先週、6月28日にオリンパスから発売になったテレコンバーターレンズ「M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20」を購入しました。早速、試し撮りをしてきたので、ファーストインプレッションと作例もろもろのレポートになります(後半に後日撮影した作例を追記しています)。
- 2倍テレコンバーター:M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20
- MC-20の装着にはマスターレンズのファームアップが必要
- M. 40-150mm PRO+MC-20実写編
- M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20の主な仕様
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2倍テレコンバーター:M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20
MC-20はマスターレンズのリア(後玉)側に取り付けることで、焦点距離を2倍に伸ばすテレコンバーターレンズ。倍率1.4倍のMC-14は以前より販売されていましたが(M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROと同時発売)、それに続くアイテムとなります。
MC-14と並べてみると全長が約1cm長くなりました。重量差はMC-14の105gに対して、MC-20は150gと45g増になります。ただしどちらも元々の重量がそれ程でもないので、マスターレンズに付けてしまえばサイズ差、重量差は誤差の範囲で殆ど気にならないレベルでしょう。
MC-20のマスターレンズ装着側はMC-14同様にちょっとした突起状になっていて、この部分が収まる一部のレンズにしか着用できないようになっています。
具体的な対応レンズは以下の3本ですが、150-400mm PROはまだ開発発表されただけの段階なので、実質40-15mm F2.8と300mm F4の2本だけです(追記:その後、100-400mm、150-400mm PROの2本のマスターレンズが追加されています)。
- M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS
- M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
マスターレンズ+MC-20 | 焦点距離 | 最大撮影倍率 | 重量 |
M. 40-150mm PRO+MC-20 | 80-300mm(160-600mm相当) | 0.48倍(0.96倍相当) | 910g |
M. 300mm PRO+MC-20 | 600mm(1200mm相当) | 0.42倍(0.84倍相当) | 1420g |
M. 100-400mm+MC-20 | 400-800mm(800-1600mm相当) | 0.57倍(1.15倍相当) | |
M. 150-400mm PRO+MC-20 | 375-1000mm(750-2000mm相当) | 0.71倍(1.43倍相当) |
私はM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROユーザーなので、もちろん取り付けるのはこのレンズです。ちなみにMC-20を装着することでマスターレンズの絞り値は2段(2EV)下がることになるので、M. 40-150mm PROは焦点距離80-300mm、開放絞りF5.6の超望遠ズームレンズとなります。35mm換算だと160-600mm相当に、所謂サンニッパがロクゴーロクに生まれ変わるようなもので、これはかなりのインパクトです!(しかも重量は合計910gと1kgを切る軽量さ)
また、80-300mmというズーム域はM. 12-100mm PROに繋がる画角となるため、M. 12-40mm PROとF2.8通しで繋げていたときとはまた違った望遠重視のシステムを組むことが可能となります。
さらにマスターレンズの最短撮影距離が変わらぬまま、焦点距離が倍になるので撮影倍率0.21倍のM. 40-150mm PROは0.42倍に、35mm換算だと0.84倍相当とほぼ等倍マクロに迫る超望遠マクロ撮影が可能となります。
手振れ補正効果は単体で使用した際よりも1段下がるようですね(公式サイトによると300mm F4.0でMC-14/20使用時)。シンクロ手ぶれ補正のない40-150mmでも同様でしょうか……?(実際に使ってみた感じでは、やはり焦点距離が倍になるのでブレやすくなっている気はします)
via: https://olympus-imaging.jp/product/dslr/mlens/mc20/feature.html
このMC-20、予約発表の次点でかなりの予約が入ったようで発売前の時点で納期の遅延に関するアナウンスがありました。私は予約開始日にすぐ予約を入れたので、発売日に手に入れることができましたが、気になる方はなるべく早い段階での注文を入れた方がいいかもしれません。
MC-20の装着にはマスターレンズのファームアップが必要
当初、何も考えずに届いたばかりのMC-20をM. 40-150mm PROに取り付けてしまったのですが、レンズ側のファームアップを行うことを忘れていて、カメラのエラーメッセージに怒られてしまいました。
そう、MC-20を使うにはマスターレンズのファームウェアを最新にしておく必要があるのでした。
ファームアップをするには一旦MC-20を外した状態で、マスターレンズをボディ(今回はE-M1 MarkII)に装着し「オリンパスデジタルカメラアップデーター」を使ってレンズのファームアップを行います。M. 40-150mm PROの場合は「1.2→1.3」のファームアップが必要でした。
これで、今度こそMC-20が使えるようになりました。まだ手元にMC-20がなくて購入を検討している方は、今のうちにレンズのファームアップを済ませておけば、後で焦ることなくすみます。
M. 40-150mm PRO+MC-20実写編
メーカーからもマスターレンズの光学性能を活かした描写性能を持つと強くアピールされたこのテレコンバーター、実際に使ってその実力を一旦を見ていくことにしましょう。
ノートリミング作例:花・虫
まずは主に超望遠マクロになりますが、望遠端300mm側を使った写真になります。そろそろシーズン終わりのアジサイのしべ部分をズームにて。確かにこれはマクロ要らずの倍率です。
300mmの焦点距離ですから背景は完全に溶けています。
前ボケも綺麗ですね。
ハナムグリの体毛も見事に描写しています。しかしやはり600mm相当ともなると手振れ補正が協力なE-M1 MarkIIを使っていても、油断すると手振れとの戦いになります。マクロ域なのでピントもかなり浅くなっていますし……。
気になるAFですがテレコン装着前と遜色ない速度でスムーズに動作します。被写体から離れた距離(1m程度)でのマクロ撮影なので、このようなミツバチの飛翔も結構簡単に撮れてしまいます。ファインダー内ではこのサイズのまま見えているので、AFも普通に決まります。
作例なのでノートリミングの状態で掲載していますが、トリミングすればもっと大きなサイズで虫を切り出すことが可能ですね。
AFは中央1点のS-AFとE-M1 Mark IIのV3から搭載された25点グループターゲットでのC-AFを切替ながら撮影しましたが、どちらもテレコンを使ったことによるAFの不安定さなどは感じることはありません。
動かない被写体は光量さえあればもう余裕ですね。
池のアメンボにしても飛んで来たモンシロチョウにしても最短撮影距離ではありませんが、被写体に寄らずにこれが撮れてしまうのは、(MC-14使用で)最大420mm相当だった今までとは別世界。使い慣れたM. 40-150mm PROが完全に新しいレンズとして生まれ変わったような気分になります。
それにしてもこのMC-20の登場により、今まで使っていた1.4倍テレコンのMC-14は余程でないと出番がなくなってしまいそうですね(望遠が400mm相当まで欲しいけど、明るさは極力落としたくない…… みたいなケースでもなければ)。
トリミング作例:上谷戸大橋のチョウゲンボウ
続いて超望遠レンズを手に入れたら撮ってみたかった稲城市・上谷戸親水公園(上谷戸大橋)のチョウゲンボウ。鳩ぐらいのサイズですが(もう少し大きいかも)立派な猛禽類です。丁度、今の時期はチョウゲンボウの子育てシーズンなので、今年生まれたばかりの幼鳥を見ることができるかもしれません。
上谷戸大橋のアーチ状の橋桁に営巣しているチョウゲンボウ、下から見上げると早速可愛らしい幼鳥が顔を覗かせていました。しかし巨大な橋なのでかなりの高さがあり、600mm相当でもかなりトリミングしてこのサイズ。
感度もISO2000〜3200位まで上げないと被写体ブレさせないSSで撮ることはできません。
こちらは橋桁の穴から顔を見せている幼鳥。目が大きくてかわいいですねえ。
高感度と暗所ノイズが出てしまっていますが、今までのレンズだったらこの姿は撮れませんでした。
親鳥たちは近くの木に止まって狩りなどをするので、そのタイミングを狙って。やはりかなり距離があるので(50m以上)かなりトリミングしてなんとかこの画質。
真剣に狙うならば800mm〜1000mm相当は欲しいかもしれませんね。
と思ったら運良く近くに飛んで来て園内の手すりに止まってくれました。ここから飛び立つシーンは残念ながら上手く撮ることはできませんでした。
こちらは恐らく兄弟の幼鳥。橋桁のコンクリートや鉄骨の間を飛び移ることはできるようですが、まだ外に出て飛び回ることはしないようです。
以上、チョウゲンボウの写真はそこまでMC-20の画質をアピールできるものではありませんが、600mm相当の超望遠域を手に入れたことでこれまで狙うことすら難しかった距離の被写体に一歩近づくことが可能となりました。これからの使用がとても楽しみなテレコンバーターです。
追加作例:多摩動物公園の動物たち
チョウゲンボウの写真がトリミング&画質も微妙なものばかりなので、もう少し普通な(?)作例を追加で撮ってきました。午後からの多摩動物公園、小雨交じりの空模様でかなり光量が頼りなかったですが、感度を上限ISO3200に設定して撮ってみました。ほぼ300mm側のノートリですが、一部少し引いた画角もあります。
向こうから歩いてくるサーバルをC-AFにて。動体への反応もこれまでのE-M1 MarkII+M. 40-150mm PROと遜色ないレベルで追従してくれたように感じます。
フラミンゴやペリカンの羽毛の描写はなかなかに精細ですね。
猛禽類はついアップで撮りたくなる顔をしています。
ゾウ、キリン、サイ…… なんだか哀愁が。
1枚目は今年生まれたばかりのアムールトラのショウヘイ。すっかり虎の顔つきでもう赤ちゃんという大きさではありませんね。
ショウヘイのガラス玉のような瞳をアップで。
ユキヒョウを80mm側と300mm側にて。35mm換算で160-600mm相当は、動物園では長すぎて持てあますかと思ってましたが、意外と使いやすい画角かもしれませんね。
後半、空が暗くなる一方でかなり感度が上がってしまいましたが、今のマイクロフォーサーズ機は高感度でもそこそこ頑張ってくれるので、なんとか撮ることができました(といってもISO2000以上は現像時に多少ノイズリダクションを掛けていますけども)。
あとはやはりマクロに強くなるので昆虫園も捗ります。
E-M1 MarkII+M. 40-150mm PRO+MC-20の撮影時の携行ですが、マインドシフトギアの「アウトバウンドホルスター20」を使っています。MC-20の装着で全長が伸びたこともあって、蓋のジッパーが最後までは閉まらないものの、なんとか収まってる感じです。
その後、もう一回り大きい(全長の長い)マインドシフトギアのバッグで使うようになりました。
M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20の主な仕様
https://www.olympus-imaging.jp/product/dslr/mlens/mc20/index.html
- マウント:マイクロフォーサーズ
- レンズ構成:4群9枚(HRレンズ1枚)
- 倍率:2倍
- 最大径×全長:59.8×25.9 mm
- 重量:150g
- マスターレンズ:
- M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS
- M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
- 希望小売価格:51,250円(税込56,375円)