10月1日の土曜日、新潟県と長野県の県境にある苗場山に登ってきました。
快晴の登山日和の中、池塘が点在する高層湿原の草紅葉、中腹の紅葉も合わせて楽しむことができました。
- 久々の登山は秋山郷からの苗場山
- 小赤沢三合目登山口からの小赤沢コース
- 最初の高層湿原へ
- 苗場山山頂に広がる高層湿原
- 下山、ぬかるみにサンショウウオ
- 秋山郷の温泉「楽養館」〜津南町で夕飯
- 当日のルートとログ
久々の登山は秋山郷からの苗場山
この夏は登山らしい登山をすることがなく、伊豆大島三原山以来の山予定だった先月の八丈島行きも台風で中止に……。さすがに山に行かなすぎて足に不安を感じてきたので、天気の良さそうな10月最初の週末、久々の山に行くことにしました。
気がついたらもうすっかり秋ですが、あまりに遠かったり混雑しそうな場所は避けたい。そこそこラクそうで、草紅葉の湿原を歩くのも良いかな…… と以前から気になっていた苗場山へ。本当は前々からグリーンシーズンに行きたいと思っていたのですが、(以前行った尾瀬にせよ)気がつくと夏が終わっているという。
苗場山は長野県と新潟県の県境に位置する日本百名山のひとつ(標高2,145m)。山頂部にある広大な高層湿原や北東斜面のかぐらスキー場でもよく知られています。ちなみに、昭和平成のスキーブームの象徴でもある「苗場スキー場」は、苗場山苗場山とは谷を挟んだ別の山。
苗場山山頂に至る登山ルートは複数あって、最もメジャーなルートは新潟県湯沢町の秡川登山口からの「祓川コース」。ただし標準コースタイムで7時間以上、山頂手前に登り返しがあったりと、久々に山を歩く妻的にはやや大変そうということで、今回は苗場山登山最短ルートでもある、長野県 秋山郷にある「小赤沢三合目登山口」からの「小赤沢コース」で登ることとしました。
ただし秋山郷は信州の秘境とも呼ばれる場所でもあり、関越自動車道が走っている湯沢町側からは苗場山を挟んだ反対側まで移動する必要があります。ちなみに長野方面からだと野沢温泉から千曲川沿いに国道が通じています。最近ロングドライブが少々だるくなってるものの、片道300km以下なら許容範囲ということで。
前日はこれだったので妻も有給を取っていて早い時間から準備もできましたし、夕飯後に軽い仮眠を取って深夜2時過ぎに出発。関越道の湯沢ICまではスムーズなドライブで、そこから60km弱の下道。信濃川(千曲川)と中津川の合流点にあたる津南の中心地からの国道405号。始めのうちは2車線道路ですが、途中点在する秋山郷の集落に入るあたりから1車線区間も増えて行きます。
余談ですが国道405号は秋山郷をもう少し南下すると一旦途切れ、その先は登山道を経て中津川の水源でもある群馬県の野反湖から再び出現します。志賀高原方面にも雑魚川林道で通じているようですが、できればあまり走りたいとは思わないかも。
国道405号 - Wikipedia
国道を外れてからの登山口までは待避所以外はすれ違いの困難な道幅が続く林道で、朝方は登山口に向かう車ぐらいしか走らないと思いますが、帰りはちょいちょい対向車が発生するのでスピードは出しすぎないよう。
小赤沢三合目登山口の駐車場はかなり広く、朝6時頃に到着時はかなりガラガラ。下山時には駐車スペース中央まで車が停められていましたが、早い人は昼前に帰ってしまうと思うので回転は良いのかも。駐車場に入口付近にはトイレもあります。
小赤沢三合目登山口からの小赤沢コース
6時20分頃に駐車場の奥にある登山口からスタート。
登山道としては三合目。恐らく秋山郷の林道入口辺りが一合目になっているのでしょう。
沢と名の付く登山道ですし上には高層湿原のある山なので、足元のぬかるみを覚悟して珍しくゲイターを履いてきました(冬用以外だと富士山以来では?)。結果的にはなくても問題ないレベルでしたが、多少はパンツの裾や靴を泥汚れから守ってくれました。
しばらくは樹林帯の登山道。平坦という程でもなく急登でもなくじわじわと標高を上げて行きます。このタイプの登山道は帰りが結構ダルい。
あの平らな山の上に高層湿原が広がっています。
周囲はまだ緑が多いですが色づいたナナカマドの実など所々に秋の気配を感じます。
標高が約100m上がるごとに四合目、五合目……
一部、沢の水が登山道に流れ込んでいる場所なども。
五合目を過ぎると鎖場が数箇所登場します。
そこまで危ない箇所はありませんが、下りの際は足元が湿っている所も多いので、素直に鎖を使って下りてしまった方が楽かも。
数回の鎖場を抜けて八合目を越えると……
森林限界の気配。
周囲の灌木も秋らしい色づきに。
最初の高層湿原へ
最初の小さな池塘がいきなり登場して、ここから高層湿原が始まります。
尾瀬の燧ヶ岳などでも体験してますが、山を登っていきなり広い湿原が広がっている光景は何度見てもテンションが上がります。
登山道は付いてませんが、いい感じのピーク。
視界が開けた西側には北アルプスも見えています。
いい感じのフォルムの山は鳥甲山でしょうか。
ここからは高層湿原に点在する池塘を眺めながらの平坦な木道歩き。
山頂に繋がる湿原とはもう1〜2段ほどの段差があるようですが、この先は200m弱の標高差をゆるゆると登って行く感じ。
一面の草紅葉、そして間の樹林帯にはクマザサの緑と、紅葉、黄葉が広がっています。
平太郎尾根方面の分岐。
最高ですね。
九合目で短い樹林帯へ。
ぬかるんだ足元と大きな石の登山道。
苗場山山頂に広がる高層湿原
再び高層湿原に出ます。紅葉が素晴らしい!
とても良い。ここから先はもう山頂から広がる広大な高層湿原がひたすら続きます。
苗場神社の分岐を過ぎて……
あの少し高くなったあたりに山頂があるようです。
草紅葉だけでなくナナカマドなどの赤い紅葉もチラホラ。
振り返るたびにこの景色。
スタートから2時間半程度でこの絶景、久々の山をここにして大正解でした。
小屋が見えてきました。
苗場山自然体験交流センター(苗場山頂ヒュッテ)。
水、ポカリ、ビールなども買えたり、トイレの利用も可能。
苗場山頂ヒュッテの横から1分で苗場山山頂。
ひたすら広く見通しの良い苗場山の高層湿原ですが、山頂部分は少し背の高い木に囲まれていて展望はありません。
それでは山頂周辺に広がる高層湿原をじっくり楽しみましょう……。
うーん、ひたすら気持ち良い。
秡川コース側も少し覗いてみましょう。向こうに見えるのはカッサ湖(田代湖)。ロックフィルダムのカッサダムはここからでは見えません。
2000m弱のピークから暗部を挟んでの登り返しは少々大変そうですが、こちらはこちらで良い雰囲気。小赤沢コースとはまた雰囲気が違って面白そうです。
苗場山頂ヒュッテに戻ってトイレをお借りしたり、バッジを買ったり、近くの見晴台へ。
西側が開けてこれは間違いなく夕焼けスポット。
正面の山の裏側が登ってきた小赤沢コース、中津川の谷を挟んで鳥甲山、その先には北アルプスまで……
もう少し高層湿原のお散歩。
尾瀬に比べると全体的に池塘が浅い感じ。
池塘の底が少し赤く見えます。秋山郷にある温泉は鉄分を多く含んだ赤いお湯でしたが(新潟側にも「赤湯温泉」があります)、何か関係があるのでしょうか。
湿原(台地)のヘリまで来ると紅葉している木々が目立ちます。
この山頂の湿原の広さ。
山頂の湿原も微妙に二段階になっているんですよね。
湿原を望む休憩スペースはこの賑わい。もう少し空いている場所を探しましょうか……
再び小赤沢コースを戻りますが、この景色が最高。
苗場神社の分岐の辺りでお昼にします。
ちょいちょい行動食は食べているので、お昼はセブン-イレブンのおむすびセット。お湯を沸かすのもダルいのでこういうのでいいんです(と言いつつ2人でスープ1杯分ぐらいなら作っても良いかな)。
食後に苗場神社。分岐からはすぐ。
松やナナカマドの窓が良い感じ。
苗場神社の先も良い感じの湿原が続いてますが、まあ良いでしょう。
下山、ぬかるみにサンショウウオ
なぜなら下山路にまたこの湿原を歩けるので。
最後の池塘に別れを告げて……
鎖場地帯を下ります。
トンボを見たり……
奥さんが見つけて写真を撮っていたサンショウウオ(クロサンショウウオ?)。登山道のぬかるみにいたみたい。周囲には登山靴の足跡だらけでよく踏まれませんでしたね……。
だいぶ緑になってきました。
黙々と下りて登山口に到着。かなり車も増えたようです(既に帰ってる車も多いです)。
駐車場入口近くにある沢で、ぬかるみで汚れた登山靴を洗えます。
横の木にブラシが掛かっているのでお借りします。
ゴシゴシと……
ブラシを戻そうを思ったらトンボが止まっていました……
秋山郷の温泉「楽養館」〜津南町で夕飯
林道で数台のすれ違いをやり過ごして秋山郷まで下りて、やってきた日帰り温泉「楽養館」。
源泉は「小赤沢温泉」。鉄分が溶け出したような赤褐色のお湯の温度はかなりぬるめ、浴槽の底には赤褐色のザラザラの湯の花の砂のように積もっています。かなり長時間浸かっていた割にはあまり体が温まりませんでした(というか冷えてしまった……)。温泉の横に少し小さな沸かし湯の浴槽もあるので、そちらで体を温めるのが正解みたい。
せっかくの源泉かけ流しなので温泉成分を洗い流さずに上がりたかったのですが、お湯で顔を洗うと目が染みるぐらいの塩分で、湯の花のせいか毛もゴワゴワになってしまうので軽くシャワーで流して出ました。なかなか他にないお湯なので、次回はもう少し体を温めつつじっくりお湯を楽しみたい。
帰りの405号は朝方の暗い時間に比べたら走りやすく(車線の狭いワイディングがあるのでヘッドライトは点灯した方が良さげ)スムーズに津南の中心地へ。少し早めの夕飯は津南町役場近くの「喰処みさと」にて……
帰りの関越道は特に混雑や渋滞もなかったものの、さすがに眠くなったので赤城高原SAでしばし爆睡。日付が変わる頃になってからガラガラの高速を走って東京に戻ったのでした。
久々の山はやっぱり楽しかったですが、夜中からの活動や運転のダルさは年々大きくなる一方。もちろん近場にも良い山はたくさんあるものの、なかなか行ってみたい山と、運転や混雑のストレスのなさのバランスが難しいところ。まああまり気張らずのんびりやっていきます。