少し前から気になっていた日本山妙法寺 多摩道場(稲城市)の多摩仏舎利塔を見てきました。青空とストゥーパ、とても良い……。
多摩にネパールっぽいストゥーパ(仏塔)がある!?
先日、多摩川に野鳥の撮影に出掛けた際、対岸の稲城市の丘の上に白い仏塔があることに気づきました。
造成地となっている丘の上、多摩丘陵の稲城南山のあたりでしょうか。これはどう見てもストゥーパ。
「ストゥーパ」は東南アジアの仏教徒が多い国などでよく見られる仏塔で(チベット語由来の「チョルテン」とも)、2年前にネパールに行った際にこのストゥーパが街中からトレッキングルートまで至る所にあり、ネパールの人々の生活に仏教が深く根付いていることを感じさせられました。
また、ネパールの仏塔には目が書かれているものが多く、それがまた強い印象として残っています。
「ストゥーパ」の他に「パゴダ」という呼び方もあるそうですが、ネパールの他にもインド、ブータン、ミャンマーなどに多い様式の仏塔のようです(タイの仏塔は形がまた少し違うような)。Wikipediaによると日本語の「卒塔婆(そとば)」はストゥーパが語源になっているとか…… 本当か!?
仏塔 - Wikipedia
パゴダ - Wikipedia
仏舎利塔 - Wikipedia
これらの白い玉ねぎのような(?)仏塔、かつてはあまり日本の景観には合わないように感じていたこともあるのですが、ネパールで沢山見た影響もあるのか妙に愛おしく感じるようになったというか、特に青空をバックにしたストゥーパを美しいと感じるようになりました。
そんなこんなでこの稲城にあるストゥーパが気になって後で調べてみた所、「多摩仏舎利塔」と呼ばれていて、所在地は稲城市矢野口にある日本山妙法寺(日蓮宗系の新宗教、日本山妙法寺大僧伽のお寺)の多摩道場とのこと。「仏舎利塔(ぶっしゃりとう)」はお釈迦様の遺骨などを収めているとされる仏塔のこと。つまりはストゥーパ(チョルテン)ですね。
多摩仏舎利塔・多摩道場 大岡實建築研究所
日本山妙法寺はチベット仏教という訳ではないようですが、このストゥーパスタイルの仏塔を世界平和を祈願して日本国内のみならず世界中の各所に建立しているようです(なんとネパールのポカラにも!)。
日本山妙法寺大僧伽 - Wikipedia
日本山妙法寺の仏舎利塔といえば、奥多摩の山を歩いていると石尾根やヌカザス尾根から見える「奥多摩仏舎利塔」が登山クラスタの間でも比較的良く知られていて(?)一度見に行きたいと思っていたのですが、奥多摩でなく多摩丘陵にもあったなんて知りませんでした!
ちなみにこれらの日本山妙法寺の仏舎利塔は全て同じ宗教建築専門の建築設計事務所である大岡實建築研究所が手掛けていて、ホームページを見ると日本各地で建てた仏舎利塔と始めとする作品(神社、寺院の他インド風の寺院なども)を見ることができます。
仏舎利塔の作品一覧ページをスクロールしていくと、日本山妙法寺の依頼を受けてこれらの仏舎利塔を作ることになった際のエピソード、日本建築が専門だったためそれまで手掛けたことがなかったインド建築を研究することになった話なども載っていて非常に面白いです。
日本山妙法寺(多摩道場):多摩仏舎利塔に行ってみる
先日、稲城に買い物に行った際に、この多摩仏舎利塔を訪ねてみることにしました。というのも私がよく行くヤオコーの稲城南山店が、この日本山妙法寺 多摩道場のすぐ近くらしいと分かったので。
ヤオコー稲城南山店は数年前まで道路が通ってなかった稲城南山のかなり新しい造成地なのですが、Google Mapを見ると日本山妙法寺のすぐ横まで道路が通っています(道を挟んで稲城市と府中市が共同で設立した「公営稲城・府中メモリアルパーク」があります)。
スカイテラス南山 - Wikipedia
ヤオコーでの買い物を終えて、Google Mapを頼りに日本山妙法寺を目指して丘陵を上って行くとストゥーパの頭にある飾り(?)が見えてきました ……が、なんとこちら側からは日本山妙法寺には入ることができません。地図で見ると真横に道があるのですが、どうやら日本山妙法寺多摩道場の入り口は反対側だったようです。
目の前にストゥーパの頭が見えているのにこれ以上近づけない……。
ということで、改めて日本山妙法寺に移動しようと思ったのですが、日本山妙法寺とは違う方向にもストゥーパらしき白い建造物が見えています。「え? 多摩仏舎利塔って2箇所もあるの?」と一瞬混乱するものの、こちらについては後ほど。まずは日本山妙法寺のエントリーポイントを探すことにします。
Google Mapで調べ直すと南山のよみうりランド側に、日本山妙法寺につながってそうな道があったので、車で移動します。車はよみうりランド周辺にある有料駐車場を利用しました(日本山妙法寺にも駐車場らしきスペースはありましたが、今回はいきなりの参拝ですし徒歩で伺うことにしました)。
よみうりランド通りのヘアピン部分から伸びる、日本山妙法寺の看板がある細い道に入ります。
左手側の緑地はよみうりランドのゴルフコース。多摩丘陵の坂を上って行きます。
5分程で日本山妙法寺の山門(?)に出ました。参拝は自由にできそうだったので進みます。
稲城南山は多摩丘陵の北端となるので(しかも現在宅地開発が進んでいるので)見晴らしが良い。
日本山妙法寺 多摩道場の本堂。こちらも同じ大岡實建築研究所による建築物です。どことなくインド風でしょうか?
そしてその奥に目指す多摩仏舎利塔がありました。
これは見事! 巨大という程ではありませんが、階段のある台座部分で2m弱の高さがあります。
建立は1982年とのこと。
インド風?の狛犬(獅子)ですね。
正面にはお釈迦様。お賽銭はこの辺りに置かせて貰えばよいでしょうかね。
午後の太陽を背に受けた多摩仏舎利塔。かっこいい……。
先程入れなかったヤオコー側の南山小学校、地平線の方には多摩川河川敷も見えています。
仏舎利塔の裏側。
側面。ネパールでも思いましたが青空にストゥーパは本当に映えますね。
仏舎利塔の先端と月。
仏舎利塔と調布飛行場へ飛んでいくと思われる飛行機。
左に見えているのが本殿と一体になっている日本山妙法寺の多摩道場。
本堂(道場)と多摩仏舎利塔。近所でこんな光景が見られるなんて……。
日本の仏教寺院では滅多に目にすることのないストゥーパですが、ネパールを訪れたこともあってか以前よりも身近で親しみ安い宗教建築物として見られるようになった気がします。
良い場所を知ることができたので、たまに参拝に訪れたいと思います。
さて、日本山妙法寺の山門あたりからも見えている、もう一つのストゥーパ風の仏塔。あちらも同じ日本山妙法寺の施設なのでしょうか? 徒歩圏内のようなので続けて向かってみることにします。
よみうりランドのスカイシャトル(ゴンドラ)やコースター(バンデット)が近くに見えていますね。
HANA・BIYORI/聖なる森:釈迦如来殿
日本山妙法寺から一度よみうりランド通りに出て、観覧車やスカイシャトルを見ながらよみうりランド慶友病院方面に歩きます。
この2つの仏塔、徒歩でも15分程度、直線距離で700m程度しか離れていません。
見えてきました。こちらもまた立派なストゥーパです。多摩仏舎利塔よりも一回り以上規模が大きいように見えますが、どうやったら入れるのでしょう?
どうやらこちらはお寺や宗教法人の施設ではなく、よみうりランドに併設されている「HANA・BIYORI(はなびより)」なるフラワーパークの敷地内にあるそうです。
エリア - 聖なる森|【HANA・BIYORI】新感覚フラワーパーク
釈迦如来殿(パゴダ)SHAKA NYORAI-DEN (PAGODA)
世界的に貴重なお釈迦様のお骨(仏舎利)と髪の毛(聖髪)を安置
- パキスタン産の大理石で作られたこの釈迦如来殿(パゴダ)には、仏教の開祖「釈迦」のお骨(仏舎利)と髪の毛(聖髪)が安置されています。仏舎利は、旧セイロン(現スリランカ)のマヒンターレ寺院に安置されていたもので、1964年(昭和39年)4月に同国政府から贈られました。聖髪は、旧東パキスタン(現バングラデシュ)のブディスト・モナスタリー寺院に宝蔵されていたもので、1964年(昭和39年)9月に同国政府から贈られました。仏舎利と聖髪の二つが安置されているのは、世界的に見ても貴重とされています。
【HANA・BIYORI】新感覚フラワーパーク
聖なる森エリア 釈迦如来殿改修工事について
改修工事のため、聖なる森エリア内「釈迦如来殿(パゴダ)」を7月31日(土)まで閉鎖させていただきます。お客様には大変ご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご了承くださいませ。
お釈迦様のお骨と聖髪が安置されてるということで、かなり本格的な仏舎利塔のようです。施設案内では「パゴダ」と呼ばれているようなので、ここはパゴダと呼びましょう。
これはもう絶対に入場して見学(参拝)したい所ですが、この日はもう17時の営業時間を過ぎていました。すぐにでも出直したい所ですが、残念ながら現在は改修工事中でこのパゴダは閉鎖されているとのこと。8月以降、ぜひ訪ねてみたい所ですし、スカイシャトルからも眺めてみたいですね(こちらも乗ろうと思ったら営業時間が過ぎてしまいました)。
そういえばよみうりランドでもかなり長いこと遊んでない気がします……。
それにしてもまさかすぐ近くの稲城にこれだけ見事な仏舎利塔が2基もあるだなんて全く知りませんでした。たまたま多摩川の対岸から多摩仏舎利塔が見えたことがが切っ掛けでしたが、思わぬストゥーパとの再開を楽しむことができました。
追記:後日、HANA・BIYORIの「釈迦如来殿」も見に行ってきました。
データ:日本山妙法寺 多摩道場・多摩仏舎利塔
- 所在地:東京都稲城市矢野口3571
- 設計事務所による解説:http://www.ohoka-inst.com/tamabussharitou_tamadoujyou.html