先日手に入れたばかりのOLYMPUS(OM SYSTEM)の超望遠ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」を早速フィールドで使ってみました。
手元に届いて最初に出掛けたのはスタッドレスタイヤの交換がてらに立ち寄った町田の小山田緑地だったのですが、既に夕方だったこともあって空振り。改めて出掛けてのがお気に入りの野川です。
トンボを撮る気満々で出掛けたのですが、川沿いを歩き始めると賑やかなカワセミの鳴き声が聞こえてきました。どうやら若い2羽のオスとメスがすぐ近くにいるみたい。縄張り争いをする訳でもないので、兄妹(姉弟?)かと思ってしばらく腰を据えて観察していると面白い様子が見えてきました。
同じ構図内には入らないぐらい離れた位置に止まってお互いにキーキーと鳴き合ってたかと思うと、急接近してはじゃれ合うようなと時に威嚇するようなやり取りを続けています。
オス側からちょっかいを掛けることもあればメス側からちょっかいを掛けることもあって、片方が近寄ってくると羽を広げて応えるような、応戦するようなポーズで交錯しては離れるの繰り返し。どちらかを縄張りから追い出す訳でもなく、常に近い場所を飛び回ったり灌木の中に止まっていたりします。
突然、2羽で交錯してお互いの嘴をはさみあったまま、ブレーンバスター状態で空中で回転してみたり……。
そのまま水の中に落ちたのか、どちらかが押し込んだのか引きずり込んだのか……? かなりアグレッシブなじゃれ合いになってきました(笑) 見てる間に水の中には3回ぐらい突入していましたね。
ニューレンズのデビュー戦で試写というよりは、普通に鳥を見てるのが楽しい状況です。
レンズの挙動についても少々。カメラ(OM-1)は鳥認識AFを入れつつのC-AFで連写ですが、AF駆動はかなりスムーズ。比較した訳ではないですが、MC-20装着のM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROを使っていたときよりも特別AFが遅いと感じることもありません(ED 75-300mm F4.8-6.7 IIになると明らかに遅い)。
そんな中からの個人的にお気に入りの1枚がこれ。2羽とも瞬膜状態で水の中から飛び出してきた瞬間。水滴もいい感じにクラウン状になってます。
その1コマ後が先日、作例としても載せたこちらの写真。トリミングをしていますが、撮影時の焦点距離は269mm(538mm相当)で絞りはF6.2。木の枝に止まってる状態で1匹だけ撮るならギリギリまでズームしますが、やはり動いてる状況だと多少広めの画角にしないと自分には捉えきれません。
本当はあまりお見せしたくない!?トリミング前をネタバレするとこんな感じです。自分的にはこれでも結構頑張ってる方です。高感度やトリミング耐性に弱いと言われるマイクロフォーサーズですが、今はAIノイズ除去もありますし、スーパー解像度でピクセルサイズを上げることもできます(AIノイズ除去との併用はできないものの、その場合はPure RAWとスーパー解像度を組み合わせればOK)。
画質には一定の妥協をしても軽い機材と軽いデータでガンガン撮って行くのが自分のスタイルに合ってそう。でもまあ画質も自分的には十分というか、機材の実力をまだまだ全然引き出せてないと感じてます。
さて、そんなカワセミたちを見ていると、ようやく本来のお目当て?だったトンボがやってきて眼の前に止まってくれました。川の手前側のトンボと対岸に居るカワセミ、なんとか一緒に撮れないものかとF22まで絞ってみたものの無理でした(笑) しかしカワセミは目立つ色をしていますね。
アキアカネ♂と、なんとなく色で存在が分かる対岸のカワセミ。
そんな対岸のカワセミに動きがないかチラチラ見ながら、近くの小枝に止まるトンボを撮ってみました。プロキャプチャーで飛び立ってから戻ってくる瞬間を撮ったもの。
最大望遠の400mm。背景のボケも大きいですがピントが来ていればとてもシャープ。
これはアキアカネ♀かな?
またまたカワセミに戻ります。今まで最大600mm相当の望遠でカワセミをこのサイズで撮ろうと近寄ると、気付かれやすくなってしまいますが、800mm相当だとそこから数歩引いた位置で撮れます(以下、画角ごとの被写体サイズの比較もあるので特に言及がなければトリミングはしてません)。
ただし、先ほどからの2羽は2羽の世界に入りすぎて、あまり周囲に目が行ってないようにも感じましたが……。
M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS単独、800mm相当でのカワセミを見て貰ったところで、テレコン装着のカワセミも見てみましょう。まずは1.4倍テレコンのMC-14を装着。焦点距離560mm、35mm判換算では1120mm相当、遂に1000m超えの世界です。
確かにまた一回り大きくなりました。開放F値は1段暗くなってF9.0ですが光量があればなんとかなります。といっても感度はISO1000〜2000まで上がってしまいました。
続いて2倍テレコンのMC-20に交換。焦点距離は800mmで1600mm相当ともう異次元の世界。開放F値はF13まで上がってしまいました。
F13だとやはり感度もそれなりに上がってしまうので、ノイズ処理をして若干解像感が失われていますが、止まってる鳥ならばシャッター速度をもっと落として感度を下げれば、もう少し解像感を出して撮ることが可能かもしれません。
さすがに1600mm相当まで来ると手持ちで構図をキープし続けるのも大変になってきますし、絞りのこともあるのでそこまで積極的に使うことはないのかも。基本はテレコンなし運用で、あと一歩寄りたいような場合に備えてMC-14を準備しておくぐらいが良さそう。
同じくMC-20装着で1600mmのアキアカネ。さすがにピントも薄すぎますし使いにくいですね……。
やっぱりトンボはM.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS単独が丁度いいかな。以下テレコンはなし。
それにしても開放のF6.3からいい描写をしますね。PROレンズでもないのに、これだけ写ってくれるなら私は大満足です。背景のボケもとてもきれい。
交尾をしていたツマグロヒョウモンを210mmでパチリ。
切り出してみるとこんな写ってる!
鳥ももう少し行きましょう。
セグロセキレイ、よくこの羽繕いみたいな行動してますよね。やはり800mm相当は警戒を与えない距離から撮れて今までよりカメラを早めに構えられるようになりました。
カラスぐらいのサイズとなるとこの大きさ。結構ハトムネしてますよね。
河原を歩いてたら向こうからダイサギがやってきた。後退りしながらレンズをワイド側にして100mmで撮影。
邪魔だと言わんばかりにガンを飛ばされたので道を譲りました……。ちょっとボケがザワザワしてるかな?
こんな感じでこのレンズ1本あれば、鳥や昆虫撮影が今まで以上に捗りそう。重量は少々重いものの、「あと1歩寄りたい」と感じることのあった今までの600mm相当と、800mm相当からさらに先がある状況では、被写体との距離の撮り方も心の余裕も変わってきます。
山や旅行に持って行くにはさすがに大きく重たいですが、これからの冬の野鳥シーズンにも活躍してくれることを期待しています。