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東北・西吾妻山と巨大樹氷群:魅惑的なスノーモンスターたちに出会った冬の山旅

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先週2月12日の水曜日、福島県と山形県の県境にある吾妻連峰の最高峰、西吾妻山(2035m)に登ってきました。冬の西吾妻山といえば、そう、「スノーモンスター」と呼ばれる、大きく育った樹氷群に会いに行く山旅になります。一度彼らに会いたかった!

西吾妻山のスノーモンスターを見たい!

以前から西吾妻山のスノーモンスターを見たいと思っていた我が家。「スノーモンスター」は雪山ではお馴染みの樹氷(霧氷)の一種。エビの尻尾現象(強い風で氷が付着したもの)により巨大化した樹氷群の愛称です。

東北各地の山やロープウェイで気軽に見に行くことができる蔵王山のものが有名ですが、もう少し南に位置する西吾妻山の周辺でも、これらのスノーモンスターが見られることで知られています。
西吾妻山は吾妻連峰(吾妻山)の最高峰で、「吾妻山」として日本百名山にも数えられています。

今回、祝日の2月11日から翌日12日にかけて東北方面の登山計画を立てた我が家。12日に見事な晴れ予報が出ていたこともあり、11日から西吾妻山に登って避難小屋に泊まる計画も考えましたが、結局11日はお天気もイマイチなので移動日兼、手頃なスキーなりスノーハイクをして過ごすことにしました。11日の行動については別の記事にて(書きました)。


福島県側、グランデコスノーリゾートから西吾妻山を目指す

西吾妻山へのアクセスは山形県側の天文台高原スキー場か、福島県側のグランデコスノーリゾートがありますが、今回私達が選んだのは福島県側から。東京方面から車でアクセスする場合は、道路事情的に福島側をを選ぶ人が多いかもしれません(登山の距離は天文台高原からに比べると伸びますが、その分スノーモンスターエリアもたっぷり楽しめます)。
グランデコスノーリゾート

我々は色々あって前日は山形で遊んでいて(別記事にて)、夜になって猪苗代湖畔の道の駅に到着しました。車中泊で朝を迎えてから、裏磐梯の「グランデコスノーリゾート」を目指しました。猪苗代あたりなら夜でもマイナス5度程度なので、シュラフに入れば普通にぐっすりです。

道の駅猪苗代から見上げた朝の磐梯山。この猪苗代も磐梯山や安達太良山に囲まれた山が近い街のようです。今回は駆け足だったので、またゆっくり訪れたい。

猪苗代から裏磐梯にかけての国道459号線はかなり除雪が進んでいましたが、小野川湖からグランデコスノーリゾートまではほぼ全面が積雪アリで朝方は凍結した峠道。最低限スノータイヤでないと確実にグランデコスノーリゾートまではたどり着けません。

グランデコスノーリゾート山麓駅からパノラマゴンドラリフトで山頂駅へ

平日だというのに久々の晴天(前日の午前まで降雪という絶好!?の条件)ということもあって、駐車場には既に結構な数の車が停まっていました。駐車料金は平日無料(休日は1000円)。

駐車場からグランデコスノーリゾート(左手は裏磐梯グランデコ 東急ホテル)のスキーセンターとゲレンデ方面。よく見たらこの日登る西大巓(にしだいてん)と西吾妻山が見えていました。双眼鏡や超望遠レンズがあれば、山頂付近のモンスターの様子も見えるのかも?

ゴンドラの営業スタートは8時半。ゴンドラ料金は片道1000円(500円の1回券×2枚)なので、2人で往復利用の場合、1回券を8枚購入することになります(休日の場合はさらにリフト分のチケットを買うことになります)。

パノラマゴンドラの中からは磐梯山や猪苗代方面の景色がよく見えるので、進行方向後方に座るのがおすすめです。それにしても気持ちの良さそうな絶景ゲレンデですね。これは滑ってみたくなる!

ゴンドラを下りて……(トイレは山麓のスキーセンターかこの山頂駅ですませておきましょう)

出発の準備をします。基本的に冬の西吾妻山はワカンやスノーシューを履いて歩くことになるようです。かなりのトレースが付いていれば、アイゼンのみのツボ足で行けないこともないのかもしれませんが、アイゼンでスタートした人がすぐに戻ってきて履き替えている姿も目にするような雪質です。

我々もアイゼンは持ってきていましたが、この日の雪の状態だとスタートから戻ってくるまで一日中ワカンを履き通しでした。ツボ足の方がいいような場所は…… なかったと思う。

まずはスキー場を登って西大巓へ

休日ならばもう1本上のリフトが動いているのですが、平日なので楽をできるのはここまでです。ここからゲレンデ1本分を歩いて、登山口を目指すことになります。

なので最初の30分ちょっと、ひたすらスキー場のゲレンデを登ります。

振り返るとカッチョイイ磐梯山。中望遠のM.ZUIKO 45mm PROが結構この日はちょいちょい活躍します。

視線を少し左に移すと猪苗代湖から立ち上る朝もや。実は今回の旅でちゃんと湖面を見ていません……。

日当たりのいいゲレンデを登っているので、さっそく汗が吹き出してきます。シェルパンツの下にフリースパンツを履いてきたことを早くも後悔しながら、上はフリースになって進みます。スキー場のコースが終わったところから樹林帯に突入します。


トレースがしっかりついたふかふかの雪の樹林帯を進みます。前日だったらラッセル大変だったかも。スキーを履いて登っている人もチラホラ見られます。

見上げるとまだチラホラと霧氷が残っています。空もほぼ快晴、これは気持ちがいい!



このあたりはまだ若干の樹氷と雪の積もった木、といった雰囲気の樹林帯です。

西吾妻山にピッケルは必要なさそう……と分かってましたが、アイゼンとこれはないとなんだか心配で。

いい感じの光景になってきました。

これは安達太良山、でいいんですよね?

最高のお天気です(暑い)。

少し視界が開けました。正面に見えてきたなだかな山が西吾妻山。

もしかしてこのボコボコが…… 早く近くに行って見てみたい!

しかし、まずは正面の西大巓に登り、そこから西吾妻山を目指すルートです。

既に西大巓の上の方まで登っている人の姿が見えます。

少し西側からトラバースして山頂に回り込む感じ(実はこれは正面の偽ピークを左側から巻いて、いくルートだったみたい。おかげでこの後いい光景に出会えるのですが……)。

気がつくと徐々に周囲の木々の姿が変化してきました……。

なんだか私の知ってる樹氷とは姿が違うような?

西大巓の手前でスノーモンスターの群れがあらわれた!

おやおや…… これは????

これはもうスノーモンスターと呼んでもいい子たちじゃないでしょうか?

なんだか恐竜っぽいフォルムの奴もいます?

向こうの側の斜面にもボコボコといる……

写真だと小さそうに見えるかもしれませんが(?)1個1個は余裕で人の数倍のサイズ。


気がついたら後ろもモンスターに囲まれていた! んあんでしょうこれは。ネット記事の写真などで何度も見ていましたが、実際に目にするとその現実離れした不思議な姿に驚きが止まりません。

コロ助いるじゃん。

他にも人の横顔に見えたり動物に見えたり、千と千尋の神隠しのカオナシっぽいのとか……


しばらくこんなモンスターたちに囲まれながら西大巓への最後の登りが続きます。



西吾妻方面もかなり見えてきました。あの小さなボコボコがもしかしたら全て……???



西大巓山頂にて

最初のピーク、西大巓の山頂(1980m)に到着しました。既に多くの登山者が休憩したり記念写真を撮って過ごしています。周囲に遮るものがなくなり風が強くなったので、再びハードシェルを着ます。シェルは羽織ってもフードはかぶらない程度、雪山にしては過ごしやすい気候です。

西大巓の山頂付近は中ぐらいのスノーモンスターがいっぱい。なるほど、確かにこれはエビの尻尾のお化け。お化けならばモンスターで正しいですね。




360度、展望もバグツンです(広すぎる西吾妻山の山頂よりも展望はいいかも?)。




そしてこれから目指す西吾妻山。一見するとあまり標高差を感じませんが、50mほど向こうの方が標高が高い。見ての通し、一旦下ってからの登り返しになります。

スノーモンスターの迷路を抜けて歩く登山者たち。これは楽しそう!


スノーモンスターの迷路に突入、西吾妻山を目指す

それでは行きましょう。ひとまず好きなところから斜面を下ってモンスター群の中に突っ込んでいきます。あまり根本に近づくと落とし穴(ツリーホール)になっているので、気を付けつつ……

ほほう、これはこれは……

分かりますか? めちゃくちゃ楽しいです。


妻にしては珍しくはしゃいでる。

トレースを外れてもふもふスノーハイク。視界がいいので好きな雪面を歩きながら下りていきます。

鞍部に近くなると少しモンスターが小型化? 登山客とモンスターたちが並ぶ様子がなんだかかわいい。その向こうは見慣れた樹氷になっていて、標高や風の当たり方などの条件が重なった場所に限って、モンスターが誕生していることが分かります。



下って下って……

振り返る。帰りはここを登り返しですね。頑張ろう。

西大巓と西吾妻山の鞍部あたり。少しモンスターの姿が減ります。

樹氷の山越しの磐梯山。

山容は西大巓の方が山感ありますね。だんだんスキーのシュプールも増えてきました。

トラバースからの登り返しが始まる……

新たなモンスター群が目の前に迫ってきました。


ゴジラっぽいやつが多い?



先程よりも一回り以上大きなスノーモンスターたちがお出迎えです。




西吾妻山山頂手前のフラット。左手に見えているのは西吾妻小屋(避難小屋)、まずは真っ直ぐ山頂を目指します。



広大な西吾妻山の山頂へ

既に先行してる登山者たちがモンスターの中に見え隠れしています。現実離れした風景の中なので、なんというかミニチュア感があって、見ていて面白い。

見ての通りの緩斜面ではありますが、実はこのとき少々足に来てました(笑) ワカンを履き通しだからかと思いましたが、どうも前日からの車中泊などもあって脱水症状気味だったようです。頭や心肺は疲れを感じてないのに、すぐに両腿がつりそうになる症状が頻発しています。下山後の喉の乾きも半端でなかったですし、普段よりも行動食や水分を取りまくってなんとかやり過ごしました。



西吾妻山頂直下のモンスターたち。やはり最後の砦を守るモンスターは迫力がありますね!?



そしてだだっ広い西吾妻山の山頂に到着。到着?

西吾妻山の山頂に三角点はないようで山頂票も見当たらないので、どこが山頂か分かりません。猪苗代方面の展望が開けたあたりに人が集まってますが、GPSを見たら山頂は通り過ぎていました(笑)


見晴らしのよいこの辺で山頂気分になります。

とりあえずパシャッと。

記念撮影。

山頂のモフモフ雪原で遊んでおきましょう(ただし強風)。

次は行きたい安達太良山。

追記、後日行きました、安達太良山。

そして磐梯山。かなり険しそうに見えますが、冬の磐梯山は我々に登れる山なのかな?

他にも色々な山が見えていますが、風が強かったのでスマホを出しての山座三同定はしていません。


西大巓の向こうにも結構雪山が見えています。


八ヶ岳やアルプスを望む長野県で見る景色とも違って、雪をかぶった広大な山域が周囲を取り囲む東北らしい風景が広がっています。そして手前にはモンスター。

山頂から片道15分の天狗岩を経由して戻ろうかと思いましたが、写真が捗りすぎて意外と時間を食ってしまったので(この時点で13時前)そろそろ戻ることにします。


こいつらとの別れは名残惜しいですが……




西吾妻小屋に立ち寄ってから下山

最後に避難小屋の様子を覗いていきましょう。

積雪量が多いと2階から入れるようになるという西吾妻小屋、まだ1階から入れるようでした。周囲はトイレ地雷が溢れていてなかなかの危険地帯ですし(小屋の中にトイレもあるようですが、使えないときもあるのでしょうかね?)、少し中を覗いただけで失礼しました。


そういえば紅茶にお湯、ゼリー飲料合計3本と、途中から水分を取りまくっていたのにトイレに行きたくならなかったのは、やはり脱水気味だったのかな。

避難小屋の周囲には背の高いモンスターたち。雪が季節が高い木々に取り囲まれた小屋なのかな?



ちょっと小屋から離れたところで最後の休憩(パン食)を取って……



それでは戻りましょう。


再びモンスターの林に突っ込み……


この登り返しが待っている……

日中の日差しで鞍部のモンスターは一部氷が溶けてつららになっています。

登り返し頑張ろう。

左側に斜めにトラバースしているトレースも見えますが、斜面は素直に正面を行った方が緩そう。

再び西大巓から西吾妻山を振り返って。モンスターたちともここでお別れ……

という訳でもなかったり……


でも、日当たりのよい斜面だけに、午前中に比べるとかなり溶けてしまったようです。

そのままスムーズに樹林帯を下り、誰も滑ってないコースを下りて、15時にゴンドラ山頂駅に到着しました。西大巓からは丁度1時間ぐらい。

久々の平日山行は天候のタイミングもバッチリ合いましたし、スノーモンスターのコンティションもよくて最高、よく遊びました。ぜひまた歩きに来たい山です。

駐車場まで戻ったら、三段笠雲が横に2個繋がった巨大笠雲が発生していました。翌日はまさかの雨予報が出ていましたが、あの魅惑的なモンスターたちは生き延びて欲しいな……(この週末に訪れたricoさんのブログによると大丈夫だったようです)。

今回は2台のカメラに広角ズームと中望遠単焦点でした。重量も軽くできますし意外と悪くないかも。

山行ルートと活動データ

グランデコスノーリゾートから西吾妻山のピストンルート。平日は一番上のリフトが動いてないので、休日とはコースタイムが若干変わるので注意。


西大巓と西吾妻山のスノーモンスター(グランデコスノーリゾートより) / OKPさんの吾妻山の活動データ | YAMAP / ヤマップ

下山ラーメン「麺や・山の駅食堂」が大正解

下山後の温泉は地元の方のアテンドもあって中ノ沢温泉に行く予定ですが、さすがにちょっと小腹が減りました。せっかく喜多方まであと一歩の裏磐梯まで来たので美味しいラーメンでも食べたいところですが、なんと水曜日は近辺のラーメン店がことごとく定休日という罠。平日山行はこれがあるから……

いくつかお目当ての店にフラレてやってきたのが国道459号沿いの「麺や・山の駅食堂」。定食メニューもある食事処に、農産物、土産物屋などが一体になったタイプの食堂です。

トマトラーメンなどの変わり種ラーメンを看板にしていたので少し躊躇したのですが、普通のラーメンメニューもちゃんとあって、結果的にはここに入って大正解。

私の頼んだ「中華そば」と、妻が頼んだ「山塩ラーメン」。どちらもとろとろになった分厚い豚バラのチャシューが2枚。味玉を付けたら2個入ってきました。「味玉2個」ははじめての経験!


中華そばの麺は喜多方ラーメンの影響もありそうな平打ちの中太麺。山塩ラーメンは平打ちの細麺です。

これはもう見れば分かりますよね? ええ、最高です。この後は中ノ沢温泉へ……

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