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みなとみらいにYOKOHAMA AIR CABINオープン目前、ロープウェイとかゴンドラリフトについて

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来週、4月22日より横浜のみなとみらいエリアに都市型ロープウェイ 「YOKOHAMA AIR CABIN(ヨコハマエアキャビン)」がオープンするそうです。

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via : YOKOHAMA AIR CABIN - 日本初、世界最新の都市型循環式ロープウェイ

汽車道沿いの都市型ロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN」

「YOKOHAMA AIR CABIN」は桜木町駅から横浜ワールドポーターズまでの汽車道に沿った運河上の約630mを走行する都市索道(後述)。汽車道や万国橋周辺は撮影スポット、夜景スポットとしてもお馴染みのエリアなので、みなとみらいの新たな観光スポットとなるかもしれません。

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YOKOHAMA AIR CABIN - 日本初、世界最新の都市型循環式ロープウェイ

料金は片道1000円(往復1800円)とのことなので、日常の足代わりというよりは完全に観光用ぽいですし、汽車道を歩くこと自体が結構楽しかったりもしますが、一度ぐらいは乗ってみてもいいかもしれません。

さて、このYOKOHAMA AIR CABINのニュースを見た際に思ったのが、「都市型ロープウェイと呼んでるけど、これはゴンドラリフト?」といった疑問。
「ロープウェイ」や「ゴンドラリフト」はどちらも山でよくお世話になっている乗り物で、ここ2週も続けて「白馬五竜テレキャビン」「中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ」に乗っています。

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「ロープウェイ」と「ゴンドラリフト」

前者は「ゴンドラリフト」で後者は「ロープウェイ」。それぞれの違いについてはWikipediaで索道の項目を見るか、「ロープウェイ ゴンドラ 違い」でググればすぐ解決すると思いますが、私もブログを書く際に言葉の使い分けの確認で何度か調べたことがあるので、備忘録も兼ねてまとめておきます。

単独の言葉としてのロープウェイ、ゴンドラ、リフト

先にこれを書くとややこしくなってしまうのですが、私なりの理解として。乗り物としての区分でなく、単純に日本語(カタカナ語)の単語としてのロープウェイ、ゴンドラ、リフトの使い分けについて。乗り物の「ロープウェイ、ゴンドラ」との違いとして、括弧なし表記にしておきます。

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ロープウェイ(ropeway)はそのまま「索道」で、索道(空中に張ったロープ)を使う乗り物や設備全般を指す言葉でしょう。乗り物の「ロープウェイ」は和製英語だと思ってましたが、「ropeway」をGoogle検索すると海外でも使われている言葉なのかも?(日本の「ロープウェイ/ケーブルカー」共に「cable car」と習った気が……。あと日本語の「索道」は「aerial tramway」になるみたい)

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箱根大涌谷で黒たまごを運ぶロープウェイ

ゴンドラ(gondola)は平底の船や気球・飛行船の乗車部分としても使われる言葉なので、人が乗り込む「箱」部分を指す言葉。「ロープウェイ」の大型の箱部分もゴンドラと呼ばれますし、小型のものだと「キャビン(cabin)」なんて呼ばれたりもしますね。

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「白馬五竜テレキャビン」でかつて使われていたゴンドラ

リフト(lift)は「持ち上げる」を意味する言葉。「昇降機」やスキー場の「リフト」(チェアリフト/滑走式リフト)でお馴染み。「ゴンドラ・リフト」と組み合わせて使われた場合は「ゴンドラ型のリフト(昇降装置)だな」とざっくり理解して、次に進みます……。

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あまり機会がないけどリフト下山は最高!

乗り物としての「ロープウェイ」と「ゴンドラリフト」

「ロープウェイ」

さて、索道による乗り物は大きくこの2種類に分類されそうです。「ロープウェイ」は支索に吊り下げられた大型のゴンドラを、曳索を使って移動させる方式の乗り物。曳索の両側にゴンドラがあるタイプ(交走式ロープウェイ)が一般的で、この場合1設備に2台のゴンドラがある乗り物です。

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2台のロープウェイは中間点ですれ違います

輸送能力はゴンドラのサイズに左右されるので一度に大人数が乗れるものが多く、登山者にもお馴染みの「新穂高ロープウェイ」「中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ」「立山ロープウェイ」「北八ヶ岳ロープウエイ」「大雪山旭岳ロープウェイ」など山岳観光エリアの拠点に設置されていることが多いです。

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「ゴンドラリフト」から乗り継ぐ少し珍しい「栂池ロープウェイ」

「交走式ロープウェイ」の仕組みついては『ゆるキャン△』にも登場した「身延山ロープウェイ」のサイトが分かりやすかったです。見えるケーブルが3本だったり2本だったりする理由が分かりました。
ロープウェイの仕組み | 身延山ロープウェイ

「ゴンドラリフト」

「ゴンドラリフト」はスキー場などによく見られる循環式の索道で、1台のゴンドラの乗車人数は4人〜12人程度。複数のゴンドラが循環する索道をグルグルと移動する乗り物です。英語だと「Gondola lift」(「Telecabine」はフランス語由来かな?)。

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「白馬五竜テレキャビン」

基本的には数十人が乗れる大きなゴンドラが2台で行き交っているのが「ロープウェイ」で、小型のゴンドラが一定間隔で循環しているのが「ゴンドラリフト」といった理解で良さそうです。

「ゴンドラリフト」「ロープウェイ」の使い分けは厳密ではない?

しかし、例外もあって例えばグランデコスノーリゾートの「ゴンドラリフト」はサマーシーズンには「裏磐梯ロープウェイ」と呼ばれれるみたい。「ロープウェイ」と「ゴンドラリフト」は走行方式で明確に分けられているのかと思いましたが、一般的にはそこまで厳密に使い分けられている訳ではないかもしれません。

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「谷川岳ロープウェイ」や「箱根ロープウエイ」のように、小型の循環式ゴンドラだけど、施設名として「ロープウェイ」と名付けられている乗り物もあります。

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箱根ロープウエイ

さらにこの2つのロープウェイ(ゴンドラリフト)は、「フニテル」(複式単線自動循環式)と呼ばれる比較的新しい方式の索道。「フニテル」はゴンドラ本体よりも幅の広い2本のロープにぶら下がったゴンドラが循環する方式の索道で、箱根や谷川岳の他に、「蔵王ロープウェイ」の山頂線でも採用されています。ゴンドラが2本のロープにぶら下がっているので、横風にも強い安定感があるそう。

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フニテルの駅は上部のレール(?)もダブルで格好いい

「フニテル」も循環式の少人数乗りゴンドラなので「ゴンドラリフト」側だと思うのですが、各施設で「ロープウェイ」と名付けられているのが面白いですね。循環式の方が効率的に客を運べる一方で、「○○ゴンドラ」とするよりも「○○ロープウェイ」の名称を使った方が施設のイメージ的に立派に感じる、みたいな理由だったりして?

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フニテル式の「蔵王ロープウェイ 山頂線」

ついでなので「固定循環式」と「自動循環式」について。スキー場のクラシカルなリフトに多い、循環する索道がひと繋がりになっているものが固定循環式(減速させると全体が減速するタイプ)。駅(停留所)でゴンドラ等が一旦切り離されて、乗降時に減速されるタイプが自動循環式。ゴンドラリフトや高速リフトはこの自動循環式ですね。

YOKOHAMA AIR CABINは「常設都市型ロープウェイ」 ?

さて、「ロープウェイ」「ゴンドラリフト」の違いについて確認した上で、「YOKOHAMA AIR CABIN」を見てみると、走行方式は「単線自動循環式」。つまり「ゴンドラリフト」に定義される乗り物だと思われます。

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しかしながら、都市部の交通手段として用いられる索道は「都市型索道」「都市型ロープウェイ」とも呼ばれるらしく、今回の「ヨコハマエアキャビン」にはこちらの「都市型ロープウェイ」の名称が付けられています。
都市索道 - Wikipedia
Wikipediaによると索道は環境負担が少ない一方で、軌道が限られること(曲がれない)、速度の問題、電力供給ができないので空調や照明の設置が困難、などの理由から日本国内では山岳エリアや観光用途、貨物用途が中心で都市交通としてはあまり発展していないのだそう。

都市型ロープウェイに関する記事。「フニテル式」についての話なども。

ブコメより昔渋谷にあったというロープウェイ。都市交通というよりビルとビルの間を結ぶアトラクション的な施設で、わずか2年に満たない短命だったようですがこんなものもあったのですね。

実際、日本国内に「都市型索道」と呼べる乗り物はほぼ存在せず、京王よみうりランド駅と遊園地のよみうりランドを結ぶ「スカイシャトル」は運営元の樫山工業のサイトでは「都市交通」として紹介されていますが、あれが都市交通か?と言われるといまいちピンと来ない気もします。

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https://www.kashiyama.com/ski/lift/city-traffic/

今回の「YOKOHAMA AIR CABIN」は運営元の泉陽興業によると「日本初の世界最新式都市型循環式ロープウェイ」とのこと。「都市型ロープウェイ」として日本初と言いたいのか(スカイシャトルは無視?)、空調や照明を備えた「最新式のロープウェイ」として日本初なのか、ニュアンスの難しいところではありますが、高低差よりも水平方向の移動を目的とした索道は昔TDLにあった「スカイウェイ」ぐらいしか記憶にありませんし、テーマパーク外となると日本初なのかな。

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そんなこんなで今後もブログでは山岳エリアの索道について「ロープウェイ」と「ゴンドラリフト」を使い分けつつ、フニテル式の「谷川岳ロープウェイ」や、都市型ロープウェイの「YOKOHAMA AIR CABIN」については、「ゴンドラリフト」と書くと紛らわしいので、しれっと「ロープウェイ」と書いちゃうかも…… 宣言でした。誰も気にしてないと思いますけど。

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