友人がFacebookに貼っていた、リコーダーの多重録音によるスティーブ・ライヒの「Electric Counterpoint」にいたく感動したのでご紹介がてらだらだら音楽ネタでも…。
Electric Counterpoint for 20 Recorders - YouTube
【Steve Reich】Electric Counterpointを演奏してみた【リコーダー20重奏】 - ニコニコ動画
スティーブ・ライヒとパット・メセニー
スティーブ・ライヒ(Steve Reich)は現代音楽の世界で活躍する作曲家で、とりわけミニマル・ミュージックの先駆者として知られています。現代音楽と聴くとなにやら小難しい音楽を想像する人も多いかもしれませんが、ライヒの音楽は調性感のあるものも多く、テクノ系を始めとしてポピュラー系のミュージシャンにも、大きな影響を与えている作曲家です。
そんなライヒの87年の作品が「Electric Counterpoint」。私が敬愛するジャズ・ギタリストのパット・メセニーの録音によるものが有名ですが、この作品がメセニーの為に書かれたものなのか、その辺りの経緯はよく知りません。メセニーはエレキギターでこの曲を演奏しましたが、他にもマリンバやアコースティックギターでの録音、最近ではテクノ系アーティスト?による電子音版などもCD化されています。
Electric Counterpoint - I - YouTube

Electric Counterpoint/Different Trains, Electric
- アーティスト: Kronos Quartet,Pat Metheny,Steve Reich
- 出版社/メーカー: Nonesuch
- 発売日: 1994/10/26
- メディア: CD
- 購入: 4人 クリック: 29回
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この曲を20本のリコーダーで再現してしまったのが、冒頭の動画。動画上の解説も丁寧で非常に面白いです。楽譜の読める方は、ネットで検索すればオリジナルのスコアを見ることができますので、それと照らし合わせつつ聴くことで有意義な休日を過ごすことができるでしょう(笑)
さて、パット・メセニーの作品にはこのスティーブ・ライヒからの影響が強く見られるものがあります。以前も紹介したかもしれませんが(?)、パットがギターで参加している矢野顕子の「いいこいいこ」の間奏(1:00〜)などは有名ですね。突然Electric Counterpoint状態になるので、ビックリします(笑)
矢野顕子 いいこいいこ(good girl) - YouTube

- アーティスト: 矢野顕子
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
- 発売日: 2013/04/10
- メディア: CD
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「18人の音楽家のための音楽」そして「The Way Up」
ライヒの代表曲に「18人の音楽家のための音楽」(76年)という曲があります。18人の演奏家が次々に楽器を持ち替えながら(というか移動して)演奏される、1時間近い大作です。繰り返し寄せては返す波のような音形(パルス)を聴いているといつのまにそのパターンが姿を変化させていく(万華鏡のように)、まるで大自然の中に身を委ねるような、はたまた都会の1日の早送りを傍から眺めるような、不思議な感覚にトリップすることができる曲です。
長いですが、とても聴きやすい曲ですので是非一度体験して頂きたいなと。
Steve Reich - Music for 18 Musicians [ 2008 JAPAN ...

- アーティスト: スティーヴ・ライヒと音楽家達
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2013/01/23
- メディア: CD
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この↑動画の東京オペラシティでの公演は私も見に行きましたが、ひらすら音楽に集中し、真剣に見ていて、居眠りをした訳でもないのに、気付いたらあっと言う間に時間が過ぎているという不思議な体験をすることとなりました。
pat metheny group - the way up live Part 1 - YouTube
そしてPat Metheny Groupの2006年の「The Way Up」という作品。CD1枚で1曲70分に迫る大作です(上の動画はそのイントロダクション部分)。こちらはミニマルミュージックという訳ではありませんが、冒頭のマリンバによるシーケンスからしてライヒの影響下にあることは間違いないでしょう(このツアーの公演が行われた東京国際フォーラムでは、入場直後からこのパルスが通路、場内と流れている演出がされていました)。
ライヒの作品よりもキャッチーで鮮やかな色彩感を持っていて、まるで長い映像作品や絵巻物を見せられるかの音世界に魅了させられる1曲。この曲をコンサートで聴いたときも、やはり時間感覚を失うような不思議な体験をしたことを覚えています。
国内盤はボーナストラック的に曲が若干長くなってますが、両方買った私の意見としては輸入盤で聴くことをオススメします。

- アーティスト: Pat Metheny Group
- 出版社/メーカー: Nonesuch
- 発売日: 2005/01/31
- メディア: CD
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Pat Metheny Group: The Way Up (Pvg)
- 作者: Pat Metheny
- 出版社/メーカー: Hal Leonard Corp
- 発売日: 2005/03/01
- メディア: ペーパーバック
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この曲が彼らの集大成となってしまったのか、その後は中心メンバーだけでこぢんまりと来日をしたこともありましたが(それはそれで良かったですが)、本作を最後にフルバンドでのPat Metheny Groupは活動を行ってません。
そういえば、先日発売されたばかりのPat Metheny Unity Groupの新作が、かつてのPMGを彷彿とさせる雰囲気でなかなか良い感じなのですが、それはまた別の機会に…。
Pat Metheny Unity Group - Kin (←→) Preview - YouTube

- アーティスト: Pat Metheny
- 出版社/メーカー: Nonesuch
- 発売日: 2014/02/04
- メディア: CD
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畑違いに思えるBABYMETALも、このような聴き方をしてみると、様々な元ネタ(?)に拡がっていってより深く楽しめたりするのです。