発は本当に凄まじい勢いです……。

長池見附橋の下には姿池と名付けられた大きな池。長池見附橋の姿を映す(水面リフレクション)ことを意識して作られたものでしょうか。長池、築池、丘陵からの湧水が水源になっていて、下流側には「せせらぎ緑道」名付けられた親水遊歩道も整備されています。かつては地名の元になっている大栗川支流の別所川という川もあったそうでなので、それなりに谷戸地形だったのかも。

橋の上から見下ろす姿池の西側。水源になっている長池や、正面の堤の向こうは築池。

こちらが橋の東、一応下流側になるのかな。

橋の上。広めの歩道に2車線の車道、四谷見附橋時代から橋の幅は狭められているそうです。橋の向こうに見えているマンションは「コープタウン見附橋」。長池見附橋ありきの名称ですね。

欄干にはシャンデリア的な装飾の街灯。

長池見附橋の周囲4箇所からは階段が設けられて下りられるようになっています。

鋼製の立派なアーチ橋。橋台のレンガ装飾も見事ですね。



こんな立派な大正建築が多摩丘陵にあったのですね。移築もさぞ大変だったことでしょう。



姿池の周辺には床組や高欄などを切り出した展示やモニュメントがありました。






この姿池でもトンボがたくさん見られたので、トンボを撮影しながら周辺をぐるぐる歩いていました。

長池公園最下流にある小さい池は水面が穏やかだったので若干リフレクション。

橋直下の池はかなりザワザワしていました。


橋の上流側(長池側)。



橋とは直接関係ない築池からの水が流れる水路ですが、こちらもレンガ貼りの意匠が用いられています。

少し高くなった築池側から。築池をオーバーフローした水が、姿池に流れています。

次は晴れて風のない日に来てみたいですね。長池公園は自然観察のフィールドとしても素晴らしく、無料駐車場もあるので今後はもう少し定期的に訪れてみたいかも。

その他、長池見附橋と橋周辺の写真。




長池見附橋交差点。


長池見附橋へのアクセスは、車の他、京王相模原線の南大沢駅から徒歩で20分ほどです。