日曜日に東京八王子の東京富士美術館で『日本のアニメーション美術の創造者 山本二三展 〜天空の城ラピュタ、火垂るの墓、もののけ姫、時をかける少女〜』を見てきました。
山本二三(にぞう)氏は長崎県・五島出身のアニメーション背景画家、美術監督。
かつて日本アニメーションやスタジオジブリに在籍し、宮崎駿、高畑勲の多くの作品で美術監督を務め、緻密で美しい背景画を描いてきたことで知られています。現在公開中の新海誠監督『天気の子』にも背景美術で参加しているそうです(やはり空や雲のシーンだったりするのでしょうかね)。
新海誠監督の新作「天気の子」の関係者試写会行ってきました。人の力の及ばない災いと共にだって、日常と恋と冒険がある。狂いも含めて今を肯定しようとする力強い傑作。映画館の迫力でこそ伝わる「飛ぶ感覚」があるはず。山本二三も背景美術で少し関わっています。ぜひ劇場でご確認を!(スタッフT) pic.twitter.com/yVT64QxuB1
— 山本二三(絵映舎) (@kaieisha_nizo_y) 2019年7月12日
そんな山本二三氏の作品展が八王子の東京富士美術館で行われていることを知り、ラピュタファンの妻に伝えたところ「絶対に見に行きたい!」とのことなで、週末の山を諦めて日曜日に行ってきました。会期は来月9月16日(月)まで、そういえば今週金曜(30日)には夏恒例のラピュタ地上派放映もあるので、来週以降は最後の駆け込みで混み合ってしまうかもしれませんしね?
「東京富士美術館」今回初めて名前を聞きましたが、八王子の丘の上にある立派な美術館です。創価大学のすぐ近くと言えば近隣の人には分かりやすいかもしれませんが(?)、そもそも創価学会の池田大作氏が創立した美術館のようです。公共交通だと八王子駅(JR、京王)からバスで15分のアクセスですが、車ならば中央道の八王子ICを下りて5分とかかりません。
我々は日曜昼頃の到着で無料駐車場(2箇所90台)に停められましたが、その直後には満車になってしまっていたので、タイミングは考えた方がいいかも。あとはバスの到着時間のタイミングだとどうしても、一時的に入場者が増えてしまいますね。
東京富士美術館のホームページに掲載されている周辺マップ、館内の休憩所などにも置いてありましたが、近隣の食事処情報が充実しているので車アクセスの人は参考にしてみるといいかも。
via: アクセス | 東京富士美術館
入場料金は大人1300円がJAF割引で1000円でした。2人分だと結構大きいですよね。
今回の山本二三展は4部屋ある企画展示室をフルに使って、「ルパン三世」や「じゃりン子チエ」といったキャリア初期の作品から、「天空の城ラピュタ」「火垂るの墓」「火垂るの墓」といったジブリでの代表作、細田守監督のアニメ版「時をかける少女」、構想中の作品を含む近作まで約220点(リストによると227点)の背景画やイメージボード、スケッチが展示されています。
この日は日曜日でしたが、特に混雑することもなく1点1点の絵をじっくりと鑑賞することができました。あの様子だと、平日などはかなりガラガラだったりするのではないでしょうか?
時代や作品毎にタッチが異なるものもありますが、やはり空や森といった自然、そして建築物を描く画力は圧巻。繊細な描写ながら写実的とも異なる独特のリアリティは、正にアニメーションならではの世界観を感じさせるもの。現実でない世界にリアリティを持たせるその力にただただ圧倒されます。
有名な劇場アニメーション以外にも私が知らない様々なアニメ作品、ゲーム美術、教科書の挿絵に、出身地である長崎や五島のイラストまで、山本氏が多岐にわたる仕事を手掛けていたことを知ることができる展示になっていました。
会場で販売されている図録ですが2000円でほぼフルカラー132Pとなかなか豪華なので、是非手に取ってみることをオススメします。
図録冒頭の山本二三氏のインタビュー「背景画は経済的なことはスケジュールもひっくるめて、職人技と芸術性の両方が必要とされる商業的な芸術。だからこそ誰もやらないような画面を描くのが楽しいし、これからも新しいチャレンジをしていきたい」というコメントが印象に残りました。
少々割高な美術館カフェ飯を挟んで、せっかくなのでもう少し常設の展示を見て行くことにします。
なぜオシャレカフェ飯はせっかくおかずが多いのに相性が悪い(個人の意見です)雑穀米なのか?
常設コーナーの一角で使って行われていたのが館蔵品である写真コレクションからの『大地の写真展』。主にフィルム時代の写真作品を中心とした展示でしたが、その写真表現の自由さに触れると、昨今の商業写真誌がインスタ映えレタッチを揶揄するアレコレが、本当にせまっくるしい世界のみみっちい価値観だなぁ(口が悪い)と思わされてしまいます。
また、最近の流行だと私が勝手に思っていたような写真表現すら、実はフィルム時代から存在していた表現だったと気づかされるなど、特別展と併せていい刺激を受けることができました。
その他にもNASAとハッセルブラッドが作った月面着陸用の宇宙カメラ(アポロ11〜17号に詰まれていたものと同型機)なども展示されていました。撮影が済んだカメラ本体はフィルムマガジンのみ回収され本体が月面に残されているのだとか(その重量分だけ月の石が回収されたそう)。月に行けばZeiss付きのハッセルが落ちてるぞ!?
via: ハッセルブラッド宇宙への挑戦
まあ、個人的に最も度肝を抜かれたのは美術館の休憩スペースから正面に見えた、隣接する巨大な宮殿ばりの創価学会東京牧口記念会館なのですが……。
美術館の所蔵品といい、巨大宗教法人の財力には驚かされますね。

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