Twitterを見ていたところ、非常に気になるニュースが飛び込んできました。
来月、4月1日からネパールでガイドを付けない個人トレッキングができなくなる?という話。
※ネパール観光局からのプレスリリースが出たので記事末に追記しました
来る4月1日からネパールトレッキングに行く際にはガイド1名同行必須となるかもしれません。最終決定はまだですが、そういう方向で話が進行中です。ガイドをつけない個人トレッキングをお考えの皆様、今後の動向にご注意を。https://t.co/PCt4MyGUME
— 日々のネパール情報🇳🇵 (@infonepal) 2023年3月5日
ネパールのソロ・トレッキング禁止についてNYタイムズも批判的に取り上げてるな。
— ひゅ~む (@hume55240618) 2023年3月8日
「安全のため」ってのが本当なら「※ただしネパール人は除く」なのは筋が通らない。
Nepal Will Ban Solo Hiking in Its National Parks https://t.co/XlCWiAL62A
2019年に行ったエベレスト街道、これはガイドを付けない個人トレッキングでした。再びネパールのトレッキングには行きたいと考えていたので、これはかなり気がかりなニュースです。
まだ、国内メディア等でこの件に関しての詳細は報じられてないようですが、確認できた範囲でいくつかの海外ニュースを(Google翻訳頼りに)チェックしてみました。
カトマンズ・ポストとニューヨーク・タイムズの記事が分かりやすくまとまっていると思います。
No more solo treks. Guides mandatory from April 1
Nepal Will Ban Solo Hiking in Its National Parks - The New York Times
Foreigners are no longer allowed to trek without a guide in Nepal - OnlineKhabar English News
Nepal bans solo trekking for foreigners, makes guides mandatory from April 1
概要をピックアップすると……
- 3/3にネパール観光局が発表した新たな規制について
- 4/1以降、ネパールの国立公園でガイドの同行しないソロトレッキング、個人トレッキング(FIT:Free Individual Trekker)は禁止になる
- あらゆる経験レベルの外国人観光客に適用される
- 目的はソロトレッカーの安全を高めること(ネパールでは年間数十人のトレッカーが行方不明になっていてその多くがFITである)、及び雇用の創出
- 外国人トレッカーのTIMS(登山者情報管理システム)カードの料金をRs1000からRs2000に引き上げ(ただし現状FITのTIMSカードは既にRs2000)
- この件は2012年から協議されていて、2014-15年にも持ち上がったが震災により白紙となっていた
- ネパール人トレッカーはこの新しい規制から免除される
- 最終決定は留保されている?
といった感じ。一方で別のニュース記事では、今回の規制はエベレスト街道などを含むサガルマータ国立公園では適用されないともあります。
Solo Trekking Banned In Nepal, Except Around Everest » Explorersweb
- 4/1以降、ガイドが同行しない場合、ソロトレッカー向けのTIMSカードを発行しない
グループは引き続き許可される(追記:ネパール観光局に発表では「全てのトレッカー」が対象とのこと)- エベレスト地域(サガルマータ国立公園)は現状TIMSカードの対象でなく独自の入域料を取っていて、今回の規制は適用されない。サガルマータ国立公園が今後ソロトレッカーに制限を課すかは不明
確かに2019年にエベレスト街道に行った際も、TIMSカードの取得は求められず、クーンブ地方独自の入域料とサガルマータ国立公園のパスを購入しました。
ただし、ネパールの魅力的なトレッキングコースはサガルマータ国立公園以外にもアンナプルナやランタンなど数多くあり、それらのエリアでは今回の新ルールが適応される可能性が高そうです。
この規制が確定となった場合、本当にガイドの数は確保できるのか、交通及びロッジのキャパ問題、トレッキング費用負担の高騰、ガイドの質問題、規制の脱法化(手数料だけ払うゆるガイド的な)等々…… 様々な懸念が考えられますが、何よりもいちトレッカーとして気がかりなのが「自由な判断でのトレッキングが難しくなる」ということ。
どんなスケジュールを立てて行動し、どこで足を止め、何を食べ、どの宿に泊まるか? ガイドが付いていれば全てお膳立てして貰うこともできるででしょう。これらを全て自分の判断で決める必要があるのが、個人トレッキングに求められることでありかつ最大の魅力です。
疲れたら自分の判断で休み、好きなものを食べ、進むことも留まることも、旅を止めることも、全てが自分自身の自由意志に委ねられています。これができるとできないでは、旅の形が根本から変わってしまいます。
もちろん世界にはガイドなしで入域できない観光地はたくさんありますし(北海道の知床五湖も時期によってそうだったような?)、自然保護や雇用創出の観点からそれが求められることも理解はします。しかし2019年にネパールで体験したトレッキングを思い返すと、あのような旅ができなくなるのは非常に寂しいことです。同様に世界中に自由な行動を求めるトレッカーはいますし、今後反対の声を含む多くの意見がネパール観光局にも届くことでしょう。
我が家も再びネパールトレッキングに行こうと常に話しているので、今後の動向には注視したいところ。コロナ禍以降、ネパールの観光産業や雇用状況が大きな打撃を受けていることは間違いないことですし、その他の効果的な対策が見つかると良いのですが……。
3/10追記:ネパール観光局からの9日付のプレスリリースを含む続報記事が出ていました。
まず、今回の措置はソロに限らず全ての個人トレッカーに適応される、主にTIMS手続きの改定。認定業者がTIMSカードを含む全ての手続きを行う。追って観光局から詳細が発表される。そしてサガルマータ国立公公演は現状は例外。
こちらはネパール観光局のプレスリリース
Revised Provision for Trekking in Nepal | Nepal Tourism BoardNepal Tourism Board
Press Release - March 9, 2023
Revised Provision for Trekking in Nepal
In order to ensure the safety and security of visitors trekking in protected areas in the mountains of Nepal, Nepal Tourism Board (NTB) has revised procedures of the Trekking Information Management System (TIMS). With the new provision, all trekkers are required to obtain services of licensed trekking guide and to obtain TIMS Card through authorized trekking agencies registered with the Government of Nepal. The new provision shall come into effect post March 31, 2023.
The decision has been taken subsequent to a series of discussions with the trekking and expedition stakeholders and relevant trade unions in Nepal, to help mitigate adverse incidents like getting lost en-route, health issues and/ or natural disasters etc. With this implementation, the trekkers will have immediate access to professional support system and will help in addressing the challenges of rescue operations in case of any unwarranted situation.
In addition to safety, the new provision will create employment for workers in the tourism sector of Nepal and discourage unauthorized trekking operations in the country.
The fees for the TIMS Card have been revised to NPR 1000.00 per person for SAARC citizens and NPR 2000.00 for the rest of the world. The provision for Diplomatic Missions in Nepal will remain as before, however, accompaniment by licensed guide shall be applicable.
Detailed guidelines for the same shall be published shortly. NTB is positive that this step paves way for sustainable, responsible and eco-friendly tourism in the Himalayan region of Nepal.
The Media Center Nepal Tourism Boardネパール観光局
プレスリリース - 2023年3月9日
ネパールでのトレッキングに関する規定が改訂されました。
ネパール政府観光局(NTB)は、ネパール山岳部の保護区でトレッキングを行う旅行者の安全・安心を確保するため、トレッキング情報管理システム(TIMS)の手続きを改定しました。これにより、すべてのトレッカーは、ライセンスを持つトレッキングガイドのサービスを受け、ネパール政府に登録された公認トレッキングエージェンシーを通じてTIMSカードを取得することが義務づけられました。この新しい規定は、2023年3月31日以降に施行される予定です。
この決定は、ネパールのトレッキングや遠征の関係者、関連する労働組合との一連の話し合いを経て、ルート上の迷子、健康問題、自然災害などの不利な状況を軽減するために行われたものです。これにより、トレッカーは専門的なサポートシステムをすぐに利用できるようになり、不測の事態が発生した場合の救助活動の課題に対処することができるようになります。
また、安全面だけでなく、ネパールの観光産業における雇用の創出や、ネパール国内での無許可のトレッキング事業の抑制にもつながります。
TIMS カードの発行手数料は、SAARC 市民は一人当たり NPR 1000.00、その他の地域は NPR 2000.00に改定されました。ネパールの外交使節団に対する規定は従来通りですが、ライセンスガイドによる同行が適用されます。
詳細なガイドラインは近日中に発表される予定です。NTBは、今回の措置がネパールのヒマラヤ地域における持続可能で責任ある、環境に優しい観光への道を開くものであると確信しています。
メディアセンター ネパール政府観光局
3/13追記: