EarFunの2種類の完全ワイヤレスイヤホン「EarFun Air Pro」と「EarFun Air」を使ってみました。
「EarFun Air Pro」は低価格ながら外音取り込みやノイズキャンセリング機能を搭載した上位機種、「EarFun Air」はコストパフォーマンスの高いスタンダードモデルで、どちらもイヤホンの着脱で再生/停止が連動する自動装着検出機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンです。今回はEarFunさんよりモニター商品を提供いただいての紹介となります。
- EarFunの完全ワイヤレスイヤホンを試す
- 「EarFun Air」と「EarFun Air Pro」のパッケージ、外観
- ペアリングはスムーズ
- 装着感は結構違う!?
- 基本スペックの比較
- 高音がややシャリ傾向ながらバランスの良い「EarFun Air」
- バランスの良さと高機能を合わせた「EarFun Air Pro」
- 個人的なオススメは「EarFun Air Pro」だけど……
- こんな記事もあります
EarFunの完全ワイヤレスイヤホンを試す
EarFun(読みはイヤーファンかイヤファンかな?)は中国の深センで2018年に設立されたオーディオブランド。私もAmazonのセールなどで名前は見かけていたものの、最近はこの手の新興のブランドが多いこともあって、あまり区別もつかず特に興味を持つこともありませんでした(すみません)。
EarFun 公式サイト | | より良い音 より良い生活
以前から何度かモニターの問い合わせは頂いていたのですがなかなかタイミングが合わずで、最近打診をいただいた際に製品スペックを見た所興味を持ったこともあり、無理をお願いして2製品同時のモニターレビューをさせて貰うことにしました。
今回試したのは「EarFun Air」と「EarFun Air Pro」の2モデルの完全ワイヤレスイヤホン(左右独立型のワイヤレスイヤホン:トゥルーワイヤレスイヤホン)です。
EarFun Air Pro ハイブリッド式のノイズキャンセリング完全ワイヤレスイヤホン
EarFun Air完全ワイヤレスイヤホン
「EarFun Air」はスタンダードモデルで売価5999(定価9999円)とかなりお手頃価格のモデル。「EarFun Air Pro」はさらにアンビエントモード(外音取り込み)やノイズキャンセリングを搭載した上位モデルですが、売価は7999円(定価9999円)とかなり抑えられています。
私自身は普段音楽を聴く際はスピーカーがメインですが、集中してリスニングする際は、楽器演奏でも使ってる有線のモニターイヤホン(MDR-EX800ST)を使っています。完全ワイヤレスイヤホンはAVIOTのTE-D01gを持っていて、接続周りや充電の安定性にやや不満はあるものの、音に関してはそこそこ気に入ってます。
そこまでイヤホンの音質に強いこだわりはないですが(高級イヤホンにもあまり興味はない)、アンサンブルの各帯域が聴きやすいモニターライクな味付けの少ない音が好みです。
「EarFun Air」と「EarFun Air Pro」のパッケージ、外観
パッケージや開封、付属品についてはあまり重要でないので(他で詳しく紹介されてそうですし)、2製品同時にさくさく行きましょう。今回送って頂いた「EarFun Air」はホワイト、「EarFun Air Pro」はブラックでした。外箱のサイズは「EarFun Air」の方が少しだけ大きく厚みがありますが、まあほぼ同じぐらい。
マグネットで開閉できる少し手の混んだパッケージ。最近たまにありますが、ゴミに出す際に磁石をどう取り出すか迷うんですよね……。
付属品はどちらもUSBケーブル(USB A - USB C)、イヤーチップ(本体装着を含め3サイズ)、7カ国語対応(Proは6ヶ国語版)の取説。取説はそれぞれ8〜9ページで、それぞれの分かりやすい(正しい日本での)解説となっています。
「EarFun Air Pro」はケースに入っていましたが、接点部分にはシールが貼られていているので使用前に剥がしましょう。
本体サイズはほぼ同じで、耳の中にすっぽり収まるタイプではなく、耳から棒状の本体が飛び出す形状(うどんタイプと言うの?)。デザインはやや異なりますが、デザインよりも音や機能、価格帯で選んだ方が良いでしょう。
「EarFun Air」は表面がツルテカで(iPhoneの付属イヤホンみたいな感じ)「EarFun Air Pro」はつや消し。仕上げはケース、本体共に同様です。色違いだとどうなのかな?
充電器を兼ねたケースは縦長の「EarFun Air」に対して、やや平たい「EarFun Air Pro」。これはイヤホン本体を収納する向きが縦か横の違いです。ケースの質感も本体同様のツルテカとつや消しです。
「EarFun Air Pro」はケースからイヤホンを取り出しやすいのに対して、「EarFun Air」はつまむ場所が少ないことと、ツルテカな本体表面の仕上げのせいで、指が滑ってやや取り出しにくいかもしれません。
充電はケースに対してUSB-Cケーブルで行います。「EarFun Air」はワイヤレス充電に対応していますが、上位モデルであるはずの「EarFun Air Pro」は非対応なのは残念。
ペアリングはスムーズ
どちらのイヤホンも開封時点である程度の充電残量があったので、一度ケースに収めて取り出せばそのままペアリングモードに入って、使い始めることができます。余裕があるなら最初に充電しておくと良いでしょう。Bluetoothのペアリングはお使いの機器(スマートフォン、PC、タブレット)等の手順で。特に迷うこともなく、表示される「EarFun Air」「EarFun Air Pro」といった機器名を選ぶのみでスムーズに進みます。
装着感は結構違う!?
一見すると大差がないように見える2つのイヤホンですが、実際に装着してみると意外と差があります。具体的には「EarFun Air Pro」の方がドライバ部分の楕円の形が細いので私の耳への収まりは良い感じ。
一方で「EarFun Air」の方はドライバ部分の丸みが大きく、私の耳にはややいっぱいいっぱい感があります。それでも外れやすいとかのレベルではないく「比較すると違うね」といった程度。
耳の形、穴の大きさなどは個人差も大きいので、こればかりは実際に装着してみないと分からない所かもしれません。EarFun製品は「理由を問わず30日間の返金保証」があるそうなので、どうしても合わない場合はこの保証精度を利用してみるのもアリかもしれません。
基本スペックの比較
取説や公式サイトに書いてあることを説明しても仕方ないので、スペックもさらっと行きましょう。
EarFun Air Pro ハイブリッド式のノイズキャンセリング完全ワイヤレスイヤホン
EarFun Air完全ワイヤレスイヤホン
製品 | EarFun Air | EarFun Air Pro |
---|---|---|
Bluetoothバージョン | V5.0 | V5.0 |
対応BTprofile | A2DP, AVRCP, HFP, HSP | A2DP, AVRCP, HFP, HSP |
対応コーデック | SBC | SBC, AAC |
通信距離 | 最大15m | 最大15m |
ノイズキャンセリング機能 | × | ○(最大38dB) |
外音取り込みモード | × | ○ |
装着検出機能 | ○ | ○ |
本体バッテリー容量 | 55mAh x 2 | 50mAh x 2 |
イヤホン充電時間 | 1.5時間 | 1.5時間 |
充電ケース容量 | 500mAh | 400mAh |
イヤホン電池持続 | 最大6時間 | 最大7時間 |
ケース込重量(実測) | 57g | 約53.7g |
イヤホン重量(実測) | 11.3g | 12.6g |
防水規格(本体) | IPX7 | IPX5 |
参考価格 | ¥5999 | ¥7999 |
重量はサイトの表示と取説が微妙に異なるので実測しました。
やはり大きな違いは「ノイズキャンセリング」と「外音取り込みモード」機能の部分でしょうか。「EarFun Air Pro」のノイズキャンセリングについては後ほどレポートしていますが、これらの機能以外でのこの2つのイヤホンの違いはやはり「音」にあると感じました。次の項目でそれぞれのイヤホンの音の傾向について解説します。
高音がややシャリ傾向ながらバランスの良い「EarFun Air」
まずは「EarFun Air」のサウンドについて。
まず、普段使ってるイヤホンに比べて低音域の厚みを感じます。楽器で言うとベースがかなりよく聴こえる。かといって他の帯域をかき消す程でなく、中音域、高音域もバランス良く出ています。一方でシンバルやスネアのスナッピーなど一部の帯域のシャリシャリ感が目立つ傾向もあります。
要するにドンシャリ傾向なのですが、かといって極端なバランスという程でもなく、バランス良く鳴っている中で低音とシャリ成分が少し目立つ印象。個人的な好みで言えばもう少しすっきり目な音が好みですが、ジャンルによってはハマると思います。
定位もステレオ感がクッキリしてますが、頭の中に立体的な音場を作るタイプではなく、イヤホンを装着している耳の横で元気な音が鳴っているタイプ。なんというか元気の良い音。
私自身が比較対象となる同価格帯のイヤホンを知らない所は差し引いても(普段使いのTE-D01gが現在7000円程度なことを基準にしても)、6000円で買えるイヤホンの音としては十分に満足できるクオリティでしょう。
装着検出機能やタッチコントロールのボリューム操作が○
完全ワイヤレスイヤホンを使っていて面倒なのが再生や停止、ボリューム他の操作。EarFun Airは本体へのタッチ操作と合わせて装着検出機能があるので、イヤホンを片方でも外すと自動的に再生を停止してくれます(装着検出機能はもちろん「EarFun Air Pro」にもあります)。
ちょっと周囲の音を聞きたかったり、人との会話が必要な際にイヤホン装着のまま停止をするよりも、片耳側を外せば自動的に再生が停止されます(両側を外しても同様)。装着すれば再び再生がスタートされ(場合によっては自動再生はやや煩わしいものの)、外出時などに便利な機能。
マニュアル操作はボタンでなく本体の円部分をタッチ(軽くタップ)。
右側を2回タッチで再生/停止、3回で曲送り。左側は2回で音声アシスタント(Siri/OK Google)の起動ですが、自分は使わないので、何処かに曲戻しの機能を持たせて欲しかったかも。
音量のコントロールは、左右のタッチ部分を触りっぱなしで徐々にアップ(ダウン)する仕様で、これがなかなかに使いやすい。ちなみに「EarFun Air Pro」はなぜか(タップ検出の仕組みが違うから?)音量操作ができません。
バランスの良さと高機能を合わせた「EarFun Air Pro」
続いて「EarFun Air Pro」。最初に好みで言ってしまうと、完全にこちらの方が私好みの音です。
低音の厚みは「EarFun Air」と同様ですが、全体的に全ての帯域のバランスの良さを感じさせる音。「EarFun Air」ではやや目立った高音のシャリ付きもなくなり、楽器からボーカルまで自然に鳴ります。
また、音場も左右に広がり過ぎることなく中央付近に音像を結んでくれます。モニター系の音が好きと書いている私ですが、ときに情報量の多い音に聴き疲れしてしまうこともあります。「EarFun Air Pro」の音は聴き疲れのない優しい音で、移動中などに長時間付けているならば選びたくなる音です。
やや気になるのはやはり低音の量で、個人的にはここまでの主張は必要ないのですが、これはまあ好みのレベルでしょう。
加速度センサーによるタップ操作
「EarFun Air Pro」の操作も本体のタップですが、タッチ方式でなく、加速度センサーがタップを検出する仕組みです。触っただけでは反応しないので誤操作は防げますが、一方で触りっぱなしでのボリューム操作が非搭載となっているのは少々残念。
個人的にカナルタイプのイヤホンを外からのタップで操作するのは、耳奥へ響くタッチ音や物理的な振動がややストレスなので(特に多様する3回タップは結構キツイ……)、軽めのタッチで反応してくれた方が嬉しいかも。それでも操作が直接耳奥への圧力になるボタン方式のストレスに比べたら、遥かにマシですけども。
「EarFun Air Pro」に搭載されたノイズキャンセリング、外音取り込み(アンビエント)機能を切り替える場合は、左側の3回タップ(「ノーマルモード」→「ノイズリダクション」→「外音取り込み」の順番で切り替え)。
最も多様する操作ですし、3回タップの検出が甘いとダブルタップの音声アシスト(Siri/OK Google)が立ち上がってしまい、オフにするために再びダブルタップが必要だったり、そもそも音声アシストを使わないので、オフにできるか逆が良かったですね。
イヤホンを外さずに外音が聴こえる外音取り込み
外音取り込みモード(アンビエントサウンド)をオンにすると、イヤホンを外さなくても、マイクが外部の音を拾って周りの音が聴きやすくなります。Appleの「AirPods Pro」が登場した際に話題になった機能だと思いますが、私自身は初めての体験です。
外音取り込みモードにすると「サーーーー」といったノイズと共に外の音をマイクが拾っているのが分かります。自然な外音というよりは、環境音を録音するモニターを聴いてような感じ?(笑)
カナルタイプのイヤホンは装着しているだけでも遮音性が高く外音が聴こえにくくなるので、あると便利な機能かもしれませんが、自分だったら3回タップで切り替えるより、片耳を外して自動停止の方が良いかも。
ノイズキャンセリングはそこそこだけど電車では確実に効果あり
そして最大38dBの騒音を打ち消してくれるというノイズキャンセリング機能。元々カナルイヤホンは遮音性が高いので、あまりノイズキャンセリングは必要だと感じてない私。「EarFun Air Pro」のノイズキャンセリングは、そこまで強力に効く訳でもなく、効果があるのは一定に連続したノイズの一部。例えば車の走行音や換気扇、歩行時の向かい風による風切り音にも一定の効果があります。
街中で使ったらいきなり雑踏の音がスッと消える…… という訳でもなく(効果はあります)、ノーマルモードとの差はそこまで感じないかもしれません。また本機のノイズキャンセリングは、チャイムやアナウンス、話し声にはあまり効果がないので、ノーマルモードともそれほど変わらないかも。
ノイズキャンセリング機能が効果的だと感じたのは電車乗車時の走行音。連続する走行音のような騒音を低減する効果は高いので(あと電車同士がすれ違う際の大きな風切音など)、音楽のボリュームを上げすぎることもなく、また音楽を聴かない場合でも耳栓的に使うのはアリでしょう。まだ試していませんが、走行音の煩い一部の地下鉄などにも効果がありそう?(今は感染症対策で窓と開けてることによる騒音が結構大きいそうですし……)。
個人的なオススメは「EarFun Air Pro」だけど……
以上、「EarFun Air」と「EarFun Air Pro」を使ってみたインプレッションでした。
どちらがオススメか?と言えば、実売で2千円の価格差を考えても、音の好みやノイズキャンセリング機能のアドバンテージを考えたら間違いなく「EarFun Air Pro」の方。「EarFun Air」と同様の機能となると他社イヤホンの選択肢もありますし、付加機能もあって、音質的にも優れている(というか自分好み)なのは「EarFun Air Pro」の方です。
一方で「EarFun Air」のボリューム操作など魅力的な部分はありますし、ノイズキャンセリングや外音取り込みが不要ならば「EarFun Air」を選ぶ理由には十分にあるでしょう。どちらのイヤホンも元々手頃な価格な上に、定期的にAmazonでセール価格となるようなので、そんなタイミングで狙ってみるのも良いでしょう。