エベレスト街道8日目(4月3日)、遂にエベレスト街道の最終地点である「エベレストベースキャンプ(Everest Base Camp:EBC)」に辿り着きます。巨大な氷河に囲まれたエベレスト登山の拠点とは一体どのような所なのでしょう……。
この日は標高4910mのロブチェからエベレスト街道最後の街「ゴラクシェプ」(5125m)を目指し、一旦ロッジにチェックインした後エベレストベースキャンプをピストンします。
- ロブチェからゴラクシェプを目指す
- 迫力のクーンブ氷河に圧倒される
- エベレスト街道最後の村「ゴラクシェプ」
- カラパタールの脇を抜けて「エベレストベースキャンプ」へ
- 巨大な氷河上のテント村「エベレストベースキャンプ」
- 再びゴラクシェプへ
- 当日の行動ログ(YAMAP)
- エベレスト街道トレッキング関連記事(2019年3〜4月)
ロブチェからゴラクシェプを目指す
朝のロブチェ、ロッジの部屋から見えた景色です。正面に見えているのは標高8000mに迫る高峰ヌプツェ。
まずは温かい紅茶を飲み……
シェルパシチュー(トゥクパ)で体を温めます。このロッジのシェルパシチューも非常に美味しかった。朝のロッジはストーブが入ってないので、標高が高くなるとかなり冷え込みます。パンケーキなどはすぐに冷めてしまいますし、水分補給の観点からも温かい汁物が正解かもしれません。
「シェルパロッジ」いい宿だったので帰りもここに泊まろうと思います。
それでは出発。クーンブの山々に囲まれたロブチェ、朝の空気は非常にクリア。
ロブチェの裏に見えているのは標高6119mの「ロブチェピーク」。トレッキングの延長で登れる山として人気で(クライミング要素がないという意味、普通に雪山です)、日本からのツアーなどもあるようです。
朝一はハードシェルを羽織る程度には肌寒い。空気が乾燥しているのと、風が出ると砂やヤクの糞が乗った埃が飛んでくるのでマスクやバフの類は必須アイテムです(それでも喉をやられてしまいました)。
まずはモレーン沿いに標高差200m程の道を3時間弱歩いて、標高5125mの村「ゴラクシェプ」を目指します。5000mを越えて泊まると高山病のリスクは高まるようですが(その場合、ロブチェやトゥクラまで下りて出直す)、幸い我々は高度順応も上手く行ってると判断し、ゴラクシェプに1泊以上宿泊。天候のタイミングを見つつ「カラパタール」と「エベレストベースキャンプ」を訪れる計画にしました。
前日の後半と同様にモレーン沿いの緩やかな道に、丘を登る軽い急登が何度か登場します。
正面左から「プモリ」(7165m)、「リングトレン」(6949m)、「クンブツェ」(6665m)。稜線の向こうはもうチベットです。そしてこの稜線を東(右手側)に伸ばすとエベレスト、ローツェに繋がります。
寒がりな妻はダウンジャケットを着てのスタート。なんだかザックが私より大きく見えるんですよね……。
リングトレンの包丁で切り落としたような強烈な岩壁(雪壁)。
ピラミッド状の観測施設「Italian Research Center」への分岐。帰りに見に行けば良かったかな……。
ご覧の通り、周囲にヤクたちの食べる草は何も生えてないので、荷物を運び終えたヤクはすぐ下ろすしかありません(と「神々の山嶺」で読みました)。
荒涼としたクーンブ氷河沿いのモレーン。周囲の山はただひたすらに力強く美しい。
何度か登場する急登。それぞれの距離は短いものの、5000mの標高にともなると、ザックを背負って斜面を登るだけでもかなり息が切れます。
ポーターの荷物は相変わらずのサイズ。本当に超人たち。
迫力のクーンブ氷河に圧倒される
急登を登っていくと今まで真横を歩いていても直接は見えていなかった、クーンブ氷河の全容が徐々に見えてきました。
エベレストの西峰にあたるヌプツェ(7861m)からのど迫力雪煙。
鋭角に尖った山はプモリ。この山もカッコいいですねえ。
氷河の様子がよりハッキリ見えてきました。表面は砂に覆われていますが、バックリと口を開けたクレバスから薄いブルーの氷が顔を覗かせています。
スイスアルプスで見た雪を纏った氷の川のような氷河とも違い、砂に覆われた一帯が一皮剥くと全て氷という壮絶な光景です。
プモリの手前に黒っぽい丘が見えてきました。あれが「カラパタール」、確かに名前の通りだ。
氷河とカラパタールの間をエベレスト街道が走っていて、どんつきに見える氷河の巨大な塊がある場所がEBCです。
氷河、氷河、ただひたすらに氷河……
さらに小さな丘をいくつか越えて……
最後の村「ゴラクシェプ」が見えてきました。
エベレスト街道最後の村「ゴラクシェプ」
ゴラクシェプはカラパタールの麓とクーンブ氷河の間、ロッジが数軒集まった小さな村です。
ロッジの軒数は少ないですが、比較的規模の大きなロッジが集まっています。正面にカラパタール。
最初に入ったこちらのロッジはなんとなく雰囲気が合わずにスルー。
結局こちらの「ブッダロッジ&レストラン」にチェックインしました。
このブッダロッジ、フロントを仕切ってるお兄ちゃんが、ヒップホップ風(?)なノリで軽い感じなのですが(スタッフも全体的に若くて服ダボダボめなスタイル)、客対応は的確で居心地が良いです。
日当たりの良い出窓がある部屋だったので、日中のバッテリー充電もなかなか捗りました。
ブッダロッジの看板犬。ちょっと後ろ足が悪いみたい。ちなみに彼が座っているのは、干したヤクの糞の上だと思う(カラカラに乾いて臭いもしません)。
さて、お天気は悪くないものの既に山には雲が掛かっていますし、カラパタールに登ってもエベレストが見えるかは分かりません(後から分かるけど、10分も登ればかなり見えたはず)。それならば先にEBCを目指し、晴れ予報の出ている翌日の朝にカラパタールに登ることにします。
カラパタールの脇を抜けて「エベレストベースキャンプ」へ
カラパタールの斜面に付いている登山道。中央の三角が頂上のように見えますが、実はもっと右側の奥にあります。夜から登り始める場合、エントリーポイントだけは明るいうちに確認しておきましょう。
カラパタールの脇を通り過ぎていざエベレストBCへ。
荷物はアタックザックのみなので足取りは軽いです。
ゴラクシェプからEBCまではやはり標高差200m、時間にして2時間弱といったところ。
進行方向右手にずっとヌプツェと氷河が見えていてそれはもう絶景です(語彙力……)。
EBCに物資を運ぶヤクたちはかなり頭数の多い列になっているので、すれ違いは安全な所に避けてじっくり待ちます。
氷河の先にカール状の地形が見えて来ました。
巨大な氷河上のテント村「エベレストベースキャンプ」
氷河の上や周囲に目を凝らすと数々のテントが見えます。あれがエベレスト登山の拠点となる「エベレストベースキャンプ」です。
ここから氷河は右手方向に大きくカーブして、ヌプツェの向こうへと伸びています。
その強烈な氷河の斜面が所謂「アイスフォール帯」。エベレスト山頂を目指す登山隊が必ず通らなくてはいけない見るからに危険地帯です。
荷揚げを終えたヤクたちが次々に戻ってきます。ご苦労様。
ヌプツェ……
一歩ずつベースキャンプへと近づいていきます。
丁度これから春のエベレストシーズンという時期なので、テント村はまだ控えめかも?(入れ違いで戻る最中に、エベレスト登山隊とはかなりすれ違っています)
設営中の大型テントも見えています。
しかし本当に氷河の上にテントを建てているのですね。
まだまだヤクは戻ってくるよ。ヤクは人間には突っ込んでこないものの、青いタンクの幅は考慮しないコース取りをするので、油断するとはね飛ばされます。谷側は一発ジエンドなので注意しましょう。
凍り付いた氷河湖?
ちょっと涸沢カールっぽいですかね?
大量のタルチョが飾られたエベレストベースキャンプの入口に到着しました。ここがエベレストベースキャンプ街道トレッカーの終着点です!
エベレスト街道トレッキングとしては最終地点なのでもちろん充実感はあるのですが、我々にとってはやはりカラパタールが目標なので、旅はまだクライマックス直前の気分。そもそも全体の行程としてはまだ半分でしかなく(残り50km以上はあります)、ルクラに戻るまでは気が抜けません。
それでもやはり自分の足でこの地に立てたことは、本当に嬉しいのですけども!
魚眼レンズを使って(広角に補正しています)妻とツーショット自撮り。このためにナムチェでふざけた帽子「YAK YAK YAK」を買っておいたのでした。風が冷たいので、バラクラバを付けています。
しばしエベレストBCの様子をご覧ください。
テントサイトのすぐ横まで行くこともできるのですが、やはりこれから命懸けでエベレストを目指す人達のための場所のような気がして、トレッカーの我々は遠慮しておきました。
再びゴラクシェプへ
それでは名残惜しいですが、ゴラクシェプに戻りましょう。
馬が走ってる。馬も高度順応するんですね……。
明日はこちら、頑張りましょう。
標高5000mでも犬たちはのんびり生きてます。
実はこの写真にエベレストが写っているのですが、それに気付くのは翌日以降のこと。次回の記事を見ると分かります(多分)。
ロッジでフライドポテトを頼んだら予想外のが出てきた……。まあこれはこれで美味しいのでいいか。
ブッダロッジのメニュー。最後の街にしては驚くぐらいにメニューが豊富です。
夕方、かなり雲が掛かってしまいましたが、これはこれでカッコいいヌプツェ。
プモリも雲に隠れてしまったので、手前のカラパタールがよく見えます。
そして日没。
日が沈むとわんちゃんもロッジのレストランへ……。
標高5125mでの夕飯はトマトパスタにしました。この時、テーブルが相席になったタイの若者グループとは、その後何度も顔を合わせることになります。ここまで欧米以外だと他にマレーシアのグループとの交流がありましたが、未だ日本人には会っていません。
翌朝は4時前に起きてカラパタールに登ります。
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