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PROレンズ+テレコンよりも写る!? M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II 再購入レビュー②

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OM SYSTEM(OLYMPUS)M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 IIの再購入レビューの第二弾。



今回はM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO+MC-20との比較をメインに、このレンズ最大の弱点でもある開放F値の暗さについての対策などについて書いてみます。

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO+MC-20と比較

75-300mm F4.8-6.7 IIの写りの良さ、コストパフォーマンスの高さについては前回の記事でも紹介しましたが、今回は普段私が野鳥撮影などで使っているほぼ同じズームレンジのM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO+MC-20(80-300mm相当)と比較してみようと思います。

サイズ差はかなりある2本のレンズ

40-150mm F2.8 PROはOM SYSTEM(OLYMPUS)のマイクロフォーサーズ用レンズの中では高品位なPROレンズなので、決してフェアな比較対象ではありませんが(価格は数倍の差があります)、2倍のテレコン(リアコンバーター)を装着して焦点距離を倍に伸ばしている状態です。一般的にテレコンを使うとレンズ性能は低下すると言われてるので、これはこれで面白い比較かもしれません。

レンズ 35mm半換算焦点距離 最大撮影倍率 重量
75-300mm F4.8-6.7 II 150-600mm相当 0.36倍相当 423g
40-150mm F2.8 PRO+MC-20 160-600mm相当 0.96倍相当 910g

E-M1 Mark II+75-300mm F4.8-6.7 IIと40-150mm F2.8 PRO+MC-20で比較

2台のE-M1 Mark IIにそれぞれのレンズを付けて色々撮り比べてみました。
ちなみに75-300mm F4.8-6.7 IIをテレ端にズームするとレンズ全長はかなり近くなるのですが、レンズのみの重量差が約2倍あるのでカメラを持った際の感覚はかなり異なります。

まずAF速度ですが、やはり40-150mm F2.8 PRO+MC-20の方が圧倒的に速くスムーズです。PROレンズではかなり初期のレンズになりますが、AFはかなり速い方だと思います。75-300mm F4.8-6.7 IIもスムーズで悪くないAFですが、さすがにPROレンズと比べてしまうのは酷かもしれません。
また同じボディ(E-M1 Mark II)でも装着するレンズでカメラシャッター音が変化し、40-150mm F2.8 PRO装着時の方が落ち着いたソフトな音、75-300mm F4.8-6.7 IIでは乾いた軽い音となります。鏡筒素材や防塵防滴のシーリングの有無で響きも変化するのでしょうか。

手持ち撮影では75-300mm F4.8-6.7 IIの方が歩留まりが良い!?

40-150mm F2.8 PROとMC-20の組み合わせはMC-20が発売されて以来ずっと使っていて、今までその描写性能に特に疑問を持つことはありませんでした。後付けのテレコンでありながら条件さえ良ければとてもシャープに写りますし、ここまでの焦点距離をカバーするレンズは他に持っていなかったこともあり……。

しかしながら、改めて75-300mm F4.8-6.7 IIと同じ条件で撮り比べてみると、良くて同等、歩留まりならば75-300mm F4.8-6.7 IIで撮った方が、中央、周辺共にシャープに写っていることが多いようです。
2台のカメラのワイド端とテレ端で何枚かずつ撮ってみて、ピントが合っているものをピックアップしてみました。ピントは画面中央あたりにいるカワウ付近を狙っています。

40-150mm F2.8 PRO+MC-20(80mm)
75-300mm F4.8-6.7 II(75mm)

中央付近を200%拡大して比較(Lightroom Classicのキャプチャー)。手持ち撮影での誤差を考えても右側の75-300mm F4.8-6.7 IIの方がシャープです。

続いて同じ場所で300mmまでズーム。ピントはやはり中央のカワウ。

40-150mm F2.8 PRO+MC-20(300mm)
75-300mm F4.8-6.7 II(300mm)

やはり75-300mm F4.8-6.7 IIの方がシャープに写っているようです。

条件を変えて動いている貨物列車を300mm側で撮ってみました。中央は明らかに75-300mm F4.8-6.7 IIがシャープ、周縁部で同等といった感じでしょうか。

40-150mm F2.8 PRO+MC-20(300mm)
75-300mm F4.8-6.7 II(300mm)
中央部付近200%拡大
周辺部付近200%拡大

色々と撮ってみたのですが、手持ちで交互に撮ってる限りは同様の結果でした。単純にレンズの描写力だけでなく、軽量な75-300mm F4.8-6.7 IIの方が手持ち撮影で安定する、或いボディ側の手ブレ補正が効きやすいなどもあるかもしれません。ちなみに絞りは全て開放なので半段の違いがありますが、シャッター速度はほぼ同じぐらいになっているはず。

三脚を使えばほぼ同等の描写?

改めて、三脚を使って比較もしてみましたが解像感についてはやはりよく見積もって同等でしょうか。

40-150mm F2.8 PRO+MC-20(300mm)
75-300mm F4.8-6.7 II(300mm)
中央部付近200%拡大
周辺部付近200%拡大

同等か75-300mm F4.8-6.7 IIが若干シャープに感じることはあっても、逆はないという結果。
レンズの価格差や重量、サイズを考えるとやや寂しい結果ではありますが、テレコン使用のPROレンズと同等以上の描写性能を持つM.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 IIの実力を改めて確認することができました。

近接性能は40-150mm F2.8 PRO+MC-20が圧勝

しかしながら最大撮影倍率は大きく異なります。75-300mm F4.8-6.7 IIは300mm側で最短撮影距離が1.5mとあまり寄れず、撮影倍率も0.36倍相当(それでもクォーターマクロ以上ではありますが)。

75-300mm F4.8-6.7 II(300mm)

一方で40-150mm F2.8 PRO+MC-20ならばマスターレンズの最短撮影距離のまま画角が倍になっているので、最短撮影距離は0.7mのまま撮影倍率は0.96倍相当とほぼ等倍マクロの性能があります。

40-150mm F2.8 PRO+MC-20(300mm)

撮影距離がほぼ倍近いので実際に使ってみると、近距離での取り回しはかなり異なる印象です。

75-300mm F4.8-6.7 II(300mm)
40-150mm F2.8 PRO+MC-20(300mm)

* *

手持ち、三脚、マクロを条件を変えながら75-300mm F4.8-6.7 IIと40-150mm F2.8 PRO+MC-20を比較してみました。単純にどちらが優れてるというものでもありませんが、状況によっては価格差を埋められるほどの力を75-300mm F4.8-6.7 IIが持っていることがお分かりになるかと思います。

40-150mm F2.8 PROの場合は単体でF2.8通しのレンズとして使えますし、MC-20の他に1.4倍テレコン(MC-14)にも対応するので、40mmから300mm(80mmから600mm相当)までの幅広い焦点距離に対応できることが魅力です。もちろんPROレンズならではの質感や堅牢性、防塵防滴の搭載なども75-300mm F4.8-6.7 IIにはないものです。

テレ端の暗さをどう受け止めるか

安くて軽くて良く写る、そんな良いこと尽くめの75-300mm F4.8-6.7 IIですが、最大の弱点がワイドでF4.8、テレ端ではF6.7という開放値の明るさ(暗さ)でしょう。パナソニクの100-300mm F4.0-5.6 IIや、MC-20装着の40-150mm F2.8 PROにしても300mm側でF5.6はあるので、そこから半段分暗いことになります。
たかが半段されど半段。屋外で撮影していても、ちょっと日が陰ったりすると頻繁に感度を上げる必用があります。
大型センサー機と比べると高感度に弱点を持つマイクロフォーサーズでは、明るいレンズを使った方が感度上昇による画質の低下を抑えられるのですが、このレンズの圧倒的なコンパクトさとトレードオフになってしまう要素でもあります。

現行マイクロフォーサーズ機の場合、ISO1600位から高感度ノイズは気になるようになるものの、ISO3200位までならばLightroomのノイズ処理のみでもそこそこ見られます。

ISO2000:Lightroomでノイズリダクション

さらに、現在はDxO PureRAWなどの高性能なノイズリダクションもあります。
PureRAWを使うようになってからは、E-M1 Mark IIIでは日常的に(特に野鳥相手に高速シャッターを使いたい際には)ISO6400までの高感度を使うようになりました。ノイズを恐れてチャンスを逃すよりは、少しくらい画質を犠牲にしても積極的に高感度は使っていくべきだと自分は考えています(その分、機材の軽さなどの恩恵に預かっている訳ですし)。

ISO3200:Lightroomでノイズリダクション

ISO5000での連続写真。連写で鳥の飛び出しを撮る際はどうしてもシャッター速度を上げたいので感度は上がりがちですが、DxO PureRAWを使えばそれなりに見られるように。



これもPureRAWでノイズリダクションしたもの(&大幅にトリミング)。やや薄暗い林の中にある池なのでISO6400まで上げてようやく1/1000秒までシャッター速度を上げて撮ることができました。

機材重量と画質のトレードオフはどのような状況でも存在する要素なので、自分がどこにベストなバランスを求めるかで、選択すれば良いことでしょう。

もう少し75-300mm F4.8-6.7 II 作例

M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 IIで撮った写真をもう少し貼っておきます。

調布飛行場横の展望の丘より。ベンチに座りながら気楽に撮れるのでいい場所でした。


着率したヘリコプターが格納庫に運ばれて行くだけのシーン。75-300mmの画角が丁度いい感じ。



調布飛行場では比較的良く見る気がする新中央航空のドルニエ 228、ネパールのカトマンズ〜ルクラ線で乗ったシタエアーの飛行機もこの機体でした。野川公園側からアプローチして着陸する場合、少し大きな音が聞こえてきたと思ったら木々の向こうからいきなり機体が表れます。


丁度真横を過ぎて着陸する際、ズームの引きが少し足りませんでした。咄嗟に撮った割には、操縦席の中の人の姿などもしっかり写っています。

75mmで郷土の森博物園のロウバイ。そろそろ梅とメジロが見られるかと思ったのですが、まだ梅には少し早かった2月頭。ウメジロー撮影にも軽くて良いレンズですね。

多摩川河川敷より75mmで日没。よく見るとかすかに富士山が見えています。ワイド端は望遠スナップに丁度いいかも。

望遠といえばお約束の月も貼っておきます。2月18日のスノームーン(翌日)、ベランダから手持ち。300mmでこれぐらいの大きさに月は写ります。

がっつりトリミング。

ISO1600のカワセミ、普通にきれい。

ISO3200のカワセミ。PureRAWを使わなくても見れるときは結構見られますね。

ISO6400のカワセミをPureRAWとLightroom Classicのディテールの強化で画素数を上げてからの大幅トリミング。
元々遠くて暗くてピントも怪しい写真ではありますが、暗くて望遠が足りないレンズでもやり方次第では色々と遊べますということで。




とにかくコスパが高く気軽に持ち出したくなる超望遠ズーム

2度目の購入になった75-300mm F4.8-6.7 IIレンズですが、こうして使ってみると改めて良くできたレンズだと感じます。
サイズや価格、フォーマットを問わなければもっと描写性能の高いレンズは沢山あるかもしれませんが、コストパフォーマンスの高さならば唯一無二。さらに気軽に持ち出したくさせるサイズと重量など、超望遠域を今までにないぐらい身近に感じさせてくれるレンズでしょう。

今までは撮影メインでない旅行の際には(そもそも撮影を主目的に遠征なんてほぼないのですが)、12-100mm F4.0 IS(最大200mm相当)よりも長い焦点距離を持ち出すことはほぼ諦めていたのですが、このレンズならば積極的に持ち出してみたくなります。

これで防塵防滴だったら…… と思わないでもないですが、そうでないから現在の価格でもあるでしょうし、もしIII型へのリニューアルなどがあるならば、そのときには期待できるのかもしれません(ちなみにパナソニクの100-300mm F4.0-5.6 IIは重量差プラス100g程ありますが防塵防滴)。

M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 IIの主な仕様

交換レンズ M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II | 交換レンズ M.ZUIKO | オリンパス:カメラ、オーディオ、双眼鏡

  • マウント:マイクロフォーサーズ
  • 焦点距離:75-300mm(35mm判換算150-600mm相当)
  • レンズ構成:13群18枚(スーパーEDレンズ、EDレンズ2枚、HRレンズ3枚)
  • 開放絞り:F4.8(75mm)- F6.7(300mm)
  • 最小絞り値:F22
  • 最短撮影距離:0.9m(75mm)/ 1.5m(75mm以外)
  • 最大撮影倍率:0.18倍(35mm判換算 0.36倍相当)
  • フィルター径:Ø58mm
  • 絞り羽根:7枚(円形絞り)
  • 最大径×全長:Ø69 x 116.5mm
  • 重量:423g
  • フード:別売
  • 希望小売価格:63,000円(税込69,300円)

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