Pergearの新製品である広角単焦点レンズ「PERGEAR 12mm F2」を紹介します。
今回もPergearさんからモニターとして提供していただいてます。
2020.12.16:雪山で使った作例を追加しました
- 1.7万円の広角単焦点レンズ PERGEAR 12mm F2
- PERGEAR 12mm F2:レンズ外観、サイズ、重量など
- MFTの広角レンズにしては大きなボケと絞り開放から使える描写
- レンズ作例
- できればAPS-Cで使いたいけど、F2.0を手軽に手に入れたいならアリ
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1.7万円の広角単焦点レンズ PERGEAR 12mm F2
中国深センの映像機器メーカー「Pergear(パーギア)」。所謂中華レンズの新興ブランドの1つとして、安価で使えるカメラ用レンズを製造販売しています。以前、このブログで取り上げた25mm F1.8は約7500円という驚きの価格と、写りの良さ(オールドレンズ的なイナタさも合わせつつ)で、気軽に交換レンズの楽しさを体験させてくれるナイスプロダクトでした。
そんなPergearより今月発売されたばかり最新レンズがこちら、焦点距離12mm F2.0というスペックの広角(超広角)マニュアルフォーカスレンズです。
APS-Cセンサーのイメージサークルをカバーし、ソニーEマウント、富士フイルムXマウント、ニコンZマウント、マイクロフォーサーズマウントをラインナップ。価格は公式の直販価格で17,600円と今回も驚きの低価格を実現しています!
MFレンズとはいえこの価格の広角単焦点は、今までになかったものです。同じく中華ブランドのBrightin Starからも同スペックのレンズが出ていて恐らくどちらかのOEMだと思われますが、Pergear版の方がさらに安価な設定となっています。
レンズの主な仕様
PERGEAR 12mm F2 Wide-angle Manual Focus Lens For Sony, Fuji, Nikon, M4 – Pergear
- マウント:マイクロフォーサーズ(他フジX、ソニーE、ニコンZ)
- 焦点距離:12mm(35mm判換算24mm相当)
- APS-C利用画角:19mm相当(フジX、ソニーE、ニコンZ)
- レンズ構成:9群12枚(円形絞り)
- 開放絞り-最小絞り:F2.0-F22
- 最短撮影距離:20cm
- フィルター径:67mm
- 絞り羽根:10枚
- 最大径×全長:φ66mm×59.5mm
- 重量:251g(マイクロフォーサーズ版 実測)
- フード:付属
- 直販価格:17,600円(税込)
APS-C版も気になったけど結局MFTで
発売前にPERGEARさんよりこのレンズを使ってみて欲しいとオファーをいただき、レンズスペックを確認して当初はソニーEマウント用をお願いしたのですが(α7 IIを使いAPS-Cクロップして使おうかと)、当該マウントが人気だったのか手にするまでしばらく時間が掛かりそうだったこともあり、途中で気が変わり今回もマイクロフォーサーズ用を試すことにしました。
APS-C用に設計されているレンズをMFTで使うのは、レンズ中央部の歪みや周辺減光の少ない部分を使える利点もあるものの、重量的にも画角的にも(特に広角レンズでは)「勿体ない」という感情の方がどうしても大きくなってしまいます……。
25mm F1.8に関しては本体の異常なコンパクトさ、35mmフィルム閑散で50mm相当になる丁度いい焦点距離だったこともありますが、本来のAPS-Cならば18mm相当の超広角で使えるレンズが、24mm相当という平凡な画角になってしまうのがなんとも勿体ない気分…… ではありますが、それでもあえてMFTで使ってみることで、APS-Cとは違うこのレンズの魅力が見つかったら面白いかなと方針を変更したのでした(どうでもいい話ですね)。
PERGEAR 12mm F2:レンズ外観、サイズ、重量など
早速外観やスペックを確認していきましょう。箱や付属のポーチについては25mm F1.8と同様、フロントキャップ、リアキャップも簡素なものですが、価格が価格ですしこれぐらいで十分です。
フードは金属製でレンズ先端外側にネジで装着するタイプ。
フィルター系は62mmでレンズフィルターはフードの内側に付けることができます。フードのネジとは別なので重ね付けになる訳ではありません。
レンズ本体はかなりコンパクトで、手持ちのレンズだとパナライカ15mm F1.7と25mm F1.4の中間ぐらい。本来はAPS-C用のレンズだと思うとかなりコンパクトだと思います。
外装は見た限り全て金属製で、コンパクトなサイズの割にズッシリした塊感があります。
マウントも金属製で位置合わせの指標となる赤点は今回もマウント部分にあります。横に付けてくれた方が目視しやすいと思うのですけども……。
レンズの重量は公式の仕様では300gとなっていて、当初この重さを見て「MFTレンズにしては重いなぁ……」と思ったのですが、計測してみるとレンズ本体のみで252g(フード込みで259g)とまさかの50g近く逆サバが読まれていました(笑)
どうやらAPS-C用(Xマウント用)でフードやキャップ類まで装着すると298gになるそうですが、本体のみでは267gだそうですしここまで異なるのならもう少し正確に記載してもいい気がしますね。
このレンズ。私の個体(Xマウント)でフード、キャップ付きで298g、なしで267gでした!Xマウントの方が重いですね!
— かめらと。 (@camera10me) 2020年11月19日
ちなみにオリンパスのPREMIUMラインの単焦点レンズ12mm F2.0は130gとさすがに軽量ですが、パナライカの12mm F1.4になると335gになるので、1.7万円で買える明るい12mmレンズとして考えるとMFTマウントでも十分に魅力的なスペックにも思えてきます。
カメラボディとの組み合わせサンプル
コンパクトサイズながら金属製ボディの重厚感もあってオリンパスOM-D E-M1 MarkIIに装着時の見た目の相性はかなりいい感じです。コンパクトだけど小さすぎないバランスと言いますか……(?)。フジのX-Tシリーズなど、同クラスのAPS-Cボディも恐らく同様のバランスではないでしょうか。
フードを着けないノーヘル運用もそれはそれで良い気もするがどうか?
サイズ的にはパナソニックのLUMIX GX7MK2(PERGEAR 25mm F1.8の相性は抜群)との組み合わせも悪くないですが、個人的にはE-M1 MarkIIに装着したくなるレンズですね。
ちなみにわずかながらですが本体、カメラ装着時のマウントに小さなガタツキがあります。個体差の可能性もありますし、価格を考えたら気にするレベルではないかと思いますが、質量のあるレンズなのでやや目立つ感じはするかも。
絞りリング、ピントリング、最短撮影距離など
絞りリングはクリックレスタイプで開放のF2から最大絞りのF11まで90度程度の可動域。30度ぐらいしか可変域がなかった25mm F1.8と比べても、絞り値の調整はそれなりに丁寧に行なえます。
ピントリングの可動域は90度強で回転の重さや感触は適度だと思います。距離指標の無限遠マーク位置でリングは止まりますがオーバーインフなので少し戻さないと無限遠は出ません(私の個体は結構1m指標寄りな位置)。仕様の最短撮影距離は0.2mですが、距離指標の最短表示はなぜか0.18mと書かれています(笑)
実際に最短に合わせた際のピント距離は実測で20cm弱といったところなので、仕様の数字が正しそうですね。ここは前述のオリ/パナの12mmレンズ(0.2m)とほぼ同じですね。
MFTの広角レンズにしては大きなボケと絞り開放から使える描写
ピントリングを最短距離に合わせてF2.0でテーブル上の花を撮ってみました。明るく寄れるレンズということもあって、雑然とした部屋の背景をいい感じにボカすことができました。
歪曲収差は周辺部に若干の樽型と、少し中央付近になると糸巻き型も出ているような…… 下手に補正は考えず、あまり気にせずに使うのが良さそうな気がします。
屋外にて絞り値を変えながら遠景を撮ってみましたが、やはり25mm F1.8とは描写が異なります。
中央部は開放からそこそこ良好ですがF2.8まで絞るとかなりシャープになります。周辺部は開放だと甘いもののAPS-Cのイメージサークルをカバーしているだけあってか、まずまずの描写を維持しています(……かと思いましたが、よく見たら右下側はかなりヤバいですね。片ボケしてる?)。F4.0までまで絞るとほぼパンフォーカスとなり、周辺まで含めて描写は安定します。
周辺減光は開放からほぼ気にならないレベルで、APS-Cで使うと周辺減光はそこそこあるようなので、そこはイメージサークルの周辺部を使ってないマイクロフォーサーズならではかもしれません。
対 M.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO
これだけちゃんと写ると、他のレンズとの描写の差が気になります。手持ちのマイクロフォーサーズ用12mmで、最も明るいレンズはオリンパスのM.ZUIKO 12-40mm F2.8 PRO。比較対象としては全くフェアではありませんが参考程度に乗せておきます。
描写はやはりPROレンズの方は開放F2.8から圧倒的に良いのですが(特に周辺部のフェンスの網など開放から描写されていて違いは一目瞭然)、5倍以上の価格差を考えたらそこは仕方がないでしょう。
カメラは三脚に固定したままレンズを交換してみると…… どうもPERGEAR 12mmの方が若干画角が狭いようです。うーん、これはちょっと残念なポイントが見つかってしまいました。
色味もPROレンズと少し異なって、色温度が高めで少しマゼンタ寄りな感じ(WBで直る…… というか合わせられるレベル)。単独で使っている分にはそこまで気になりませんが、どことなくノスタルジックな色味かも?
逆光
逆光というか構図内にがっつり太陽が入るような場合…… 開放付近で若干のフレアと、絞って行くと少々目立つゴーストが出てしまうようですが、25mm F1.8のような極端なフレアや描写の低下は起きていません。F16〜F22まで絞ると10本足の光条が現れます。
レンズ作例
近所のお散歩スナップ
せっかくの広角レンズなので雪の立山でテストしたかったのですが、手元に届くのが1日違いで間に合わず……。まだ近所の買い物や散歩のついでに少し使えたのみ。意外と難しいぞ24mm相当。
この辺は多分開放だと思うのですが、MFTのよく見慣れた被写界深度よりも浅く感じますね。
特に近接での背景ボケが大きいのでその辺を上手く活かしてあげられると面白い使い方ができるかも。
あとはやはりF2.0の明るさを生かしての夜景スナップ…… なのですが、開放だと周辺の甘さが目立つのでそこを許せるかが問題。あとピーキングでのピント合わせが、無限遠付近だと少し遊びのある状態で表示されてしまうので、しっかり拡大AFで合わせるのが良さそうです。広角だけに全域表示でのMFは意外と難しいですね。
追記:紅葉スナップ
国分寺の殿ヶ谷戸庭園で作例追加。改めて右下寄りの描写の甘さに気づきました。開放だとかなりボヤボヤでF4.0ぐらいまで絞らないと改善しない感じ。片ボケ或いはか個体差な気もしますが、ここは価格相当で仕方ない気もします。その他の描写は良い感じですかね。
このゴースト(なのかな?)は強烈。まるでハロ(暈)みたいな緑色の輪が…… こんなの初めて見ました。中央に太陽を入れたら毎回出るという訳でもなく、たまたまこのシーンで出現した感じ。
追記:雪山スナップ
雪山(北八ヶ岳:坪庭〜北横岳)でも使ってみたので作例を追加。最初の4枚は開放F2.0にて……。雲が多くあまり撮れませんでしたが、F2.0の明るさがあるので星も撮りやすいレンズですね。
以下は絞って撮っています。風景スナップだとF4.0〜付近でピントリングを無限遠に合わせておけば、あまりピントを気にせずに撮れるものの「このレンズでないと」という決め手に欠けてしまうのが残念。やはりより広角に写るAPS-Cで使うのがオススメですね(笑)
以前試した時に比べて雪山は日差しが強いせいか、思っていた以上に逆光には弱いかもしれません。
光条を意識してF22まで絞ってみるととんでもないゴーストが出てしまうので注意が必要。長く伸びた光条の足が歪んでしまっているのも気になります……。
できればAPS-Cで使いたいけど、F2.0を手軽に手に入れたいならアリ
マイクロフォーサーズの場合、12mmは多くのズームレンズのワイド端でもあるので、あまり目新しさは感じられませんし、絞って遠景を撮る用途だとあえてこのレンズを選ぶ理由は薄いかもしれません(例えばパナソニックのLUMIX G VARIO 12-32mmは開放F3.5からよく写りますしも、中古で1万円代前半で買えてしまいます)。
やはり開放のF2.0が使いたいかがポイントになってきて、近接撮影での背景ボケを生かしたいとか、夜景や星撮りができるレンズをなるべくお手頃に入手したい人には向いているかもしれませんね。
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