昭和記念公園(西立川口)から残堀川を多摩川まで歩きました。河道自体の距離は恐らく3km程度ですが、人工滝があったり、カワセミも多く楽しい散歩道となりました。
- 昭和記念公園から残堀川を多摩川まで
- 残堀川スタート
- 完全三面張の富士塚橋〜滝口橋
- 府中崖線に作られた大滝(滝口)
- 「くるま」でニンニクの効いたラーメンとチャーハン
- 昭和用水からの流れが合流、カワセミ天国
- 根川緑道と新奥多摩街道
- 多摩川に合流、多摩モノレールが走る立日橋
- 柴崎体育館〜高幡不動〜府中と富士山
昭和記念公園から残堀川を多摩川まで
先日残堀川を昭和記念公園の玉川上水口から上流端まで、水源とっている狭山池公園まで歩きましたが、せっかくなので下流端まで繋げておこうと、今度は昭和記念公園の西立川口から多摩川まで歩いてみました(前回の記事、青梅短絡線を歩いた日の続きです)。
ちなみに昭和記念公園内を流れている残堀川はこんな雰囲気で、水はないけど草が元気に茂っている涸川という印象。立川口から入場した場合など、ふれあい橋などのメイン園路でなく、残堀川沿いを歩くと微妙にショートカットできてかつ緑の中を歩けて結構お気に入りのルート(写真は今年5月)。
昭和記念公園内の残堀川は、この夏改修工事を行っていました。写真はふれあい橋の上から見た上流と下流側。
二面張りされた護岸の中央付近に、1段低くなったコンクリートの流路を整備しているようです。通常の水量(ほぼ流れていませんが)ならこの部分だけで十分なのか、完全に三面張りにはしないことで、エコトーン的な空間を残すことが目的なのか。
こちらはやはり園内の残堀川で今年8月頃。雨による増水で水かさが上がった結果草が倒れていると思われます。よく見ると中央付近にやはり石垣のような流路が確認できます。
さて、それでは昭和記念公園の西立川口前をスタート。残堀川まで国営公園南通りを少し歩きます。
残堀川スタート
残堀川と交差します。この橋は昭栄橋。左手が園内になります。
公園がある上流側。一番奥に見えているのがふれあい橋。白く見えているコンクリートが上で整備していた部分でしょう。
国営公園南通りを渡ります。昭栄橋と並んで下流側に並行する車両は入れない道があります。
こちらはには少し古い橋「さつき橋」が掛けられています。左の緑色の鉄橋は青梅線の線路。
車が通れそうな立派な橋ですが、今はたまに人や自転車が通る程度。国営公園南通りが整備される前に使われていた旧道路でしょうか?
青梅線の線路が近い。
すぐに残堀川沿いは歩けないので、青梅線の踏切を渡ります。
完全三面張の富士塚橋〜滝口橋
富士塚橋から残堀川沿いの側道が左岸右岸に現れます。
水のない残堀川。昭和記念公園園内や、上流部と違って雑草が映えることもない完全な三面張り。上流から見てきた残堀川で最も、寂しい区間です。
富士見橋。富士山が見えるという訳ではなく、この辺一帯が立川市富士見町です。もちろん少し高く見晴らしが良ければ富士山が見えますけども。
川は何の変化もないままほぼ直線の流れで、武蔵野台地 立川面の段丘崖(立川崖線・ハケ)に突き当たります。段丘崖手前の橋は滝口橋。
橋から先を覗くと、川が突然終わったような段差が見えます。
府中崖線に作られた大滝(滝口)
ここで残堀川は一気に段丘崖を流れ落ちます。ここは幾度となく人の手により河道を付け替えてきた中で生まれた、人口の滝(のようなもの)で、「大滝(滝口)」と呼ばれています。
東京都建設局サイトにある資料によると大滝は「幅24m・高低差10mを有する都内の中小河川の落差工として、他に類を見ない大規模なもの」とのこと。明治期には既に大滝付近は現在の流路に近いものでしたが、自然の段丘崖に水を流していたものを、コンクリート製の大滝に改修したのは昭和40年代に入ってのこと。
段丘崖を滝のように流れ落ちた直後に、左岸側に直角に曲がるアクロバティックな流路は、かつてハケ下を流れていた根川の流路を利用したものだそう(根川の一部は現在も残っています。後述します)。
大滝には入れなかったので、近くにある富士見第二公園から段丘崖を下ります。
なかなかの高低差の段丘崖(ハケ)は立川崖線。
国立市谷保あたりから多摩川上流に向かって青栁崖線と別れていた立川崖線(府中崖線)ですが、ここでは既に青栁崖線と青栁面は消えて立川面(立川崖線)となっています。下はもう多摩川沖積地。
大滝の下で直角カーブした残堀川の左岸側。
途中までしか行けません。
急角度に川の流れが変わるので、大滝正面は護岸も高くなっていますし、増水時などは減勢池である程度の水量をプールしてから下流に流す構造となっていて、減勢工が直角カーブの前後に設置されています。
右岸に移動します。
水は大滝の下に少しだけ溜まっていますが、流れはありません。鳥たちのオアシスになっていました。
やはりここも高い護岸に遮られて大滝を直接見ることはできません。
なんとか減勢池のコンクリート構造物が見えますね。
すぐ横に水の流れる水路。『多摩・武蔵野凸凹地図』を確認すると、近くにある富士見緑地には段丘崖からの湧水が近くまで流れているようなのでそれ、或いは昭和用水(立川堀)の分水と繋がっている可能性も?
うーん、見えそうで見えない。
ということで少し離れたところから。段丘崖に掛かるスロープ状の富士見通りにやってきました。
望遠レンズで、滝口橋は見えているけど、滝はちょっと見えづらい……。
寄ってダメなら引いてみな。これが限界かな。
中央付近に見える台形状の穴が滝の中央で、水が流れる面を覆うようにコンクリートの構造物があるようです。
大滝ができた昭和40年代は生活排水の汚染もあり、滝によって発生した洗剤アワが風で舞い上げられて周囲の住宅に届くといった問題があったとのこと。対策として滝壺の両岸にボックス状の構造物と正面の覆いのようなものが設置されたようです。
「くるま」でニンニクの効いたラーメンとチャーハン
さて、14時近くなってさすがにお腹が減ったので、近くにあった町中華「くるま」へ。通し営業は助かります。
カキフライ定食も気になりますが、おすすめセットのトップにあった、半チャン車ラーメン(1100円)を注文。
車ラーメンはにんにくの効いたスープの太麺ラーメン。チャーシュー、メンマ、炒めやもやしときくらげに刻みタマネギたトッピング。うん、おいしい。ニンニクはかなりガッツリなので人と会う前にはオススメしません。散歩中だしコロナ以降は常にマスク持参なので外出時のニンニクのハードルが下がりました!?
チャーハンはしっとり系で、エビカニ系の出汁を使っているのかな。こちらもおいしかった。
食後にサービスのコーヒーも出していただきました。他のメニューもまた食べに来たいお店です。
昭和用水からの流れが合流、カワセミ天国
「東京都家畜保健衛生所」
前を流れる水のない水路は恐らく昭和用水の分水ではないでしょうか。
そのまま残堀川に流れ込むようです。
滝下橋。先程降りてきたのはこの正面の段丘崖。左岸には立川崖線、段丘崖の住宅地。
立川崖線に沿って流れる残堀川、この辺りも水はありませんが、大滝の手前と違って二面張で土がしっかり入っている河川敷。
山中坂下橋。
山中坂。小さなお堂と「山中佐賀悲歌」の歌碑。碑文によると、太平洋戦争時、軍の基地のあった立川には幾度となく空襲があり、この山中坂にあった横穴式防空壕に避難していた方、42名が亡くなっているそう。
山中坂下橋の下、突然川に水が現現れました。どうやら少し先の右岸側から水が流れ込んでいるみたい。
ここですね。昭和用水の流れ込みのようです。昭和用水は室町時代に開削された農業用水「九ヶ村用水(立川堀)」を前身とする用水路で、昭島市拝島町の昭和用水堰で多摩川から取水されています。
昭和用水 - Wikipedia
残堀川に水が流れ込んでから最初の橋。馬場坂下橋から上流を眺めていると…… 川に何か鳥が飛び込む姿が見えた気が。
お、いますね。
メスのカワセミでした。やはり水があるとカワセミは現れますね。
馬場坂下橋のすぐ下には中央線の線路。
今度はオスのカワセミがいました。この先、かなり短い感覚でカワセミの縄張りがあって、多摩川に出るまで写真に撮れなかった個体も含めかなりの数を目撃しました。こんなにカワセミがいるなら超望遠レンズ持ってきておくのでした(川散歩の際に念の為持っているGF10にLUMIX G VARIO 45-150mmをめちゃトリミング)。
中央線の線路を越えました。大滝は案内標識では「滝口」と表記されています。
相変わらず左岸は段丘崖ですが、この辺りから段丘崖は二段構えとなり上が立川崖線、下は青栁崖線と別れていきます。2つの段丘崖の間の青栁面が国立市にかけて徐々に広がっていく地点でもあります。川から見上げていると分かりにくいですが、地図で確認すると左岸に見えている崖はもう青栁崖線かも。
緩くカーブした先に見えてきたのは新奥多摩街道の立川橋。
またまたいました。こんどは2羽。
こちらがメス。少し移動して見えやすい場所に止まってくれました。
こちらはオス。
2羽並んでくれました。
メスの方が少し色が淡く2羽ともやや幼いようにも見えますが、もしかしたら今年生まれた兄弟だったりするのかな。昨年は秋頃にオスメスの激しいじゃれ合い?を見ていますが、この2羽はどんな関係なのか。
今度は突然水面がザワザワし始めました。小魚が水面に波紋を作ったり飛び跳ねている小魚もたくさんいます。水生昆虫が羽化するタイミングで、それを食べる魚が水面に波紋を作ることはありますが(釣り用語で「ライズ」なんて言います)、それともちょっと違う感じ。
護岸の上からも魚体が確認できるぐらい、大量の魚が水面をざわつかせています。これだけ餌となる小魚が豊富だとカワセミたちも広い縄張りをキープすることなく、ひしめき合っているのかも?
そんな小魚たちを見ていたら、次々にコサギたちが集まってきました。水面ザワザワしてから数十秒としないうちに本当に目ざとい!(動画にて)
三面張りの浅い川にしてはやたらカワセミが多いな(縄張り間が短い)と歩いていたら突然小魚が大量に跳ね始めて、なるほど餌…と見ていたら次々にコサギが集まってきたところ pic.twitter.com/TIja0KwifD
— OKP (@iamadog_okp) 2024年12月26日
根川緑道と新奥多摩街道
これは右岸から上流方向を見ていますが、右手(左岸)に見える樋管。恐らく吐出口だと思われますが、地図を見るとこの辺りから根川緑道が始まっています。
根川は段丘崖の湧水を集めて流れていた川ですが、一部は大滝からの残堀川の流路に利用され、埋め立てられた本来の根川下流部分がこの辺りから始まります。現在は根川緑道として水路が整備され、府中用水取水樋門の少し上流、根川排水樋門で多摩川に合流しています。
根川緑道 - Wikipedia
根川緑道の上流端ではありますが、雨などで根川緑道の水路の水が増えた際に、ここから残堀川に流しているのかも?(根川は関係なく普通に段丘崖からの排水の可能性も)。
この向こうが根川緑道。
新奥多摩街道に出ました。左岸に段丘崖が見えないのはもう多摩川に川が近づいているから。
多摩川に合流、多摩モノレールが走る立日橋
多摩川が近くなり護岸の傾斜がなだらかに、川幅が広くなります。河原にも降りられるようになっています。奥に見えているのは新奥多摩街道立川橋。ここでもカワセミがいました。
残堀遊歩橋。残堀川下流の最後の橋…… になるのかな? 立日橋も残堀川の上に架かっていますがあれは多摩川の橋だす、残堀川の橋に入れていいものか……?
残堀遊歩橋から。正面に見えるのは立日橋に多摩都市モノレールの線路なので、もうほぼ多摩川みたいなものですが、一応残堀川が多摩川に合流するところまで見届けておきます。残堀川と多摩川の間は「残堀川緑道公園」として整備されています。
多摩川サイクリングコースが残堀川を超える必要があって(残堀遊歩橋を使う?)ヘアピンカーブが復数設置されています(多摩川緑地グラウンドの外周を回るコースなどもあり……)。
富士山、そして府中市あたりよりも奥多摩の山がよく見えます。
立日橋と多摩都市モノレール、離れているように見えますが、立日橋の片側2車線の間にモノレールの橋梁があります。多摩川に架かっている橋ですが、手前はまだ一応残堀川の流れ。
立日橋を渡ったモノレールは柴崎体育館駅へ。
多摩川左岸は相変わらず立川市。立日橋の対岸は日野市です。
立日橋を渡るといよいよ残堀川と多摩川の合流ポイント。向こうに見えているトラス橋は、日野橋の架替えにより設置されている仮設橋のようです。
多摩川サギ集団(一部カワウ)。
振り返って立日橋と富士山。ダイヤモンド富士になりそうですが、この日の日没だと富士山の左肩あたりに沈みます。立日橋から富士山山頂部へのダイヤモンド富士が見られるのは、年明け1月8日頃のようです(スーパー地形調べ)。
もう完全に多摩川ですが、ここが残堀川の終着点ということで良さそうです。多摩川の対岸(日野市)に存在感のあるマンション。南側にここから見えない別棟が広がり700戸を超す規模だそう。部屋によっては富士山もよく見えるでしょうし、武蔵野台地の展望は良さそうですね。
昭和記念公園から多摩川、3kmに満たない残堀川でしたがあちこち気になって見ていたらもう日没前。自分の散歩はやっぱり時間が掛かります。超望遠レンズを持っていて、カワセミにもう少し時間を取られていたら日が暮れていたかもしれません(笑)
柴崎体育館〜高幡不動〜府中と富士山
それでは立日橋からすぐの多摩モノレール柴崎体育館駅へ。
これが根川緑道。また機会があれば次回。
柴崎体育館駅から立川南駅まで1駅ですが、高幡不動周りの京王線で府中に戻ることにしました。
柴崎体育館駅ホームから見えた富士山。
多摩モノレール車内より、浅川を渡る際に見えた富士山。
こちらは府中に戻ってから、フォーリス屋上から見えた富士山。この時期、多摩は富士山がよく見えます。
青梅短絡線・残堀川下流域 / OKPさんの活動データ | YAMAP / ヤマップ