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『施工がわかるイラスト土木入門』は土木素人でも楽しく読める大人の絵本

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先日、ツイッターのタイムラインで面白そうな書籍を見かけて即購入しました。

一般社団法人 日本建設業連合会による『施工がわかるイラスト土木入門』(彰国社)

土木構造物の施工の流れを、準備から完成までイラストをふんだんに使って解説した土木の入門書。
土木を学ぶ学生や若手土木技術者をメインターゲットとして作られているようですが、専門分野の理解を別にすれば私のような素人から恐らく子供でも十分に楽しめる書籍となっています。



施工がわかるイラスト土木入門』より(amazon.co.jp)

馴染みが薄いようで日常的に利用している道路や駅、河川、橋、トンネル…… と我々の生活とは切り離すことのできない土木。ダムやジャンクション、地下放水路といった巨大な建造物にはライトなファンからマニアまで愛好家がたくさんいますし、観光名所になっている場所も数多く存在します。
私も昔から釣りを切っ掛けにしてダムやダム湖が好きでしたし、巨大な橋や地下の構造物などは見ているだけでワクワクします。そんな土木は写真の被写体としても魅力的なものが多い。

映える風景のひとつとして捉えるだけでなく、土木の視点を持つことで、これらの建造物をに対する解像度を今までより深めることができるかもしれません。
山や海に行けば(その道中でも)至るところで土木の成果を見たり利用することとなりますし(私も好きな「立山黒部アルペンルート」などはまさに昭和時代の土木技術の結晶でしょう)、河川を散歩している際によく見かける堰や魚道、護岸、床止めなども何かと気になっていました。

映えないけど身近な土木のよさ

一方で自然、環境に対するインパクトの大きさでも土木は関心の対象となっていますし、最近だとリニア中央新幹線の工事における、南アルプス大井川水系源流部への懸念(とそれに端を発した工事の遅れ)などは、多くの人が注目している事柄でしょう。

本書の構成は冒頭に土木工事の仕組みや流れ、最後に環境への取り組み、今度の土木についての章を配置し、本編では具体的な土木工事の例題として「橋」「トンネル(山岳トンネル・シールドトンネル)」「道路」「河川構造物とダム」「鉄道の地下駅」「港」「海上空港」が採り上げられています。

本編は鳥瞰のイラストを中心にキャプションや解説、コラム等で各工事の流れや構造について解説。イラストを追いつつ周辺の解説を拾い読みしているだけでも十分に楽しめますし。これはまさに大人の絵本!?

電子版はありませんが、ソフトカバーA4判と大きめの判型で、見開き(A3相当)で展開するイラスト解説も多いので紙の書籍として手にするのが正解でしょう。兄弟的な書籍として先行して『施工がわかるイラスト建築生産入門』という建築の解説書が出ているようで、そちらも面白そう。

ちなみに静岡工区の問題が未だ解決しないリニア中央新幹線ですが、東京や神奈川の工区では既に着々と工事が進んでいるようです。いつの間に近隣の多摩丘陵周辺の町田の小野路や上小山田、川崎の片平、犬蔵などでは非常口の巨大な穴が掘られていたり地下ではシールドマシンが組み立てられいました。

東京都|JR東海
神奈川県|JR東海

美しい自然と豊富な水が魅力でもある南アルプスの水源地にトンネルを掘ることに対する不安もありますし、首都圏の地下を縦断する大規模な土木工事に対しての興味もあり…… なんとも複雑です。

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土木といえば先日こちらのYouTubeチャンネルの動画をいくつか見たのですが、どれも面白かったです。山好きには上高地や平湯へのアクセスでも馴染み深い、国道158号のシリーズはかなり見応えがあります。