自宅で楽器の演奏、練習をする際のモニター用途として、ソニーのインナーイヤーモニター「MDR-EX800ST」を買ってみました。しばらく使っていますが、想像以上にいい感じで気に入りました。
- 楽器演奏、練習時に使うイヤホンが欲しい
- SONY MDR-EX800ST
- CD900STとは異なる音ながら、聴きたい音が聴こえるイヤホン
- 「ちゃんと音が聴こえる」ことが楽器のモニターに最適なイヤホン
- 気に入ったけどもう少し気軽に使えるイヤホンがあるといいかも……
楽器演奏、練習時に使うイヤホンが欲しい
先日、ヘッドホンSONY MDR-CD900STのイヤーパッドとウレタンリングを交換した件についてブログを書きました。これはDTMや楽器演奏(キーボード、シンセサイザー)の際に使っているモニター用のヘッドホンなのですが、耳を覆う密閉型ヘッドホンで長時間付けていると少々耳の周りが痛くなったりします。後は夏場は汗をかいたりと……。
そんなこともあって、楽器を演奏する際にはインナーイヤー型のイヤホンも併用しています。過去、ソニーからCD900STのノウハウを反映したという触れ込みで販売されていた(実際は結構違うのですが)「MDR-EX90SL」「MDR-EX500SL」というイヤホンを各2台ずつ使っていて、これが楽器練習には丁度良かったのです。特別凄い音がする訳ではないけど、聴きたい音がしっかり聞こえて、作りたい音が分かって付け心地も軽い。CD900STやモニタースピーカーを鳴らした音との違いも想定の範囲内でした。
しかしながら長年使っていた最後のEX90SLが少し前に断線してしまい、手元に楽器用に適したイヤホンがない状態。外出自粛が続く中、徐々に楽器に触る時間も増えそうなので、そろそろ何かイヤホンを買わねば……と。ここまで前置き(長い!)。
当初購入を考えたのがゼンハイザーの「IE 40 PRO」やSHUREの「SE215」あたり。どちらもリケーブル(ケーブル交換)が可能で、価格は価格は1万円台の前半です。
視聴せずに買って大丈夫そうなのはこの辺かな? と思っていたのですが、色々と調べているうちにMDR-EX800STの方が気になってしまいました。
ネットのレビュー等を読む限りは、比較的近いタイプのイヤホンだとは思うのですが(特にIE 40 PROの方は?)、どちらも視聴した訳ではないので選んだ理由はほぼ勘です。価格帯は2万円前後と上がってしまうのですが、パーツ販売が長期的に安定していそうなのはソニーかなと。長く使えるものならばと。
音楽リスニング用途ではないけど、リスニングもモニターっぽい音が好き
ちなみに音楽のリスニング用途だと、あまりヘッドホン/イヤホンは使わずに普段はモニタースピーカーで鳴らしています(ほぼBGM)。ヘッドホンだと音楽に集中してしまって、聴き流すことが難しいんですよね。
そしてリスニング用途のヘッドホンに、あまり拘りがない私。正直お金はあまり掛けたくないし、聴きたい音が識別できる鳴りならばそれでいいです。味付けがされた音より、モニターヘッドホンのようなストレートな鳴りから自分で聴きたい音に意識を向けて聴けばいいじゃない、と思うタイプです。
SONY MDR-EX800ST
さて、MDR-EX800STの製品特徴ですが、コンセプトや仕様については手にしたばかりの私が語るよりメーカーの公式サイトを見て貰った方がいいでしょう。発売されたのは2010年なのでもう10年前の製品ですね。
MDR-EX800ST | ヘッドホン | ソニー
ソニーとソニー・ミュージックスタジオが共同開発。インナーイヤーモニター『MDR‐EX 800ST』発売!|ソニーミュージックグループ コーポレートサイト
インイヤー“モニター”と銘打ってますが、音楽製作用途のモニターというよりは、ライブで演奏する際のステージモニター(イヤモニ)用途の製品。ただし現在はイヤモニの選択肢は非常に豊富となり、耳型を取ってのカスタムオーダーモデルなど、価格も数倍から一桁違うような高級モデルも存在します。そんな中で未だにEX800STがラインナップされているということは、CD900ST同様に質実剛健な製品として定着したのかもしれませんね。
販売ラインはCD900STと同じ業務用ということもあって、パッケージは簡素な白箱。
付属品はイヤーピースが3サイズとキャリングケースと取説。通常の1年保証書もなく、初期不良の対応のみになっています。
所謂カナル型イヤホンですが、実際に音を鳴らすドライバー部分が大きく膨らんでいて耳の外に出ているタイプ。装着時はイヤーハンガーを耳の上に回して固定します(これにより、急な引っ張りなどで耳から外れることを防ぎます)。
イヤーレシーバーの本体とケーブルはネジで取り外せるようになって、ケーブルが破損(断線)した際などに簡単に交換することが可能です(他者のバランス型ケーブルなどに交換も可能)。本体も左右それぞれバラで購入できるのはCD900ST同様。
CD900STとは異なる音ながら、聴きたい音が聴こえるイヤホン
同じラインのモニター用イヤホンではありますが、CD900STのイヤホン版という訳ではありません。解像度が高く聴きたい音を聴きやすい共通点はありますが、もう少し落ち着いた鳴りです。あら探しができるというよりは、気持ち良く音が聴ける、音楽的というかオーディオ的(?)な音です。
帯域的にはCD900STよりも低音がしっかり出ていて(イヤーピースの密着具合にもよると思います)、高音域は控えめというか、シンバル系などは落ち着いた鳴り。CD900STをリスニング用として使っても全然平気な自分にとっては、とにかく聴き疲れしない素直な鳴り。
カナル型にしては遮音性や閉塞感も低めの軽い装着感ながら、アコースティックサウンドや女性ボーカルも繊細に鳴らしてくれる一方で、音量を上げてロックを聴けばダイナミック型らしい派手さで鳴らしてくれます。
「ちゃんと音が聴こえる」ことが楽器のモニターに最適なイヤホン
そして本来の用途である楽器のモニター用途。シンセサイザーは様々な音色が出る楽器であるため、かなり広いレンジの音が鳴ります。実際にレコーディングなどでは不要な帯域をバッサリカットすることになるのですが(これはどの楽器にも言えますが)、自宅で鳴らす際は素の音がしっかり下から上まで鳴ってくれることが好ましい。
市販の音源(CDやストリーミング)は高級オーディオから安価なPCスピーカーまで様々な再生環境で鳴らすことを想定したマスタリングがされているので、どんなイヤホンで聴いても比較的聴けてしまったりもするのですが、楽器に関してはイヤホンのアラがモロに出るというか、レンジが狭かったり再生周波数帯域の偏っているイヤホンでは驚くぐらいにショボい音で鳴ってしまいます。
MDR-EX800STはモニター用途だけあって「とにかくちゃんと音が聴こえる」。
語彙力がアレで申し訳ないですが、「音が正しく聴こえる」これってとても重要です。オケを流しながら演奏していても、オケの分離から自分の演奏のアラまでしっかり聴き分けられる。他にもアンサンブルの中から特定のパートに注視して聴く、そんな求めている用途にしっかり応えてくれるイヤホンだと感じています。
- モデル:SONY MDR-EX800ST
- 形式:密閉ダイナミック型
- ドライバー:16mm、ドーム型(CCAW採用)
- 最大入力:500mW
- 感度:108dB/mW
- インピーダンス:16Ω
- 再生周波数帯域:3 - 28,000Hz
- 本体重量:22g(実測、コード含)
- コード長:約1.6m
- 付属品:イヤーピース(3サイズ)、ケース
気に入ったけどもう少し気軽に使えるイヤホンがあるといいかも……
といった感じでかなり気に入ってしまったMDR-EX800STですが、このタイプのイヤホンは装着する際に耳掛けの作業が発生するのが少々面倒です。楽器を鳴らす訳でなく、PCからの出力音声をモニタースピーカーからイヤホンに切り替える際など、もう少し気軽に使えるイヤホンがあるといいかも。
求めるレベルはそこまで高くないので、気軽に使えそうな低価格のイヤホンを2つほど注文してみたので、またそのうちブログで紹介するかもです。