I AM A DOG

途方に暮れる 犬とよばれる でも生きてゆく

新年初山は焼岳南峰へ:快晴の北アルプスを堪能した雪山登山

本ページは商品、サービスのリンクにプロモーションが含まれています

先週1月5日、2024年初登山へ行って来ました。7年ぶりの北アルプス・焼岳です。

積雪期限定の焼岳南峰へ

焼岳は北アルプスの南部にある活火山。上高地の大正池や河童橋から綺麗に見える山としてもお馴染みです。2022年5月に噴火警戒レベルが2に引き上げられ、一時的に火口がある山頂への登山が規制されましたが、同年7月にレベル1に引き下げられて以降は再び登山が可能となっています。

焼岳にはこれまで10月頭の紅葉時期に上高地側から、11月頭の晩秋に新中の湯ルートで登ったことがありますが、積雪期に登ったことはまだありませんでした。


焼岳の最高点は南峰の2,455mですが、山頂付近の岩稜が崩れやすいために立入禁止となっていて、北峰(2,393m)に登るのが一般登山ルートです。ただし、積雪期は南峰の南側に伸びる尾根に雪がついて比較的安全に登れること、新中の湯ルートから北峰へ向かう登山道は雪崩地形になることもあって、南峰に登ることが一般的となっています(やや登山者に都合のいい解釈ですが)。冬季に中の湯から北峰へ登る記録もない訳ではありませんが、北峰を目指す場合は新穂高温泉からの中尾ルートの方が定番のようです。

晩秋の新中の湯ルートと北峰との鞍部から見上げた南峰

新中の湯ルートの登山口(新中の湯登山口)は国道158号旧道の安房峠の近くですが、積雪期になると安房峠入り口のゲートが閉門されるので、マイカーの場合は「中の湯温泉旅館」の利用客しか入ることができなくなります。宿泊者以外が入山する場合は、中の湯温泉旅館の駐車場を予約するか(四輪駆動車+スタッドレスタイヤのみ)、沢渡や平湯からのタクシー利用(ゲート前まで)と徒歩になるようです。

駐車場の事前予約は1週間前から可能で、週末には埋まってしまうこともあるようですが、三が日開けの平日だったので前日問い合わせでも空いてました。詳細は以下の中の湯温泉旅館サイトでご確認ください。
安房峠入り口ゲート冬期閉鎖のご案内 11月16日~4月12日まで ※必ずこちらをクリックし、ご確認ください!!! 中の湯温泉旅館(公式ホームページ)|上高地で通年営業の温泉旅館|日本の秘湯を守る会会員

この冬はどこの山域も雪が少ないようで、1月に入っても八ヶ岳や上州エリアは雪山と呼ぶには少々寂しい状況……。これはある程度標高が高い場所に行くしかないかと、当初は中央アルプスの木曽駒ヶ岳を検討していましたが、妻が松本に泊まってみたいホテルがあるということで、それなら久しぶりに焼岳に行ってみるかと登山計画を立てたのでした。

中の湯温泉旅館〜新中の湯登山口

朝7時前に安房峠入り口のゲートに到着。松本からの国道158号は完全に除雪されていて、釜トンネル前のカーブで初めて道路上に雪を見たレベルでしたが、安房峠ゲートから先は完全な雪道でした。

ゲートを自分で開けて通過したら再び閉めておくシステム。

雪道のつづら折りをしばらく上がって、中の湯温泉旅館に到着。駐車料金の支払いは下山後で良いとのこと。

準備中にソロの方がスタートして行きましたが、この前にペアが1組、その後に我々、後からスタートして途中で抜いて行ったソロ2人の7人がこの日の山頂までの入山者だったようです(途中の広場あたりまでもう3名ほど登っていたようです)。中の湯温泉旅館の方によると前日はさらに少なく5人程度だったとのこと。正月三が日後の平日だからなのか、そもそも年末年始に登山者が少ないのか?

気温はマイナス6度。寒いといえば寒いけど、厳冬期の北アルプス登山口にしては温かい気もします。

準備をしている間に太陽が差してきて、7時半過ぎにスタート。旅館の奥の鞍部になっているあたりが安房峠でしょうか。

スタートから12本爪アイゼンを履いて、旅館の脇から裏手の斜面を登って行きます。一旦車道に出ますがそのまままた道の脇から直登。アイゼンは履かずに、つづら折りの車道を歩いているトレースもありました。

何気にここがかなりの急登です。

見覚えのある「新中の湯登山口」に出ました。上高地方面に穂高連峰(明神岳)が見えています。


広くなっているあたりが無雪期の無料駐車場。中の湯温泉旅館から上の道路は除雪されてないので、車で上がってくることはできません。


新中の湯登山口から雪の樹林帯歩き

前日にも多少の降雪があったようなので、トレースはこの日の先行者だけ。雪はサラサラです。

ただし日当たりの良い木に積もった雪はかなり解けているので、あまり厳冬期感はありません。スタートしてすぐは一部土が見えている場所もありますし。

すぐに暑くなってハードシェルとオーバーグローブを脱ぎました。

1時間ちょっと雪の樹林帯を登って行きます。積雪はトレースがなかったらわかんを履いてもいいかなと思うぐらい。わかんは持ってきていましたが結局最初から最後までアイゼンのままでした。


広場から見える焼岳山頂、そして南峰ルートへ

眼の前が開けたところが「広場」。正面真ん中に見えているのが焼岳の南峰です。たしかに南峰と北峰の間はカール状の谷になっていて雪崩が起きそうな地形かも?

ウサギの足跡に赤い冬芽。

積雪が少ないこともありまだ北峰ルートも歩けそうな雰囲気ですが、ここは予定通りに南峰ルート。よく見ると先行してる3人の登山者とトレースが見えます。支尾根を主稜線に向かって登って行くルート。確かに積雪期のルートとしてはとても自然に見えます。

広場には数日以上前のテント泊らしき跡と、雪を被ってかまくらのようになったイグルーがありました。日帰りで十分に登れるルートですが、年末の年越しでも楽しまれたのでしょうか。

ピンクテープは南峰ルートの目印として付いているようですが、登山者によるものでしょうか?

北峰ルートのトレースはありませんが、左手の木々の脇と谷の際を鞍部に向かって登って行く感じ。

そのまま視点を右にずらしていくと穂高連峰に霞沢岳。手前側の谷の底を梓川が流れています。


樹林帯を出る前にハードシェルを着ていたところ、ソロの2人が抜いて行きました。わかんを履いてもいいぐらいの積雪ですが完全につぼ足ですね。ありがたくトレースお借りします。

南峰の東斜面は岩場なので南側に伸びる尾根(の支尾根?)に向かって上がって行きます。

ずっと見えてたと思った北峰ですが、その向こうにあるのが本当の北峰ですね。

なんだか久々に雪山登山してるなという気分。

急登で息を切らしながら、こんな何気ない斜面の雪を見ながら登るのが気持ちいい。

なんるなく夏道のラインが見えるような気がします?

支尾根に入ったあたりから雪が浅く硬くなってきたのでストックからピッケルに切り替え。


南峰稜線は森林限界の雪山登山

稜線が近くなると風も強くなってきました。

外輪山の縁というか白谷山方面につながる稜線に出ます。雪の下は笹原とハイマツ帯になっているようです。そう、焼岳の南峰にはハイマツがあるので北峰では見ることがないライチョウも生息しているようです。

直登にはややキツいぐらいの斜度になるので若干ジグザグ気味に登って行きます。向こうに見えているのは白山連峰でしょうか。北アルプスよりも標高は低いですが雪は多いように見えます。

振り返ると乗鞍。

久しぶりに感じる雪山の風。

山頂の手前にちょっとした岩場があります。

危険ってほどではないけどまあまあの傾斜があるので転ばないように。

山頂から下りてくる方がいたので横に避けて待つ。バラクラバとフード全開にする程度には風。

最後登り切ると正面が開けて穂高連峰が見えました。手前の岩稜帯が北峰に繋がった稜線。


北アルプスを一望、焼岳南峰を独占

山頂はこちら側ですね。やっぱり北峰とは全然雰囲気が違います。

焼岳南峰(標高2,455m)には二等三角点があるとのころですが、ちょっと分かりませんでした。通常は登れないので山頂標識もなし。木の棒が立ってるところが山頂ってことでよいでしょう!?


新穂高温泉を挟んで笠ヶ岳。よく見ると新穂高ロープウェイの駅が見えてますね。

記念撮影したり、はしゃいでみたり。先行者の人たちはすでに下山していて、後続の登山者もいないので完全に山頂を独占の贅沢タイム。


穂高連峰。手前に岩稜が焼岳北峰。360度パノラマの展望がある代わりに、北峰からの上高地を見下ろす景観はありません。

そこからぐるっと反時計回りのパノラマ。




穂高連峰、乗鞍岳、白山連峰をズーム。



南峰から北峰に掛けての岩稜。積雪期に歩いてる人もいるようですが、自分たちは南峰だけ。安全に行けそうなとこまでと思いましたが、思いの外岩の上に雪が薄く付いているだけだったので少しだけ。

左奥が南峰。火口湖の正賀池がこの下にあるはずですが、すでに雪の下なのか角度的に見えないか……。

妻は付いてこない。

東側。霞沢岳と北峰の尾根の間が上高地。

南アルプス方面。よく見ると甲斐駒の向こうに富士山の頭だけ見えてます。

南峰に戻ってパンと白湯休憩。思いの外風も弱く、誰もこないし景色も素晴らしいので1時間近く居ました。

それではそろそろ戻りますか。最後に南峰を振り返って……。


昼過ぎに下山

乗鞍岳を正面に見ながらの下山。真っすぐ伸びてる稜線は白谷山からアカンダナ山を経て安房峠。穂高〜西穂高岳から新中尾峠を経て続く主稜線がこれってことでいいのかな?

登りはアイゼンの爪が途中まで刺さる程度の、しまった雪でしたが、下る頃にはかなり柔らかくなっていました。気温はプラス気温で温度計では5度近くありますし、そういえば風もかなり穏やかになってます。

気持ちのいい下山。



霞沢岳が朝よりも黒くなっている気がします。

2016年に開通した上高地トンネル(釜トンネルを出て次のトンネル)の出口が見えてます。

本来なら厳冬期なはずの1月にしては少々雪が少なかったものの、久々に雪山らしい雪山を堪能できました。

いいですね、焼岳南峰。また来たい。

夏山だと木の根や岩、階段など細かな段差で思いの外に下るのがダルい樹林帯の下山路も、雪が付いてしまえば高速道路。足さえ動かしていればサクサクと下りることができます。


14時を過ぎる頃にはもう太陽が山の影に隠れてしまいました。




中の湯温泉旅館で日帰り入浴

一旦、車で着替えてから、中の湯温泉旅館に駐車場料金の支払いと日帰り入浴にやってきました。駐車料金は1000円、日帰り入浴は800円、日帰り入浴を目的に来ることもできるようです(ゲートから電話で確認)。

中の湯温泉旅館、実は初めて入りましたが広いロビーに綺麗な館内。源泉かけ流しの温泉で、露天風呂からは穂高連峰も見えて(下のロビーからの展望とほぼ同じ)、タイミングのせいか貸し切りで入ることができました。お湯も良かったですし、一度ちゃんと宿泊して焼岳登山と組み合わせてみたいかも。

朝よりも路面の雪は減っていましたが、一部解けた雪が凍ってアイスバーン化していました。新しいスタッドレスタイヤはよく効きますが、やはりアイスバーンはそれなりに滑るのでX-MODEでノロノロと下ります。

再び安房峠入り口ゲートを開けて、あとは雪のない国道158号を下るのみ。

余裕の日帰り時間ではありますが、この日は松本駅前のホテルを取っていたのでした。

登山ルートとGPSログ

7時半過ぎのスタートで山頂に11時半、12時半過ぎに下り始めて14時半少し前の下山。登り4時間、山頂1時間を挟んで下り2時間。今回は少し意識的にペースを落として歩いてみましたが、これぐらいの方が却って疲労も少ない気もしました。人のいない山は周りを気にせずマイペースで歩けるのもいいですね。


焼岳南峰 / OKPさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ