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「にゅう」の表記ゆれを集める山旅:北八ヶ岳のニュウから稲子岳を歩いてきた

土曜日に新宿で『クレイジー・フォー・マウンテン』を見た翌日の日曜日、北八ヶ岳の「にゅう」と「稲子岳」へ日帰り登山に行ってきました。クレイジーとは無縁な山行日記です。

稲子湯からニュウと稲子岳を周遊する日帰りハイク

にゅう(読みやすいよう以下「ニュウ」表記)は北八ヶ岳エリアの白駒池側から比較的楽に登れる標高2,352mの山です。これまでなんとなく行きそびれていたのですが、今回「稲子岳」 に行くにあたり、このニュウも自動的にルートに組み込まれました。

そして「稲子岳」はニュウと天狗岳の間に位置する標高2,380mの山で、ニュウからは中山峠方向と枝分かれした(?)稜線になります。緩やかな山ながら東〜南東(東壁・南壁)は切り立った断崖になっていて一般登山道のある山ではありませんが、岩稜帯はクライミングルートとしても人気の山のようです(情報を探してもハイカーよりクライミングのレポートが多いです)。

天狗岳や硫黄岳に登った際に、この稲子岳の岩場はよく見えていたので、地図をチェックして「ああ、あの崖のところか!」とすぐに分かりました。

冬の天狗岳から眺める稲子岳の断崖と中央付近に飛び出しているニュウ

稲子岳ではコマクサが見られたり比較的分かりやすい踏み跡もあると識者の方より教えて貰ったこともあり、興味を持って調べてみると確かにエントリーポイントさえ気を付ければ大丈夫そうです(あくまで我が家の判断です)。
さすがに8月初旬の2,000m台ではコマクサは遅いだろうと分かっていましたが、7月中は他の予定などもあり行きそびれてしまったのですよね……。なので来年以降のコマクサポイントの下調べも兼ねて、今回行ってみることにしました。

稲子岳は山頂をはさんでニュウと中山峠側に道があるようなので、小海町側の稲子湯(みどり池入口駐車場)を起点にして、シャクナゲ尾根〜ニュウ〜稲子岳と反時計回りで周回するルートを選びました。時計回りルートにしてしまうと、黒百合ヒュッテやしらびそ小屋を早い時間に通り過ぎてしまうので、お楽しみが減ってしまうかな……と。

ニュウまでの前半はジワジワと高度を上げていく静かで涼しい樹林帯の登り、ニュウからは一部不明瞭な森の中の道を歩き稲子岳の山頂へ、その後開けた稲子岳の尾根を歩き急な樹林帯を下りて登山道に合流します。黒百合ヒュッテの往復はオマケみたいな感じです。

みどり池入口からニュウの表記ゆれを楽しむシャクナゲ尾根

スタート地点はみどり池入口の無料駐車場から。ここは満杯の場合は稲子湯の駐車場に有料で停めさせて貰うこともできるそう。日曜日の明け方の埋まり具合は8割程度だったでしょうか(到着は日の出1時間位前でした)。

こちらのゲートはみどり池のあるしらびそ小屋方面。シャクナゲ尾根の登山口は駐車場の入口側に少し戻った場所にあります。

シャクナゲ尾根の登山口はこれです。「白駒の池・ニュウ(シャクナゲ尾根)」…… ん? ニュウの欧文表記は「Neu」なのですね? 「New」のドイツ語っぽい表記ですが、ドイツのバンドNeu!は「ノイ!」だったよな……(どうでもいい)。

まずはオーソドックスな樹林帯の登りです。この日は東側に斜面でもずっと風が流れていて、とても涼しい八ヶ岳ハイク。朝いちのスタートとしては上々のコンディションです。

林道に出たと思ったらいきなりニュウの表記ゆれが発生しました。平仮名の「にゅう」に対して、欧文は「NYUU」です。ヘボン式ローマ字!

少し林道を歩いたらいよいよシャクナゲ尾根…… ってちょっと待て!

「乳(にゅう)」だと!? 新しいの「ニュー」でなく乳の「ニュウ」だったのか。それでは「Neu」とは???? ますます謎が深まるニュー(私も表記ゆれを起こす)。

さすがシャクナゲ尾根、このシャクナゲ葉っぱが大きく(細長く)ないですか?

「ニュウ」オーソドックスな片仮名表記。

どんどんシャクナゲが凄いことに。時期的に花は終わってしまっていますが、確かにこれはシャクナゲ尾根だ。そしてシャクナゲってこんな見上げるような木でしたっけ? シャクナゲといえば森林限界周辺で咲いてる印象が強かったですが、樹林帯のシャクナゲはとても元気だ。

そんなシャクナゲのトンネルを抜けていくと今度は「ニュウ(NYUU)」。うん、これは見たことあるやつ。しかし「稲子湯(INAKOYU)」ってさっきは「INAGOYU」だったのにどっちなんだ? 稲子岳は「いなごだけ」なのか「いなこだけ」なのか????

さらに「LAKE SHIRAKOMA」「SIRAKOMANOIKE」…… もうこちらの表記ゆれまでは付き合っていられません(笑)

と思ったら「乳岩」キター! 「乳」に「岩」が付いちゃった。ということは「乳みたいな形の岩」ってことなのかしら?(ドキドキ)

そうそう、このシャクナゲ尾根、苔生した細い登山道でなかなか味があります。苔の豊富さはさすが八ヶ岳の森。


「乳(にゅう)」「乳(にゅう)」はい、はい。

登山道の交差点にやってきました。久々の「ニュウ(NYUU)」にご対面。そして「INAGOYU」だ。

直後の「INAKOYU」はホントどっちなんだろう?

そして白駒池から直ルートと合流。同じ場所の三箇所にに「にゅう」「ニュー」「にう」(←初登場)の道標が混在するカオス。「に う」は真ん中が消えたとかでなく、明らかに「にう」表記。というか「ニュー中山峠」ってなんだ! 旧中山峠もあるのか!?

本日初めて出会う登山者。ここまで来ると白駒方面から続々と登山客がやってきます。

にゅう山頂前最後の道標は「にゆう(NYUU)」でした。ちなみに極めつけとして、これだけ道標が表記ゆれしている「にゅう」の山頂にはなんと山頂標識がありません(笑)

最後まで表記については謎だらけの山でしたが、シャクナゲ尾根は楽しいコースでしたし初心者にも人気の山というのがよく分かります。今後ポスト高尾山について訪ねられたら、白駒池からのニュウも勧めてみようなんて話を妻としていました。

ビギナーのうちは「八ヶ岳」と聞くとちょっとハードルが高く感じるかもしれませんが、コースタイムも白駒池駐車場から1時間半ちょっとのようですし、ニュウ山頂からの展望の方もこれがなかなかなのものなのです(お次へどうぞ……)。


ニュウの山頂展望を楽しむ

ニュウは山頂直下まで樹林帯でしたが、山頂部分のみちょっとした岩場になっていて登ってみるとなかなかの見晴らしです。まずは南側、正面手前の樹林帯は稲子岳、向こうには中山峠から西&東天狗岳、さらに硫黄岳の爆裂火口と見えています。

逆の北側を向いてみると、広大な樹林帯に白駒池がぽっかり口を開けています。

この日は地平線付近はやや大気にモヤがかかっていましたが、硫黄岳の稜線の向こうに確かに富士山の姿。北八ヶ岳からも富士山が見える山があったんですね(たいてい南八ヶ岳の影で見えないと思っていました)。


それではそろそろ本命の稲子岳へと向かうことにしましょうか。

あ、もしかしてここにニュウの山頂標識があったのでは????


登山道を逸れて「稲子岳」へ……

稲子岳へのルートはまず中山峠方面の登山道をしばらく進みます……

真っ直ぐ進むと中山峠方面、でもこの辺りちょっと左側が気になりますよね。ピンクのリボンも何かの目印のようですし……?

左手を見るとなんだか入って行けそうな隙間が口を開けています。

覗き込むと斜面の下に向かってピンクのテープが見えています。これは間違いないでしょう…… ということでここから稲子岳ルートに入って行きます。

ピンクのテープに導かれるように少し下ってからは緩やかな登り。道は山を歩き慣れてしれば、比較的分かりやすいと感じましたが、先に進むと多少は藪漕ぎ要素があったり不明瞭な箇所も何度かあるので自信がない人は止めておきましょう。

この辺りはとても分かりやすいというか普通に登山道。

色々な苔があって楽しいなー。

突然空が見えたと思ったら、周囲は立ち枯れた倒木だらけ。こんな感じの立ち枯れエリアと濃い樹林帯が交互に現れるので、恐らく縞枯れ地帯を横切っているのだと思います。


いきなりトンボ大発生地帯になったり……

立ち枯れ過ぎて道が…… でも向こうにピンクのテープが3本巻かれた木が……

ここが稲子岳の山頂です。標高は2,320mの表記になっていますが、国土地理院の地図では2,380mですし、GPSのログでも2,381mで記録されていました。

さらに縞枯れの森を越え……

密集したシャクナゲに行く手を阻まれ(笑)

背の高いシャクナゲのトンネルの先へと進むと……

突然開けた崖に出ました。


稲子岳南壁に沿った展望エリア

うわー、ここめっちゃいい場所じゃないですか! ずっと樹林帯の中を歩いていたので、突然開けた展望にテンションも上がります。正面の岩は稲子岳の南壁のようです。ちょっと覗き込むだけでもかなりの高度感です。

足下には様々な高山植物たち。

キレイな蝶も飛んでいました(クジャクチョウという蝶らしい)。

完全に文字が消えてるあの道標は何が書いてあったんだろう?

再び森の中に入って……

またまた崖の横に出ると今度はシカ避けの電気柵がありました。そういえば直前に2頭のシカと鉢合わせしていたのでした。

ここで初めての登山者…… と思ったら切れた電気柵を整備してる方でした。1人は黒百合ヒュッテのご主人だとか。暑い中ご苦労さまです。

しばらく柵に沿って断崖上の道を歩いていきます……

そうそう、この辺りが稲子岳のコマクサ地帯のようです。既に、殆ど花は終わってしまっていましたが、少しだけ花が残ってる株もありました。

コマクサの花もいいですが、葉の緑の色が独特で好き。なんというかKodakっぽい?(普通にオリンパスのプロファイルを当ててますがこんな色なんです)

GPSログはこんな感じ、稲子岳の山頂に出るまでは東壁から少し離れた森の中を、山頂からは南壁に沿って歩いてきたのがよく分かります。あとは下に見えている登山道に向けて下りるだけ。

再び樹林帯に入り……

少し急な斜面を下りていきます。

一度開けた涸れ沢に出ます。この先登山道に出る道が少し不明瞭になりますが、数十メートル程度なので行けそうな所から出てしまいました。

ということで中山峠〜みどり池を結ぶ登山道に合流しました。こちら側から入る場合、エントリーポイントが少々分かり辛いですが、上にリボンが垂れ下がっているのが目印かも?

もう少し峠側に歩くとクライミングルートの入口があったのでこちらに出てくるのが正解だったかもしれません。崖下に行かないコース取りはGPSや地図を見れば分かりますし、それが判断できない人は行かない方が無難だと思います。


中山峠から黒百合ヒュッテに寄り道してしらびそ小屋へ

さて、中山峠までちょっと登り返して(地味にキツかった)……

冬以来の黒百合ヒュッテにやってきました。食事でもと思ったのですが、お湯を沸かすのも面倒ですし、かといって小屋の食事を食べたい程の空腹でもありません。

ということで、これにしました。「おはぎ」です(笑)

炎天下で食べる冷えたおはぎと暑いお茶もなかなか悪くない。糖分と炭水化物をしっかり補給でいたので、あとは塩分タブレットでもナメながら帰りましょう。

中山峠から1時間ちょっとで、みどり池のほとりにあるしらびそ小屋。小屋の少し前からトロッコの軌道跡が姿を現します(本沢温泉の方まで続いているみたい?)。トロッコ軌道は稲子湯まで続いているらしく、かつて林業で使われていたものでしょうかね。

みどり池に到着。名前の通り森の緑に囲まれた池です。

みどり池はトンボの楽園状態。様々な種類のトンボが産卵の真っ最中ですが、中でも目立っていたのが銀ヤンマ、そこかしこでもの凄い数の銀ヤンマが池に産卵を行っています。

こちらは少し小さい種類のトンボ。

ブルーが美しいオスのホバリングの瞬間を撮りたいのですがなかなか上手く行きません。MFで置きピンで粘れば良かったのかも……?

池のほとりに立つしらびそ小屋はかわいらしいクラシックな山小屋。コーヒーとチーズケーキが名物のようなので休憩がてら食べて行くことにします。

手挽きミルで惹いて淹れてくれるコーヒーはちょっと酸味系、小さなチーズケーキに合わせた味でしょうか。カップもしらびそ小屋のオリジナルなんですね。

小屋の中から見える餌台では数羽のウソがひまわりの種をついばんでいました。こんなに近くで見たのは初めてのことですが、可愛らしい鳥ですねー。

山小屋の窓ガラス越しではありますが、目の前で写真を撮っても全然逃げる様子がありませんし、完全に飼われていますね(笑)

ごちそうさまでしたー。

しらびそ小屋から駐車場まで再び1時間程の下り道。伐採作業の影響で本来の登山道でなく、こまどり沢の左岸を歩く旧登山道に道が変更になっていました。


美しい沢を横に見ながらのトロッコ軌道跡を歩く登山道、とてもいい感じです。

この橋を渡って林道に合流したら駐車場まではもうすぐ。


ただいまー。


二酸化炭素硫黄冷鉱泉のお湯に入れる「稲子湯」

登山後は車で3分程の稲子湯へ。歩くと30分近く掛かるようです…… 車は偉大だ。稲子湯はこれまたクラシカルな温泉宿で日帰り入浴も可能、650円を受付で支払います。

洗い場はカランのみでシャワーはなしですがボディソープとリンスインシャンプーは置いてありました。お湯はちょっと熱めですが、源泉の熱さではなく鉱泉(冷鉱泉)を加温したもののようです。それならもう少しぬるくてもいいのでは?(笑)

お湯は冷たい源泉で埋め湯できますし、源泉はコップが置いてあるので飲むこともできます。泉質は「二酸化炭素硫黄冷鉱泉」とのことで、飲んでみるとなるほど硫黄や鉄分の効いた炭酸水。正直美味しいものではありませんが、なかなか効能のありそうな味がします。

湯上がりは休憩室でのんびりできますが、アイスクリームのケースは空でした(笑)

稲子湯は小海線の小海駅から路線バスがあるようですが時刻表はこんな感じ。

この日最後にチェックした駐車場の道標。結局、稲子の読みは「いなこ」なのか「いなご」なのか最後まで分からずじまいでした(「いなこゆ」と「いなごだけ」が個人的にはしっくり来るかな?)

そうそう、稲子湯やしらびそ小屋については、以前ももさんの記事を読んで気になったいた場所です。

この後、車で八千穂方面に移動していい感じのレストランに出会うことができたのですが、それはまた別に記事でお伝えします(追記:書きました)。


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