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オリンパス最後のフラッグシップ機の丁度良さ:OLYMPUS OM-D E-M1 Mark III レビュー

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今年に入ってOM SYSTEM STOREから「OM-D E-M1 Mark III」の特化販売のメールが2度ほど届いていましたが(見に行くと完売してる)無事?公式オンラインストアでは販売終了となったようです……。

まだ生産完了となった訳ではないようですが、2021年の4月末に購入してからそろそろ2年弱が経ちますし、そういえばまだちゃんとレビューを書いてなかったような気もするので、今回はオリンパス最後のフラッグシップ機「OM-D E-M1 Mark III」についての私見をまとめてみました。

オリンパス最後のフラッグシップ機はE-M1 Mark IIのマイナーチェンジ!?

「OLYMPUS OM-D E-M1 Mark III」が発売されたのは今から3年前の2020年2月28日のこと。この年の9月末にオリンパスは映像事業の譲渡を発表、翌2021年の1月1日に「OMデジタルソリューションズ(OMDS)」が、オリンパスの映像事業を引き続く新会社として誕生しています。

つまりE-M1 Mark IIIはオリンパス時代に発売された、最後のフラッグシップ機種となります。

しかしながら性能的にはその1年前に登場したE-M1Xの方が総合力では勝っていて(画像処理エンジンはTruePic VIIIからIXへと世代交代しているものの)、2016年12月に発売された従来機OM-D E-M1 Mark IIのマイナーチェンジ版のような印象が強かったのが正直なところ。E-M1 Mark II Mark IIとか言ってごめんよ……。

操作系にマルチセレクターの他、新機能の搭載などはあったものの、外観デザイン、イメージセンサー、EVF、メディアスロット等はE-M1 Mark IIから進化がなく、長らくE-M1 Mark IIを愛用していた私自身も発売当時に正直かなりガッカリしました。その後、実際に手にしたもののやはり新鮮味は感じませんでした。


OM-1が出て役目を終えた元フラッグシップ?

しかし、2022年3月にOM SYSTEM OM-1が発表されたことでE-M1 Mark IIIの立場も少し変化しました。
フラッグシップ機を任せられていた肩の荷も下り、発売から時間が経ち市場価格もかなり下がりました。
OM-1は新ブランドでの新シリーズということもありますし、大ヒットボディでもあるE-M1 Mark II系の最終形でもあるE-M1 Mark IIIの完成度はまた一味違う落ち着きがあります。

私自身やや後ろ向きな気持ちもありながら使い始めたものの、長年E-M1 Mark IIを愛用していただけあって、操作性はそのままに細かなアップデートが施されたE-M1 Mark IIIはなんとも手に馴染む。
この先も使い続けるつもりで、長期メンテサービスであるOOC+にも加入しました。その後、OM-1も手にしたものの未だに操作性などはE-M1 Mark IIIを使ったときの方がスムーズなことも!?

ちなみに2台所有していたE-M1 Mark IIのうち1台は手放しましたが、最初に買った1台には色々と思い入れもあるので手元に残しています(今は日々のテーブルフォト&ブログ物撮り用として活躍)。

E-M1 Mark IIIのここがイマイチ

そんなE-M1 Mark IIIですが、イメージセンサーを始め基本的な仕様が2016年発売のE-M1 Mark IIから変わってないので、どうしても最新機種と比較してしまうとやや見劣りしてしまう点は否めません。

まずは発売時点でも少々がっかりだった236万ドットの液晶ファインダー
発売当時には見やすく感じたE-M1 Mark IIのEVFでしたが、現在は各メーカー有機ELのEVFが主流となっていますし、偏光サングラスとも相性の悪い液晶EVFがそのまま引き継がれてしまったのはやや残念。
金型や部材調達の都合などはあるにせよ、E-M5 Mark III → OM-5でのMicro-USB続投など、オリンパス系のマイナーチェンジモデルってそういうとこありますね(そこを改良するだけで魅力度がハネ上がるのに)。

ただし、最新のOM-1を使い始めた当初はEVFの見やすさに感動したものの、実際にOM-1とE-M1 Mark IIIの2台を交互に使っていると、思いの外EVFの性能差を気にしてないことにも気づきました。
見え方に大きく関わってくるEVFの解像度やサイズに関しても、現行のマイクロフォーサーズ/APS-C機と比較しても一部のフラッグシップクラスを除けば、まだまだ平均レベルです。

OM SYSTEM OM-1 576万ドット OLED 0.83倍相当
FUJIFILM X-H2 576万ドット OLED 0.8倍相当
FUJIFILM X-T5 369万ドット OLED 0.8倍相当
LUMIX G9 PRO 368万ドット OLED 0.83倍相当
LUMIX GH6 368万ドット OLED 0.76倍相当
OM-D E-M1 Mark III 236万ドット LCD 0.74倍相当
CANON EOS R7 236万ドット OLED 0.72倍相当
SONY α6600 236万ドット OLED 0.71倍相当
OM SYSTEM OM-5 236万ドット OLED 0.69倍相当
NIKON Z50 236万ドット OLED 0.68倍相当
FUJIFILM X-S10 236万ドット OLED 0.62倍相当
CANON EOS R10 236万ドット OLED 0.59倍相当

イメージセンサーの世代の古さについては、OM-1の新型センサーによる変化のレベルを考えたら、現状マイクロフォーサーズの上限に近い性能だと思われます。逆にセンサー起因によるこれ以上の画質を求めるならば、素直により大型センサーのフォーマットを選ぶべきでしょう。

弱点と言われがちな高感度性能についても、最近はPureRAWなどの優秀なノイズリダクションを活用する方法もあります。この辺りは自分の求める画質、性能とシステムのバランスを考えた機材選択になります。

低温度での充電池(BLH-1)の性能低下はE-M1 Mark II 時代からの課題のひとつ。
電池容量の少ない初代E-M1やE-M5系の充電池に比べたら性能低下の影響は少なくなったものの、使用条件(主にマイナス2桁)によっては残量が半分以上ある場合でも電池性能が低下して落ちやすくなることも。

マイナス1桁程度の氷点下なら何も問題なく使えますし(星空の長時間撮影なども)、交換電池があれば基本なんとかなるので、あくまで限られた条件での話です。

後は、複雑さに定評のあるオリンパス機のメニュー

長年使っている慣れがあるので、私は特に気にならない(むしろOM-1でガラリと変わったので、2台の使い分けで混乱が多い)のですが、他メーカーからの移行だと慣れるまでは苦労するのかな?

E-M1 Mark IIIのここが良い(これで十分)

逆にE-M1 Mark IIIの良さというか、これで十分と感じる丁度良さについて。

最新のOM-1を使ってみて分かったのはセンサーやエンジンが新しくなっても、そこまで劇的な画質の向上がある訳ではないということ(あるにはあるけど正直些細なレベルです)。
昨年登場した最新モデルのOM-5にしてもほぼ「ミニE-M1 Mark III」のような中身ですし、準フラッグシップ機と同等(以上)の性能、画質と考えればまだまだ十分に使える機種だと思います。

以下、個人的に気に入ってるポイントをいくつか。

  • 操作性の良さ:露出している前後ダイヤルの回しやすさ。E-M1系の成熟したUI+マルチセレクターの追加による操作性の良さ
  • USB充電:USB-C端子搭載、PD規格対応による高速充電に対応
  • 星空AF:定評あるボディ内手ブレ補正の助けもあり、スナップ感覚で手持ち撮影で星空が撮れる。三脚撮影時のピント合わせも楽
  • ライブND:画像合成によりNDフィルター的な減光効果(最高ND32)を得られる。露出モード、シャッター速度など一部縛りがあるものの、Fnボタンに割り当てておくと結構遊べる
  • 連写周辺:メカシャッターでの連写はOM-1の10コマ/秒に対して15コマ/秒(連写H)と実は数値が高い。自分は連写時に“撮ってる感”が欲しいので(シャッター音を頼りに連写枚数を調整することも)、プロキャプチャー以外ではメカシャッターを使うことが多いです。
  • カスタムモード:4つまで登録&モードダイヤルC1-4に対応(3だとギリなので4つ以上あると助かる)。

防塵防滴性能を含めた耐久性についても、E-M1 Mark II時代から使っていて(なんならフォーサーズのE-5や初代E-M1から)非常に信頼しています。川に沈んでも泥の中に落としてもウィダーインゼリーをぶっかけても、シャワーで洗えば復活(あくまで私の経験です)。シャッター耐久もMark IIの20万回から倍の40万回に伸びて、フィールドではOLYMPUS(OM SYSTEM)を使っていれば間違いない、という信頼感があります。

ちなみに、手持ちハイレゾショット機能。使う人は結構使うようですが、私は高解像度データを求めてないのと(PCやストレージ的にも過剰)、撮影時間(処理時間)も余計にかかるので使うことはありません。

E-M1 Mark III 作例

E-M1 Mark IIIを手にしたのがコロナ禍となってからの2021年なので、それ以前に比べるとあまり写真を撮ってないかも……。特に昨年2022年はそれ以前の約半分ぐらいで、E-M1 Mark III以上にOM-1では写真を撮ってない状況。少しは解消したいと思いつつも、今年も未だだあまりやる気が出てこないのですよね……。



東京オリンピック、ものすごく前のことだったように感じます……。


OM-1のAI被写体認識は確かに面白いですが、単純に撮影結果だけ見ているとE-M1 Mark IIIを使ってるときとさほど変わってないというか(使いこなせてないのもあるけど)、性能的にはこれで十分かもしれません。




正直E-M1 Mark II以降は「このカメラじゃなかったら撮れなかったシチュエーション」みたいなことは殆どなくて、星空AFがあるから手持ちで星空を撮ってみたとか、ライブNDがあるから使ってみた、ぐらいかも。



このタイミングでOM-1を使ってたらもっと上手く撮れたということもないと思いますし、フィールド撮影や旅行用カメラとしてOM SYSTEMのシステムを選ぶ際にOM-1よりも10万円近く安く、OM-5よりバッテリー周りで安心して使えるE-M1 Mark IIIを選ぶのは決して悪くない選択肢だと思っています。



せっかく買ったので今はOM-1を優先的に使ってますが、たまにE-M1 Mark IIIを持ち出してみるとやはりしっくり来るというか、慣れというのは大きいですね。



昨年末の生田緑地もE-M1 Mark IIIでした。こちらも久々のM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROを使ってましたが、軽くて明るくて写りも申し分なし、散歩には最適なレンズですね(今更)。