昨日は満月が普段より大きく見えるスーパームーンでした。多くの方がSNSに写真をアップしていましたが、先日ミラーレスカメラを買ったばかりの後輩に月の撮り方を教えてあげたところ、思いの外喜んでくれたので簡単に月を撮るコツについてまとめてみます。
※本記事は2015年9月に作成した記事を元に加筆修正したしたものです(最終更新:2023年10月)
- 満月の写真を撮ってみよう!
- 望遠レンズ/露出モードはマニュアル/オートフォーカスで
- 月の出、月の入時間をチェックしておく
- オリンパスやパナソニックのカメラで月を撮ってみる
- そのままでは月のサイズは小さいのでトリミングしよう
- その他、月の撮影関連
満月の写真を撮ってみよう!
一眼レフ、ミラーレスカメラを使うと、スマホやコンデジよりも大きく、キレイに月の写真を撮ることができます。私も初めて一眼レフカメラを使って、月の写真が撮れたときはとても嬉しかった記憶があります。
満月に近い明るい月だけを撮るならば手持ちで十分撮れますし(三脚がなくても撮れます)、慣れてしまえばとても簡単なんですけど、初心者のうちは月の撮り方って結構分からなかったりするんですよね。
ここでは一般的な月を撮る際のカメラの設定と、私も使っているマイクロフォーサーズのカメラ(オリンパスやパナソニック)での設定についても解説します。
望遠レンズ/露出モードはマニュアル/オートフォーカスで
月を撮るに必要なのは望遠レンズ。35mm判換算でできれば600mmくらいは欲しいところですが、初心者でも買いやすいダブルズームキットの望遠レンズだと、マイクロフォーサーズで150mm(35mm判換算で300mm相当)、APS-Cでも250mm(360mm相当)といったところでしょうか。それでも特に問題ありません。
35mm判換算で300mm相当(マイクロフォーサーズ150mm)だと、月はこれぐらいの大きさで写ります。ちょっと小さいように感じると思いますが、あとはこれをトリミングしてしまえばいいだけです。
カメラの設定ですが、露出モードはマニュアルモード(M)に設定します。設定値の目安はこんな感じ。
- ISO感度:ISO200
- 絞り:F8.0
- シャッター速度:1/800秒
- ホワイトバランス:太陽光(昼光)
これで暗すぎるならISO感度をISO400に上げるか、絞りを下げられるなら下げてOK(キットズームだと開放5.6〜6.7だと思います)。
明るすぎるならシャッター速度を上げます。
望遠レンズなのでシャッター速度を下げていくとカメラによっては1/400あたりから手ブレが発生する可能性があるので注意しましょう。三脚を使えばより確実に撮ることができますし、設定も同じで大丈夫です。
月の出、月の入時間をチェックしておく
なんとなく空を見上げたらそこにいる月ですが、太陽と同じように(地球の自転により)東の地平線から登って西に沈みます。そして月が出てくる時間は毎日少しずつ遅くなっていくのですが、大事なのはその日の「月の出」「月の入」時間。
以下のサイトなので事前に調べておくと良いでしょう。
オリンパスやパナソニックのカメラで月を撮ってみる
今どきの一眼レフ、ミラーレスカメラなら上記の設定を自分のカメラに反映すれば、だいたい問題なく撮れるはずですが、初心者のうちは一般的な設定値をそのまま自分のカメラに反映したり、応用が苦手だったりすると思います。
↑の設定で分かる人には必要ない情報ですが、私の手元にあるカメラを例として(ペンタックスKマウント、ソニーEマウントも使ってましたが、望遠は使ってなかったので本記事ではマイクロフォーサーズのみですが、基本はどのメーカー、フォーマットも同じ)、カメラ機種別のもう少し具体的な設定値について書いておきます。
オリンパス PEN Lite E-PL6の場合
2013年発売のOLYMPUS PENのエントリーモデル、ダブルズームキットの望遠レンズ(M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R)を使えば十分に月を撮ることができます。ズーム位置はもちろん最大望遠の150mmに設定します。
後継機のE-PL7、E-PL8、E-PL9も同じ設定で問題ないでしょう。
- モードダイヤル:マニュアル(M)
- ISO感度:ISO400
- 絞り:F5.6〜F8.0
- シャッター速度:1/500〜1/1000秒
- ホワイトバランス:オート、太陽光、蛍光灯
- ピクチャーモード:Natural
- 画質モード:SF/L
- デジタルテレコン:オン
- フォーカス:S-AF
確実に撮れるように最初からISO感度は少し上げておきます。
絞りはF8.0まで絞ってもいいですがこのレンズなら開放でも十分よく写ります。
デジタルテレコンは画像処理で焦点距離を2倍にしてくれる機能。トリミングのようなものですが、150mmのレンズならば300mm相当の画角で撮影可能。35mmフィルム換算だと600mm相当なり、そこそこ大きなサイズで月を撮ることができます。
RAW現像をするならデジタルテレコンは不要です(デジタルテレコンの結果はJPEGのみでRAWデータには反映されません)。
ホワイトバランスはオートか太陽光にすれば、見た目に近い灰色っぽい月になります。
青白い月にしたければ「蛍光灯」に、黄色っぽい月にしたければ「日陰」や「曇天」にするといいでしょう。
オリンパス OM-Dの場合
E-M1系、E-M5系、E-M10系などのOM-Dについても基本は同じです。ボディ内手ぶれ補正の強力な機種が多く、またファインダーを内蔵しているため、撮影時にカメラも固定しやすくなり手ブレを気にせずに撮影が可能です。ISO感度もISO200で十分なはず。
レンズは持っているものを使えばOKですが、「M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II」は手軽に600mm相当の超望遠が使えるコンパクトなレンズ。描写力も良いので個人的にもオススメです。
パナソニック LUMIX Gシリーズの場合
オリンパスと同じマイクロフォーサーズフォーマットなので、やはり基本的な設定は変わりません。GFシリーズのキット望遠ズーム「LUMIX G VARIO 35-100mm / F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.」だと望遠端でも200mm相当とやや足りませんが、撮れないことはありません。できれば「LUMIX G VARIO 45-150mm / F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.」など、300mm相当は欲しいところです。
オリンパスのデジタルテレコンとは少し違うものの、LUMIXにも「EXテレコン」というトリミング機能がありますが、RAW保存もしていたり、機種によってはJPEGの画質設定を上げているとグレーアウトして選べなかったりします。
そのままでは月のサイズは小さいのでトリミングしよう
35mm換算で600mm相当のレンズで撮影した場合、画角における月の大きさはこれぐらいです。
そのままでは少々寂しいと思うので思い切ってトリミングしてしまいましょう。最近のカメラなら画素数に余裕はあるはずなので、がっつり周囲を切ってもパソコンの画面で楽しんだり、SNSに投稿するなら十分なレベルのサイズが残るはずです。
慣れてきたらRAWデータで撮影して、現像でホワイトバランスや露出を調整したり、ハイライトやシャドウ、コントラスト、シャープネスなどの数値を変えることで、より月面の模様を際立たせたり、自分の好みの色味に変更することもできます。
月は設定さえ間違っていなければとても簡単に撮れる被写体です。このような定番の設定をいくつか覚えると、別の被写体を撮る際にも(例えば星だったり、日の出だったり)どの要素を変更すればいいのか、設定のカンペを見ることなく自分の頭で考えられるようになるでしょう。
満月は約29.5日ペースでありますし、地球と月の距離によって大きく見えたり小さく見えることもあります。地形線から出てきた直後はより大気の影響で赤(オレンジ)っぽく見えたり、皆既月食の際には赤い月が見られることも! 満月はとても明るいので撮りやすいですが、細い三日月になると暗くなるので少し難易度は上がりますが撮り方の基本は同じです。ぜひ今夜からでも、身近な天体である月の撮影に挑戦してみましょう!