エベレスト街道13日目、ナムチェバザールでの停滞を経てなんとか妻の熱も下がり、ゴールのルクラを目指します。しかしルクラからカトマンズへの直行便はトリブバン空港の工事により飛んでない状況…… 果たして無事カトマンズに戻れるのか?
前回の記事
- 快晴のナムチェバザールからルクラを目指す
- 大混雑のジョルサレゲート、満開の桜が咲くエベレスト街道
- ルクラ着、エベレスト街道を無事踏破
- テンジンヒラリー空港から飛行機はどこへ行く!?
- マンサリ ラメチャープ空港からハイエースで5時間半……
- カトマンズ帰着の午後、祝杯とチトワンへ向けての準備
- 当日の行動ログ(YAMAP)
- エベレスト街道トレッキング関連記事(2019年3〜4月)
快晴のナムチェバザールからルクラを目指す
2日間降った雨は止んで快晴となったナムチェバザール。妻の熱も下がり、エベレスト街道トレッキングの最後の日が始まります。行きは2日間かけたルクラ〜ナムチェ間ですが、帰りは1日で18kmほどの距離を戻ります。全体的には下り道が中心ですが、何度か登り返しがあるので油断はできません?
朝食にカロリーたっぷりのフレンチトーストを食べ、色々とお世話になったロッジのオーナーに感謝の言葉を伝えてからスタート。
既に動き始めているナムチェのメインストリート。標高3500mにこの街があったおかげで色々と助かりました。
ナムチェの入口でディンボチェ〜ロブチェとロッジが一緒だったマレーシアのグループに遭遇。我々より1日遅い行程でしたが、こちらがナムチェで停滞している間に追いついたようです。
いつの日かまた!
チェックポストを抜けて……
ここのトイレは
エベレストが見える最後のポイント。最後の最後にもう一度エベレストを見ることができて良かった!
2日間降り続いた雨で足下はかなり泥濘んでいます。
うっかり転ぼうものならそこら中にゾッキョやロバのウンコが落ちているので大変キケン。
石がこれまた滑るんですよねぇ……
吊り橋をゾッキョたちが渡ってきたら待ちましょう。
このぬかるんだ斜面でこんな荷物を背負って、超人過ぎる……
ジョルサレの国立公園ゲートに辿り着きました。
大混雑のジョルサレゲート、満開の桜が咲くエベレスト街道
え、なにこの混雑……? 2日間の雨で何かしらの足止めなどあったのでしょうか。この日はとにかくルクラ方面から上がって来るトレッカーの数がかなり多い。
そしてモンジョ。初日に世話になった「カイラッシュロッジ」の庭では日本から移植したというソメイヨシノが丁度満開を迎えていました。
今年の春は丁度日本の桜が咲く直前に旅立ってしまったので、これは嬉しいサプライズ。ここからルクラにかけて、数カ所で日本の桜を見ることができます。
たなびくタルチョと桜、エベレスト街道でしか見られない色合いですね。
そしてカイラッシュロッジのチキンサンドがめちゃくちゃ美味しいのですけど……。当初、軽いお茶で妻とシェアするつもりでしたが、あまりに美味しいので結局追加で2人分いただきました。
この日は荷揚げのラバやゾッキョがガンガン上がっていきます。
エベレスト街道の犬。
エベレスト街道の桜。
水は遂にRs80。
鮮やかなシャクナゲ。
数人分のバックパック+αを運んでます……
モンジョからルクラの間はパクディン他10個ぐらいの小さな村があるのですが、行きに歩いた際よりも長く感じます。
これまで2年間履いていた軽登山靴、右足に続いて左足のソール先端も剥がれてしまいました。エベレスト街道を歩く際は履き慣れていて、かつ100kmオーバーのトレイルに耐えられる靴を選びましょう。つま先ならいいですが、メインのソールが剥がれるようだとかなり困ります。
壊れた靴はネコにあげてしまいましょう(たまたま似てるだけで私のマムートではない)。
最後に買ったミネラルウォーターはクーンブ氷河の水。
歩いて歩いて、最後にひたすら登りが待っています。あのカーブを曲がれば……
ルクラのゲートに到着!
(以上でエベレスト街道トレッキングは終わりになりますが、本記事はルクラでの滞在、翌日のカトマンズに戻るまでを記録しておきます)
ルクラ着、エベレスト街道を無事踏破
無事、ルクラまで戻ってきました。エベレスト街道、13日かけて完走しました!
早くこうなりたい。
この日は既に飛行機が飛んでないので、ルクラで宿を探す必要があります。
その前に下山コーラをキメますか。
そして当初の予定では3日後(12日)で予約していた飛行機の便を変更する必要があります。SITA AIR他主要な航空会社はルクラのメインストリートに窓口があります。カトマンズ便が飛んでない件なども確認する必要がありますし……
……と思ったら、あっさりと翌朝7時の便に予約が変更されました。本当にあっさり(交渉したのは妻)。
そしてカトマンズ行きの便は飛んでないものの、途中の空港からSITA AIRが手配したバスが用意されているそう。ひとまずこれで無事に翌日にはカトマンズにたどり着けそうです。
懸案事項だった航空機の件も解決したので、あとはこの日の宿を探すだけ。
空港から近いこちらの「パラダイスロッジ」にチェックイン。
日本人だと名乗った我々が通された部屋は「JUNKO TABEI」。本当に田部井淳子さんが泊まった部屋なのだとか。
シャワー付きの広い部屋ですが、残念ながらお湯は出ません……。
最終日の行動時間は8時間越えで18.3kmの移動でした。標高差がそこそこあったので(パクディン〜ルクラ間の登りがキツい)なかなか疲れた最終日です。
部屋からはテンジンヒラリー空港の滑走路(急斜面)と桜の木が見えます。
荷物を置いて再びルクラのメインストリートへ。
気になっていたんですよね、クラフトビールの店。
缶ビールではありましたが地元のクラフトビール、シェルパブルワリーのクーンブクルシュ。ビールを解禁するのはナムチェからと思ってましたが、体調不良などもあったのでようやく美味しくビールが飲めます。無事に旅を終えたことを祝って乾杯!
夜のロッジでは、テンジンヒラリー空港へのソーラーパネルの設置で日本から技術支援に来ているという方々とお話することができました。ネパール特有の様々なルーズさにかなり苦労されているようですが、日本から遠く離れた地で1日の仕事を終えてささやかな乾杯をする皆さん、とても格好良かった。
エベレスト街道最後の夕飯、私はカレー。
すっかり回復した妻はヤクステーキ。山を下りてきた分、ナムチェよりも肉が大きい。ロッジ的にもイチ押しメニューのようです。
テンジンヒラリー空港から飛行機はどこへ行く!?
翌朝、6時には朝食を食べてそのまま空港へ(徒歩5分)。
この日は朝から薄曇り(山は多少見えています)、そういえば我々と入れ違いのスケジュールで野口健氏がエベレスト街道に入っていたようですが(ルクラの同じロッジに泊まっていたのだとか。ナムチェあたりですれ違ってたかも?)、今年のエベレスト街道の天候の不安定さについてツイートしていました。
ただいまカトマンズの空港にて待機中。ルクラにいるデェンディ・シェルパから電話がはいり、ルクラも大雨とのこと。先月から連日、雨や雪が続きこの季節にしては極めてレアだと。モンスーンがすでに始まってしまったかのような気候。登山隊やトレッカーには厳しいシーズンになりそう。それもまた山。 pic.twitter.com/NmuCCGEeGK
— 野口健 (@kennoguchi0821) 2019年4月6日
飛行機が飛んでくれることを祈りつつ、犬に見送られながら空港へと向かいます。
手前に見えているサミットエアの2機のうち駐機場の方の機体、この数日後にこの空港滑走路でヘリ2機に衝突、3名の犠牲者を出す大事故を引き起こしてしまいます。
ネパールの小型機がヘリ2機に衝突、3人死亡 エベレスト玄関口の空港で 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News
短い滑走を斜面の勢いを借りて飛び立って行く飛行機。これで飛んでしまうのも凄いけど、やはり着陸時の速度をこの距離で殺しているのがとんでもないですね。
滑走路の途中、右側に見えているのがヘリコプターの駐機場。丁度ヘリが出ていくところです。
横から飛び出したと思ったら滑走路で90度向きを変えて谷の方へ飛んで行きます。これも見ているとなかなかスリリング。
テンジンヒラリー空港の入口です。食堂などでなく空港の玄関口!
空港の入口に犬(足跡がかわいい)。この後、空港の中に普通に入ってきて職員に凄い剣幕で追い出されていました(笑)(そりゃそうだ)
簡素なチェックインロビー。
SITA AIRのカウンター。事前に荷物の重量を量って預け入れのザックが10kgを越えてないことを確認しておきます。超過料金を払ってるトレッカーもいましたが、かなりの額を払っていたような……(Rs1000冊を10枚以上は数えていました)。
カメラ2台を含む私の手荷物は6.5kg、なんなら10kg位手荷物にしても行けたりしませんかね?
簡単なセキュリティチェックを済ませた預け入れ荷物は便毎に外にまとめられています。
大きなツアーになると、旅行会社の名前が入った専用のダッフルバッグで顧客の荷物をまとめています。
我々のチケットも無事発行されました。行き先はあくまでカトマンズ表示。飛行機は途中までしか飛ばないけど、航空会社はカトマンズまで連れて行くよ、という。
SITA AIRの機体もいつの間に飛んで来ました。
エベレスト街道で買った最後のミネラルウォーター。空港内の売店はRs200、高いな!
我々の便も無事に飛んでくれました。時間は8時。
ルクラ発の便の場合、右側がヒマラヤンビューです。
こんな感じ。
さて、行きの便では何ともなかったのですが、帰りの便では気圧の関係か耳がめちゃめちゃ痛くなってしまいました……。気密の低そうな飛行機ではありますが、妻は大丈夫そうですし、何が原因なのでしょうね?
耳の痛みがそろそろ限界…… と思った頃にドスンとよく分からない空港に着陸しました。
マンサリ ラメチャープ空港からハイエースで5時間半……
どこだろう?ここ。
え?何、あの人だかり……
山間部の盆地っぽい周囲は山に囲まれた空港で下ろされました。
ああ、これからルクラに向かうトレッカーたちですね。カトマンズからここまでバスに揺られて…… ご苦労さまでした(しかしまだ旅はこれから)。
ルクラ着でもそうでしたが飛行機下りるといきなり滑走路から空港の外に放り出されるんですよね。
SITA AIRの職員に呼ばれるまま付いていくと…… まさかこのハイエース。
なるほど、これがバスですか。
ほんと、どこだろうここ? 携帯(NCELL)の電波も入らないし…… ととりあえずGoogleMapで現在位置をマッピングしておきます。後で分かったのはマンサリのラメチャープ空港。ルクラとカトマンズの丁度中間地点。陸路のエベレスト街道の入口であるジリの南、カトマンズまでは130km程の場所になります。
高速道路なんてないのでひたすら舗装の悪いよく揺れる道、山岳エリアからカトマンズ盆地の間は山だらけなので、ハイエースはいくつもの丘を越えていきます。
2時間置きぐらいにトイレ休憩を挟みながら、徐々にカトマンズ盆地へと近づくハイエース。同じ車に乗っていたのは、ゴラクシェプやナムチェで顔を合わせていたタイ人の4人グループ。
シャイなアジア人同士(?)特にこれまで会話もなかったのですが、向こうの1人が実は結構な日本通で、自分は日本が好きで立山や上高地にも行ったことがある、なんて突然話しかけてくるものだからビックリ。「うちら、ゴラクシェプで会ってるよね」と話すと「もっと、もっと何度も会ってるよ!」ってそれなら、もっと早く話しかけてくれればいいのに(笑)
我々がネパールの後にタイに立ち寄ることを話すと嬉しそうで、アユタヤには行った方がいいか?と訪ねると「マストだ!」と。なんだかタイも楽しみになってきました。
14時過ぎ、空港に行くはずのハイエースバスの運転手は「1人Rs500でタメル地区行くけどどうだ?」と白タクに変貌(笑) 空港からタクシーに乗っても同じなので、そのままOKして2週間ぶりのタメル地区に戻って来ました。絡み合った電線が懐かしい。
カトマンズにはお猿もいるぞ。
カトマンズ帰着の午後、祝杯とチトワンへ向けての準備
荷物を預けていた「オアシス カトマンズ ホテル(Oasis Kathmandu Hotel)」に再びチェックインした後、やってきたのはタメル地区中心地のフードコート。
ナムチェで会った日本人トレッカーから聞いた、安くて美味しい日本食レストラン「絆(KIZUNA)」です。スタミナ丼Rs380、カツ丼Rs300とめちゃくちゃ安い!
キッチンのみの小さい店ですが、安くて美味しいので日本人トレッカー、バックパッカーはもちろん外国人にも人気の店なのだとか(アジア人にも日本食好きが多いみたい)。
久々のゴルカビール。
妻のカツ丼と私の生姜焼き丼。それぞれみそ汁とお新香付き。
本当は人気メニューのスタミナ丼(写真を見る限りスタ丼そっくり)が食べたかったのですが品切れになっていたので、生姜焼き丼。見た目通りの濃い味付けで美味しいです(ご飯はもちろんジャポニカ米)。カツ丼もやはナムチェの店に比べて肉厚なのは、都市部だから仕入れに余裕があるのでしょう。
これがどれも300円前後で食べられるのだから、バックパッカーに人気なのも納得です。
その後はSherpaの直営店で買い物をしたり、翌日からのソウラハ行きのツーリストバスを手配してカトマンズの午後を過ごします。
というのもエベレスト街道を当初よりも前倒しで切り上げてしまったため、3日分のネパール滞在が浮いてしまっています。そこで、2泊3日のスケジュールで中央ネパール南部の「チトワン国立公園」に観光に行くことにしたのです。野生のサイなども見られる亜熱帯ジャングルの国立公園ということで、氷点下のヒマラヤとは真逆の気候。
チトワン国立公園 - Wikipedia
そんな気温差50度近いギャップも楽しめそうですし、Tシャツを買って南国に備える我々。次回のネパール旅行レポートからそんなチトワン国立公園編がスタートします!?(エベレスト街道編がかなりかかってしまったので、しばらく空くと思います)
翌日のバス乗り場などを確認した後に前を通りかかった「エベレストモモセンター」。安くて美味しいと人気のモモの店、カトマンズ滞在中に行きたいと思ってたのですが、結局タイミングが合わずに行けませんでした。
夜はカトマンズで一番美味しいピザ屋と評判(!?)の「FIRE AND ICE」へ。確かに店は混み合っていてすぐには入れず30分程待つことになりましたが、その間も引っ切りなしに客がやってきます。
ピザは店名を冠した「FIRE AND ICE」を注文。見切れている手は相席になったカトマンズ在住のブラジル人のおじさん。元々トレッカーでやはりエベレスト街道を歩いたのが切っ掛けでネパールが気に入って、カトマンズで観光業してる…… 的な話をしてたような。
改めてエベレスト街道の完走を祝って妻と乾杯。色々ありましたが、EBCとカラパタールまで行けて、怪我なく自分の足で戻ってこれたのだから今回の旅は大成功でしょう。
そしてこの店はピザの他にアイスクリームも売りにしています。だからFIRE AND ICEなのね?
以上、ルクラ以降のおまけ部分が少々長くなってしまいましたが、エベレスト街道トレッキングのレポートはこれにておしまいです。書いていたら色々と思い出したこともあるので、適宜まとめ記事の方に追記していく予定。
後は今回のトレッキングで役に立った(&使わなかった)装備関係でもう1本ぐらい記事をまとめるかもしれませんし、ネパール旅の続き(チトワン)、その後のタイ滞在の様子なども後日改めて記事にしたいと思います。